転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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タッチデバイス

 

 三日間のリムルのスリープモードの間、俺は無防備なリムルに加護を山ほど授けつつ今後について考え事に耽っていた。

 

 果たして、今後の俺はどんな立ち位置に付くべきか。

 基本的にだ。俺TUEEモノに主人公以外の目立つ最強は不要だ。

 だからと言ってここから去るなんてとんでもない。

 こんな面白そうな催しを見逃す手はないのだ。

 

 ではどうすべきか。

 半日ほどうーんと悩んで、ふと俺は思いついた。

 

 建国系シミュレーションゲームのチュートリアル役とかどうだろうか、と。

 

 小さい吹き出しで画面に出てきて「初めまして国王陛下!このゲームは…」などと操作方法を説明する係だ。

 リムルは現状、現代日本の一般人程度の知識しか持ち合わせていない。

 となると成り上がりの基盤を立ち上げるのも一苦労だろう。

 

 そこで俺の出番が出てくる。

 国作り、農業、開拓、あらゆる基盤をできる限り簡単に組み上げられるよう、チュートリアルの立ち上げとサポートを行うのだ。

 

 そうと決めたら話は早い。

 国起こしの権能を基盤に、領土を栄えさせるための初心者用小目標を作成。

 それを達成した時の報酬も設定して意欲を引っ張る形とする。

 ちなみに、報酬は権能から創造する形で現ナマ支給するつもりだ。

 米なら米、金貨なら金貨を規定量ポンと創造するのである。

 

 やるべきことを大雑把にまとめた資料集も作成せねばなるまい。

 支配域の各種統計データをいつでも見られるようにするのもいいだろう。

 配下の現在作業状況も同時に表示すれば完璧だ。

 

 デバイスは…先日作った木の板でいいか。

 

 追加で表示できるよう領域を拡張し、現代日本人なら直感的に動かせるようにタッチパネル形式を採用する。

 目に優しい絵画形式の表示だが、バックライトも付いていて夜も安心して見ることができる。

 

 そんなふうにゴブリン達に遠巻きに見られながら作業に勤しんでいると。

 

 やっとリムルが目を覚ましたらしく、ウロウロとあたりを確認し始めた。

 ゴブリン達の名付けに伴う進化に目を白黒とさせているようだ。

 

 雌ゴブリンの進化系、ゴブリナに囲まれて揉まれて「あわわわわわ」と切迫した悲鳴をあげている。

 

 そしてゴブリン達を振り切り、大急ぎでやってきて俺に詰め寄った。

 

「おおおお前、こんなところに三日間もいて何も思わなかったのかよ!?」

「……何がです?」

「ゴブリナだよ!進化前はゴブゴブしかったけど今は完璧女の子じゃん!!服!!アハーン一歩前になってる!お前男だろうが!!」

 

 なんと、目ん玉飛び出そうな勢いで叱られてしまった。

 気にしたことなかったというか、俺にそのような気が微塵もなかったから何も思わなかったというか。

 

「リムル。流石に私、ミジンコの雌は性の対象にならないので…」

 

 最低限ヴェルダナーヴァぐらいの力が無いとちょっと反応するもんも反応しない。

 まず「脆い」が感想として出てくる時点でアウトである。触ったら崩れそう。

 砂の城のがもうちょっと頑丈だぞ…?

 

「そういう問題じゃねーよ!!!こんな公共の場で男女がふしだらな格好!先生許しませんわよ!!」

「突然の女教師は笑うのでやめてください。わかりました、服を出せばいいんでしょう?」

 

 ポンっと最近武装国家ドワルゴンで見た簡素な平民服を出せば、リムルも納得したようだった。

 せっかくなので男女平等。

 ゴブリン達全員に真新しい服を配布すれば、皆ワァワァと騒いで喜んで着用のため散り散りに草木の影に消えていった。

 

 周囲には宴の準備らしいたくさんの果物や焼いた肉が取り残される。

 俺がチュートリアル作成に熱中している間にゴブリン達が進めていたらしい。

 とはいえ、肉焼いただけ!果物丸まんま!なクオリティはそのままだ。

 

 それでもゴブリン達にとってはご馳走なのは変わりなく。

 新しい服に着替えたゴブリン達はそのまま夜まで歌えや踊れのパーティタイムに入っていった。

今日の敵は明日の友とすっかり馴染んだ牙狼族…今は嵐牙狼族か。彼らもまったりとゴブリン達と戯れている。

 

 「リムル様もどうぞ!」と言われて差し出された肉をもごもごと消化しつつ。

 リムルはどうにも難しい顔をしている。

 今後の活動を考えているのだろう。

 

 俺は今だ!とばかりにさっと横からデバイスたる木の板を差し出した。

 

「ん、これ名付けの時のやつだよな。これがどうしたんだ?」

「貴方に必要だと思って機能を追加してみました。こう、スマホを起動するみたいに表面をスワイプしてみてください」

 

 「お、おお!?タッチパネル式!?ただの板が!?」と驚く姿に満足感が満たされる。

 どんどん見ていく毎に驚き、顔を顰め、真面目で真摯な顔をして。

 そのまま俺へと向き直った。

 

「これからやらなきゃならないことが多過ぎて悩んでたけど、これすげー便利だよ!……ちょっと拭いきれないゲーム臭が漂うけど」

「親しみやすくていいでしょう?」

「良いけどさぁ!!お前本当に何でもできるな……ところでこのセーブって何?」

「セーブですね。こまめにするといいと思います」

「だから何!!!」

 

 セーブはセーブだよ。

 納得いかない顔をしつつも、リムルは板状デバイスを抱え直した。

 

「まぁいいや。ともかく。こうして見るとここには何にも無い…というか、技術者がいないのが痛いな」

「ですね。人数が増えたので順次狩りから農業にシフトするとして。あらゆる分野の専門家が不足しています」

「一番近い国はこの武装国家ドワルゴンってところか。距離は……歩いて三ヶ月、か。ランガの背に乗れば三日ぐらいで着くか?」

 

 次なる目標を定めたのだろう。リムルは遠くを見つめてゆったりと頷いた。

 技術者の勧誘は確かに急務だ。

 何のノウハウもない状態で進めることもできるにはできるが、大きな遠回りになってしまう。

 

 旅立ちだ!初の人類国家との接触だ!と俺がにわかに盛り上がれば。

 「あっ、お前は留守番しててくれ」との一言にしおしおに萎れてしまう。

 

「ゴブリン達だけ残していくのは不安だろ。ヴェルドラがいなくなった影響を調べに他国が来るかもしれないし」

「分かってますよ。でも納得できないこともある…」

「お前なら幾らでも遠見でも何でもできるだろ」

「生で見るのがいいんですよ!あーー、こんな酷いことって無い…」

「拗ねるな拗ねるな」

 

 でかい葉っぱの上でゴロゴロすれば、スライムボディがぽよんと俺の肩あたりに寄ってきた。

 

「お前の作ってくれたデバイス、本当に助かったよ。ありがとう」

「人たらし……この魔物たらしめ……」

「何で俺罵倒されてんの!?」

 

 そんなこんなで、二日後の昼。

 リムルは俺を置いて武装国家ドワルゴンへと旅立っていった。

 その旅はおよそ二週間といったところになるだろう。

 

 旅の間のゴブリン達の指揮と管理を任され、俺はぶらりと尾を揺らしたのだった。

 




・タッチデバイス
国作りの権能を用い、国起こしに必要な知識やデータが全て揃っている。
所有者の領域を栄えさせるための最適な手順、小目標、データベースを提供する統治者垂涎のアイテムである。
目標達成段階に応じてアルジュナ神よりの加護も授けられる。
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