この素晴らしいダンジョンにカズマさんを!   作:ぽーぴー

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繋ぎ回、息抜き回です。

次回こそは酒場編に突入したいです。


この落ち着く我が家にご帰還を!

さて、波瀾万丈なダンジョン探索から無事逃げ仰たこの俺佐藤カズマは今、愛しの我が家の目の前に居る。

 

……ベルを探しに行かないのかって?うん、行かない。てかアイツは多分ギルドだ。だから行かない。

 

初探索で5階層までくだっただけでも怒髪天なのに、その上ミノタウロスと鬼ごっこ、謎の高レベル(っぽい)冒険者二人に魔法行使後逃走、だなんて知られたらもうあの人(エイナさん)は別の何かに生まれ変わるぐらいブチギレると思う。だから行かない。怖いし。

 

……ベル!そっちは任せたぞ!!

 

『ふ、ふふふ……五階層?ミノタウロス?他の冒険者を庇って鬼ごっこ?………ベル君、ちょっと話そうか?』

『え、いえその…で、出来ればアイズ・ヴァレンシュタインさんの情報を』

『あ?』

『ひぃぃ!?ななななななんでもないですはい!お話ししましょうはい!!!!』

『うん良かった♪たくさんお話ししようね♪……来なさい』

『は、はいぃぃ……(カズマ!僕は信じてるよ!!君は仲間の危機を絶対見捨てないって!!待ってるからね!!来てね!!)』

 

ベル・クラネルは見捨てられた。

 

「ふぅ…よし、ただまー」

 

「おかりー。…あれ?カズマ君だけかい?」

 

扉を開けるとそこにはソファでだらけにだらけきってるニートロリ神の姿が。

 

「お前…いくらなんでも最近ヒキニートすぎだろ、ベルも若干呆れてたぞ」

 

昔の俺みたいだな……。

 

「!?ひ、ヒキニートって言うなぁ!こ、これはあれだよ、ソファをもふもふに魔改造してしまったカズマ君がいけないのさ!責任をとってくれたまえ!!」

 

「はいはい分かりましたよ最近体重が2、3キロ増えてそうなヘスティアさん」

 

「!?ふ、増えてないとも!適当なこと言わないでくれるかい!?そ、そもそも神は不変だ!その姿形が変わることなんて有りえないのさ!!つまりボクは太ってないし太らない!!」

 

えっ、マジか…そう言えばアクアも食っちゃ寝してたけど全然体型変わってなかったな……あれ?そうなるとエリス様って一生あのサイズって事に……。魔王を倒した時の報酬アクアじゃなくて『エリス様の胸を大きくしてください』にすれば良かったかな……ご愁傷様です、エリス様。

 

「それで話を戻すけど、どうしてカズマ君一人なんだい?今日はベル君と一緒にダンジョンの筈だろ?……ま、まさかベル君に何かあったのかい!?」

 

「あー、何かあったって言うか…これから何かがあるって言うか……今頃ミノタウロスより恐ろしい目に遭ってるんだろうなあ」

 

「み、ミノタウロス!?く、詳しく聞かせてくれるかい?」

 

「……ちょっと長くなるぞ?」

 

「構わないとも!」

 

それから俺はダンジョンで起こった事を全て話した。(二人の冒険者をおちょくった事は伏せて)

 

「…とまあ、こんな感じだな」

 

「なるほど…話はよく分かった、色々言いたい事はあるけどそれはベル君が帰ってきてからだね。……とにかくまず、君たちが無事でよかったよ」

 

安心した様に胸を撫で下ろすヘスティア。5階層に降りた辺りから頭を抑えて蹲ってたからな。

 

「……ま、助けてくれた謎の冒険者様に感謝だな」

 

やっぱ助けてくれたのに魔法行使は不味かっただろうか…と若干反省しながら振り返る。

 

「それにしてもベル君はどうして逃げ出したんだろう?よっぽど怖かったのかな?」

 

そこに関しては俺も疑問が残るところだ。何故あの状況で逃げ出したのだろうか、逃げ出す要素あったか?……そう言えばあいつ、ダンジョンに出会いを求めてるって言ってたような……。

 

「ま、まさかベルのやつ、助けてくれた金髪の女騎士に惚れたのか?」

 

「!?ど、どう言う事だい!?詳しく!」

 

「い、いや詳しくと言われても…逃げ出す時、あいつ顔真っ赤だったなって。……あれは恐怖に引き攣った顔じゃない、どちらかと言うと恋に落ちたかのような……」

 

思い返すとなんかもうそうとしか思えなくなって来た。

 

「!?み、認めない!認めないとも!!そんなことがあってたまるか!!」

 

「……現実を受け入れないと後で辛くなるのは自分だぞ?」

 

「うぐっ……だ、大体まだ確証なんてないじゃないか!恋愛経験なしのカズマ君に何が分かるって言うんだい!?」

 

こいつなんてこと言いやがる!?

 

「んなっ!?馬鹿にすんなよ!俺にだって恋愛経験の一つや二つ……!」

 

「あるのかい?」

 

…………。

 

「な、ないけど!まだちゃんと恋人とかは出来たことないけど!!れ、恋愛経験ぐらいはあるから!!」

 

「へーほーふーん?……具体的には?」

 

咄嗟に出た俺の言葉にヘスティアは、ニヤニヤとこちらを煽る様にそう聞いてきて……。

 

くそっ、このヒモ神舐めやがって!!上等だ!!

 

「前居た世界じゃ俺は魔王を倒した勇者様だ。それはそれはもうモテたもんさ、何せ世界を救った英雄様なんだからな!どこを歩いても『キャー!お金持ちのカズマさん!!結婚して素敵!!』とか『お金持ちのカズマさん!私を養ってー!!』とか『成金冒険者のカズマさん!最近羽振りが良いと噂の魔王すら倒したお金持ちの佐藤カズマさん!!好きです!!主にあなたの懐具合が!!』とか黄色い声援が絶えなかったからな!滅茶苦茶女の子に迫られたんだからな!お前みたいな処女神と違ってこっちは経験豊富なんだよ!!」

 

そんな彼の経験談に、ヘスティアはそれはもう心底可哀想なものを見る目で。

 

「…いやカズマ君、物凄く言い難いんだけどそれって君のお金に女性が集まっているだけじゃあ……」

 

「!?そ、そんなわけないだろ!?彼女達はそう、少しばかりお金が好きなだけで一番好きなのは俺のはずだから!だって英雄だよ?勇者だよ?世界を救ったんだよ?そらモテるだろ!!」

 

「…うん、そうだね……ごめんよ、ボクが悪かったね」

 

慈愛を帯びた目で俺の頭をヨシヨシと……。

 

「ってやめろ!人を可哀想な生き物扱いするんじゃねえ!!確かにあの女の人たちは俺のお金が目当てだったかもしれないが、俺には仲間以上恋人未満の黒髪美少女の仲間だって居るし!?俺をお兄様と呼んで慕ってくれる可愛い年下のお姫様だって居るんだからな!?モテてたって言うのは嘘じゃない!!」

 

俺のカミングアウトに、目を見開き体をワナワナと震わせる駄女神。

 

ふっ、これで分かったか?俺が如何に素晴らしい男かがな!!

 

「か、カズマ君……君はそんな妄想を真実だと錯覚するまでに可哀想な生活を……」

 

「妄想!?妄想だと!?ふざけんな妄想じゃねえし!?本当に居るんだよ俺をお兄様と慕って結婚してくださいって迫ってくる年下ロイヤル王女様が!!」

 

「……頭大丈夫かい?」

 

こ、こいつ……!

 

「上等じゃねえかこの駄女神が!スティールだ!俺のスティールを喰らわせてやる!!そんでオークションに出してやる!!三大なんたらの下着様だ!!さぞかし高く売れるんだろうな!!」

 

「!駄女神って言うなこの不敬者めぇ!!…それよりかかったなカズマ君!今のボクに君のスティールが効くと思うなよ!!」

 

「な、何だと!?……何しやがったヘスティア!!」

 

ま、まさか元なんたらの力を解放したのか……!?くそっ、手を回すのが早すぎる!!どうすれば……!?

 

「君のスティールはパンツを剥ぎ取る下衆スキル!!だったら話は簡単さ!!……元から履いてなければ剥げないだろう!?」

 

………えっ。

 

「つまりその、なんだ?……お前今履いてないの?ノーパンなの?」

 

「その通りだとも!ふははは!カズマ君策士ヘスティアに敗れたりっ!!」

 

意気揚々と宣言するヘスティアには俺の可哀想な子を見る目は見えていないのだろう。

 

……分かってたけどこいつ馬鹿だ。

 

「ああうん…分かったよ俺の負けでいいよごめんなヘスティア」

 

「おお!?カズマ君が負けを認めるだなんて……やったよベル君!やったよアルテミス!!ボク勝ったよ!!いぇい!!」

 

「はいはい負けた負けた。…それより早くパンツを履け、ベルが戻ってきてその状態とか正気保てるのか?」

 

「!?」

 

その言葉に「今気づいた!」と言わんばかりに驚愕するヘスティア。

 

…いやマジかよお前……。

 

「そ、それは…不味い!?ベル君に変態(カズマ君)だと思われる!?い、急いで着替えないと!!」

「おい人を変態のルビにするのやめろ失礼だろーが」

 

突然だが皆さんこんな経験はないだろうか?絶対に大丈夫だと思って自慢の息子を弄っていたのに、そう言う時に限って母親が部屋に入ってくる。

 

そんな経験が。

 

ガチャ。

 

「「!?」」

 

扉が開く音が聞こえる。

 

そして。

 

「ただいまー……あれ?ただいまー神様ー?」

 

ベル・クラネルが、帰ってきた。

 

カツカツと階段を降りてくる音が響き渡る。

 

「ままままま不味いぞヘスティア何とかしろ!もしバレたら何だかんだで俺の評価が激落ちするに決まってるんだ!」

 

「……………」

 

「………ヘスティア?ヘスティアさん?」

 

完全に硬直してしまったヘスティアさんの肩を持ち揺らすが、微動だにしない。

 

てか顔がどんどん赤くなって体温がとんでもないことに……。

 

……こいつまさか。

 

「あっ居た!ただいまです神様!……あとカズマも」

 

ベルのジト目が痛いです。……エイナさんにこってり絞られたんだろうなあ。

 

「お、おおおかえりベル!お疲れ様!!」

 

「…………………」

 

「おかえりじゃないよ!何で来てくれなかったの!?ミノタウロスに追い詰められた僕を助けに来てくれたカッコいいカズマはどこに行っちゃったの!?」

 

怖かったからです。エイナさんの方がミノタウロスよりよっぽど怖い。マジで。

 

「凄く大変だったんだからね!?……あれ、神様?」

 

ベルの視線が硬直したまま茹蛸みたいになってるヘスティアに移る。

 

………不味い。

 

「どうしたんですか神様!?顔真っ赤ですよ!!……うわっ、体もすごく熱い!?」

 

尋常ならざるヘスティアの様子に、ベルが彼女の両肩に手をやり、その熱さに思わず手を離す。

 

そんな急接近、今の紙防御力(ノーパン)神ヘスティアに耐えられるわけもなく。

 

「………………きゅう」

 

目をぐるぐるさせながら気絶した。

 

「え?えええぇぇぇぇぇええぇぇぇぇえぇぇっ!?!?!?!?神様!?どうしたんですか!?またカズマに何かやられたんですか!?」

 

「おい待て!待ってくれよ!!いや合ってる!結果的には確かに合ってるんだけどさ!!またってなんだよまたって!!」 

 

「今度は何したの!?ま、まさか……またスティールを!?」

 

「違いますけど!?こいつが俺のスティールに対策しようとして勝手に自爆しただけですけど!?」  

 

「スティール対策!?…………………えっ、て事は今の神様ってもしかしてノー……」

 

「それ以上いけない!」

 

ヘスティア・ファミリアは今日もまた騒がしかった。




「何やら嫌な予感が……」
「どうしたの?リュー」

次回、このポンコツエルフと決闘を!
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