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それでも良ければ、どうぞ!
西暦1947年 北海
この静かな海にアメリカ・イギリス連合艦隊が展開していた。
空母、巡洋艦、駆逐艦など多数の艦艇が跋扈しており、戦艦に至っては
アイオワ級 2隻
サウスダコタ級 2隻
ノースカロライナ級 2隻
ネルソン級 2隻
コロラド級 3隻
クイーン・エリザベス級 4隻
レナウン級 1隻
ロイヤル・ザブリン級 4隻
ヴァンガード級 1隻
キング・ジョージ5世級 4隻
ニューメキシコ級 3隻
テネシー級 2隻
カルフォルニア級 1隻
ネヴァダ級 1隻
合計32隻の大艦隊であった。
最新鋭艦や予備役に入ってた艦までもかき集めて編成された連合艦隊は“ある任務”の為に展開していた。
それはナチス第三帝国海軍が極秘に建造した万能戦艦『フリードリヒ・デア・グロッセ』の拿捕或いは撃沈である。
たかが戦艦1隻にこれほどの艦隊を充てがうかと思うかもしれないが、こうせざるを得なかった原因は大戦末期に入ってきたある極秘情報によるものである。
その情報には写真が付いていたが、その写真にはドックと思われる施設に巨大な戦艦が鎮座しているもので、艤装もほぼ完成していた。
そして巨大戦艦の設計図があったが、その戦艦は大戦時に枢軸国と連合国が建造した新基軸戦艦…通称“万能戦艦”という代物であり、問題となっているフリードリヒ・デア・グロッセは破格の性能を秘めていた。
まず、主砲はなんと50口径20inch(=50.8cm)連装砲四基八門であり大和型戦艦を凌ぐ攻撃力を備え、装甲は驚異の対61cm完全防御装甲、水中速力も従来艦は兎も角他の万能戦艦を凌ぐ程の性能を誇る代物だった。
本来なら1945年5月におけるドイツ降伏の際に接収される手筈だったが、調査の結果何処かに秘密ドックがあるという事は分かった。
その為、フリードリヒ・デア・グロッセ拿捕・撃沈の為にアメリカ・イギリスは艦艇をかき集めていた。
そして今艦隊が展開しているという事は秘密ドックでの拿捕に失敗し、出航してしまったのだ。
展開している連合艦隊はまず航空機を差し向け、フリードリヒ・デア・グロッセにダメージを与えようとしていた。
だがーーー
「司令、航空隊による攻撃は失敗!敵艦はまっすぐこちらに向かって来ています!」
通信士がそう叫ぶ中、司令は落ち着いて指示を出す。
「狼狽えるな!総員戦闘配置につけ!」
司令の指示で各艦の乗組員は配置につく。
特に戦艦は主砲を敵艦がいる方向に向け、応戦する構えを取る。
それからしばらくしてーーー
「っ!レーダーに感あり!間違いありません、『フリードリヒ・デア・グロッセ』です!」
その報告を聞いた司令は頷くと、
「全艦、攻撃開始!」
次の瞬間ーーー
ドォォン‼︎
連合艦隊は一斉射撃を行った。
数秒後、砲弾の雨霰が敵艦に降り注ぎ命中音も聞こえた。
「やったか…?」
そう呟いたその時ーーー
ズドン‼︎ ドゴォォォォォォ‼︎
敵艦の放った砲弾が戦艦に命中、弾薬庫に誘爆したのか爆沈した。
その際砲塔が爆発で吹っ飛び、近くを航行していた巡洋艦に落下、その巡洋艦も巻き添えで沈んだ。
「なんて威力だ…!」
「報告します!戦艦『ネルソン』、『ウォースパイト』、『インディアナ』、『ワシントン』被弾し誘爆…轟沈です‼︎」
敵艦の一斉射で4隻の戦艦が沈んだ。
主砲の威力もそうだが、一斉射で全弾命中させる命中精度も驚異的だった。
「ぐずぐずするな!次弾装填急げ‼︎」
司令が叱責して指示を出すがーーー
「っ!第二射来ます‼︎」
「馬鹿な、早すぎる⁉︎」
装填速度も桁違いなのか、間髪入れずに砲弾が降り注ぐ。
特に戦艦が狙われ、次々と砲弾が命中した。
この連合艦隊には20inch砲に耐えられる装甲を持つ艦は無く、被弾したら誘爆し轟沈、良くて大破し航行不能という赤目にあった。
気づけば100隻近くあった艦艇はその数を半数に減らした。
「なんという事だ…!」
「司令、敵影肉眼で捕捉!まもなく目視出来ます‼︎」
報告を聞いた司令は近づいて来た敵艦を肉眼で捕捉する。
その船体は灰色の塗装で覆われ、艦橋と煙突部はビスマルク級に酷似しているが、四基ある連装砲は角張った砲塔では無く、丸みを帯び上部に一際大きい砲をニ門載っけた砲塔だった。
何より敵艦の異質さを際立たせているのは艦首に付いてある巨大ドリルだ。
四基ある大口径連装砲は今も連合艦隊に向けていた。
(なんて艦だ…だが、連合国に追い詰められていたナチスドイツにあのような巨艦を建造する余裕があるのだろうか?)
この時司令は疑問に思っていた。
大戦末期はナチスドイツは追い詰められていてとても巨艦を建造する余力があるように思えなかった。
(我々だってそうだ…相打ちとなって沈んだ我が『モンタナ』と日本艦『羅號』、建造中のソビエト艦『ソビエツキー・ソユーズ』はまだしも、イギリス艦『インヴィンシブル』、フランス艦『ガスコーニュ』、イタリア艦『インペロ』は試験航海中に突如操縦不能となり行方不明…そして当時の状況からしてあのような巨艦を建造する余力も無いナチスで建造されたドイツ艦『フリードリヒ・デア・グロッセ』…まさか……!)
司令はある懸念を抱く。
(まさか…万能戦艦は誰かが自分達の武器として使う為に我々に造らせたものなのでは…⁉︎)
「なんとしてでも沈めろ!あんな化け物が束になって敵に回ったら…」
「駄目です!本艦の16inch砲では歯が立ちません‼︎」
そうこうしている間に砲撃を受け、連合艦隊旗艦の『アイオワ』はあっけなく沈んだ。
北海での戦いで『フリードリヒ・デア・グロッセ』を拿捕或いは撃沈しようとした連合艦隊は100隻近くあった艦艇が最終的に20隻近くになり、戦艦に至っては全て沈むなど途方も無い損害を被った。
第二次大戦を生き残った数々の戦艦が炎を上げて沈んでいく中、艦隊司令は辛うじて脱出、悠々と去っていく『フリードリヒ・デア・グロッセ』を見つめることしか出来なかった………
そして時は流れ西暦2039年ーーー
温暖化の影響により地上の版図を大きく失った人類に、それは現れた。
外見は第二次世界大戦時の艦船だが、中身はそれに不釣り合いな程のオーバーテクノロジーにより武装した正体不明の敵…
通称『霧の艦隊』
圧倒的な力で人類を海から駆逐、シーレーンを封鎖。
さらに海底ケーブル、通信網も遮断される。
霧との大海戦に敗北した人類は孤立し内紛が多発、衰退への道を転がり落ちていった。
そんな閉塞的な世界になって7年が経った頃、状況が動き出す。
霧の潜水艦イ401のメンタルモデル“イオナ”が千早群像と接触、共に大海原へと旅立つ。
彼らは仲間を集め霧と交戦、遂には霧の大戦艦ヒュウガを撃沈するに至る。
閉塞された世界に風穴を開けるべく彼らは奮闘していた………
西暦2047年 南極
所変わって辺り一面白銀の世界で覆われた南極。
そこには極寒の銀世界には似合わぬ漆黒の要塞があった。
そう、あったのだ。
今ではあちこちから火の手が上がり、時折爆発音が鳴り響く。
施設の中は警報が鳴り響き、爆発によって炎が走ることで内部を大きく焼いていた。
まさに阿鼻叫喚の地獄絵図といえるだろう。
そんな状況を見ている者がいる。
外見は30代から40代くらいで銀髪のオールバックにメガネを掛けた男性。
服装は漆黒の軍服…ナチス親衛隊士官服に身を包んでいる。
その男の周りには光のサークルが多数展開しドームを形成、そこから複数の映像を映し、状況を把握している。
男の表情はまさに不愉快さを隠そうともしない。
それもそのはずである。
現在進行形で損害を受けている施設は、南極に建造した“霧の艦隊”のドック兼要塞である。
その要塞に収容してある切り札の一つ…“万能戦艦”の一隻が突如として機動し施設を破壊、脱走しているというのだ。
こちらからも停止コードを打ち込むが、弾かれて効果が無い。
実力行使で阻止しようとしても、要塞のセキュリティシステムでは万能戦艦を止められず、収容してある他の艦も瓦礫に埋もれ身動きが取れない有様だった。
「…不良品が。」
彼はそう悪態づく。
既に要塞のシステムは乗っ取られており、このままでは脱走を許してしまう。
何か手は無いかと探していると、あるものを発見する。
それは同じ要塞に収容してあるもう一隻の万能戦艦。
だが、その艦は問題行為を起こし謹慎…否封印されていた。
彼はしばらく考え、決断する。
「…背に腹はかえられん。」
男はそう呟く。
その施設の地下、そこには巨大ドックが複数存在し、その内の一つに一隻の戦艦が鎮座していた。
否、戦艦にしては艦形がおかしい。
艦橋構造物や煙突、副砲などは大和型戦艦のと同一だが、主砲が三基全て四連装砲であり、両舷には駆逐艦に装備されている四連装魚雷発射管計四基、それよりも一回り大きい四連装魚雷発射管計二基、艦底部両側面には大型の回転式カッターが一対、艦首上部にある背鰭状の高周波振動カッターが三枚、そして艦首に搭載された超大型の掘削器具、黄金色の
極め付けは艦首に菊の紋章では無く、【羅】の文字が刻まれていた。
さらにこの艦を異質たらしめているのは艦体に走る光の線と艦首に浮き出ている紋章状の個体識別パターン【イデア・クレスト】であろう。
艦橋前方にある球体の構造物内部に少年がいた。
黒髪のショートにセーラー服、白色の短パンを履き頭部に白い鉢巻を巻いた男の子。
彼の周りには光のサークルが複数展開されている。
この艦…もとい彼の名は大日本帝国海軍大和型四番艦にして霧の海底軍艦…【
そして羅號の艦内に佇んでいる少年が重巡洋艦クラス以上の霧が有する人型
ラゴウは前を見据える。
そこには隔壁が固く閉ざされていた。
「侵食魚雷、撃て!」
彼がそう言うと前方の魚雷発射管が動き、合計8発の魚雷が発射される。
放たれた魚雷はバーニアで制御され、8発全て隔壁に命中する。
すると着弾した瞬間、周囲の空間を侵食し隔壁に穴を開け、そこから大量の海水が流れ込んできた。
瞬く間に地下ドックの大部分が水没する。
その重厚な艦体は水流に呑まれても流されること無く留まり続け、侵食魚雷によって穴だらけになった隔壁に向けて、艦首のドリルを高速回転させる。
「海底軍艦
彼が力強く宣言した後、ラゴウは発進する。
そのまま半壊した隔壁をドリルによって破壊し、突き進む。
外洋へと進んだラゴウは進路を北にとり、進み続ける。
このままいけば逃げられるだろう…
そう思っていた次の瞬間、海面の流氷が突如として砕かれ、そこから数本のビームが羅號目掛けて飛んでくる。
回避する間もなく命中するが、霧が持つバリア【クライン・フィールド】によって防がれる。
彼はセンサーを確認するが、上空に強力なエネルギー反応を検知し、そのエネルギーが自分のと同等だと見抜く。
彼はドリルを起動し、海面を覆ってる流氷に向けて突撃する。
厚さ2mもある氷を砕き海面に浮上、そのまま
戦艦なのに海を潜るだけでなく、空までも飛んでしまった。
それこそが海底軍艦…もとい万能戦艦の優位性の一つ、霧の標準的な動力機関【タナトニウムエンジン】を遥かに凌ぐ出力を持つ永久機関…【重力炉】による膨大なエネルギーを活用した重力制御による浮遊・飛行能力である。
上空に打ち上がったラゴウは攻撃をしてきた張本人を見据える。
それは一隻の戦艦だ。
艦橋はアイオワ級のものに酷似しているが、一回り大きい煙突にそこから艦底部に伸びている8本の蒸気パイプ、三連装タイプの主砲が三基、高角砲、対空機銃が各所に装備され、艦首に至っては
この艦も光の線が艦体に走り、艦首に【イデア・クレスト】が浮かび上がっている。
彼が見据えていると、映像と共に通信が割り込む。
「やっと中から出てきたか、ラゴウ。」
映像には1人の男が映っていた。
アメリカ海軍士官帽を被り、髪は金髪。
右目が赤、左目が青のオッドアイに整った顔立ち。
服装は緑色のシャツに黒の長ズボン、白いコートを羽織った男性。
彼は今、綺麗な顔を歪め獰猛な笑みを浮かべている。
今まさにラゴウと相対している彼こそが霧の艦隊が誇る切り札…霧の万能戦艦【モンタナ】である。
「モンタナ…!」
「テメェの魂胆は分かるぜぇ…あれだろ?【アドミラリティ・コード】に背き霧を抜け出すつもりだろ?」
「………」
「黙りか…まぁ肯定と受け取っておくぞ。言っておくがフリードリヒや
そう言うと、モンタナは全兵装をラゴウに向ける。
三基の406mm50口径三連装アクティブターレットを始め、複数のVLSに127mm連装荷電重粒子砲、40mm四連装パルサーガン、20mm連装パルサーガン、仕舞いには艦体の上下が展開し中から片舷10門、両舷合わせて20門の超重力砲が牙を剥く。
対するラゴウも三基の46cm45口径四連装アクティブターレットや二基の15.5cm60口径三連装アクティブターレット、多数のVLSに12.7cm荷電重粒子砲、25mm三連装パルサーガン、13mm連装パルサーガンが起動し、こちらも艦が上下に開き内部の合計40門の超重力砲が出現し、俗に言う【展開形態】に移行する。
「主砲及び超重力砲、用意!全砲門、開け‼︎」
「目標ラゴウ、全砲門ありったけぶち込めェ‼︎」
この白銀の世界にて想像を絶する戦いの火蓋が切って落とされた………