孫権たちが母・孫堅の頃に仕えてくれていた兵士を集め、荊州方面と豫州との交易路を兼ねる九江郡一帯で治安維持活動を始めたのは、およそ半年前の夏の半ばだった。
当初、州都
「時ハ来タレリー」
それでも、「やっと」と言うべきか。年をまたいで春を迎える頃になって難民の流入が減ると、ついに孫呉陣営も手元の人員の半数近くを動かせるだけの自由を得た。
「そうね……。私も感慨深いわ、シャオ」
時を少し遡り、
丹陽を取り囲んだ兵を見せつけ「協力しないって言ったらそのままお前らに兵を向けるけど袁術ちゃん許せないよね?」と尋ねたところ、こぞって同意してくれたのだ。
やはり孫呉の地で袁術の圧政に苦しむ人々を、一刻も早く解放しなくてはならない。
丹陽を取り囲みながら行った交渉で、呉郡四姓のうち陸家を除いた三家からは合わせて二万近い兵力の支援を約束された。
これに陸家の伝手で揚州中から集めた五千、降伏した丹陽から差し出された精兵四千、袁術から孫策が預かった二万、同じく袁術から孫権が預かった一万、孫家が長沙を捨てて揚州に逃げ込んだ頃から仕えてくれている兵士とその家族のうち戦える者が千。
孫呉が好機を掴んで手にした六万。
対する袁術が手元に残している兵は四万。
孫呉陣営には忠義に篤い将兵が多いものの多数の勢力が混ざっているため不安が残り、袁術陣営は忠義に篤い者こそ少ないが単一の命令系統が確立している有利がある。
孫呉には数の優位があるが、勝算は五分を少々上回るくらいだろう。
それでも、千載一遇の好機だった。
これを逃せば十年か二十年かは巡ってこないだろう、最上に近い条件が整っていた。
北の袁紹と曹操が騒いだおかげで、袁術の注意もそちらを向いている。
内側だけではない。外に目を向ければ荊州の劉表も曹操たちに注目しているし、揚州のすぐ北側の豫州からは、北方での決戦に向けて曹操が兵を引き上げている。
全ての条件が、孫家にとっての絶好の機会であることを示していた。
すなわち、弓腰姫の出番であることを示していた。
「人はなぜ出番を求めるのか……? シャオ知ってるよっ、それでも出番だけがシャオの全てじゃない、って!」
「……出番……? シャオ、貴女疲れてるのよ……」
◇◇◇◇
「さすが景升! 俺がやらないことをやってのける! でもこれはもっと早くやれよ」
手にしていた手紙をたたみながら、空海が呆れたように言葉を漏らす。隣で聞いていた周瑜が思い出したように一つ頷いた。
「……そういえば、ようやく洛陽と長安の主要なお役目を抑えたのでしたな」
「うん。ただし、相変わらず手が足りていないというか……。わざとか? もしかして、宮中出入りの
意志さえはっきりとしていれば袁紹が北方を支配する前にも行えたはずの政治介入。
劉表は遅らせるだけ遅らせて、現実には曹操が北方に支配権を確立したこの時期にまで引っ張ってきてしまっている。
強引さを持たないと言えば聞こえは良いが、決定力に欠けているとも言えた。
江陵は既に
「わかってはいるでしょうが現実には排除できず、味方であることを言い訳にして対応を諦めているだけでしょう」
空海は、江陵の商人以外には満たせない商品の基準を宮中に定めさせ、必要な話を持ち込んだり持ち出したりしている。どれだけ業者を替えたくても江陵商人に頼るしかなく、宮中でどれだけ人事に口を出せたとしても、本拠が外にある江陵商人は宮中への影響力を残す形だ。
基準を改悪する以外に入れ替えの可能性は低く、万が一改悪しようものなら空海元帥が飛び出してくる。そうして事が天子の耳に入り――いくつかの一族が粛正にあって以来、宮中の商人から不正による外の商家との繋がりが消え、出入りの商人や職人は半数以上が江陵関連の勢力に塗り替えられた。
宮中には今や、空海との繋がりを求めて積極的に江陵商人に荷担する役人すらいる。
先の徐州騒動に前後して、曹操の祖父で宦官の最高位にまで上り詰めた曹騰の伝手が、江陵の商人に売り払われていた。商家が入れ替えられ、職人がすげ替えられ、商品納入の基準が変更された。皇后府を取り仕切る商家が江陵のものとなったのだ。
これは『信頼できる情報源』の多くが、江陵のものになったことを意味する。
つまり、空海が「曹操の影武者は女装男子」と言えば、宮中の多くの役人それぞれが、それぞれの信頼する情報源からその噂を耳にすることになり、最終的には天子の耳にまで噂が届くのである。
「それでもウチに人材を求めてこないのは約定があるからか、信頼されてないのか……」
「どちらかと言えば後者でしょう。ですが、やはり約定を理由に御自身を納得させておられるのではないかと。根が真面目な御方ですからな」
「ある意味で素直ないいヤツなんだがな」
半ば以上に嘲りを込めて告げる周瑜を目で制しながら、空海はのんびりと笑う。
曹操の反乱から逃げ出した北部の人材は、その多くが
さらに一部の者達は、逃げ込んだ土地の背後により栄えている地があることを知って、江陵にまで流入してきている。
周瑜が軽く頭を下げ、話題を劉表の行った人事の影響に移す。本拠荊州の北側、司隸にある首都洛陽の
「司隸を抑えたのであれば次は後背の馬家を疎んじる可能性があります。翠たちにはそろそろこちらへの移住を勧めてはいかがでしょうか」
「ん……役職を返上させて、か。受け入れ前に誰かを向こうに送った方が良いかな?」
受け入れの準備はもちろん、涼州そのものが江陵の権益を損ねない組織に収まるよう、要所の人事を抑えたり民心を誘導する任だ。生半可な人材では任はこなせないだろう。
「そうですな。お許しいただけるのならば、我が一族から五名ほど出せればと。我が家の者は移住を果たしたばかりで未だ不安を見せております。そろそろ重要な案件に絡ませてやって下さいますれば、安心を得られるかと」
「……そう、か。周家以外にも仕事を回すこと。他は任せるよ」
空海は「
「景升にも一応、祝いの品でも送りつけておくかね」
◇◇◇◇
「へっ……へっ――へんしょうぐんにりょふをにんずるッ!」
「呂中郎将を改め呂偏将軍に任ずるのこと」
ズルズルと鼻をすする劉表の指示を耳聡く聞き取った書記官が、人事案を書き留める。
中郎将は漢の遠征軍指揮官であり、これまでは南方の制圧のためという名目で二年ほど劉表に指揮権が預けられていた。対する偏将軍は実権で中郎将に劣る将軍位ではあるが、州に属する軍事力と見なして扱われているため、この人事で実質的な部下という状況から名実共に部下へと所属を変えることになる。
それもこれも、河南尹や京兆尹への人事の介入が上手く行ったために上位の役職に空が出来たことが理由として大きい。
鼻をすすった劉表が真面目ぶった表情で書記官に尋ねる。
「うぅむ。呂布はこれで好きに動かせるとして――劉備はいかがしておる?」
これまで劉備の軍事力を牽制する意味合いで近くに置いていた呂布。効果があったかはわからないが、結果として騒ぎが起きていないことは評価すべきだろう。
呂布を恐れて――かはわからないが、劉備が早期に騎兵の半数を劉表に預けたことや、劉備軍が
劉備と共に半ば派閥を形成しかけていた公孫賛が軍と共に襄陽を離れたことも、最近の劉表の心に平穏をもたらしている要因である。
「は。本人の希望もありまして、現在は荊州牧の代筆のお役目を負わせております」
「ああ、南部豪族どもへの文か……。うむ。まぁ、ちょうど良いだろう」
劉表は、劉備の狙いが交州方面での立身にあると見抜いていた。
現在の交州は反劉表とも呼べる勢力が荊州の南部と争っており、足を引っ張り合っている状態だ。例え信用しきれない味方であっても自勢力の下にまとまり、それが劉姓であるなら大いに面目は立つ。
さらに、荊州南部と北部の間には大陸一の重石がある。
南方に関心を向けている野心家。大いに結構だ。
「問題は西だ……。劉璋めが、劉備を招き入れようとするとは……」
徐州での騒動の終わりに空海からもたらされた報。
幸いにも江陵が牽制してくれたおかげで大事には至らなかったが、劉璋軍四万と劉備軍六万それぞれに対処することと、劉璋劉備の連合軍十万に対処することでは問題の程度が違いすぎる。
劉備を軍から引き離したのも、これに関わる動きを警戒してのことだ。
現在の益州は江陵が蓋をしている。ただし、それは益州の東側に関してのみだ。
益州の北側には
万が一、益州の劉璋と荊州の劉備が結び、
是が非でも避けたい未来を思い描き、劉表は荒々しく息を吐く。
まずは、劉表の下で反目しあう親戚筋をそれぞれ首都と古都に押し込め、曹操に不正に支配されている北方へと回す人材を捻出させる。人材に目処を立てた後に、改めて曹操を朝敵に指名する。
無傷で入手することにこだわったのも手の内に転がり込むであろう人材のためだ。これ以上、江陵の手を借りて弱みを増やすわけにはいかない。
「いっそ馬家を漢中に送り蓋に……いや、まずは揚州から周家の民を集め…………」
劉表の悩みは尽きない。
「よし。劉璋には生魚でも送っておけ。勝手に深読みして謝ってくるだろう」
◇◇◇◇
「いっ、一大事です!!」
「なんじゃ騒々しいの……」
「たった今、このようなものが……!!」
落ち着きなく執務室へ駆け込んできた兵が手に持ったそれを掲げる。
「えーと。あら? 『暴君袁術を討つべし』? 『孫策』さんって書いてありますね」
「――なん……じゃと……?」
鈍い袁術すら驚愕させた報告は続く。
「重ねて報告致しますっ! 孫策らは各地の豪族に決起と従属を命じており、この寿春の周辺からも救援を求める使者が集まっています!」
揚州の各地に発せられた『袁術討つべし』の檄文は袁術についた――というより孫呉につかなかった――豪族達の手によって袁術の元にまで届けられた。
もとより袁術軍への豪族の合流はもちろん、自軍への合流すら待つつもりのない孫策にとってみれば、袁術軍の内部決裂や数少ない将兵の分断をもくろんでの通告である。
「あららら、どうしましょう、どうしましょう?」
「なっ、七乃ぉ、なんとかするのじゃぁ!」
孫策たちの離反を知って今さら袁術が慌てたところで、優秀な将兵の少ない袁術軍では防衛に必要な準備などまともに行えるはずもない。
既に大勢の決した戦にも、孫策は手を抜くつもりはない。(あんまり強くない)獅子は(かなり強い)兎を狩るのにも全力を尽くす(必要がある)のだ。
張勲は冷静に状況を分析し、冷静に計算し、冷静に判断して、冷静に結論する。
「うーん……ひとまずお嬢さまのご実家に援軍をお願いするとして……、これは真面目にマズいですねー、マズいですよー……。滅亡待ったなしかもしれませんよー……。荊州に逃げ込むことも考えなきゃいけませんねー」
その決断は、援軍が時間稼ぎにしかならないことを理解してのもの。
だが。事態は既に、判断すら手遅れの状況に陥りつつあった。
九江郡
寿春から250里(100㎞)離れた陰陵の地に、
十数年来の悲願に沸く孫呉の兵が、
近年の圧政からの解放を望む民が、
袁術に牙剥く軍勢が、集結していた。
六万もの兵が、集結していた。
「袁術さんが、早く帰ってこいと騒がれて
偵察兵からの報告をまとめていた陸遜がにこやかに告げる。
のほほんとした見た目でのほほんと笑っているが、軍の威圧で呉郡四姓から兵力を引き出し、僅かふた月の間に軍事力として体裁を整えた希代の参謀だ。
即席の戦力に完璧を望むことはできないが、それはどんな軍であっても多かれ少なかれ持つ悩みだろう。
大事なことは敵よりも余裕を持つことであり――既に優劣は決している。
「早く帰って……徐州にでも攻め入るつもりなのかしら? あの娘には、揚州の置かれた状況が全く理解できていないんでしょうね」
孫権は面白くもなさそうに情勢に思いを馳せる。
袁術に牙を剥くことだけなら簡単だ。それを今この瞬間まで待ったのは、孫呉の勝利と独立を勝ち取るまでの道筋がついたからに他ならない。袁術に勝利することも、目的ではなく手段。孫呉独立のための入口である。
真面目にそういうことを考えている孫権にとっては、袁術の場当たり的な行動を腹立たしく思うことはあっても擁護しようという気は起きない。
「治安維持活動の折り、寿春との間に陣地を形成済みです。ご命令をいただければ二日で寿春に迫れるでしょう」
甘寧がニコリともせず生真面目な様子で述べる。
付け加えるならば、大軍が通りやすいよう道や橋を整え、袁家本拠の豫州
残る唯一の戦力とその移動手段である船も、先日の丹陽郡攻めの際に孫策が持ち出しているため、今の汝南にはまともな足はない。
つまりこれで、寿春の四万にだけ勝てば良くなったのだ。
「じゃ、ご命令通り、さっさと寿春に攻め込んであげなきゃね」
袁術の言い回しをなぞりながら、孫策が軽い調子で凄惨な未来図を思い描く。
妹の
民のために立ち上がった母を国に殺され、民を守りもしなかった劉表に荊州を追われ、揚州の片田舎に押し込められて嵐が過ぎるのを震えながら待った日々。味方面した袁家に功績を奪われながら飼い殺しにされた歳月。
その無念を、背負っている。
「逃げる間もないくらいにね~♪」
孫策の言葉に、虎に跨がった孫尚香が楽しげに続く。
物心ついた頃から袁家を打倒して孫呉が立つことのみを教わってきた
役者は揃い、小道具も整った。あとはこの舞台を精一杯、演じきり、踊りきるだけ。
渋い柱ような黄褐色の、足先までが栗毛の涼州赤兎馬に跨がった孫策と孫権が、兵士の前に進み出る。袁術から
袁術の財力と支配力では、七万もの軍勢を維持し続けるのは至難であった。寿春に残る兵の半数近くは兵役で集められた農民だったが、さして安上がりになるわけでもない。
揚州の力のほとんど全てを軍備に回して、それでも装備が行き渡らないほどの貧乏軍隊というのが、揚州を支配する袁術軍の実態だ。
そんな中にあって、十万銭もの装備に跨ることが、それを許される孫権たちが、いかに優秀であるかは推して知るべしである。
その大柄な栗毛の馬を見た兵の間に、興奮のどよめきが広がっていく。
「赤兎馬すごいなー持ってる人憧れちゃうなー」
「シャオには白虎がいるでしょう……」
もちろん小蓮が跨がる大柄な虎を見て怖がる兵士も多い。というか大半が怖がる。
別の意味で興奮を生み出しているが、これは小蓮にとって日常である。
「欲しいなら袁術ちゃんから貰えばいいわよ。すぐにいらなくなるんだし」
「なーるほどっ。あったまいい~♪」
孫策と小蓮の軽口の応酬に、孫呉の将たちから小さな笑いが漏れる。
それを横目で確認した陸遜が、孫策に向かって頷いた。
「――さて。それじゃ、征くわよ」
住処を追われ、鞭で打たれ、牙を折られた孫呉の虎の、反撃の第一歩。
「聞けッ!! 孫呉の兵たちよ――!!」
◇◇◇◇
「孫策が蜂起した……のは、全く予想通りだったが」
空海が集まった面々を見渡しながら告げる。
「確かに。その情報を劉将軍がいち早くつかんで、その上、袁術の負けを予見して出兵を決断してしまうというのは、少々予想の上を行きましたな」
「客将の劉備さんから預かった幽州騎兵が、劉将軍を強気にさせているのでは?」
「呂布さんを自由に動かせることも大きな理由だと思いますよー」
周瑜、鳳統、程昱が好き勝手にそれぞれの予想を述べる。どの顔も軽い笑みを浮かべた余裕の表情で。
言葉通り。孫策の反乱を受けて、劉表は出兵を即断していた。
「それ以前からも物資や人を集めて軍事行動を起こす前兆はありました。今回はたまたま準備と好機が一致したため、素早い行動に結びついたのではないでしょうか」
「謀反を知ったのも、避難民を通じて孫策の檄文が江夏郡の黄祖に伝わったおかげね」
孔明と賈駆が生真面目に答える。
もちろん、江陵はもっと早くに事態を把握していたし、関わってさえいた。呉郡四姓に戦力の供出を決断させたのは、孫策の脅しだけではないのだ。
軍師たちは、自信満々に笑う空海に視線を投げた。
「さて諸君。出兵だ」
揚州を抑えて誰が生き残るかはこちらで手綱を握りたい。少なくとも孫策を残しておくことは江陵にとって利益にならないという方向で、幹部会の意見は一致している。
変わらない笑みを浮かべたままの周瑜が、有無を言わせぬ雰囲気で口を開く。
「しかし空海様。出兵はやはり、劉将軍からの要請でしょうか?」
「ああ。何か問題があった?」
「はい。どちらが出兵を主導したかについては、明らかにしておく方が良いでしょう」
「……ふむ。そうなの?」
「民草が江陵に抱く希望などもありますし、兵力を前面に押し出すか、支援活動を前面に出すかといった現場での調整も行いやすくなります」
「あぁーなるほどーわかるー。うん。確かに景升が要望してきたことだよ」
この瞬間、空海は、もし本当は言われてなかったとしても劉表がやったことにしてしまおうと決断した。なぜなら作り笑顔の周瑜が怖かったからである。
笑っているのか怒っているのかも分からない表情は笑顔とは呼べないかもしれないが、普段の彼女を知らない者たちが見たところで普通の笑顔に見える点では笑顔と言って良いだろう。よく知る人間が見たら逃げ出すべき表情のことだ。
今回は本当に劉表から頼まれたことであるので、嘘を言わずに済んで良かったと空海は思った。
こんなのが鬼だったら一寸法師だって裸足で逃げ出したはずだと、脳内で周瑜と一寸法師を戦わせた空海は結論する。だって怖いでしょう? と空海は脳内でどこかに向かって懸命に言い訳した。
この決断が後に大いなる災いとなって自身に降りかかることになろうとは、このときの空海には思いも寄らないことだったのです。
「――そんなことより人選だ!」
力強く言い切った空海に視線が集まる。
「討伐や鎮圧の方針はともかくとして、避難民の収容は急がせなくちゃいかんよな」
空海の言葉に頷いた軍師たちが視線を交わす。
「でしたら霞さんに先行して貰いましょう。どうかな、雛里ちゃん?」
「あっ、しょれなら、っそれなら、間諜の流入を防ぐために明命ちゃんにも行って貰った方がいいと思います!」
「受け皿になる江夏には二黄のどちらかに入っていただき、民の動揺を抑える役に回ってもらえるとありがたいですねー」
「ボクからは
「いや、祭殿はまずいかもしれん……。江夏には
華雄の名を聞いた軍師たちの顔に、苦虫を噛み潰したような表情が浮かぶ。あの猪武者一人のために綱渡りを強いられたという共通の経験があるのだ。
軍師たちのそんな様子を見て逆に楽しげな笑みを浮かべた空海が、意見をまとめる。
「ん。顔を合わせる可能性を考えれば楽観するのも問題か。じゃあそっちには漢升に出て貰おう。避難民の回収は
後は任せる、と言い残して空海が立ち去り。
残った軍師たちは悪巧みを始めた。
「報告致します! 現在、江夏に向けて、襄陽のみならず江陵からも多数の兵が集結中とのこと! その数、十余万!」
『!?』
「……やっぱり、周家も劉表さんも空海さんも、お邪魔ですねぇ……」
孫呉は出した……!
出したが……今回まだ、その役どころまで明らかにしていない。
そのことを、どうか諸君らも思い出していただきたい。
つまり私がその気になれば、孫呉の境遇は急転直下からのトリプルルッツからのダブルアクセルからのダブルトウループということも可能だろう…………ということ……!
この作品の孫策&孫権の雰囲気は史実2:恋姫5:演義3くらい、のはず。
>一寸法師さんマジリスペクトっすよー
相手がお姫様だろうが何だろうが、相対的には進撃の巨人と何ら変わらないわけで。
前回更新から約9ヶ月!
投稿遅れまくってすいません。次回のお話はまだほとんど書けておりませんので、投稿時期も不透明です、ごめんなさい。