この世界のパワーローダーは格好いい。 作:むせる。
チャーシューはちょっと脂っこくて食えない越前コバトだ。
さて、昨日は大変でしたね……何とかアビドス自治区に攻め込んできたカイザーPMCを撃退したので、もうすぐ最終決戦だと思います。
今度は最終決戦であるホシノ奪還作戦。俺としては是非参戦したいイベントではあるのですが……
「えぇ、またタダ働きすんの〜?」
「あの時はまぁノリでやったけど二度目はなぁ……」
「姉貴がやるんならやります。」
「あたし任せかよ……」
「そもそもホシノって誰です?」
我が脱カイザー組はこの始末……まぁ、気持ちはわからんでもない。
連れ出した奴の私情でタダ働きされるなんてとんでもない、カイザーPMCでも給料自体は出てたというのに。
まぁ、こうなることは予想してました。
まぁ、ぶっちゃけ俺等が居なくても先生とアビドスとゲヘナとトリニティ組が来てくれるんで全然勝てる勝負ではあるんですけど……それはそれこれはこれとして、誠意の問題としてこのまま知らんぷりしてるって言うのもなんか癪なんですよね個人的に。
「まぁ、そうなるよなぁ……んじゃあ、せめて俺のパワーローダーの整備位はしといてくんねぇか?」
「一人でも行く気かよ?」
「あぁ、どの道カイザーにはまだ吠え面かかせてやんねぇと気がすまねぇからな。」
ここまできたら文字通り完膚なきまでにやってやんないと気がすまないですね。
「まぁ止める理由は無いが……」
「お前らだって仕返しし足り無くねぇのか?」
「いやまぁそれはそうなんだが……」
んじゃあ普通に来てほしいんですが……
「弾代燃料代だってタダじゃねぇんだ。何度もタダ働きでズルズル引き摺ってると何れ首が回ん無くなる時が来ちまう。アンタだってそれは解んない訳じゃないだろう?」
うぅんぐぅ正論。何も言えないなぁ……確かに貯蔵があるとは言え、そう何度もタダ働きもしてられないかぁ……
「別にアンタ一人一台分位なら止めないが……その為にまたアタシらを動かそうって言うのなら少し考えなきゃならないんだよ。」
「アビドスさん達に借りを返さなきゃならないのはそうですが……何度も何度も人情だけでタダ働きしては相手にも舐められます。そこはしっかりと締めないと……」
いやぁ、ここまで言われるともう食い下がるしか無いですね。
まぁ、基本ド正論ですし俺も逆の立場なら間違いなく苦言を呈する所ではあるので、ここは俺が引きましょう。
「分かった。なら俺一人で行く。すまないなワガママに付き合わせてしまって……」
「悪いな。人情で振り回されて潰れた奴らを何人も知ってるもんで……ね。」
「いや、懸念は最もだ。寧ろ行かせてくれるだけ感謝してるよ。」
しかし、まぁ一人かぁ……まぁ、今回の戦いに参加するのは俺の心の中の問題が大きいのでいいですかね。
まぁ、まだまだ心の問題は残ったままなんだけど…………取り敢えず、その内の一つにカタを……??
……?物音?表からだ……誰か来たのか?
「……誰か来たみたいだね。」
「えっ!?だ、誰です!?」
「状況から考えるとカイザーの追っ手か……」
「越前、下がって隠れろ。白兵戦じゃお前は最弱だ。」
「アッハイ。」
白兵戦最弱……まぁそうね。ヘイロー無いし丈夫でもないし飛び抜けた身体能力もないし、みんなに任せてパワーローダーに乗り込んでおきましょうか……
流石にこんな状況だからかみんな殺気立って銃を向けていきますねぇ。
「誰だ!カイザーか?新手か?」
「一人みたいだな……何が目的か知らないが、下がれ。こちらは何時でも撃てるぞ。」
突然現れた人影は外の光を逆光にして、影になりながらもスタスタと、銃に臆すこと無く歩いてくる……やがて逆光を抜けて現れるのは……
「あ、あはは……こんにちは〜」
見慣れた白い制服……シャーレの先生であった……
いやファッ!?先生ファッ!?
「アンタ……シャーレの先生か。」
「なんでこんな所に来た……いや、そもそもどうやってここを突き止めた。」
「まぁ、色々
キッショ、なんで分かんだよ(驚愕)。
いや、本当にどうやってここ突き止めたんだよ…連邦生徒会のネットワークってすげぇ……いや、先生の操作能力か!?どの道やべぇな、流石ストーカーだぜ……!
「……まぁいい、なんでここまで来た。」
「……明日、私達はカイザーPMC51地区中央に行くんだ。大切な人を取り返すために。」
「ホシノって嬢ちゃんかい?」
「あぁ、その為にも君達の力を貸して欲しい……頼むっ!」
うわっ!?先生土下座した!?……このまま足舐める気じゃねぇよな?……アルシノとコヨーテは男だから大丈夫か……そもそもオートマタやし。
「……顔を上げろ。俺達は別にそんなびた一文にもならない誠意が欲しいんじゃない。」
「俺達の動かす兵器類もタダじゃないんだ……分かるだろ?」
オートマタ二機が先生を取り囲んでる図……これワカモとか見る人が見たらブチギレそうな構図だな。誰にも見られて無くてよかったぁ。
「……分かってる。協力してくれるのなら……払う物はちゃんと払うよ。」
「具体的に……頼むぜ?」
「あぁ……これくらいでどうだろうか?」
「どれどれ?」
そう言って先生は金額の書かれた小切手を取りだす……あれ、幾ら書かれてんだ。俺の所からじゃアイツらが影になって見えねぇ……なんかコヨーテとイバラめっちゃ震えてない?
「い、良いんですかこんなに……?」
コヨーテ敬語になった!?嘘だろ幾ら書かれてるんだよ!?
「あば……ばば……」
「うわぁ……」
「す、すげぇです!」
アルシノはなんかバグってるし、イバラに至っては若干引いてるじゃん!?何、マジで幾らなの!?と言うかどこから捻出したんだよ怖えよ!!
「……駄目、かな?」
「……誠意は伝わった。だが、51中央区は中々に壁は厚い……俺達も比較的安全なルートは知っているが、それでもかなり激しい道のりになるぞ?本当にやるんだな?」
「生徒の為……だからね。」
「……本当に解せない人だな。アンタは……いや、これ以上言うのは無粋か。分かった、手を貸そう。」
なんだか良く解んないですけど上手く共闘できるルートに入ったのかな……いや先生本当に幾ら用意したんだよ怖すぎんだけど!?
「ありがとう……作戦の決行は明日。急な申し出で悪いけど……頼むね。」
「分かった。こちらも用意をしておこう。」
「うん……ところで……越前くんは居るのかな?」
「あぁ……越前!出てこい!」
「あ、あぁい!」
取り敢えず出て……やっべ、なんか緊張すんなぁ。
「よっと……初めまして、いや、お久しぶりだな。先生。」
「うん、久し振り……いや、特にそんな用があるわけでもないんだけど……改めてちゃんと顔を合わせておきたくてね。」
「この間はパワーローダー越しだったからな……因みに、俺達やアビドスの奴らの他にも話はつけてあるのか?」
「うん、ゲヘナの風紀委員会に少しね。」
「ゲヘナの風紀委員会って言うと……あの空崎ヒナか。」
「マジかよ……」
「やべぇな……」
いやぁ、本当に懐柔術どうなってんのかなぁこの人〜本編だと足舐めてるところしか印象になかったけど、ほかにも色々話してたんだろうか……どの道――
「……あんただけは敵に回したくねぇもんだな。」
「そんな大層な人間じゃ無いよ……私は。」
「……そう思うのは勝手だが、自分のしたことの重さや責任はしっかりと理解しておけ、思わぬしっぺ返しにあうかもしれねぇぞ。」
主に女性関係な!マジで気をつけろよアンタ!襲われるぞ!マジで!
「うん……そう、だね。肝に銘じておくよ。」
「護衛は居るか?」
「そこまで面倒は掛けないさ……」
そう言って先生は去っていった……今はまだ大丈夫かもしれないけどこの先マジで女性関係は気をつけろよ!もしくは身を固めとけ〜!
……さて、そうと決まれば……俺も行かなきゃいけないところがあるな。
「ま、金は用意してもらったし。やる事はキチッとやらねぇとな。」
「クウ、パワーローダーと戦闘車両の用意、できるかい?」
「幸い被弾は最小限だったので、細かい変更は兎も角、大きな整備ならなんとかなると思いますよ!」
「んじゃあその辺はお前らに任せてもいいか?……俺にゃちょっと行かなきゃならねぇ所があってな。」
「行かなきゃならん所?そんなのあるのか?お前に?」
あぁ、あるよ……絶対になぁなぁにしちゃいけない場所が……な。
アビドスの市街地を歩き回ってみれば、案外簡単に
「…………」
「んっ?……おぉ!コバトじゃねぇか!どうしたよ?」
大将は、店が爆破されたにも関わらず相変わらず笑顔で俺に対して接してくる。
俺は、アンタから店を奪おうとした、立ち退きの命令をしたカイザーの奴らの仲間だって言うのに、それをずっと
いや、それだけじゃない……俺は、親父達が死んだことだって大将には話した事はない……流石に察してるんだろうが……それでも、腹に抱えたままじゃ気分は良くはならない。
だけど、隠すのはもう終わりだ……キチンと全部吐いてしまおう。そして、楽になってしまおう……だが、一向に声は出てこない。
「……ま、兎に角つもる話もあるからな、座ってラーメンでも喰いな!」
「あ、あぁ……」
「いつものでいいか?」
「……頼むよ、大将。」
俺は、用意されたカウンターへと座ってラーメンを待つ。
昔はみんなと一緒にテーブル席に座っていたが……ここ暫くはずっとカウンター席だった。
それが今となってはテーブル席もなくなってしまった。
大将がラーメンを作っている間も、俺は一言も喋ることは出来なかった……ただ、俺が赤ん坊の頃、みんなと来た時よりも手際の良くなった大将の調理姿を眺めるだけだ。
「……はいよ!柴関ラーメンチャーシュー抜きメンマだくお待ち!」
「……量多くねぇか?」
「手元が滑っちゃった……ってな。」
そう言って大将はニコッと微笑んでみせる。相変わらずやさしい人だ……こんな人だから客もたくさん来るんだろうに。
昔に金は店が爆破された時に置いていったが……金で買えないものがこの店には、大将のラーメンには詰まっている。
俺は何時ものようにラーメンを啜る。
美味い、昔に食った時よりも何倍も美味くなってる、なのに……なんで昔よりも美味いと感じれないんだろう。
ずっとそうだった……親父達が居た頃は、どんな不味いレーションでも親父達と愚痴りながら食えば美味く感じれた。
いや、それだけじゃないな……腹に一物抱えたままじゃ、どんな飯も不味くなるのは当たり前だ。だけど、いい加減吐き出して良い頃だろう……
「大将……俺ぁ……」
「……コバト。」
「……?」
「何も言う必要はねぇよ。」
……えっ?
「大……将……?あんた、もしかして知って――」
「知らねぇさ。ただ、予想してるだけだ……2年前、コバトが一人で、親父さん達と来なくなった時は、もしやって思ったけど……俺ぁ何も言えなかった。」
……親父達が死んだ後初めて来た時には、適当に誤魔化した記憶がある……最も、多分酷い顔をしてたから、そりゃバレれてるとは思ってたけど。
「……今思えば、多少無理やりにでも話を聞き出してやるべきだった。そうすりゃお前が今までみたいに酷え面しなくなるんじゃないかって思ってたんだ、後悔してたんだ……けどな聞けなかったんだよ。」
「……。」
「お前の口から親父さん達が死んだって言葉を言わせたくなくてな……」
そんなのタラレバも良いところだ。あなたが責任を感じることじゃない……優しすぎるよ、アンタは。
「客やセリカちゃんには一切話したこと無いんだが……ずっと気がかりでな、偶に眠れなくなる日もあった。何せ、お前は俺が店を出したときからの常連だったからな。」
「でも……でも……!」
「……お前さんまだ、鉄火場あっちゃこっちゃしてんだろ?身体も強くないのに……思えば、無理やりにでもお前を雇ってやればよかったって、ずっと後悔してんだ、俺ぁ。」
……そうかも知れない、2年前に何処か別の場所に席を移せてれば、俺はカイザーPMCにも、傭兵にもならずに済んだのかもしれない。
けど、もう俺は今更鉄火場からは離れられない、戦場で……背負わなきゃ行けない物が増えすぎた。俺の仲間が死にすぎた。仲間が……増えすぎた。
「実はセリカちゃんに働いてみないかって切り出したのは俺でな……勿論、セリカちゃんの為を思って言ったのもあるんだろうが……分かんねぇが、きっと、お前のことを重ねてたんだと思う。情ねぇ話だ、そんな事をしたってお前は救われないのにな。」
けど、きっとセリカはその言葉に救われたと思うんだ。絶対に……つーか、どんだけ俺の事考えてくれてるんだよこの大将……俺はそんなにデカいもんでも無いのに……
「……だからよ、言わせてくれ。……助けてやれなくて、ごめんな……コバト。」
「……俺こそ、いろいろ黙っててすいませんでした……大将。」
……随分と時間が経ったような気がするけど、ラーメンはそんなに伸びてなくて、まだあったかいままだった。
俺はまたラーメンを啜ってみる……美味いな。美味いけど、美味く味が分かんねぇや。ちとしょっぱいのしか分かんねぇ……でも、本当に美味い……こんなに美味いの、久しぶりだ。すると、俺と頭に、大将の肉球の乗った手が乗る。
「頑張れよ。俺は、アビドスの嬢ちゃんだけじゃない。お前にだって幸せになってほしいんだ……お前は、俺の息子みてぇなもんだからな。」
ワシャワシャと俺の頭を撫でる大将……おれは、久しぶりに親父達の手の感触を思い出しながら……一杯のラーメンを、やがて食べ終えるのだった。
コバト:わァ……あ……(泣いちゃった!)
大将:漸く客と大将じゃなくて、個人と個人としてコバトと話せた。
先生:幾ら用意したんだよ貴方。
越前くんに専用機っている?
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いる!ワンオフ機でかっとばせ!
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いらん!量産機のまま頑張れ!