この世界のパワーローダーは格好いい。 作:むせる。
はい、越前コバトです。
今、我々が来ているのはですねぇここ!アビドス砂漠〜!いやぁ砂しかねぇ。当たり前だけど……
っていうか今日は普段よりも砂嵐が激しいっすねぇ。今日は砂嵐は比較的おとなしいって聞いてたんだけどなぁ……
噂によるとここにデカグラマトンの預言者、ビナーが居るので監視せよと言う任務のはずなのですが……そのために既に陣形まで形成しているのですが……
何故でしょうか、俺の乗っているパワーローダーのレーダーにはビナーの反応がありません。
……えっ、なんで?普段はこの程度の砂嵐なら普通に反応が見えるんですが……
「先輩、先輩の方からビナーの反応ってします?」
『ねぇな、他の班にも聞いてるんだが……全員見てないってよ……可笑しいな。座標は確かに……合ってるんだが……』
『こちらもだ。』
『俺も。』
『俺らんとこも反応ねぇぞ。』
パワーローダー隊だけじゃなくて戦車隊に歩兵部隊も同じか…………
「隊長、隊長の方は?」
『こちらもセンサーの感度を上げているが依然反応は無しだ。』
「……ちょっと聞くか……武装車両、越前だ。ビナーの反応がない、本当に座標は合っているのか?」
後方に待機している武装車両にはオペレーターが乗車してるんです。こういう時は大抵オペレーターに聞けば解決するから()
『……こ、こちら武装車両。こちらでもビナーの反応確認できません!』
『どうなってやがる?座標間違えた……わきゃねぇよな。』
『理事長がまた適当な仕事したんじゃねぇの?』
『あの理事長だしあり得るな。』
『理事長だしなぁ……』
PMCの兵士からもこんなに人望無いんだよなぁカイザー理事。まぁ実際あの人細かな指令一切くれないし、基本威張りっぱなしだし……。
あ、因みにカイザーPMCって意外かもしれないけど結構アビドス高校の借金9億状態に同情してる人多いんだよね。
みんな金が無いことの辛さは知ってるから……それはそれとして、これしか仕事無いからこんな仕事続ける割と本当にクソ野郎な奴ばっかなのよね。俺も含めて。
さぁて話を戻しまして……ビナーが居ないんだよな。武装車両には結構良いセンサー入ってたからそれでも見つけられないとなると、ここには居ない?
『隊長ぉ、いったん帰りましょーよ。』
『これ以上ここに居ても任務の続行は不可能かと。』
『理事長問い詰めましょうぜ。』
……待てよ、向こうの地形……変だな。ズームして確認してみるか……。
『……落ち着け、兎に角理事長からの指示を待たんことには……武装車両、頼めるか?』
『はい、今本部に問いかけているですが……砂嵐のせいか通信が繋がらなくて……』
あの地形、妙だな。
蟻地獄の巣みたいに陥没してる……あれ、そう言えばゲームの方だとビナーって砂地に潜る技があったよな?
『……駄目ですね、繋がりません。』
『うぅむ……』
『……あれっ?ビナーの反応確認――」
ぬかった……不味い。
『っ!?ま、真下ぁっ!?』
「全員退避だ!散開しろ!下がれぇっ!」
次の瞬間、砂地の地面は突如として大きく盛り上がる……その盛り上がりは武装車両を飲み込んで……次に現れるのは、武装車両を大顎に加えた白い鯨と蛇の合わせ後のような純白の機械。
違いを痛感する静観の理解者……ビナーである。
地面を突き抜けて現れたビナーは、その大顎で武装車両を容易く噛み砕くと、その辺に放り投げてしまう。撃ち付けられた鉄の破片が、砂地をまたも零していく。
『武装車両!武装車両聞こえるか!?』
隊長は必死な装いで武装車両にコンタクトを取るが……一切返事は返ってこない。すると、隊長は軽く舌打ちを撃ちながらも、冷静に行動する。
『ちぃ……兎に角散開、ビナーと撤退戦を開始する!』
『くっそ!このへびやろぉ!!騙し討かよ!』
騙し討ち……そうかも知れない。普通なら、ビナーの騙し討ちと考えるのが自然だ。
しかし、俺にはどうにも他の影がちらつく。
こんな事が前にもあった……そうだ。傭兵団時代、全く同じ様な騙し討ちに――
孤立無援状態で……安全圏と思わせたところからのビナーの襲撃……こんな事が前にもあった。そして最後には……皆……
(……また、
そんな考えが俺の中でこだまする。しかし、今はそんなことを考えている余裕はない……あのビナーからどうにかして生き残らなければ。
(……兎に角、撃つんだ。撃ち続けるんだ……銃身が焼け落ちても……!!)
俺が少し操縦してやれば、パワーローダーは片腕のガトリング砲を唸らせて、ビナーの顔面へと銃口を向ける。そして……放たれる無数の弾薬がビナーを襲う。
続けてたら他のパワーローダーや、戦車隊、歩兵部隊も銃と砲身を向けて射撃戦が開始される。丁度四方八方から囲む形となった。ビナーは身に渡る重火器の衝撃に身を捩らせる。
……だが妙だ。普段の重火器よりも圧倒的に手応えがない……これは、ビナーが強化されている?いや……これは……
「武器のランクが下がってる?」
俺がそんな事を呟いている合間にも、各自砲撃は忘れずに、そのまま順々と後ろに下がっていく。
逃げ出す隙を伺う兵士達。しかし、ビナーは残酷な道を兵達へと授けた。
その背から突然放たれるミサイル……普通のキヴォトスの一生徒なら気絶する程度の代物だが……我々普通の人間、普通のオートマタには命を奪うに足り得る代物だ。
俺はなんとか先輩や隊長と共に近くの岩場に避難してやりすこせたが……そうは行かない奴らのほうが多かったらしい。
『火、火が!燃えてる!燃えて――――」』
『お、横転した!誰か、誰かぁ!起こしてくれ――――』
くっそ、何人やられた?オペレーターが真っ先に逝ったから仲間の詳しい配置が分からねぇ。どれくらい生き残ってる?どれくらい助けられる?どれくらい――――
『仕方がない、周りは鑑みるな……自分が生き残ることだけ考えろ。』
『隊長っ!?仲間を見捨てろって言うんですか!?』
『勘違いするな、俺達は元々そう言う関係だ。蹴落としはしないが、手助けもしない……そういう関係が兵士だ。無論、仲間と共に心中したいのなら止めはしないがな。』
『隊長ぉっ!』
……仕方がない。
「ビナーを俺が惹きつけます。その間に隊長達は連れられるだけの仲間を連れて退却を!」
『っ!?越前!』
『駄目だ越前、自分が生き残ることだけ考えろ。ましてやお前はまだ若い。本来なら、学生として足を伸ばす年頃だろう?』
「……この道を選んだ時点で、透き通る様な青春は諦めてます。」
俺はその言葉と共に岩陰から飛び出す……兎に角、ビナーを惹きつけられればあとはどうにでもなる。
すると、ビナーはまんまと岩陰から出てきて出会い頭にガトリングの弾丸をぶつけた俺に夢中になっていく。ビナーは俺に向かってミサイルを見舞ってくる。
俺は直ぐ様背中のミサイルポッドからミサイルを繰り出して迎撃する。空中で激しい爆発音が響いた……俺は兎に角ビナーを遠くへと誘導しようとする。
追いかけっこの片隅で、遠くの方で動く先輩と隊長のパワーローダー、周りには生き残った戦車や歩兵が集まっている……あとは、みんなが逃げるだけだ。
だが、ビナーも何故だか、俺だけはただで返す気はないらしい。ビナーの口に光が灯っていく…………よく見知ったビームだ。
なんとか耐えきれそうな遮蔽物がないか探すが……無い。こりゃあ無理だな。
俺は諦め気味ながらも、なんとか砂地を駆ける……すると、何処からかビナーの顔面にミサイルガ撃ち込まれた。
ビナーはそっと撃ち込まれた方向を見ると、そこには撤退しながらも砲撃を行う戦車とパワーローダーの姿が……何やってんの!?死にたいのか!?死ぬぞ普通に!
「やめろ!振り向くな!何も考えずに行け!!」
『エース様だけに良いカッコさせられるかよ!』
『次弾装填します!』
『撃てぇ!撃てぇ!』
『越前!後で落ち合おう!』
「あいつら……!!」
……そういうのはしなくていいのになぁ!
ビナーさんもうビームのチャージ始めたよ、絶対派手にぶちかます気だよ!?やめてくれよ唯一の友達達なんだよぉ!
俺はなんとかガトリングと残ったミサイルを全弾撃って注意をこちらへ引かせようとする……ビームは俺に当たれと、そんなことを思いながら只管に撃ち続ける。
しかし、ビナーは俺よりも横槍を入れてきた仲間達の方を先に始末する気だった様だ……ビナーは、次の瞬間その胴体ほどの大きさもあるビームを放った。
そのビームがいとも容易くパワーローダーを、戦車を、歩兵を、命を容易く溶かす様を……俺は容易に想像できた。
俺はそっと目を瞑る何も考えないために、これからの衝撃に備える為に……そのビームの衝撃波で、俺のパワーローダーも溢れんばかりの砂と共に宙に浮いて、吹き飛ばされた。
俺のパワーローダーは砂の波に巻き込まれて、激しく地を転がる……ミサイルはさっき止めるために何も考えずに撃ち尽くした……もはや万事休す……何も俺にできることはない。
俺はただ目をつぶり、その時が来るのを待った。あるいは、こころの何処かで望んでいたのかもしれない。
だが、俺に最後の時は来なかった。固くつぶった目を開けると……外を映す画面は一面真っ黒……センサーを見てみると、ビナーは当たりを軽く動いた後にだんだんと離れていく。まるで俺を見失ったかのように……
俺はビナーが去った後で、なんとかパワーローダーを起き上がらせる……どうやら、砂の中に居たみたいだ。
…………嘘みたいな話だが、どうやらビナーのビームの衝撃波で巻き上がった砂の波に巻き込まれて、奇跡的に砂の中に生き埋め状態になり、ビナーの捕捉の手から逃れた……らしい。それが、今俺がビナーに見逃された一番もっともらしい理由だ。
一体どんなご都合主義だよ。小学生の書いたラノベモドキだってもっと理由づけするわ。
……だが、兎に角……今ここにあるのは俺がまた生き残ってしまったという真実だけらしい。結局俺はこのあとカイザーPMCの別働隊に回収された……まるでタイミングを見計らっていたかのように……つまり、ま、
はぁぁぁぁぁぁ……………
生きてるって辛い。
「……監視部隊の壊滅を確認。黒服、お前が目をかけていた越前は無傷だそうだ。」
「クククッ……そうですか、いやそうでしょうとも。」
カイザーPMCの理事長室。そこでは、一人の大柄なオートマタと、反対に黒い服を身にまとった異形の人が会話をしていた。方やカイザーコーポレーションの理事長、方や黒服と呼ばれる謎の男。
二人が話す話題は……カイザーPMCの1兵士。越前コバトである。
「黒服、貴様の言っている事が正しいのであれば……あの越前コバトと言う男は……」
「えぇ、彼は……越前コバトは、必ず生きて帰ります。どんな任務でも、ね。」
「なぜ言い切れる?」
「彼は生き残る事を義務付けられた存在――だからです。」
そう言って、黒服は不敵に笑う。
「彼は……今まで数々の本来死ぬはずの出来事を奇跡のような出来事を起こして回避してきた。幼い頃に砂漠に捨てられたのを傭兵に拾われたのに始まり、今回の不意打ちかつ
「偶然……いや、それにしても奴だけ生き残りすぎ……か。」
理事長は少し納得した様子で頷く。すると黒服は、なぜか自慢げに語り始める。
「……外の世界のとある作品の言葉をそのまま借りるなら、そう……
「……それで、お前はそんな越前をどうしたいのだ?研究か?」
理事長の最もな疑問に、黒服は答える。
「……越前コバトはそう言う
「なるほど……な……」
二つの足に大人の思想が今、錯綜する。
越前くんに専用機っている?
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いる!ワンオフ機でかっとばせ!
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いらん!量産機のまま頑張れ!