望まぬ知恵の王 ~冒険者に憧れた蟲がやがて魔城の主と呼ばれるまで~   作:SIS

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第百二十七話 黒の槍

 

 大爆発に見舞われた、7層最奥のフロアガーディアンの部屋……ならぬ、執行者の処刑場。空間変容こそ収まったが、その中央部で起きた爆発により巨大なクレーターが出来、部屋は罅割れて崩壊寸前だった。

 

 破壊された岩壁が崩れ落ち、あちこちに小山の如く積み上がっている。

 

 そのうちの一つが、ガラガラと音を立てて崩れた。

 

 もうもうと立つ土煙。その中から、小さな人影がひょっこりと顔を出した。

 

「……死ぬかと思った」

 

 ヌルスである。

 

 彼女は体に纏わりつく千切れた触手とべったりと大量に張り付いた血にうっとおしそうにしながらも、左肩に突き刺さったままの棘に手をかけた。

 

 傷口を広げないよう慎重に、ずっ、と棘をまっすぐ引き抜き、地面に投げ捨てる。あとには血を流す傷口が残るが、うにょうにょと生えてきた触手がそれを埋める。数秒後には、貫通痕はそれと分からないように復元されていた。見た目を取り繕っただけだが、出血を抑えられるだけでも大分違う。

 

 再生の様子を確かめ、ヌルスはふぅ、と安堵の息を吐く。続けて顔に張り付いた前髪をすくいあげるように後ろへとはらった。

 

 途端、体に纏わりつく触手や血は灰になって舞い散り、あとにはボロボロの恰好のヌルスだけが残される。ちりーん、と音を立てて小さな結晶が床に落ちた。

 

「ああ、勿体ない」

 

 それを目敏く見咎めると拾い上げて口に含む。

 

 ぐぎゅるるる、と腹の虫が鳴り、ヌルスはコロコロと結晶を口の中で転がしながら周囲を見渡した。

 

 爆発の瞬間、触手を出せるだけ出してクッションにしたおかげで、なんとかアルテイシアの体は守れた。だが後先考えずに放出したせいで、外套も服もぼろぼろで、もう衣服の形を成していない。下着の上にボロ布を巻き付けている、といった方がいいあり様だ。それに加え、大量の魔力を消費した事で空腹も極限に達している。二重の意味で、このまま迷宮には戻れない。

 

 なので、今しがた倒した巨大ボスの残した魔力結晶を探しているのだが……。

 

「……ないな」

 

 見渡す限り、目に入ってくるのは転がる瓦礫の山とクレーターだけだ。そもそも考えてみればボスは爆発以前に、最初に空いた空間の穴のようなものに吸い込まれるようにして消失していた。仮に魔力結晶が発生していてもその後の爆発に消し飛ばされてしまったのかもしれない。

 

 あれだけの強敵を撃破したにも関わらず戦利品がないというのは実にショックだ。

 

「……」

 

 しかし、あの爆発……否、空間の穴はなんだったのだろうか。

 

 これまで歪みの魔術を使った際、確かに異常な現象は起きていたがあんなのは初めてだ。そもそも、切り離した触手翼の使える魔術は、本体が唱えるより劣化しているもののはず。だが、結果として空間が捩じれるを通り越して穴が開いた、というのは上位の現象のように思える。

 

 いや、とヌルスは首を振った。

 

 穴が開いてしまったのなら、何もかも吸い込まれて終わりで爆発など起きなかったはずだ。

 

 正しい解釈は極小の一点に向けて空間が圧縮された、という事だろう、と彼女は解釈する。もしヌルスが現代物理学についての造詣がある程度あれば、“ブラックホール”に例えたかもしれない。

 

 どちらにしろ、これまでに無かった事だ。

 

「……違うのは、同時に唱えた事だが……」

 

 しかし、複数の術を同時に唱えたからと魔術がパワーアップした、なんて現象は聞いた事がない。確かに、炎の魔術を一点集中させる事で破壊力がアップしたりする事はあるが、それはあくまで物理的な干渉力が上昇するというだけの話だ。魔術の質そのものが上昇する訳ではない。

 

 アルテイシア達と長い間行動を共にした上での結論だ。それは断言できる。

 

 では、今しがたの現象は一体?

 

「考えてもらちが明かない。一旦、この事は棚上げにしよう。……とりあえず、今後歪みの魔術の同時発動は控えるようにしよう。毎回こんなんじゃ身が持たない」

 

 今回は戦場が特別広かったので助かっただけで、普通のフロアガーディアン戦の広間だったら逃げ場もなく吸い込まれるか爆死だった。

 

 歪みの魔術は今後使わずにはいられないとしても、複数同時発動だけは絶対にさけるべき、と彼女は固く心に誓った。

 

 それはそれとして、本当に何も戦利品はないのだろうか。

 

 そもそも、ボスを倒したのだから転移陣が使えるはずなのに、そういうのも見当たらない。まさか爆発でそっちも壊れてしまったのか。

 

 きょろきょろしながら、ヌルスはゆっくりとクレーターに近づく。流石にボスが生きているとは思えないが、何が起きるかわからないと慎重に底を覗き込む。

 

 クレーターは綺麗な半円をしていた。硬いはずの岩盤が、高熱と圧力によって見事にくり抜かれている。その熱源の大半が魔力であったせいか、今はさほど熱くはないようだが、それでも空気がまだ揺らいでいるのがわかる。

 

 いや、これは本当に熱によるものなのか。原因が原因なのではっきりとしない。

 

 と。

 

「? 何かある?」

 

 見下ろした先、クレーターの真ん中に、黒い靄のようなものが漂っている。焦げた何かが転がっている訳ではない。

 

 こういう時は魔眼の出番だ。片目を閉じて意識を集中させると、ぼんやりと魔力の流れが浮かび上がる。その視界で映るものに、ヌルスは思わず息をのんだ。

 

 まだ大量の魔力が漂っているクレーター周辺。その中心部、黒い靄は凄まじいまでの魔力が集まっている。基本的に光る点や流星のような線に見える魔力が、光の柱の様だ。

 

 間違いなく何かある。

 

 ヌルスはごくり、と息を飲み、意を決して縁を乗り越えた。そのまま、足を踏み外さないように慎重に底へと降りていく。

 

 内部はやはりというべきか、むわりと熱気が立ち込めている。汗をかく程ではないが、肌に纏わりついてくるような熱気を払って、ついに彼女はクレーターの底へと到達した。

 

「なんだこれ」

 

 クレーターの中央、歪みの力の爆心地に、黒い……ひたすら黒い棒のようなものが突き立っている。よくよくみると、それは先端に刃のようなものがあって、それが地面に突き刺さっているらしい。見た目の雰囲気は地竜の牙槍にとてもよく似ているが、あくまで生物の一部だったあれと違って、これは持ち手などが整えられていて道具らしさがある。

 

「デカブツのドロップ?」

 

 半信半疑でおっかなびっくり手を伸ばして槍を手に取る。見た目の印象に反して槍は非常に軽く、力を入れる事なく引き抜く事が出来た。ひゅんひゅん、と手の中で回転させて石突を地面に突き立てて構えてみる。

 

 先端の刃は、床に刺さっていたので分からなかったが、斧のような形状で割と大型だ。その反対側には小さな鎌のようなピックが突き出している。槍の穂先は、何やら紫色の魔力結晶で出来ていた。

 

 構造的には槍というよりハルバードだろうか。だが一体何で出来ているのか、羽のように異常に軽い。ヌルスが融合したアルテイシアの体が怪力だからとかじゃなくて、本当に軽い。もしかすると、同じ体積の羽毛より軽いのではないだろうか。

 

 それでいて異常に頑丈だ。ヌルスが石突をクレーターの底に思い切り突き刺してみると、ガリッと尖った先端が地面を割った。このクレーター、もともと凄まじく頑丈な迷宮の内壁が超高熱と超圧力で融解したものなので、尋常ではない強度があるはず。なのにこの槍、曲がりもしなりもせず、力任せに突き刺してもびくともしない。

 

 マンティコア戦で失った金属の杖、あれと同じく摩訶不思議物質で出来ているらしい。

 

「デザインからして、ドロップ品……だよなあ。いや、でもあの大爆発の中心にあって、無傷なのはおかしいだろ? 歪みの力だぞ? 物理的強度は関係ないんだぞ?」

 

 実際、あの金属杖もワープボルトの自爆に巻き込まれて破損した訳だし。

 

 品定めをしつつ、うーんと首をひねるヌルス。

 

 気になると言えば、先端の触媒も気になる。もしかして魔術に使えるのだろうか。

 

 軽く力を入れて、先っちょが取り外せないか試してみる。が、揺らしても回そうとしてもびくともしない。がっちり接着されてしまっているようだ。

 

 魔力触媒というのは基本的に使い捨てだ。何度も使っているとそのうち濁り、効果が無くなってしまう。そうなるとただのゴミ、石ころと一緒だ。なので基本的に触媒は交換可能になっているものだが、これはそうではないらしい。

 

 まあ、迷宮の産物が人間側の事情を考慮してくれる方がおかしいのだが……。

 

「歪みの魔術専用の杖、って事か?」

 

 なんていうか、人間の魔術師が聞いたら憤死しそうな代物だな、とヌルスは思った。

 

 ぽんぽん使っているが、本来まともに使えないからこそ歪みの魔術なのである。もしかすると、この手のレアドロップは倒された時の状況に影響を受けるのだろうか、と彼女はぼんやり考えた。

 

 まあたった2例で、どちらも普通に考えてあり得ないイレギュラーケースである。考察に使えそうな実例ではない。

 

「いいや、単純に武器があるのは有難い。あとは、そうだな。……これからどうしようかなあ」

 

 槍についての考察をそこで打ち切ると、ヌルスはクレーターの底から地上に上がった。

 

 相変わらずの瓦礫の山に、途方に暮れる。

 

 普通なら、フロアガーディアンを倒すと転移陣が使えるようになり、次のフロアにいける。が、なんだかボスらしき巨大魔物を倒したにも関わらず、それらしき反応が見られない。

 

 いや、あの大爆発だ。部屋も派手に崩壊してるし、もしかすると転移陣も巻き込まれて吹っ飛んでしまったのかもしれない。

 

「そうなったら完全に詰みだぞ……? どうしよう……」

 

 槍に縋りつくようにして、その場にしゃがみ込むヌルス。もう立っているのも心情的にも肉体的にもとてもつらい。目にうっすら涙すら浮かんできた。

 

「もしかしてずっとここにこのまま……? 人間みたいに飢え死にはしないけど……いやするか今の私は……ぐすん。どうしよう、困ったよう……」

 

 ぐるるる、と再び鳴り出したお腹の音を聞きながら、幼女のようにぐずるヌルス。

 

 激闘での疲弊、経験の無い異常な状態、先行きの見通しの無さに、彼女はすっかりまいっていた。そもそも、本来なら部屋で引き籠ってるような精神状態で、無理やりここまで前進してきたのだ。強敵撃破というひと段落ついたタイミングで、押し込めてきたものが噴出してきてどうにも自分では抑えられない。

 

「ひもじい……ひもじいのは哀しい……つらい……」

 

 まあ、空腹の辛さが八割ぐらいのようではあるが。

 

 と。

 

 不意に代り映えしなかった部屋に、変化が現れた。

 

 爆発の影響が比較的少なかった天井。その一角がもごもごと蠢くと、にゅるにゅると床に向かって伸び始めた。

 

 遅れて気が付いたヌルス。茫然と見上げる彼女の目の前に、天井から肉のホースが伸びてきた。

 

「…………?」

 

 ぼけっとそれを見つめるヌルス。見つめる彼女の目の前で、肉のホースはくぱぁ、と誘うようにその入り口を開いてぶら下がった。

 

 この妙な代物には覚えがある。確か、ここに来るときも似たようなものを通ってきた。

 

「もしかして……これで上に上がれるのか?」

 

 だったら善は急げだ。ヌルスは忘れ物がないか、周囲を素早く見渡す。

 

「いや、そもそも無くすような物はなかったか」

 

 これまで、フロアガーディアンと戦う度にいろんなものをばら撒いてきたので習慣になっていたが、今のヌルスはな無くすような物は殆どない。取り落とした杖も、この瓦礫の山の中から探すのは現実的ではないし、そもそも落とした後の吸引と大爆発で消し飛んでしまっただろう。

 

 なので、荷物と言えるようなものは今手にしている槍ぐらいのものだ。

 

「……まあ、いっか」

 

 少しだけ、短い付き合いに終わった杖への未練を感じつつも、ヌルスは肉のホースに身を預けた。中で切ってしまわないように、槍を逆さに持って潜り込む。

 

 すると、肉筒はふにゅんと入口を閉じて、ヌルスを含んだまま上昇を始めた。そのままどんどん高さを上げて天井に到達すると、べろりん、と裏返るようにしてヌルスを吐き出した。

 

「おっとと」

 

 吐き出された勢いでつんのめるヌルス。一方、荷物を運び終えた肉のホースはそのまま床と一体化し、完全に分からなくなってしまった。

 

「ここは……降りてきたのと同じ場所か」

 

 周囲を見渡すと、見覚えのある小部屋。終点のフロアガーディアン部屋らしき広間だ。1時間も経っていないはずなのに、随分懐かしい気がする。

 

 ここから、部屋の中央に空いた穴を通ってボス部屋にいった訳だが、今は床にそれらしきものは見えない。あのボス部屋に再び訪れる事はできないのだろう。

 

 そんな風に周囲を観察していた彼女を、不意に青い光が照らした。

 

「え……」

 

 顔を上げる。

 

 小部屋の奥の壁に、転移陣の青い光が輝いていた。

 

「え、なんで??」

 

 普通に困惑するヌルス。この小部屋に転移陣の影も形もなかったからこそ、彼女は怪しげな肉穴を通って地竜と戦う羽目になったのだ。転移陣の魔力だってそっちから感じた。

 

 なのに、どうしてこっちで転移陣が出てくるのか。

 

 怪しげだし妙な雰囲気ではあるが……。

 

「まあいっか、転移陣が使えるならどうでも」

 

 考察する為の情報が少なすぎる。現状考えても妄想にしかならないとすっぱり考えるのをやめたヌルスは、それよりも今後について考える事にした。

 

 転移陣の先には、言うまでもなく8層が広がっているはずだ。それはつまり、より厳しい環境が待ち受けているという事である。迂闊に先に進まず、一度7層で体勢を整えるのも選択肢としてはありだ。焦ってもロクな事にはならない。

 

 しかし、とヌルスは自分自身の恰好を見下ろした。

 

「恰好がなあ……」

 

 地竜との戦いで、彼女の装備はボロボロになってしまった。こうして肌がむき出しだと、触手を展開すると丸見えである。これまでは外套の下にこっそり展開する事で人前でも魔術が仕えたが、この恰好ではそうもいかない。

 

「それにアルテイシアに悪いしなあ……」

 

 ほとんど下着にボロ布を巻き付けているだけの恰好は、露出魔と言われても言い返せない。そもそもアルテイシアはもともとスタイルの整った美女なので、余計に悪目立ちする。人間、それも女というのは、肌……正確には大腿部とか鼠径部とか胸部を見られたり触れられたりする事を嫌うらしい、という事はなんとなくヌルスもアルテイシアに殴られたので知っている。

 

 よっぽどの弱点なのだろう、というのが彼女の解釈だ。

 

 一応、ヴィヴィアンという別人を名乗っているとはいえ、それが何かの慰めになる訳でもない。それにそんな急所を平然と晒していたら、人間達に怪しまれる可能性もある。

 

 今現在、7層には少数ではあるが冒険者の進出を確認している。引き返すと彼らの目に留まる可能性が高い。

 

 対して、8層はどうだ。

 

 こちらは、冒険者はいないであろう、という事はほぼ断言できる。あのボスの突破が不可能だからだ。

 

 思い上がりでもなんでもなく、あのボスは異常だった。ヌルスが持ちうる手を全て尽くしても、戦闘開始時に用意していた札では到底届かなかった。勝利できたのは、触手翼というヌルス自身の犠牲によるものだ。あれを人間換算したら、5人死んでいる事になる。

 

 そもそも、歪みの火力の異常火力だから打倒しえたのであって、まっとうな魔術、武器であれの命に届くかというとどう考えても不可能だ。極端な話、指先足先を何百回何万回叩いても、無茶苦茶痛いだけで命は奪えないのである。

 

 多分。

 

 なので、人の視線を避けるなら前に進む方が良い。知り合いがあの化け物に挑むような事があったら心配ではあるが、他人の心配よりまずアルテイシアの心配が先だ。

 

「まあ、転移陣近辺は一応セーフエリアだしな。フロアガーディアンの部屋の周囲でうろうろするよりは安全か……よし」

 

 方針は決まった。

 

 ヌルスはつかつかと転移陣に近づき、その表面に触れた。

 

 青い光が彼女を包み込み、意識が真っ白に漂白される。

 

 

 

 

 

 いつも通りの転移の間隔。

 

 やがてはっきりと感触が戻ってきて目を開いた彼女は、目の前の光景に驚愕するよりも、押し寄せる濃厚な魔力の気配に顔を抑えた。

 

「うぷっ!?」

 

 むせかえるような高濃度の魔力。晴れの日ほどではないが、人間であれば体調を崩しかねないほどのそれを無防備な状態で浴びせられて、一瞬吐き気すら覚える。

 

 それは一時の事。ややあって高濃度魔力に慣れたヌルスは、おちついて周囲を確認し、その有様に文字通り言葉を失った。

 

「…………」

 

 ぽかんと口を半開きにして風景に見入るヌルス。

 

 足元、目の前、壁らしきもの、通路。その全てが七色の光を帯びた透明な水晶のようなもので構築されている。みれば壁らしきものはなく、漆黒の闇の中に立体的な回廊のように水晶の足場が広がり、遠くには空中に浮いているとしか思えないような足場も見えた。

 

 どうやら、広いドーム状の空間に、この水晶が足場として広がっているのが8層の構造らしい。この造りそのものは不思議ではない、3層や4層も似たような構造だった。

 

 物理法則に反しているのは今更の事。

 

 彼女が言葉を失ったのは、この足場を構成している水晶の方だ。

 

 しゃがみこんで、水晶の表面に触れる。指先には、冷たくも暖かくもない硬質な感触が返ってくる。かんかん、と指先で叩いてみて、ヌルスはやはり、と呻くように呟いた。

 

「まさか、これ。全部……魔力結晶!?」

 

 顔を上げて、8層を見渡す。

 

 最深部一歩手前だけあって、どこまで伸びているか分からない程広い足場。その全てが、複数の属性を内包した純度の高い魔力結晶。

 

 一体どれだけ膨大な魔力がこの階層に集まっているのか、その途方も無さにヌルスは息をのんだ。

 

「おかしい。世間知らずの私でも分かる、絶対におかしいぞこれ。こんな事はあり得ない。……この迷宮は、一体……?!」

 

 

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