この世界のパワーローダーは格好いい。 作:むせる。
……突如、無線機越しに、自らを元カイザーPMCの人間であると名乗りを上げたコバト。そんなコバトに唖然し、誰よりも先に激情したのは……セリカだった。
「も、元カイザーPMC!?ど、どう言う事よ!?」
「今はカイザーでは無いと言う事ですか?」
『……あぁ、昨日抜けたてだ。俺達は、カイザーPMCには色々と貸しがあってな……カイザーと戦うなら、アビドス高校、君達と協力したいと思っている。』
……協力、都合の良い謳い文句だ。そんな謳い文句に、アビドスは散々騙されてきた。おまけに相手は元とは言えカイザーを名乗っている。
アビドスの皆は、とてもではないが信用出来る気にはなれなかった。セリカは我慢できなくなったのか、声を荒げる。
「巫山戯ないでよ!そんなの、信じられるもんですか!」
「……油断させて後ろから刺さないとも思えない。悪いけど、信用できない。」
『……そうか。』
無線機の奥のコバトは、少し悲しそうな、しかし納得したような声を挙げる……まるで、悲しいが仕方がないと言わんばかりの声色だ。
『……ならば、言い方を変えよう。お前達、俺達を利用してみる気はないか?』
「?」
「利用……ですか?」
ノノミのその問いに、コバトは軽く頷いて続ける。
『力を貸すなんて甘ったるい言葉が信用できないのであれば…………俺はカイザーに一泡吹かせる為に、お前達は学校を、アビドスを取り戻す為に……互いを利用し合わないか?』
「……何故、元カイザーの人がそこまで私達に拘るんですか?」
その問いに、コバトは少し息を詰まらせると……静かに語りだす。
『…………お前達には、カイザーとしても俺個人としても返し切れない借りがある。それを返したいだけさ……小鳥遊ホシノから何か俺について聞かなかったか?』
「ホシノ先輩から……?」
「確かに、ブラックマーケットやカイザーPMCに向かう時は、あんまり驚いてませんでしたけど……」
『そうか、俺の事は話さなかったのか。信頼されてなかったんだ……正しい事だ。』
「ちょっと!一人で納得してないで分かるように説明しなさいよ!」
御尤もである。
『……俺は、少し前から小鳥遊ホシノと接触にカイザーについての情報を渡していた。ホシノは俺の情報は使わなかったみたいだが…………それでもお前達は、やがて単身カイザーPMCに乗り込む大立ち回りをしてくれた。その御蔭で俺達はカイザーPMCから抜け出せたんだ。』
「っ!?」
「つまり……ホシノ先輩を唆したのもアンタって事!?」
『……ホシノが学校から去った件とは無関係、と言わせてもらいたい。だが、お前達を利用してカイザーから抜け出したのは本当だ。』
明かされ続ける様々な事実……もはや頭がぐるぐる回って、訳がわからなくなりそうだ。しかし、コバトは畳み掛けるように語りかける。
『……俺は、お前達にカイザーとしても俺個人としても……お前達に借りが、滅ぼさなきゃならない罪がある。』
「虫の良い事を……!そんなになるなら何で最初っからカイザーになんか入ったのよ!」
『……それしか、道が無いからだ。』
「はぁっ!?」
『……皆が皆学校に行けて、自分で望んだ道を歩ける訳じゃない。』
「……!」
セリカはその言葉に、かつてコバトと初めて出会った時に、彼がつぶやいた言葉を思い出した。
――学校どころか捨て子の身なもんで。生きるので精一杯なんですよこっち。――
生きる為に、キヴォトスで暮らす為に、カイザーに、PMCに頼ってでも生き抜くしか無かった。稼ぐしかなかった。……セリカも、その理屈は分かる。
「だけど……だけど!!」
『あぁ、
「……アビドス出身なのは、嘘ではないんですね?」
『あぁ、柴関ラーメンは大将が暖簾を掲げた時から知っている。』
アビドスの皆は、どうしたら良いのかわからなくなってきていた……このコバトと言う少年を味方に引き入れ共に戦う、だがイマイチ信用しきれない……何か、もう一歩……
「……先生……」
「……これは、私は口を出せない。君達が選ぶんだ。」
先生も、流石に口を閉じる。これは、先生としては何も言えない……許すか、許さないか、それはアビドス皆の心の中の問題なのだ。
先生は、人の心の中まで選択するつもりはない。それは、生徒自身が決めなければ意味の無い事だと分かっているからだ。
……すると、アヤネがそっと口を開いた。
「貴方は、何でカイザーから抜け出したんですか?」
『……奪われた尊厳を取り戻す為だ。』
「尊厳……ですか?」
『カイザーには、色々と奪われたからな。少しくらいは取り戻させてもらう。お前達もそうだろう?土地を、尊厳を奪われた……そして今や、仲間と居場所すら奪われようとしてる……許せる訳がねぇ。あぁ、許せねぇな……!!』
先程まで比較的冷静だった声色が、段々と怒りに燃え上がってくるのをアビドスの皆は感じ取り、気圧される。演技では出せない確かな怒り。
先ほどまでの無理に冷静ぶった演技くさいものではなく、確かな怒り。……コバトの脳裏には、きっと散っていった仲間の影が浮かんでいることだろう。
そしてその思いは、確かにアビドスの皆にも伝わっていた。
『……改めて言うぜ。共に、カイザーをぶっ飛ばさないか?』
「……でも、勝てるんですか?あんな大企業に……私達は、正式に認可された委員会でもないのに……私達だけで……」
『……そうだな。唯一の正式な委員であったホシノが抜けた今、お前達は何者でもない……
「……っ!」
「……そうかもね。」
アビドスの瞳に闘志が宿ってくる。そうだ……元々何のためにこの学校を守ろうとしてたのか?
理屈なんて関係ない……別の学校に行けば良いとか、そんな話じゃない……ここが、皆といるここが居場所だから、護るために戦ってきたんだ。
『……さぁどうする?生きている限りやれる事はまだある筈だ。それとも……このまま尻尾巻いて逃げるかい?』
「冗談……!!」
「好き勝手言ってくれたわね……!!」
「ホシノ先輩も戻ってこさせないといけませんし!」
「……行きましょう、コバトさん……
『……あぁ。』
事の方向は決まった様だ……すると、イバラが少し笑いながらつぶやく。
「いいね、青臭い青春だねぇ、羨ましいねぇ……あんたら、兎に角街を襲ってるカイザーPMCを止めるよ。外に車がある、中の敵を倒しながら行くよ。」
「言われなくても!」
「今度こそ、先生を守りながら戦います!」
アビドスの皆は、そう意気込んで教室から飛び出していく……すると、先生は無線機の奥へと語りかけた。
「……越前コバト君……だよね?」
『先生か?どうした?』
「……君は、いい人だね。ありがとう。」
『おいおい、俺はアビドスを利用してきた最低野郎だぜ?お礼を言われる筋合いはねぇよ。』
「……私が言いたいから言うよ。ありがとうって。」
『……早く行きな、遅れるぞ。俺達は敵部隊を牽制する。』
「……あぁ!」
そう言って、先生も教室から飛び出した……
あとに残されるのは、無線機がプツンと切れる音だけだ。
やっほ、ワシや、越前コバトや。
現在、カイザーPMCの兵士を薙ぎ倒しながら通信していた所です。何とかアビドスの皆に利用されることができました。やったぜ。
いやぁ、俺らしくないな。思わず熱が入りすぎましたよ……そうだよな。アビドスの皆は仲間を奪われそうになってるんだよな……
カイザーまじ許さねぇぶっ潰す。
まぁ、そんな事はさて置いて……取り敢えず、アビドスの皆が乗り込んだ武装車両を援護します。確りと学校の敷地内の敵も排除していきましょう。
おらっ!悔い改めろ!
『く、くそっ!?この……カイザーの裏切り者がぁ!』
『落ちろ!くそっ!なんて動きしてやがる!猿かサーカス団か!?』
だぁれが猿じゃい!おら!ガトリング食らっとけ……あれ?コヨーテとアルシノから通信じゃ。
『……越前、どうやら上手くいったみたいだな?』
『随分と熱くなってたな……まぁ、御蔭で嬢ちゃんらもやる気になって何よりだ。』
いやぁ、俺割とドノツラフレンズ状態だよな……ホシノが何も言ってないにせよ、お前散々アビドスの現状に目を背けてたじゃんって言われたら反論できないねぇ。
まぁ、許してとはとてもじゃないけど言えないな。
「さぁてと、この辺は狩り尽くした、アビドスのフォローに回るぞ。」
『おう。』
『仕方ねぇ!』
っと、取り敢えず俺達はアビドスの街中に移動してきたんですが……ヤバイな。
普通にPMC兵士が市民を攻撃してる……うわっ、すっごい嫌そう……まあ、なら辞めろやって話なんで手加減せずに撃っておきましょう。
「くっ!?死神の蝙蝠どもが……!」
「撃て、あんな旧式のパワーローダーに怯むな!」
「パワーローダー隊が来るぞ!」
おっと、パワーローダーが数機でてきましたね。できれば鹵獲して資材にしたいんですが……そんな余裕ないので普通に戦います。
「くそっ!近づけ、近づいて仕留めろ!」
無駄無駄ァ!俺の機体は近接戦こそが本領発揮よぉ!実体剣を手に持って……ブースターを吹かせて相手よりも先に近づいて、機体の足元を斬りつけて転倒させる!
トドメに一発撃ち込んで機能停止!……っし、……おぉ、アルシノさん射撃上手いな。ほぼミサイルとか百発百中やん。
こりゃ、負けてらんねぇな……っと、遂に親分が来たか……カイザー理事長。
「ふんっ。カイザーを抜けた裏切り者共が……まさかアビドスと組む事になっているとはな、情にでも駆られたか?」
いやぁ、相変わらず腹立つなあの中年オートマタ。
さてと、後ろにも兵がいるから随分と余裕そうなんで……その余裕、皆でぶっ飛ばしてやりましょうか。
越前くんに専用機っている?
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いる!ワンオフ機でかっとばせ!
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いらん!量産機のまま頑張れ!