転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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爆炎の支配者①

 

 リムルはカイジン、ガルム、ミルド、ドルドというドワーフの名工四人の大戦果を連れて帰ってきた。

 

 流石はリムル。

 カイジンと言えば、ドワーフの国宝とも謳われる武装国家ドワルゴンの名工である。

 東の帝国を中心に旅商人として活動する俺でも聞いたことがある。

 

 というか、ドワルゴンもよく出国を許したな。

 国の武力の根幹たる人間国宝、国家として絶対に手放したくないだろうに。

 余程の事情があったのだろうが、いやはやリムルの天運を掴む力も凄まじいものである。

 

 というか。

 最近ではソーマで露天もやっていたのだが、そういえば急に出てきてしまって周囲に連絡もしていなかったな。

 ヴェルダナーヴァの気配を感じて急いでたのもあるが、知り合いの商人達が心配しているかもしれない。

 一応、商品の取引とかで近所の付き合いもあったからな。

 

 これは不味い……迷惑をかけたことだし、後で菓子折りを持って謝罪に行かねば。

 

 ちなみに、ここ二週間俺はせっせとゴブリンの集落の整備をしていた。

 噂を聞きつけてやってきたゴブリンの整理、急遽の開拓に整地、すぐに取り壊せて再利用できる仮設住まいの設営など割とやることは多かったからな。

 最低限でも整えておかないと、せっかく勧誘してきたドワーフ達が逃げ出しても困るし。

 

 とはいえ、あまりでしゃばりすぎればリムルの国家運営を邪魔してしまうからな。

 あくまで下地づくりにとどめた。

 

 そうしていると時はあっという間に過ぎ去り、リムルは名工四名を連れて帰ってきたのであった。

 

 戻ってきたリムルはまず、俺の作った木製タブレットを活用して各ゴブリンに名前をつけた。

 並行してドワーフの設計のもと、下水処理設備の作成に取り掛かった。

 

 リムルは前世で土木建築系会社に勤めていたらしく、この手のことは俺よりずっと慣れたものだった。

 ドワルゴンの精霊工学も使い、下水道の処理も比較的早期に完成した。

 

 まぁ、早期とはいえ数週間単位はかかったが。

 俺の場合だと念じた次の瞬間には権能により完成するので、やはりこうして1から手作りの大変さというか、人の文明の成長はいいものである。

 

 そうして、今日の午前中に二つ目の小目標「十戸以上の建物に下水道を敷設しよう!」が完了した。

 俺がよく乾いた木材50本を土木作業係に渡せば、ドラえもん…とかリムルに言われてしまった。

 誰が猫型ロボットだこら。

 

 

 

 そんな、平和な建国日和の最中である。

 四人組の人間がやってきたのは。

 

 不審な冒険者達は男女二名ずつのバランスの取れた四人である。

 どうもジュラの大森林の巨大蟻に追いかけられていたらしく、そこを巡回要員のゴブリン達が助けたのだとか。

 

 ひとまずリムルと一緒に会ってみることにして、リムルはぴょいと俺の肩に乗った。

 視線の高低によるトラブルを避けるため、比較的背の高い俺の肩に乗る習慣がついているためだ。

 やはり人間の権力は面倒極まりない、と若干思うなどする。

 

 客人四人のいる客用のやや立派な建物に入ると。

 リムルは開口一番「俺はスライムのリムル、悪いスライムじゃないよ!」とか言う体を張った一発ギャグをかました。

 俺は盛大に吹き出して咽せてしまう。

 端っこに座る白い仮面の女性もぷっと可愛らしく笑っている。

 

 というか、時間圧のものすごい仮面だ。

 何らかのタイムパラドックスをはらんでいそうだが、下手に手を出すのも時軸崩壊が起きそうで面倒だ。

 そのままにしておこうと素早く判断、俺は見て見ぬ振りをした。

 この仮面が現存しているということは、このままそっとしておいて時軸的には問題ないのだろう。

 

 人間達はブルムンド王国の冒険者を名乗った。

 エレンと名乗る女性冒険者だけ、姿を偽装したエルフのようだが。

 エルフも人間も大体一緒だし、俺から特に突っ込むこともないだろう。

 

 時間圧の凄い仮面の女性はシズと名乗った。

 

 臨時メンバーだが明らかに日本人だろう。

 俺の創造した地球の生命であることは俺の目から見れば明らかだ。

 そして、とても高齢。

 人生の砂時計の砂はほぼ落ち切って、権能で見た彼女の時間はもう残りわずかだった。

 

 ちらり、とリムルに視線を向けたが、俺が結局口を開くことはなかった。

 言わずとも、どうせその時は訪れるのだから。

 

 そのまま事情を色々聞き出していけば。

 あっけなく砂時計の砂は落ち切った。

 

 苦悶の悲鳴をあげてシズが倒れ伏したのだ。

 

 何事かと驚き、駆け寄ろうとするリムルを俺は片手で制した。

 リムルが困惑の顔でこちらを見ている。

 

 そのまましばらくののち。シズはゆらりと立ち上がった。

 既に内側に封じられていた炎の精霊、イフリートに支配されており、破壊への欲求で邪悪な笑みを浮かべている。

 

「シズさん!?一体どうしたんだ!」

 

 リムルが叫ぶ。

 せっかく作った建物が壊されてもなんなので、この場にいる全員と全部とに熱と傷への耐性の権能を一時的に付与した。

 

 イフリートの召喚魔法を止めようとして爆風に巻き込まれたカバルという名前のリーダーが、「うわぁぁあ!!」と叫んで転げ回った。

 

「熱、痛っ、く、ない……?あれ?」

《告。建造物を含めたこの場にあるすべてのものに「熱変動無効」「物理攻撃無効」が付与されました》

「あっぶな、立てたばっかの家が燃えるとこだったじゃねーか!アルジュナ、サンキュー!」

「いえいえ。これくらい苦労のうちにも入りませんよ」

《………》

 

 スキル、大賢者が物言いたげに気配を散り散りにさせている。

 うん?どうしたんだ?

 

 まぁいいか。

 暴走状態のシズ、もといイフリートは長く押さえつけられていた反動か暴走状態であるらしい。

 不出来……と判断してもいいが。それを決めるのはリムルに任せるべきだろう。

 

 リムルは油断なく前を見据えている。

 この小さいながらも発展してきた集落の長として、眦を強く仮面の女を睨め上げたのだった。

 

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