あまくて、あまい   作:319

3 / 5
少し投稿がおそくなりました。



劇薬は口に甘し

僕は憂鬱な気分で目的地に向かい歩いていた。

コンビニ事件から数日、ついにこの日がやってきてしまった。

週に1回の国に精子を納める日。

そんな訳で僕が住んでいる所の指定の役所に向かっている。まぁ市役所的な所である。

この身体でも一人暮らしを始めたばかりなので、場所を携帯のナビで調べながら向かっている。

4月の始まり、まだ外は肌寒く上下ジャージでは寒いので、Tシャツの上から1枚羽織っている。

前に比べたら視線がマシになった気がする。多分気のせいだと思うけど。

そんな事を思いながら、時々舞う桜の花びらとともに歩いていく。

 

 

 

歩き始めて15分ぐらい経った頃だろうか、目的の建物に着く。

建物の自動ドアを潜り、中に入って行く。

入って周りを見渡すと受付が見えたので、受付を済ませに行く。

「すいません。精子バンクに来たんですけども。」

「ではカードの方をお預かり致します。」

「お願いいたします。」

受付のお姉さんがカードを機械に差し込んだ後にカードが返却される。

「すいません。カードありがとうございました。本日はお持ち込みでしょうか?」

「すいません。ここでお願いします。」

「承知致しました。では番号札31番でお呼び致します。」

そう言われるとお姉さんから整理券を受け取る。

 

 

先程受付で渡したカードは通称バンクカードと呼ばれている。

この世界において15歳以上の男性が国から配られるカードである。

このカードには2つの記録がされている。

まず1つは、精子をきちんと納めているかどうか。

もう1つは、精子がまだ元気かどうか。

この国において重大な事をこのカードに記録していく。

もちろん無くしてしまったら再発行しなくてはならいし、お金もかかってくる。

 

そして先程受付のお姉さんが聞いてきたお持ち込みかどうか。

前の世界では精子バンクでは精子を冷凍保存していた。

そしてこの世界でも精子バンクでは精子を冷凍保存する。

つまり、容器さえあれば家で出してきたものを調べてもらうだけで良いという事も出来る。

正直そっちの方が調べたら終わりなので早い。

問題は容器が高いということだろうか。1個10万円もする。

1番最初はこの容器は無料で配られていたらしい。

しかし、無料で配られたこの容器を私利私欲に使う人が出てきて有料になったんだとか。こっちからしたら迷惑でしかない。

あと容器いっぱい持っていると月に1回ここに来るだけでよくなる。

やっぱ毎週来るのしんどい人とかは4個買って一気に納めているとか。

まぁ国の方針で1ヶ月以上は空けたら行けないけど。

 

「31番のかたー、31番の佐藤さんいらっしゃいますかー。」

そんなこんなで容器を買うか迷っていると呼ばれた。

診療室から男性の方が顔を出して呼んでいる。

呼ばれた診療室に向かい、部屋に入り扉を閉める。

 

「31番の佐藤さんでお間違えないでしょうか?」

「はい、間違えありません。」

「体調の方はよろしいでしょうか?」

「はい、問題ありません。」

「お薬の方はよろしいでしょうか?」

「一応念の為準備お願いいたします。」

「こちらお薬になります。では奥の部屋へお入りください。」

男性と短いやり取りを済ませ、薬をもらい僕は奥の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

部屋の中に入る。

目に映るのはベットとその隣に置いある容器、あとはタブレット。

僕は軽くベットに腰をかけ、タブレットを手に取る。

タブレットの中はありとあらゆるエッチな動画や本など入っている。言わるオカズと言うやつだ。

軽くタブレットを漁り、良さそうな動画を見つけたので服を脱ぐ。

ちなみにめちゃくちゃ恥ずかしい。

それでも何とか致そうと手を動かす。

 

 

 

 

数分たっただろうか、僕は未だに致せていなかった。

普通に羞恥心が強すぎて全くできない。

疲れて手の動きを止める。

動画から聞こえてくる声だけが部屋に響いている。

僕は諦めてとあるものに手を伸ばした。

それは先程男性から頂いた薬である。

小さな瓶の容器に液体が入っている。

瓶の蓋を空け、僕は覚悟を決めて一気に飲み干した。

途端口の中に広がる甘さ、溶かしたチョコレートでも飲んでしまったかのように感じる。

そして、お腹の辺りが急に熱くなる。

その熱は次第に身体全体に広がっていく。じんわりと確実に。

その瞬間不思議な感覚に陥る。

まるで身体にまとわりついている謎の鎖のような物が溶けていく。

飴細工で成り立っているようなそんなものが熱で溶けていく。

鎖で押さえつけられていたかのように本能が全身をめぐり、やがて脳を支配する。

薄くなっていく理性を保ちながら、僕はこの熱とともに出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数十年前~

国の研究報告書

この国において男性の性欲が薄くなりつつある。

しかし、このことは嘘ではないかと我々は考えた。

そして、我々はひとつの仮説を立てた。昔の男性に比べてただ男性の理性が強くなっているのだと。

根拠は男性が結婚を行った後、普通に子作りを行えているからである。

もし男性が性欲が薄くなっているなら、結婚したところで子供は産まれにくくなるだろう。

しかし、結婚をしていない男性はどうだろうか?

女性と関わりを持とうとせず、ナンパなどは無くなり、恋をする男性も減少している。

悪いことばかりでは無く、男性の性犯罪などもなくなった。

そこで我々はこの理性をコントロール、もしくは一時的に緩めることが出来るようにならないかと研究を重ねていった。

実験は上手くいった。やはり男性側は理性が強くなっていただけだった。

そして、とある薬が完成した。

世間一般的に媚薬と呼ばれるものが。




今回で導入的な物が終わりになります。
次回からはヒロイン達が多分登場します。

誤字脱字等ございましたらよろしくお願いいたします。
感想や評価なども何卒お願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。