この世界のパワーローダーは格好いい。   作:むせる。

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最低野郎

 

 おっす!オラ越前コバト!

 最近深爪しちゃって悩んでる16歳!夢は戦場で真っ赤なお花()を咲かす事!

 

 いやぁ、この日が来ましたよ……俺の計算が正しければ今日この日にアビドスの連中がカイザーPMCの基地まで来ます。と言うか来てます。

 

 いやぁ、長かったね。俺にとっちゃあ親の仇の元にいて2年ですから、そりゃあ長かったぁ……でも、なんだっけ……そう。アリウスの子達よか幾分かマシかな?

 

 ……まぁ、あの辺はマジでもう俺に出来ることないからね。先生!頑張れって感じでやっていきましょうか。

 

 そんで俺は今何をしているのかと言うと…スニーキングって奴です。

 

 取り敢えずコヨーテ達を出すために営倉の鍵を入手しなきゃいけないんですけど、鍵の保管場所までなるべく人に見られないように移動をします。

 

「あれっ?越前お前なにして――がふっ!?」

 

 見られてない見られてない。

 

「越前?こんな所で何を――へぶっ!?」

 

 大丈夫大丈夫。

 

「越前!貴様、こんな所で何――ぜふっ!?」

 

 しつこい。

 

「ふぅ……」

 

 見られたやつ片っ端から気絶されれば見つかったことにはならないから。まぁ普段はこんなうまく行かないけど、アビドスの皆が来てる今だからできるんだよね。

 

 

 ここまでうまくいくとは思わなかったし、ここまで引っ掻き回してくれるとは……向こうは気づいてないと思うけど結構でかい貸しが出来たみたいだ。

 

 いや、俺が仕向けたんだけどさ。

 

 はははっ……

 

 

 ……駄目だ。考えないようにしてたけど、やっぱり無理だ。

 

 

 アビドスの皆って、たしかこの戦いが元で借金増やされて、ホシノが覚悟完了するんだよな。

 

 俺が何もしなくても同じ結末になったとは言え、この結末を持ってきたのは俺だ。

 

 ……あぁ駄目だな。俺はなんてことをしでかしちまったのかねぇ。何も知らない奴から見た俺って……どんな風に映るのかな。

 

 きっと、自体をかき乱してそれをいい様に利用して甘い蜜をすすってるようなやつに見えるんだろうな。

 

(いいのかな、これで。)

 

「……良いわきゃねぇな。」

 

 親父達にはこんな姿、恥ずかしくってみせてらんねぇや。散々カイザーがなんだかんだ言っておいて……俺も何も変わらねぇな。周りを都合よく利用してるだけだ。

 

 あぁだけど、止まれねぇ。止まれねぇな、もう。

 止まっちゃならねぇ……進み続けるしか無い。

 

 

 

 

 兎に角、無事鍵を手に入れたので営倉に向かうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!基地に何者かが攻め込んできてるってよ!」

「命知らずな奴らだな……」

「アビドスの生徒らしいぞ!」

「マジで?戦いたくねぇなやりずれぇよ……やるけどさぁ。」

「パワーローダーを出せ!戦車もだ!」

「おい、営倉の鍵が盗まれたって……」

「なんだって!?こんな時に……」

 

 いやぁ、何だか騒がしいですねぇ。

 

 そんでもって俺が何をしているのかと言うと……現在、営倉に向かっています。もう既に想定よりも早くアビドスの面々が来ているんですよね。お陰で警報が鳴りまくっています。

 

 いやぁ、いい感じにアビドスが引っかきまわって勝手な行動してても目立ちづらいのは良いっすね。いやぁ、どうせ突き止めているとは言え、情報渡してだ甲斐がありますわ。

 

 にしても、みんな慌てふためいてますね。こんな事初めてだからしょうがないけど、もう少し落ち着いて行動しましょうよ、慌てて大軍を出しちゃってさぁ。

 

 理事長もカッコつけるために精鋭を表に出して威圧しようとしてるし……なんなん?みんな馬鹿なん?俺の聡明な頭脳を見習って欲しいですね(IQ12)ザル警備やし。

 

 さて、こんな時だから基地と隔離された営倉には余り人が居ませんね、俺は間違って営倉に来ただけで本当はトイレに出かけに来たんですけどね。

 

 にしても、営倉の鍵が盗まれたらしいですね。いやぁ怖いわぁ。火事場泥棒ってやつですか?きっとろくでもないやつなんでしょうね。

 

 そんな話をしている合間に付きました。営倉です……見張りはいませんね、流石に駆り出されているようてす。さて、コヨーテ君の様子を見ましょうか。

 

「おっすコヨーテ!」

「おう、来たな反逆者。」

「いやぁ、本当は出撃命令かかってんだけどトイレに行きたくてさぁ。」

「ここは便所じゃないが?」

「お前って犬の糞みたいなもんじゃなかったっけ?」

「死ね。」

 

 はい、コヨーテくんとの会話を乗り越えまして……さて、この取ってきた営倉の鍵束を使って檻を開けましょう。

 

「アビドスの連中が攻め込んできてな。」

「ほぉ……それでどんどん騒ぎがデカくなってる訳か。その隙にサボリとはな。」

「いや、なんでも営倉の鍵を盗んだ不届き者が居るらしい。向こうはそれ含めて手一杯だからな、サボリ魔くらい見逃してくれるでしょ。」

「ほぉ、そりゃまた大胆な……んで、お前その手元でガチャガチャやってんのはなんだ?」

「えっ?営倉の鍵。」

「やったなお前。」

 

 なんだよコヨーテ失敬な、俺は盗んでなんかいねぇぞ。鍵の保管場所に秘密で入って、誰にも言わずに鍵取ってきただけだ。後でちゃんと返すさ、地面に。

 

 ……おっと、この鍵か。開いた。……んあ、営倉のオートマタが何かいいたげにこっちを見ている。

 

「お、お前ら……まさか本当にカイザーから抜ける気なのか!?」

「そうだ……こんな企業に、本気で!?」

「無理だ、殺されるぞ!逆らった人間がどうなるかなんて……」

「別に頼む気はない……コヨーテ、んで、誰が来るんだ?」

「……()()()()()()()

 

 ……はぁっ!?ちょっ……時間がっ!?

 

「……2つだ。俺達には今2つの選択を与えられている。一つはこのままカイザーにいいように使われて、ボロ雑巾のように擦り切れるまで使われるか。それとも、このぼんくら(越前や俺)についてきて、戦って、人として生き死にを決めるか。どちらかだ。」

「お前……」

 

 ……あらかじめ決めておいてくれるのかと思ったらこう来たか……まぁ、ある意味安全っちゃ安全か。

 

 前々から協力するって言っておいて、結果裏切る奴よか、ここでその場のノリでも陣営を決められるやつのほうが良い……のか!?

 

 ……まぁ、そして案の定誰も手を挙げない………………いや、数人は手を挙げてくれてるのか。それでも営倉の全体からすると少ないな。

 

 不平不満を挙げて檻にぶち込まれた連中が、いざチャンスが来るとなるとこれか……まぁ、仕方がないよな。完全な泥舟だしな……

 

 取り敢えず手を挙げた奴らの檻の鍵を開けて……っと……新規で四人か。まぁ、居ないよりかはナンボもマシだな。

 

「……越前、銃をよこせ。」

「あ、あぁ。」

 

 取り敢えず、隠し持ってきた銃で足りそうなのは良かった。他のついてきてくれる四人にも渡しておく。

 

「それで、これからどうするんです?」

「武装車両を一機外でスタンバらせてる。今はアビドスの連中が殲滅してた影響で表の戦力は手薄になっているはずだ。そこを強行突破する。」

 

 ……俺のことをよくわかってるコヨーテは何時ものことのように頷くけど、他の連中は渋い反応だな。

 

「ははは、わかってたけど本当に泥舟だなぁ……」

「キツイっすねぇ……」

「今から戻っても良いんだぜ?」

「冗談。」

 

 でも、カイザーから抜け出したいって気持ちは本物だな。

 

「さて、んじゃそろそろ――――」

「なっ!?お前達!何をしている!?なぜ営倉の扉が開いている!答えろ!」

 

 流石に悠長に話しすぎたな……もう兵士が来た。

 

「……越前は後ろからついてこい。お前が前に出るとろくなことにならん。」

「あぁ……後ろは任せな。」

 

 よっしゃ……行きますか!

 


 

「存外悪い時間でもなかったな。さぁ、お客様を入り口までお送りして差し上げろ。」

 

 カイザー理事長のその言葉が、あの勝ち誇った表情が、頭にこびりつく……アビドスの面々は、これからどうしたらよいのかわからずに、PMCの入り口へと歩いていく。

 

「……。」

 

 重たい空気がその場を支配していた……すると、その静寂に水を指すように、施設の脇から猛烈なエンジン音が響き渡る。

 

「っ?」

「この音は……」

『っ!気をつけてください!1台の武装車両が接近しています!』

「っ!?まさかカイザーの!?なんで!?」

 

 皆が疑問に思うと同時に、曲がり角から猛烈なドリフトをしながら1台の武装車両が大きく跳ね上がって現れる。

 

 その武装車両は、アビドスの生徒たちには目もくれず、見えてきていた入り口へと猛スピードで走りさす。タレットや戦車が後を追いかけるが、次々と武装車両に撃たれ沈黙していく。

 

「あれは……」

「!?!?どういう事!?なんでカイザーとカイザーが戦ってるの!?」

(……あの子が言ってたのはこう言うことか……最低野郎だね、本当に。)

 

 ホシノは、そこであのカイザーの男の……越前の目的がコレであったことを理解する。

 

 要するに、アビドスはあの越前と言う男に利用されたのだ……

 

 この混乱に乗じて、彼らが逃げるための。しかし、アビドス側が得れたものなんて言うのはなにもないしむしろ失ったもののほうが多い。

 

 ……今回の件、実を言えばホシノはあの越前から貰った情報は何一つ使っていない。

 

 ……身も蓋もない言い方をすれば、すべて()()()()()()()()()()()と同じ手順でここまでアビドスの皆はたどり着いたのだ。

 

 だが、結果的に越前の思い通りになったことは、ホシノにとっては癪な話ではあった。しかし、今更どうすることも出来ない……

 

 もはや、真っ当な方法で借金を返すことは不可能と言えるほどにまでなっていた。

 

「ん……追いかけてみる?」

「いえ……あまり関わらないほうが吉でしょう。」

「……もうっ!訳がわかんない!」

『……。』

 

 フィクサーたる先生も、その武装車両の動向は気になっては居た……後で個人的に調べよう。そんなことを思いながら、先生はアビドスの皆へと告げる。

 

『兎に角……皆、一度戻ろう。』




主人公であれども、どんな過去を持とうとも、彼が最低野郎であると言う事は変わらない。
開き直りを鉄の鎧にして乗りこなす。
撃たれた言霊弾かれど、撃った言霊は跳ね返る。
止まることが出来ぬと嘯く彼はまだ、戻れる場所に居るのだろうか?



アンケート投票を締め切りました!ワンオフ機も量産機もかなり接戦ですね。一応は量産機の方が数が多かったので、量産機ルートで進みます!ですが、コバト専用に魔改造はされるかもしれません。もしよろしければ、お楽しみに。

越前くんに専用機っている?

  • いる!ワンオフ機でかっとばせ!
  • いらん!量産機のまま頑張れ!
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