この世界のパワーローダーは格好いい。 作:むせる。
雑ですが少しばかしお付き合いを……
元傭兵団の可愛い息子、越前コバトだ。
早速で悪いが、今日は俺の昔話に付き合ってもらう。あんまり長い話にはしないから、寝転んだ姿勢で、気を楽にして聞いてくれ。
何か飲むかい?コーヒーか?ミルクか?紅茶か?俺はサイダーが好きだからサイダーな!
さて……と、どこから話そうかな。
……んじゃ俺が生まれた時の話を……俺が生まれた時、最初に目にしたのは、夜空に輝く星々と、天に浮かぶリングだった。
それを見た瞬間、俺は直感で悟ったんだ……あっ、ここブルーアーカイブの世界だ……ってな。良く背景で見た光景だったし、ちゃんと分かったよ。
同時に今の自分の体が非力な赤子だって言うこともな。
俺は俺として目覚めた時には既に段ボールに詰め込まれた捨て子だったんだ。アビドス砂漠の奥地で捨てたところを見るに……殺す気だったんだろうな。
まぁ、そんなこんなで生まれてそうそう詰んだなぁ〜って悩んでたんだよ。体は動かねぇし、夜の砂漠は寒いし、凍えて死にそうだった。
体温が風に奪われる度に、死の一文字が俺の体を蝕んでいったんだ。死は前世でも経験してるけど……そうそうなれるもんじゃない、慣れていい代物じゃないんだ。
「誰か、誰か助けてくれ!」って叫ぼうとしたけど、舌はうまく回らなくてしゃべれなかった。ただ言葉にならない唸り声を上げるだけだったんだ。
そんな俺にも希望の灯が見えたのは、意識が意識として機能しなくなった頃…近くの方に1台の武装車両が見えた。
その武装車両からは5人のオートマタが降りてきた……俺の方へと近づくと、リーダー格らしき一機が俺を拾い上げたんだ。
「なんだ?ガキがなんでこんな……冷たっ!お前つめてぇな!」
「ちょっ!?リーダーなに拾ってんですか!?戻してください!」
「あぁ?良いだろ減るもんじゃねぇし」
「減るんですよ生活費が!」
「リーダー、マジで何でもかんでも拾うのやめてくれ……」
「そもそも子供なんて……育てるのにいくら掛かるか!」
「傭兵として育て上げりゃいいだろうが!」
「そ、そんなのこの子にとってよくないでしょ!?」
「死ぬよかマシだろうが!良いからおら、取り敢えず連れて帰るぞ!」
「ま、マジですかリーダー!?」
そんな嵐のように激しく、流れるように過ぎさるコントを遠耳しながら、俺はその傭兵団へと拾われた。
正直、オートマタにオムツ変えてもらったり哺乳瓶でミルク飲ませてもらうのは違和感あったな……肉体に精神が引っ張られてるのか、恥ずかしくはなかったけど。
……そんでもって、命名の儀、コレがかなり酷かった。皆自分の名前が一番だって譲らねぇんだもん……主にリーダーが。
「うるせぇ!
「なんでそんなセンスのカケラもねぇ名前になるんですか!?」
「頼むリーダー、もっと真面目に考えてくれ……!!」
「んじゃあ西田 あああはどうかな?」
「なんでそんな適当につけた勇者みてぇな名前で通用すると思った!?」
「お前ら真面目に考えてください!この子の将来を決めるものになるんですよ!?」
「……あう。」
まぁ、そりゃあひどい有様だった……結局、仲間の一人のゲーマーが最近やったゲームの主人公から名前が取られることになった。それが俺の名前、越前コバトだ。
デス◯リムゾンと同じ様なゲームってキヴォトスにもあったんだなって思ったよ。
そんでまぁ、そこからはよくアビドスを連れて回れたよ。柴関ラーメンにもガキの頃に通ったことがある。
「大将、来たぜ!」
「おう来たな傭兵さん達!……おっ、チビちゃんも一緒か!」
「よろしくです!」
「もうしゃべれるんだぜ!?俺の息子天才じゃね!?」
「リーダー!何自分だけの息子にしてんですか!?俺等の息子でしょーが!」
「コバトは俺等の癒しだ、リーダーだけのモンにするわけには行かねぇ。」
「オメェも物扱いしてんじゃねぇよ!」
「ははは、コバト、俺の隣に座りな。」
「「「抜け駆けすんな馬鹿ぁ!!」」」
「ほら、あんたら、店の中て暴れようとすんな!客は居なくても俺の店だ、すぐにラーメン作ってやっから!」
この当時は大将も暖簾を掲げ始めたばっかで、店にはよく閑古鳥が鳴いていた。そんな店の中に、おれの傭兵団全5名……俺合わせて六名でよく遊びに行ったもんさ。あの時からラーメンの味は年々美味くなってるけどな。
そんでまぁ……後は何を話そうか。
傭兵についての仕事の叩き込み方は割とスパルタだった話でもするか?
いやぁ……兎に角必要なのは機動力ってんで、どこからか持ってきた戦車で追いかけ回されたりしたなぁ……
「逃げるなぁッ!!向かってこい!乗り越えろ!」
「ひぃひぃ!ふざけんなよ親父ィ!戦車は!洒落にならん!」
「がんばれ〜!」
「逃げろ〜」
「お気をつけ〜」
「ファイト〜」
「あんたら何呑気してんだ!?こ、殺される!」
「大丈夫だ!この程度じゃ死なん!」
「俺はヘイローねぇんだよ!キヴォトス人の中でも最弱なの!」
「ならもっと強くなるために逃げ切れるようになれ!」
「この野郎ォォォォォォォ!!!」
……かと思ったら、案外俺を学校に行かせられず傭兵として育てるしか無いことに結構負い目を感じててな。
学費自体は工面出来ないこともないらしいんだけど、傭兵の息子ってだけでどこの学校からも拒否を食らってな。
どの道捨て子の親無しだからな。もっと金を用意できれば違ったかもらしいけど……まぁ、タラレバだね。それは。浮いた金で俺専用のパワーローダーとか買ってくれたし……二基もな。
「すまねぇなコバト…………俺等の稼ぎが薄くてな、お前を学校には通わせられねぇ。」
「別にいいよ。傭兵も悪くない……このパワーローダーとか、結構高かったでしょ?それに、早く稼げるようになって親父たちに恩返ししてぇしな。」
「こ、コバトォォォ……!!」
「テメェが……ぐすっ……1人前になるまでは……ひぐっ……死んでも守り抜くからなぁ!」
「いやぁ……涙止まんないや……」
「よく、こんないい子にそだ……っぐす……」
「あんたら泣きすぎじゃない!?(そもそもオートマタって泣けるんだな……)」
傭兵ってのは稼げるようで武装とかの出費も差し引きするとそう大量に稼げるもんでもないのよ。ヘイローが無い俺でも戦えるようにパワーローダー残してくれたのは嬉しかったな。
……兎に角、幸せだったよ。裕福じゃあなかったけどね。幸せで幸せで……こんな日々がずっと続けば良いとか思ってた。
けどさ、俺は大事なことを忘れてたんだ。キヴォトスの価値観に慣れすぎて……本来、傭兵ってのがどれだけ死と隣同士かって、どれだけ雑な扱われ方をする職業かって――
その時俺達が頼まれたの任務は、カイザーコーポレーションからの任務……砂漠の奥地に、他の傭兵団とともに進むっていうだけの簡単な仕事だ。調査系の仕事だって聞いてたな。
リーダー格の親父がパワーローダーの通信機越しでも響くぐらいうるさく意気込んでたのを覚えてる。
『よっしゃ!テメェら!今回の仕事は中々に報酬がうめぇ!頑張って稼いで柴関ラーメン行くぞ!!』
『っしゃぁ!やってやるぜ!』
『いぇーい!柴関♪柴関♪』
『リーダー、ハメ外しすぎないてくださいよ!』
『っし!失敗しないように頑張るかぁ!』
「親父達元気だなぁ……」
『おら、コバトもやる気出していけ!気合いで負けたらどうにもならねぇからな!』
「分かったよ……んじゃま、気合い入れていますか!!」
簡単な任務だと思ってた……けれど、突然にソレは現れた。そしてその姿を見た瞬間、俺は改めて思い出した……この世界がブルーアーカイブだって事。
簡単にバッドエンドに向かっていけるような、不安定な世界だってことを。
『り、リーダー!コバトを頼み―――』
「あぁ……あぁぁ……!!」
俺の目の前で、ミサイルに巻き込まれて親父達がばらばらになって吹き飛んで行く。汚れたオイルが砂と共にオートマタのカメラに降りかかる。
俺は最早進むことも戻ることも出来ずに、目の先に佇む巨大な白蛇――ビナーに怯えることしか出来なかった。
『逃げろォォォォォォォ!!!コバトォォォォォォォ!!!』
たった1人残された、リーダーだった親父はアサルトライフルを片手に、俺を逃がそうとして1人ビナーの気を引こうとしていた。
ビナーはその誘いに乗る……だが、ビナーとオートマタ一機ではあまりにも大きすぎる戦力差があった。
ビナーは口からレーザー砲を放ち、一応は歴戦の猛者だった最後に残った親父を、今度は破片も残さず焼き焦がしてしまった。
親父の……最後の一言は覚えてる。
『お前らしく、生き抜け!』
……全てのオートマタを焼き尽くしたビナーは、最後に残った俺のパワーローダーを見つめる。……だが、俺は恐怖はおろか抗う気力すらもなくなっていた。
もういっそ、同じところに送ってくれ……そう願ってしまった。
だが、次の瞬間ビナーに無数の砲撃が降り注ぐ……その弾動の元に現れたのは、無数のカイザーPMCのオートマタと、パワーローダーだった。
俺は何が何だかわからないまま、そのカイザーPMCの連中がビナーを撃退する所を眺めていた。そして、たまたま聞こえてきた通信からは、こんな言葉が聞こえてきたのを覚えてる。
『無知で馬鹿な傭兵でも、弾除け位にはなったか……』ってな。全員が全員こう思ってたわけじゃないだろうが……少なくとも、俺の心には深くえぐり込んできたんだよな、そのセリフが。
これが、14歳の頃の出来事だ。
おい、いつから傭兵活動してるんだなんて野暮な質問はよしてくれよ?11歳の娘が戦車乗ってるような世界観だからな。
それに、今回は特別軽い任務の
……まぁ、それから生き残った俺の腕が評価されて、俺はカイザーに入れられた。潰してやりてえと思ったが、考えてみたらどうせ潰れる組織だしなって、そう思ったらどうでもよくなっちまったよ。
そして俺は決めたんだ……無知で馬鹿で、クズな傭兵でも、居場所くらいは作ってやりたいってな。少しはまともな居場所があれば、弾除けなんて扱いはされなくなるだろう……ってな。
それまで2年間、耐えに耐えに耐えたよ。俺の周りの仲間もたくさん死んだけど、俺だけは意地でも生き残ることにしたよ。俺が死ねたのはもう、家族が死んだあの日あの瞬間だけだって思ってな。
そして、漸く本編が始まった。想定よりも早かったけどな……正直、転職活動は全然進んでなかったが……もうここまで来たら行けるところまで行くしか無い。
……っと、想像よりも長くなったな。簡単に俺の過去を話したが……面白い話でもなかったろ?ありがちで陳腐な話だ。だけど、俺にとっちゃ辛い物語だってのは覚えておいてほしいな。
……さて、んじゃぁ……またな!!
越前くんに専用機っている?
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いる!ワンオフ機でかっとばせ!
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いらん!量産機のまま頑張れ!