この素晴らしいダンジョンにカズマさんを!   作:ぽーぴー

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この愛の戦士達の決闘を!

「サトウカズマ……!フレイヤ様のお身体からその手を離せ!!」

 

フレイヤに対して欲望の限りを尽くす史上最悪の怪物に、猛者オッタルがかつてないほどの怒りを覚えながら声を荒げる。

 

並の冒険者であるならば、レベル7の本気の殺意と眼光を受けてしまえばそれだけでショック死してもおかしくない程の危機的状況だ。

 

しかし今まで数多の修羅場を乗り越え、かつ魅了に罹かった今のサトウカズマにとってその程度の威圧は『何か怒ってんなこいつ、ウケるんですけど』と内心煽りながら受け流せるレベルのものでしかない。

 

そもそもキレてる理由すら不明なのだからビビりようがない。

 

何故ならこいつの怒りは的外れにも程がある。

 

だってそうじゃないか、俺とフレイヤ様は相思相愛、愛の営みを成したとしても何ら問題などないのだから。

 

愛に目覚めた無敵の性獣クズマさんは、相も変わらず愛しの女神の両胸を下から支えるお仕事を敢行しながら、猪野郎の勘違いを正すために口を開く。

 

「離すわけないだろアホか、いいか?フレイヤ様は俺に惚れたんだよ!だからこそ魅了して下さったんだ!!そんな彼女の健気な愛に報いるためには自分に正直に生きるのが必要不可欠なんだよ!何で分からないんだっ!?愛されているのに自分を偽るなんて真似こそ真の不敬だろーが!理性も我慢も必要ない、嘘偽りない本来の姿を見せてこその真実の恋だ!だから俺は間違っていない!!」 

 

そう熱く語りながらもひたすらフレイヤの両胸を揉みしだき続けるサトウカズマ。

 

「ふざけた事を抜かすな……!」

 

今すぐにでもあの罪深き男を八つ裂きにしたいオッタルだが、すぐ側にフレイヤ様がおられるが故、短絡的な行動に移すことが出来ないでいる。

 

そんな修羅場を目の当たりにした愉悦の神様は。

 

「ふふふふっ……!一理あるわね、そうは思わない?ロキ」

 

心底楽しそうにこの状況を楽しんでいた。

 

「お前この状況でようそんなふざけた事抜かせんな……逆に尊敬するわ」

 

流石のロキもドン引きである。

 

「ふ、フレイヤ様……!」

 

オッタルにも当然その主神の様子は目に入っており、張本神である女神フレイヤが何故かこの状況を楽しんでいる様に見える為、よりオッタルは動きづらくなってしまっていた。

 

その状況に圧倒的勝機を感じた無敵のカズマさんは、更に暫定恋敵を蹴落とす為口撃を続ける。

 

「はっ、情けないなオッタルさんよ!フレイヤ様は俺の方が好きだってよ!!まっ、当然だな。何せ俺の方がフレイヤ様を愛しているからな!!信仰心も俺の方が上だ、彼女を世界で一番愛しているのはこの俺佐藤カズマ、お前なんかじゃ足元にも及ばないぜ」

 

「何だと……?その言葉だけは取り消して貰おう……!!フレイヤ様への愛と忠誠は俺の方が勝っている……!!」

 

そう語るオッタルの目と言葉に、我が愛しの女神フレイヤ様に対する本物の愛を感じたカズマは、彼を蹴落とすのではなくどちらがよりフレイヤ様に相応しく彼女を守れるのか判断する為に動き始めた。

 

これもまた愛である。

 

「だったらフレイヤ様のどこが好きなのか語って貰おうか!それで納得したら引き下がってやるよ恋敵め!!」

 

その突然の問答に思わず面食らってしまったオッタルだが、カズマの瞳と言葉には確かなフレイヤ様への愛が存在しており、これに答えないと言う選択肢は女神に対する特大の不敬だと判断した。

 

その為クソ真面目なオッタルは彼の不敬に感する怒りを一旦置いて、長き長考に入り、その果てに───。

 

「………………俺の全てはフレイヤ様の為にある」

 

たった一言、万感の祈りを込めてその言葉を吐き出した。

 

「いや言葉足らずにも程があんだろ!まあいい、お前が心底フレイヤ様を愛しているのは分かった!!だが俺の愛も聞いてもらおうか!それで決着を付けようぜオッタル!!」

 

「……いいだろう」

 

「何やこの展開……頭おかしいやろ……」

 

「良いじゃない面白くて。……私はいつまで揉まれていればいいのかしらね」

 

「いいか!?フレイヤ様はな、一見完璧なクールビューティー系女神様に見えるけど、多分意外とお茶目で結構残念な所もあるギャップ萌えタイプの女神様なんだよ!所謂駄女神ってやつだな!まあそういうところが可愛いんですけどね!二面性のある女性って素敵ですよね!あと割とゲラで直ぐ笑って可愛いし、ノリもいいから宴会とかの場に居たら絶対楽しくなる事間違いなしだ!しかも見た目は最上級、性格もまあ俺からしたら可愛いもんだし?これ以上ない程素晴らしい女神様なんだよフレイヤ様は!!……いや待てよ?可愛いと美しい……一人で二粒の美味しさも味わえるとか最高じゃないですか!流石俺のフレイヤ様!!結婚してください!!」

 

一息でここまで語り切ったカズマに対して周囲の反応は────。

 

「サトウカズマ。………お前の愛は伝わった。だがフレイヤ様に対して駄女神は許されん……!!そこは訂正して貰おう……!!後良い加減フレイヤ様の肢体から手を離せ!!」

 

猛者オッタル、不敬極まりない彼の行動に思う所は多分にあるものの、語る言葉に込められた想いは我々フレイヤ・ファミリアに匹敵するほど本物だった為、その迸る程の殺意はある程度収められていた。

 

これが仮に神フレイヤを侮辱する類いの行いであったのなら容赦なく叩き潰す所だが、そうはならなかった。カズマの愛は本物だったからだ。

 

「うわー…あれ魅了されとるとはいえ全部本音やで……奥手な奴やと思っとったんやけどなー……恐ろしい男やでホンマ」

 

全ての元凶ロキ様、あのフレイヤに対して性格も可愛いもんとか本気で言い張り口説き続ける彼の割と結構な女誑しっぷりに若干恐れ慄いている。

 

「…………………………」

 

そしてフレイヤ様。彼女は…………。

 

「か、カズマ?流石にそろそろ離してくれると助かるのだけど……」

 

褒め殺しによる褒め殺し。しかも内容がお茶目で可愛く美しい、二面性のある女性は素敵などなど……女神フレイヤにとってかなりクリティカルな口説き文句を放たれて流石の彼女も動揺していた。

 

端的に言うと心音が若干高まっていた。頬もほんの少しだけ赤い。ぶっちゃけ普通にドキッとしていた。

 

「お断りします。俺はフレイヤ様の愛のしもべなので。ちゃんとそのお胸を支えさせていただきます」

 

「………………お、オッタル?何とかしてちょうだい?」

 

赤面しながらも、この場を最も何とか出来る可能性を持つ最強の戦士に助けを求めるフレイヤ。

 

当然オッタルがそれに答えない訳もなく。

 

「はっ、お任せくださいフレイヤ様。……サトウカズマ、今ならばまだ命までは取らん。……離れろ」

 

愛に目覚めた戦士カズマがそれを取り合う筈もなく。

 

「ほう…だったら行動で示してみるんだな。俺の女神を奪ってみろよ、オッタル」

 

そう溢しながらフレイヤの側から離れ憎き恋敵に向かってゆっくりと歩き出していくカズマ。

 

「ああ。……お前を打ち倒し我が愛しの女神への信仰を示してみせる……!!」

 

対して猛者はその場から一切動かず相手を待ち受けていた。

 

最強としてのプライド、誇り……否、それだけではない。

 

この男、サトウカズマは確かにフレイヤ様の肉体を不躾にも陵辱した大罪人だ。

 

だが、その内に秘めたる愛だけは本物だった。……そこにだけは敬意を払わなければならない。

 

だからこそ、真正面からこの男を叩き潰して真の勝利を得なければ猛者の名折れ。

 

「ねえ聞いたロキ!?俺の女神ですって!奪ってみろですって!何かいいわねこれ!」

 

「お前色ボケにも程があんやろ……元凶誰か分かっとるか?てかさっきまで生娘みたいな反応してたやんけ。ドキッとしたんか?んー?」

 

「……私の魅了で貴女が実は男神って世界を書き換えてやろうかしら」

 

「天界帰るわ」

 

サトウカズマと猛者オッタルは睨み合いながら動かない。

 

「………『ブレッシング』『スピードゲイン』『プロテクション』!!」

 

大声で幸運値と速度、防御力を上昇させる支援魔法を行使するカズマ。

 

「……強化魔法か…………?」

 

「ああその通りだ!俺の全力の強化、最高速度を見せてやるっ」

 

そう叫び支援で上昇したスピードのままオッタルの方へと走り出した───!!

 

「速度アップの魔法か……ふん、だがその程度の速度で俺に……!」

 

例えバフが掛かったとしても俺のステータスじゃオッタルからしたら止まって見えるのだろう。だがそれで良い。

 

これが俺の全力だと油断してくれればそれで十分だ───!!

 

「……届くと思うな!」

 

馬鹿みたいに真正面から突撃する俺に対し、容赦なく猛者の拳が襲い掛かってくる。

 

当たったら確実にお陀仏。しかし不安は全くと言っていいほどない。

 

だって俺には幸運の女神様の加護がついているのだから。

 

彼女のスキルはブレッシングの効果上昇、命を懸けるには十分すぎるほどの代物だ。

 

俺は即死の一撃を、見事に『緊急回避』し、すれ違い様に。

 

「『パラライズ』!!」

 

───相手の動きを静止させる状態異常魔法を放った。

 

「ぐっ、こ、これは……!麻痺か!」

 

対人戦においてのみ、耐性やレベル差を完全に無視して影響を与えられる俺のスキル『最弱の冒険者』は、やはりちゃんと機能してくれた様だ。

 

だがまだ終わりじゃない、やるからには徹底的にだ!

 

俺はフレイヤ様に好き放題生きろと言われたのだから!

 

この恋敵の人生を終わらせてやるっ!!

 

「そして『スティール』!」 

 

「……私の下着が盗られたのだけど」

 

「お前履いとったんか……今日一驚いたわ」

 

麻痺ってるオッタルを無視してフレイヤに向かってスティールを放ち、その国宝級の聖なる布地を握りしめながら。

 

「『バインド』!」

 

紐の代わりにパンツを使って拘束魔法を放った───!!

 

「なっ……!」

 

びよんびよんに伸びた漆黒のお宝が猛者オッタルさんの身を絡めとり縛り付ける。

 

……ちょっと羨ましいな。

 

だがこれでフレイヤ様は俺のものだ!決闘に勝ったんだからな!!

 

昂ったテンション感のまま俺は最高の気分で相手を煽り散らす。

 

「フハハハハッ!!!!その光景無様である!実に無様である!!ねえねえどんな気持ち?格下のレベル1の冒険者に完敗してどんな気持ち?フレイヤ様のパンツで拘束されてどんな気持ち?恥ずかしくないんですか?」

 

「お、おのれ……!よくもフレイヤ様に……!!」

 

「フハハハハハハハッ!!!!うーん美味である美味である、これが悪感情か……おっと、麻痺があるから大丈夫だと思うがそんな暴れるなよ?大変だろ?……まあ大切な主神様の下着をぶち破れるのならやってみてもいいけどな!出来るんならなっ!ぷーくすくす!!」

 

「サ、サトウ…カズマァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

「フハハハハハハハハハハハハハハッッッッッ!!!!!!」

 

そのまま高笑いを始めるカズマは、流石のベル・クラネルが見ても討伐対象だと判断するであろうほどの人類、いや女の敵だった。

 

実際間近で見ていたそれ系統の手段を用いながら勝利を画策していくタイプの神ロキも。

 

「あいつ最低すぎるやろ……ウチが悪辣さで完全敗北認めるなんて相当やぞ……さっきまでの口説き文句は何やったんや……いやホンマクズすぎんか?ドン引きなんやけど」

 

普通にうわぁとなりながらガチ引きしていた。

 

「……………ロキ、理性と倫理って人にとってとても大切な物なのね」

 

あのフレイヤも珍しくやってしまったかもしれないと冷や汗を掻き始めながら、どう収集を付けようか割と本気で悩み始めていた。

 

そして主神の下着+麻痺により動きを完全に封じ込められたオッタルさんは。

 

「き、貴様……!!フレイヤ様に対する愛は本物ではなかったのか!?あの時の言葉は嘘だったのか!?」

 

身を蝕む状態異常をその底力で徐々に吹き飛ばしながら立ちあがろうとするが、それを見てカズマは。

 

「おっとそれ以上暴れるなよ?フレイヤ様がどうなってもいいのか?」

 

「!?」

 

女神フレイヤの方へ手を向けいつでも魔法が発動出来る様に構えだした。

 

「なあフレイヤ、あいつホンマヤバすぎへんか?魅了したの絶対失敗やったろ、世界の敵すぎるわアレ」

 

「…………一瞬でもトキメイてしまった私が馬鹿だったわ」

 

「……普段のカズマってマジでええやつやったんやな、理性なくすとここまでになるんか……」

 

「……でも枷が外れても胸揉み以外はして来ない所に魂の善性を感じるわよね」

 

「まあそれはそやけど……にしてもカスすぎんやろ今のあいつ」

 

「それはそうね」

 

神ロキと美の女神フレイヤ、この二柱をしてドン引きさせるポテンシャルを持つ愛の戦士サトウカズマ。

 

「今のフレイヤ様は肌着一枚、それにスティールを使ったらどうなると思う?」

 

「!?な、何を……!」

 

「お前が暴れちゃうと使っちゃうかもなぁ……可哀想に。全裸でホームまで帰らなきゃならないなんて……オッタルさんはそんな酷い事しないよな?」

 

「サトウカズマ……!貴様だけは絶対に許さん……!!」

 

「おいおい暴れるなよ。……もう一度言うぞ?フレイヤ様がどうなってもいいのか?」

 

「……くっ」

 

「あーそれとも、オラリオ中にオッタルさんが主神の下着を身に纏って拘束プレイをしてたって噂を流してやる方がいいか?」

 

「!?」

 

「その際ロキ・ファミリアに全面協力をお願いしたいところだな」

 

「はぁ!?んなくだらん事協力する義理ないやろ!?」

 

「忘れたのか?俺たちヘスティア・ファミリアはお前らに対して貸しがある事を。……忘れたとは言わせないぞ?」

 

「お前こんなカスみたいな事でそれ使う気なんか!?」

 

「(……この男は、危険だ……!今ここで始末しておかなければ……!!)」

 

「おっと、そろそろ麻痺が切れそうだな。『クリエイト・ウォーター』『パラライズ』」

 

「ぐっ……き、貴様……!!」

 

「水を伝って麻痺が届いただろ?初めてやったが上手くいくもんだな。さてフレイヤ様、今から俺と愛の営みを……」

 

女神フレイヤに再び蛮行を働こうとするサトウカズマに対し、オッタルの中の何かが爆発した。

 

「ッッッッッフレイヤ様から離れろサトウカズマァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

───スキル効果による理を捻じ曲げる魂の咆哮、猛者の雄叫びが身を縛る魔法効果を打ち破った─────!!

 

「!?き、気合いで麻痺を吹き飛ばしやがっただと!?なんて出鱈目なやつだ!!チートだチートだ!!『プロテクションプロテクションプロテクションプロ……!」

 

「はぁ…はぁ……!覚悟しろ、サトウカズマァ!!!!」

 

「ぐっはあぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!?!?!?!?」

 

レベル7の怒りの正拳がカズマの肉体を吹き飛ばした───!!

 

「か、カズマーッ!?大丈夫かー!?」

 

「…………生きてるかしら」

 

完全に死んだ勢いで飛んでいったカズマに二柱がその身を案じる。

 

件のカズマは。

 

死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬッ!?!?!?!?

 

あ、アクア!アクア様ー!!助けてくれアクア様ーッ!!!!

 

と内心叫びながら。

 

「『せ、セイクリッド・ハイネスヒール』!」

 

回復魔法を使用した。

 

アクアのスキル効果による支援魔法の効果向上によるプロテクションの重ねがけ、ダクネススキルによる耐久値の超高補正、そしてオッタルが万全の状態でなかったが為にギリギリ死なずに済んだカズマであったが、かなり危ない状態であった。

 

死ぬ寸前に何とか回復が間に合った様だ。

 

「……サトウカズマ、何か言い残すことはあるか?」

 

そんなボロボロのカズマに対してオッタルが最後の一撃を放とうとする。

 

どう考えてもここから逆転する事は不可能、それを察したカズマは潔く負けを認め正座の体勢をとる。

 

「……感動したよ、オッタル」

 

「……は?」

 

そのままとてもいい顔で涙を流し、笑顔を溢しながら口を開いた。

 

「まさか俺の耐性無視の状態異常を吹き飛ばすなんてな……それだけお前のフレイヤ様に対する愛が強かったって事だ。……俺の負けだよ、フレイヤ様の事をよろしく頼むな、オッタル」

 

その姿は相手を騙して不意打ちを成そうとしてくる類のものではなく、本当に本心からの言葉の様に聞こえた。

 

武人であるからこそオッタルにはそれが分かった。

 

その余りにも潔い彼の様子に困惑しながらも猛者は。

 

「…………命乞いのつもりか?」

 

そう問いかけるしかなかった。

 

「そうじゃないさ。ただ同じ女性を愛した者同士、通じ合うものがあるだろ?俺はあんたに愛と信仰心で負けた。悔しいけど、俺じゃフレイヤ様を守れない。…あんたみたいに強くないからな。……でもお前は対人戦においては最強クラスを自負している俺を愛の力で打ち負かした。……その強さに安心したんだ、あんたになら彼女を任せられるってな」

 

悔しげに、だが安心した様に語る彼の姿は先ほどまでのクズっぷりは何処へやら、本当に一人の女性を思いやる愛の男そのものだった。

 

彼はそのまま言葉を続け。

 

「まあアレだ、だからこそそんなオッタルさんに殺されるなら満足って事だ。……なあ、せめて最後に握手でもしてくれないか?俺は一人の男として…いやフレイヤ様を守る武人としてのあんたを魂に刻み込みたい。……安心してくれ、ここで麻痺や睡眠魔法、ドレインタッチを使うほど俺も無粋じゃない。……駄目か?」

 

懺悔するかの様に最後の願いを請う彼に対して、武人オッタルは同じ男としてそれを無視する事は出来なかった。

 

その目はとても嘘を吐いている様には見えなかったからだ。

 

だが、念の為我が主神に。

 

「…………フレイヤ様、今この男は…………」

 

「……嘘は言ってないわよ、信じ難いことにね」

 

「(カズマどういうつもりや?本気でここで殺されるつもりなんか?……ドレインタッチってあれやんな?吸い込む系の…その間にやられるよな?……いざとなったら神威で何とか……)」

 

「…………分かった。であるならば、俺も一人の漢として貴様の強さに敬意を払おう。…………お前は強かった、サトウカズマ」

 

正座で座り込むカズマに対して、その強さを讃え手を差し出してくるオッタル。

 

それを感極まりながら受け取り握り締め。

 

「ありがとうオッタル。──────『カースド・ペトリファクション』」

 

たった一言、凄まじい速さで呪文を紡いだ。

 

「!?き、きさ………………………」

 

「「!?」」

 

二柱が驚愕するのも無理はない。何故ならサトウカズマに触れた瞬間猛者オッタルが物言わぬ石像と化してしまったからだ。

 

そしてカズマ。

 

「ふふふ…フハハハハハハッ!!!!命乞いだと思った?残念、石化魔法でした!これで今度こそ俺の勝ちだな!!フレイヤ様!愛の逃避行と参りましょう!!」

 

「……ね、ねえカズマ?これオッタル元に戻るのかしら?」

 

「?そりゃブレイクスペルすれば戻りますけど……必要ないですよね?だってフレイヤ様には俺が居るんですから!さあ、俺と一緒にラブラブイチャイチャハーレム生活を満喫しましょう!テンション上がってきましたね!」

 

ベートの時の様に圧勝ではなかったものの、普通に都市最強を下してしまった理性倫理さようならカズマさんに対しロキとフレイヤは少し離れてヒソヒソと。

 

「……おいフレイヤ、これマジでやばいで。……神威パンチ打ったら治るんやろうな?」

 

「……治しましょう、流石にこのままじゃ本当に世界が滅びちゃいそうだもの。……あの子の輝きも薄れちゃいそうだし………」

 

「?あの子?」

 

「何でもないわ」

 

────サトウカズマは元に戻るのか?飲み会が無事終わるかはそれにかかっていますよフレイヤ様!!

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