一週間後……
シンシアのISの修復が完了したらしく今日の放課後試合を行うことになった。
この一週間はISは練習以外で動かさず、殆どはバンシィと心を通わせるようにしていた。ISのコアには人格が存在し、その人格と触れ合うことによってより強くなれる。このバンシィのコア人格は金髪の軍人の男性、ユニコーンのコアは黒髪の青年、フェネクスのコアには金髪の少女の意思が存在している。『RXー0』は人の意思を増幅させるマシーンなので特にコアとの対話が重要になってくる。
「一夏さん!一緒に昼食を食べましょう!」
………変わったことと言えばシンシアが一夏さんにデレたことだ。私が言えませんがチョロすぎでしょう……。
「………照合なし……やっぱりね。うん、海老おいしい。」
本音さんは天ぷらそばを食べながらパソコンで何かを打ち込んでいた。そして海老天を食べ終わった頃にパソコンを閉じた。
「何かわかったの?本音。」
「うん、おりむーの専用機のついてちょっとね……」
確かあれはGNドライヴ……一度同じものをスラスターに使用している篠ノ之さんの『サキガケ』と模擬戦を行ったが既存の最新機と比較してもエネルギーが段違いに多い、そして一夏さんの『ダブルオー』よりも粒子の生成量は少ないがその分安定した取り回しが可能となっていた。
「結果から言うとあのISの装甲はこの世にまだ存在しない材料………カーボンを改良した何かだね。それにあのスラスターから放たれる微弱な粒子が全身を囲んでいるから恐らく完全にあの二つのスラスターが完全に同調、安定して供給が可能になると第三世代程度だったら傷一つつけることができないね。で……あの赤いモード、あれはセシリアの言ったとおりあの状態ではデストロイモード並の機動力あるねー。私の見立てだとあれは『一時的な粒子製造量を数倍にするけど終わるとエネルギー切れ一直線』と考えてるよ。」
ふむ…本音さんも同じ考えですか…
あら?
「失礼するぞ」
織斑先生が昼飯を持ってこちらにやってきた、この人が自分から来るときは大概面倒事が存在している時だ。
「どうかなさいましたか?」
「観戦禁止を解除した、もうデストロイモードを世間に公表していいぞ。」
「は?」
まあ私ももうこそこそ隠れてデストロイモードを使うくらいなら堂々と世間に公表したほうがいいだろう、装甲とフレームさえ解析されなければそれで良い。
プルルル……プルルル……
あら……電話…おば様からですわね…
おば様というのは簪さんと刀奈さんのお母さんのことである。主に衣類などを扱うプロであり、私達の『RXー0』の特注スーツも製作してくれていた。
「もしもし、セシリアですわ。」
『セシリアちゃん、ISスーツの改良型出来たから試してほしいな。旦那と共同で糸状にしたサイコフレームも裏生地に仕込んだわ、勿論今までの薬理軽減もそのまま、デストロイモードの運用をより効率的にしたスーツだよ。刀奈に持たせてあるから受け取って。』
「わかりました。ありがとうございます。」
『もっと要望があれば言ってね、やれる限りのことはするからさ。』
「はい。」
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放課後
ピット
あら?メール……、簪さんからですかね?
そう考えてバンシィの腕部分だけを解除し、ピットに放置していた携帯を開くとやはり簪さんからのメールであった。
from unicorn. [email protected]
TO banshee. [email protected]
件名 勝利条件
1 ノーダメージ
2 相手に全ての行動を取らせる
3 相手の全ての戦略を潰す
頑張ってね、あとあの天災様が来ているから、装甲を解析されると面倒なことになる。だから最悪デストロイモード発動してでも装甲は破壊されないでね。
あの天災……篠ノ之束がここに……、大方妹さんのサキガケと一夏さんのダブルオーの調整だろう。
……おっと、試合開始まで残り一分ですか……とりあえず武装はスマートガンとネイルとマグナムとサーベルでいいですわね。
「セシリア・オルコット、バンシィ!行きますわ!」
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───セシリア・オルコット……私は彼女が非常に腹立たしい。
突如イギリス代表候補を辞退したかと思えば見たこともない漆黒の機体『バンシィ』を駆り、再び私の前に現れた。
彼女は若くしてオルコット家の当主として活動しており更に一年半前にどういうわけかイギリス国立美術館の館長となり、そちらの方面でも名を上げている。そしてISの適性検査でもいつも私が三位、彼女が一位という結果であった。それに彼女のISに乗る目的を聞いたところ『亡き父と母の残した遺産を金の亡者から守るため』と言う非常に立派な目的を持っていた。対して私の目的はなんだ?『男を見下す』?『強くなる』?彼女の目的に比べたらちっぽけなものだ。
そして久々に会った彼女は私の想像以上に大人になっていた、男を見下し、さらに日本という国まで見下し、口論になった私と一夏さんを止め、更に100%の正論で私を咎めた。そしてヤケになって決闘を挑んだはいいが担任のブリュンヒルデ──織斑千冬先生の出した言葉『こいつは専用機を使えば全盛期の私かそれ以上の強さを誇る』……。彼女自身の強さもあるが私が一番憎たらしかったのは彼女の専用機『バンシィ』が彼女の父親という『男』が作った機体だと言うことだった。私の父は常に誰かにペコペコしており見るに絶えず、『あんな男とは結婚しない』と幼い頃から決めていた。それに比べて彼女の父親はどうだろうか?噂によるとこの社会に屈さず、最愛の娘にも会えない苦痛を耐え、娘の為に専用機を作り、それを与えた。なら私の父親とは一体なんだったのだろうか?
…………今わかった……この腹立たしさの原因は……
プルルル……プルルル……
あら……電話……?
「もしもし、マクドウェルですわ。」
『シンシア、今から模擬戦だそうだな?しかも相手はあの裏切り者のオルコット……』
「はい…」
『必ず勝て、そもそも三位のお前が代表候補になれているのも儂の口添えがあったからこそなんだぞ。負けたら…』
「っ……!わかってますわ、勝ちます。」
そう言って電話を切った。負ける訳にはいかない……、もうあんな汚い男とあのような行為はしたくない……
私は、開かれたピットから出撃した。
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漆黒の一角獣と蒼白の騎士がアリーナに並んだ。ただバンシィの操縦者───バイザーで目を隠したセシリア・オルコットは余裕を持っているのに対してブルー・ティアーズの操縦者────シンシア・マクドウェルは焦りが表情に出ている。
「大丈夫ですか?汗と動悸が少々激しいようですが?」
「黙りなさい!ティアーズ!」
シンシアはセシリアの心配を振り払うようにブルー・ティアーズをセシリアの死角に向かって発射した。だがセシリアは自分を狙うビットが飛んできているのにも関わらず微動だにしなかった。
貰った!とシンシアが確信し、ビットを死角まで持って行った瞬間、試合が動いた。
セシリアは右腕に装備された超大型レールガン『アームドアーマーBS』を発射形態に移行、軽く凪払うように発射した。
「っ!ティアーズが!?」
セシリアの放った極太の雷はブルー・ティアーズの四機のうち一機を破壊、そしてもう一機が放ったレーザーはビームコーティングが施されている左手の武装『アームドアーマーVN』の表面で簡単に防いだ。
『セシリア……』
簡単にビットをいなしていたセシリアのISに簪からのプライベートチャンネルが入った。
「どうしましたの?簪さん。」
『本音がイギリスのIS委員会のデータベースに攻撃を掛けて手に入れたデータなんだけど、どうやらその子を味方に付けるとあそこを根本から破壊できる可能性が「簪さん、私はあの子が悩んでいるのならそんな事情を抜きに助けます。では。」
セシリアはプライベートチャンネルを切り、再び戦闘を再開した。
「………バンシィ!!」
NT-D
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シンシアは必死だった、この『バンシィ』は人の感応を増幅させるマシーンなので元々あったそれがさらに増幅されている。今のシンシアからは焦りと恐怖が手に取るようにわかる。
「っ!当たれ!当たりなさい!」
普段のシンシアならもっと落ち着き、確実に一撃を決めにいくタイプな筈だが今のシンシアはとりあえず乱射しているだけである、ビットの動きも典型的になっており非常に読みやすい。
『セシリア……』
あら……簪さん?
「どうかなさいましたか?簪さん。」
「本音がイギリスのIS委員会のデータベースに攻撃を掛けて手に入れたデータなんだけど、どうやらその子を味方に付けるとあそこを根本から破壊できる可能性が
IS委員会イギリス支部………『バンシィ』を奪うため……金の為に私からお父様を奪った奴ら……、私は更織家の力を借りてその件で脅迫し脱退しているが……
そういえば半年程前に適性二位の友人と話していたが彼女は選ばれず、三位のシンシアが選ばれた、そこで『シンシアが審査員の重役の男と寝た』という噂が立った。
……悪い言い方だがマクドウェル家は代々中企業を経営しているが最近は傾いてきているらしい、そこで娘である私が代表候補になれば広告として使える。あの子は頭のいい子だからそう考えるかもしれない。それらを踏まえるとあながち嘘でもない。
──私はどんな事情であれ彼女を救ってみせる。あの子も形は違うがISの被害者だ。このままではきっともうあんな腐った集団の犠牲者は出したくない。
「簪さん、私はあの子が悩んでいるのならそんな事情を抜きに助けます。では。」
……まずは彼女の痛みを知らないと………そのためにコア人格と何度と何度も練習を重ねた。
バンシィ、あなたはただISを『破壊』するだけのマシーンではありません、人の心を、哀しさを感じ、その哀しみを『破壊』するもの………あなたにもそれがわかるはず………
バンシィ!行きますわよ!
NT-D
漆黒の一角獣は主の命令により黄金の黒獅子に変化を始めた。
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千冬side
あいつ…手加減しろとあれほど……
『舐めてますの!?』
マクドウェルは完全に腹が立っている、そもそもあの状態のセシリアにはビーム攻撃が当たりすらしない。
『そんな!?』
ふむ……やはりあのビームの歪曲現状…あれが発動した以上ビーム兵器を主体とするマクドウェルに勝ち目がないな。
私の考えをよそにバンシィは形を変え、足の膝部分のパーツや、脚部の装甲が展開、更に腕部のパーツもスライドした。よく見るとISスーツも学校指定の水着のようになっており、肩の部分が外れ、胸元の部分に存在する繊維状のサイコフレームも露出、そして目を覆っていたバイザーが横にスライド、セシリアの目が現れ、最後に頭部の一本角がV字型に割れた。
「千冬姉!!セシリアは……!まさか……」
私の近くに弟である一夏が走ってきた。
そういえば一夏はあいつらに助けられていたな…、恩人がまさか同じクラスにいるとは思いもしなかっただろう。
「学校では織斑先生だ、………ああ、セシリアは……ドイツでお前を救った奴らのうちの1人だ。」
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「近寄るな……!近寄るなぁぁぁぁぁ!!」
セシリアがデストロイモードを発動してからは最早虐殺ともとれる一方的な試合展開であった。シンシアの放つレーザーはバンシィの周りの謎の力場により全て歪曲、頼みの綱であった唯一の実弾兵器であるミサイルビットも頭部のバルカン砲で近づく前に簡単に破壊された。
(終わりにしましょう……)
セシリアは自らに纏わせていたサイコ・フィールドをドーム状に展開した。その瞬間、シンシアの操作しているブルー・ティアーズの行動が完全に空中で停止した。
「ティアーズ!動きなさい!」
シンシアは驚いた、それもそのはずである。数秒前までは自分の意志で動いていたブルー・ティアーズが全く動かなくなっていたのだから。
「ティアーズ!言うことを聞きなさい!」
「…………」
セシリアは手を前に出し、シンシアを握り潰すように手を握った、その瞬間、ブルー・ティアーズの砲門がシンシアの方に照準を向け、一斉に発射を始めた。
「ティアーズ!私がわかりませんの!?相手はあちらですわ!………まさか……」
一番簡単な結論に至った。
乗っ取られたのだ、現在ブルー・ティアーズはセシリアの制御下にある、そんなことを考えているとセシリアがビームサーベルを展開し、シンシアに突撃を開始した。
「っ!」
イギリス以外ではBT兵器を殆ど開発していないためシンシアは対BT兵器の実習を受けたことがない、更にセシリアは自分の弱点である『ティアーズ使用中は動けない』という弱点を完全にないものとしておりこちらがジャックされたティアーズに戸惑っている間に高速でこちらに詰め寄ってきた。
「近寄るなぁぁぁぁぁ!!!………え?」
スターライトmkⅢを構え発射した瞬間突如セシリアが目の前から消え、その約一秒後にはスターライトmkⅢを細切れにし、ビームサーベルで今にも自分を切り裂こうとしているセシリアがいた。
「化け物…………!なっ!?」
「」
その後セシリアはシンシアに傷をつけない程度にブルー・ティアーズの腕部パーツと脚部パーツを破壊、そして吹き飛ばされたシンシアの腹部に対し自分の操作していたティアーズのレーザーを使わずにそのまま先端部を押し付け加速、凄まじい速度で壁に打ちつけ、ビームトンファーを展開、トドメを差すために突撃した。
『オルコット!試合を中断しろ!』
「おっと……」
セシリアはトンファーを横に向け、その流れで落下寸前のシンシアと抱き止め、そのままピットへ向かった。
「オルコット……私はあなたに……」
「嫉妬していた……」
そう言ってシンシアは気を失った。
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医務室
────負けた、それも傷一つ付けることができずに完敗した。
心のどこかで自分は強いと思いこんでいた、本来ならば二位のあの人がここにいるはずなのだ、なのに私は卑怯な手を使ってここにいる。
「私はここにいていいのでしょうか……?」
ぽつりとそのようなことを呟いた、でも私がここにいないとマクドウェル家は……、ただ専用機もこのざまだ、国に報告すると間違いなく代表候補から下ろされ、私の居場所はなくなってしまう……、最悪退学に……。
嫌……嫌だ……せっかく一夏さんとも出会えたのにこんな所で終わってしまうなんて……
コンコン
ノック……誰でしょうね……
「はい…」
「セシリアですわ、大丈夫ですか?申し訳ありません。」
そこには先程私を完膚なきまでに叩きのめしたセシリア・オルコットとそのメイドであるチェルシーが入ってきた。
なぜか不思議と前までの嫌悪感を感じなかった。それよりも純粋に知りたい……オルコットの強さがどこから来ているのか……改めて何のために戦っているのかを……
「なぜ……あなたはそんなに強いの……?あなたの空白の一年半の間に何があったの…?」
「………そうですわね…あなたには話しておきましょう。
……一年半前の美術館襲撃事件…知っていますか?」
─────美術館襲撃事件……最強のISが存在するとの噂を聞き、複数人の女がイギリス国立美術館を襲撃し、そのISを手に入れようとした。
だがその最強のISとやらは存在せず、発狂した1人の女が館長と同行していた女を殺した事件だったはず……
少なくともIS委員会からはそう聞いている。
「知っていますわ……」
「そう…その美術館襲撃事件で私は…」
まさか…でもオルコットは美術館の館長でもある。
「その女達によって目の前で父が殺されました。」
………え?
「そして有耶無耶になったあなた達の言っている最強のIS───このバンシィを父の死に際に受け取り、父の墓前に誓いました『復讐』を。」
なんということだろう……オルコットがそこまで重い業を背負っていたなんて……、私なんかが勝てなくて当然だ、
「私も初めは父のことを『勝手に家を捨てて逃げたクソ野郎』と思っていました、ですが父は優しかった、ふと…昔のことを思い出しましてね……」
プルルル……プルルル……
「あら、チェルシー、繋がりましたのね?」
「ええ、失礼します。」
そういってチェルシーさんが部屋から出て行った、思えばメイドが辞めたのも五年前ですね……
「さて…私のことは話しましたわ、私にもあなたのことを聞かせて下さいませ。」
────この人なら信頼出来る……私も覚悟を決めよう。
「私は…」
そして過去のことを話し始めた、自分の父が情けなかったこと、そして会社が倒産寸前であること、…………代表候補になるために身体を売ったこと……、全てを話した、全て話し終わる頃には少し涙声になっていた、マクドウェル家の次期当主として泣いてはいけないというのに……
「あなたも辛かったのですね……どうぞ好きなだけ泣いてください……私がいますから……」
「でも…マクドウェル家の次期当主として……泣いてはいけない……」
「………『何があっても泣かないなんてヤツを、俺は信用しない』……私の父の言葉ですわ、泣きたいときには泣きましょう、そうしないと自分の中の責任感に押しつぶされてしまいますわ。」
その言葉をきいた私はセシリアに抱きしめられながら大泣きしてしまった。
この人はなんて優しいのだろう、暴言を吐いた私を許し、そしてなだめてくれる。
数分後……
「お嬢様、商談成立しました、向こうの当主の方と代わりますわ。」
「ええ、シンシア、申し訳ありません。少々電話させていただきます。
もしもし、代わりました、オルコット家当主、セシリア・オルコットです。本日は電話からとなりますが誠に有意義な商談をありがとうございます。」
セシリアは先程の優しそうな顔から一気に当主としての顔に変わった。
『こちらこそありがとうございます!』
────え?この声は…?
『この取引のお蔭で娘のIS学園の学費を払い込むことが出来ました!本当にありがとうございます!』
「いえいえ、……本当に娘さんが大好きなんですね。」
『ええ、娘からは『情けない男』と言われていますが私は娘が恵まれた学園生活を送るためなら情けない父親と呼ばれようがなんとかなります。家族の幸せが一番ですから!』
「……父を亡くした私としてはとても羨ましいですわ……」
『今度イギリスに帰ってくる時があったら言ってください、精一杯おもてなしさせて頂きます。』
「はい、ありがとうございます、……あなたとお話したい方がいるのですが変わっても宜しいでしょうか?」
『?…ええ。』
「では。」
そういってセシリアは私に電話を渡した。……お父様ときっちり話して、そして……謝らないと……
私は電話を取り、父親と話すことを決心した。
「お父様……」
『………シンシアか?』
「ええ…お父様…ごめんなさい……ごめんなさい……」
『………いいんだ、私はお前と母さんが幸せなら、それが私の幸せだからな……』
「お父様ぁ……」
そしてシンシアはまた泣きながら自分のこれまでのことを話した。
『辛かったんだな……ごめんな、相談に乗ってやれなくて……私が弱かったから……』
「いえ……勝手に暴走した私のせいですわ……代表候補も辞退するつもりです、宜しいでしょうか?」
『ああ…それでお前が苦しみから解放されるならそれでいいぞ…』
「お嬢様……このISと交戦した記憶はありますか?」
泣いているシンシアをよそにチェルシーが私にデータを見せてきた。………デルタプラス?
「記憶メモリではバンシィが一方的に破壊しているようです。」
「……恐らくいつものあれでしょう、この前本音さんに頼んだ時も『ジェガン』『リゼル』とやらの謎のISの名前……それに刀奈さんの『シナンジュ』……それに現在開発中の外殻ユニットが出てきましたわ。
それにしてもこのデルタプラスとやら、私の好みですわね、………そうだ。」
「シンシア、代わってくれないかしら?」
「ええ、ありがとうございました。」
私はシンシアから携帯を返してもらい、シンシアパパとの会話を始めた。
「代わりました、オルコットです。」
『どうかなされましたか?』
「いえ…今後のシンシアさんのことなのですが…、オルコット家が独自に開発中のISのテストパイロットになって頂きたいと考えました。どうでしょう?」
『はあ…』
「勿論報酬は払いますわ、シンシアさんの三年分の学費でどうでしょう?」
『よい話ですがシンシアと話して決めてください、私は娘の意思を尊重します。』
「そうですか…また商談を持ちかけるかもしれません、その時は是非よろしくお願いします。」
『はい、ありがとうございました。』
その言葉と共に電話を切った、正直シンシアの操縦技術は決して低くない、彼女をIS委員会から解放すると共に国家レベルのテストパイロットも手に入る、シンシアからしてもIS委員会から解放され、自由の身となれる。お互いにメリットしかない。
「さて…シンシア、どうなさいますか?」
「……よろしくお願いしますわ。」
「よし、それなら早速IS委員会を脅迫してあなたを脱退させ、尚且つマクドウェル家に触れられないようにしましょう。」
『セシリア・オルコット、織斑一夏との試合を始める、ピットに急げ。』
「あらあら、チェルシーよろしく頼みますわ。」
「あの……!セシリアさん…!」
私が部屋から出る直前、シンシアが私を呼び止めた。
「どうかしましたか?」
「セシリアさん……いえ、お姉様!ありがとうございました!」
………あらら。
シンシアはモブキャラのつもりでしたがメインキャラに昇格しました。