転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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創世時代
創世記


 

 はてさて。

 目が覚めると、俺は実に見覚えのある創世滅亡輪廻の神、アルジュナ・オルタになっていた。

 

 アルジュナ・オルタとは。

 人気ゲームFGOに登場する超統合神性であり、黒き最後の神とも称される超常の存在である。

 完全性が証明されており、その存在にはあらゆる瑕疵が適用されない。

 世界の滅亡と創世すら可能な唯一の神、絶対の神である。

 

 恐る恐る周囲を見渡せば、周囲は重力のない黒一色。

 暗闇なのか何なのか、上下左右もない距離感すら掴めぬ闇だ。

 それを俺の神としての感性が「無」であると結論付けた。

 

 ………。

 いや、意味がわからないが!

 

 俺はどこに出しても恥ずかしくない極々普通の一般人である。

 ある日突然神に変化する所以など何一つ無いし、無の世界に放り出される理由なんてもっと無い。

 

 とりあえず誰かいないか探そう。

 ふよふよと無をかき分けて目視で探そうとするも、そもそも光がないから目では見えようが無いということにはたと気がつく。

 

 「………ひ、光あれ!」

 

 神といえばこれだろう、と思って恥じらい8割で叫べば、理屈はわからないが空間内に光が満たされる。

 うわっ眩し!

 光よ弱まれー、図書館の照明ぐらいにー、と目を瞑ったまま念じれば、空間に満ちる光が寝室の照明みたいにやんわりと弱くなっていく。

 

 そうしてようやく目を開いたのだが、やはり見渡す限り真白い空間が広がっているだけだった。

 他の存在はおろか物質の一つだって存在しそうに無い。

 

 もっと捜索範囲を広げるべきか。

 

 そう思うものの、己以外の何も無い場所でできることなどなく。

 何となく体操座りをしながらふよふよと惰性で動くこと数時間。

 いや時間軸すらあやふやな無にあって時間が流れているかは怪しいが。俺の体感的に数時間経った頃。

 

 第六感的な何かが、未知の物体がものすごい速さで近づいてくるのを察知した。

 

 存在規模としては俺と同程度。

 それは長い体をくねらせ俺が照らした光の範囲に素早く突入する。

 

 巨大な白い爬虫類に似た姿。

 蝙蝠の翼に、雄々しき獅子の瞳を持つ。

 長大な尾には鬣があり、ふわふわと靡いている。

 まさに竜だ。しかも巨大で喋る。

 

「こんなところにボクと同じ無より生まれたものが存在しているなんてね。こんなこと生まれて初めてだ」

「───貴方は?」

 

 口から出た言葉は俺本来のものではなく、アルジュナ・オルタに引っ張られた敬語のそれだった。

 言いたい意味は同じだから別に構わないが、ホント何なんだコレ。

 

「ボクかい?ボクは君の同胞だ。君と同じ、無より生まれた始まりのもの。とりあえず移動しよう。ボクが落ち着けるいい場所を作ってあるから」

「え、ええ……わかりました」

 

 言われるがまま光の領域を出て移動していく。

 何となく気まずくて、ちらっとボクっ子竜を見てから話しかける。

 

「私はアルジュナと申します。えぇと、貴方の名前は……?」

「ナマエ?どういう概念かな」

 

 竜はキョトンとして問い返してきた。

 本気で生まれてから俺以外の存在に会ったことがなかったらしい。

 そりゃ名前なんて概念無いはずだわ。

 というかそれでよく自我を持ってられたな

 発生からどんだけ時間が経ってるか知らんが、俺なら孤独でおかしくなってるところだ。

 

「個体識別のための呼び名ですよ」

「そうか、ボク以外に存在するものなんてなかったから気にしたことがなかったな……うーん、すぐには思いつかないや」

「なら」

 

 俺はちょっと考えてから、お近づきの印を渡すのも悪く無いと思って一歩踏み込んでみた。

 

「私が貴方の名前を付けても構いませんか?当面使うための仮名にでもしていただければ」

「付けてくれるのかい?嬉しいな」

 

 竜は嬉しそうにうねった。

 どうも上機嫌そうに見える。美人な竜だし、下手な名前はつけられそうに無い。

 俺は無い知恵を絞りに絞って一つそれっぽい名前を思いつき、恐る恐る口に出した。

 

「……では、ヴェルダナーヴァと。意味は美しき始まり。ヴェルダナーヴァです」

 

 ナーヴァはサンスクリット語で「新しい」という意味。

 ヴェルダは古いスペイン語で「美しさ」。

 この美人さんにはちょうどいい名前だろう。

 

 竜は目を見開き、にこりと笑ったように見えた。

 

「ヴェルダナーヴァ。美しい響きだ。ありがとう、アルジュナ。コレからはボクはそう名乗ることにするよ」

「使ってくれるなら私も嬉しい限りです」

 

 ひとまずお近づきにはなれたようだ。

 あとはコレからいく場所というのがどんなものか。

 少なくとも何かがある分この真っ暗なだけの無の空間よりはいいとは思うが。

 

 

 

 

 たどり着いた先は天上の庭園であった。

 

 瑞々しいがどこか生気が感じられない草花たち、途絶えない清涼だが空虚なせせらぎ、白く美しい宮殿。

 総じて言えるのは、真に迫ったプラモデルみたいだということだ。

 

 完成されてはいるが変化しない、ドライフラワーのような作り物感。

 

「どうだい、美しいだろう?力作なんだ」

「……綺麗でいい場所ですね」

「!!だろう?」

 

 竜は実に嬉しそうにした。

 他人の創作物にケチをつけるような野暮はできないので、俺は愛想笑いして頷いた。

 やはりこの辺は個々人の感性によるので、俺が口を出すようなことでは無いのである。

 

 竜は得意そうな顔をして俺の手を引いた。

 というかこの竜表情豊かだな。

 

「ボクは君より少しだけ先達だしね。作り方を教えようか?」

「本当ですか!是非ともお願いします」

「勿論。植物を作るのは少しコツがいるんだけど、世界の基礎ぐらいならすぐに作れるようになるよ」

 

 こうして少しだけ竜と触れ合うようになって、段々と俺も自分の力が己に馴染んできている。

 どうも、この俺と比べてこの竜は随分と器用……というか、創造に特化した神性であるらしい。

 創世神、とでも言うべきか。

 俺が彼ほどに上手く世界を作れるとはあまり思えなかった。

 

 竜の言うように小さな地面と空だけでできた世界を作ろうとしたが、なかなか上手くいかない。

 というか、俺の「地球は丸い!」という知識に邪魔されて天動説な平面世界が上手く形作れないらしい。

 竜はくすくすと笑って「あとちょっと、こっちが歪んでる」と言って指差した。

 仕方ないだろ一般的な現代人なんだから!創世神とは違うんです!!

 

 竜は柔らかく本当に嬉しそうに微笑んで、「こんなに楽しいのは生まれて初めてだ」とポツリとこぼした。

 

「ボク以外の知性体がいるって、こんなに素晴らしいことなんだね」

「確かに、流石に一人は寂しいですからね」

「さみしい……」

 

 竜は呟いてから、ゆっくりと深く頷いたようだった。

 

「そうだね。一人はさみしい。コレまで考えたこともなかったけど、ボクたち以外の知性体を創ってみるのも悪くないかもしれないね」

 

 沢山いれば、きっと賑やかで楽しい。

 

 そのように竜は言って、ぐるりと尻尾を振り回したのであった。

 




・ジュナオ主
よく分からんが流されるまま天星宮に招待された。
CV:リムルだったせいでヴェルダナーヴァを女の子だと思っている

・ヴェルダナーヴァ
性別はない。あえて言うなら男。
初めてのお友達にテンションが爆上がりしている。
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