転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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大鬼族襲来

 

 シズさんに許可をもらってリムルの人間形態を確立した後は、平和な建国の日々だった。

 

 中央道路を敷設したり、俺の神社の掃除係を決めたり。

 神社の一角に俺の力で畳張りの区画を作成したらリムルがそこを根城にし出して、それに釣られてディアブロも入り浸るようになり。

 シズさんが懐かしさから頻繁に遊びにきてと完全に俺の神社は井戸端会議場になってしまった。

 

 本日も例に漏れず、老人会ことディアブロ、俺、リムルの3人がのんびり茶を啜って畳コーナーでまったりしていた。

 茶葉はまだこの街では生産していないので、俺が権能で出したものだ。

 

 なお、シズさんは巡回兵と一緒に今日の夕飯のための狩りに出ている。

 

 「和むねぇー」とリムルがようやく手に入れたシズさんベースの美少年姿で腑抜けた声を出している。

 ディアブロはせっせとリムルに茶を注いだり茶菓子を用意したりと忙しそうに世話を焼いている。

 心底幸せそうなのがなんとも。

 原初の悪魔の姿か、これが……?と若干感じざるを得ない何かがある。

 

 ちなみに、役職はそれぞれディアブロ(執事)、俺(祭神)、リムル(頭)となった。

 

 ディアブロは協議の結果、リムルの身の回りのお世話を総合的に任せられることになった。

 つまりは着替えの用意から食事の世話までなんでもこなす側仕えとなったのである。

 それは執事ではないのでは?と思えど。

 ディアブロの喜びようを思えばそれで構わないか、と考える今日この頃だったりする。

 

 とまぁ、そんな平和なある日のことである。

 

 「リムル様!ご報告です!!」と巡回中のゴブリンの一人が神社に駆け込んできたのだ。

 

「どうした!?」

「巡回中のリグルの部隊が謎の敵対勢力と接触したとのことです!!」

「!?っ、俺もすぐ向かう!案内しろ!」

 

 慌てて立ち上がり、神社から飛び出すリムルを見て俺とディアブロも後を追う。

 俺がチラリとリグルを遠見してみれば、ややお互い様子を見るような雰囲気で戦闘中なのが確認できた。

 

 この様子ならそこまで急がなくても死人が出るようなことにはなるまい。

 

 切り開いた住居区画を抜け、森を走り抜ける。

 戦闘音は近づくに連れだんだん激しくなっていく。

 そしてやや開けた場所に出れば、炎と灰がちりちりと舞って焦げ臭い匂いが鼻につく。

 

「大丈夫か、リグル、ランガ!」

 

 周りは激しく燃え盛り、木々は薙ぎ倒され、超高温の炎が乱舞している。

 コレは下手をすれば大規模な森林火災になりそうな勢いだ。

 

 リムルが大声を出して問い掛ければ、交戦中だったランガとリグルがやや傷ついた身体を庇いながらこちらへと撤退してきた。

 だがまだ戦闘は続いている。

 

 どうやら巡回に同行していた爆炎の支配者シズエ・イザワが戦っているようだ。

 赤髪の屈強そうな大鬼族と、白髪の老人大鬼族との二人を相手取って一歩も引かぬ凄まじい炎を操っている。

 

 赤髪の大鬼族の「鬼王の妖炎(オーガフレイム)!」との言葉と共に吹き上がった炎は、魔素を含んだ中々の攻撃だった。

 

 だが「炎熱無効」を持っているシズにはまるで効果がない。

 炎を巻き取って逆に「炎熱操作」を駆使して己の炎とするその手腕。

 まさに人界の英雄という言葉に相応しい。

 

 小さな爆発の衝撃すら含んだ斬撃が白髪の老人大鬼族を襲う。

 白髪の大鬼族が苦悶の声をあげた。

 

「……これはこれは。ワシの現役時代でも受け切れるかどうか」

「貴方も強い。私の爆炎をそこまでいなして動ける武芸者はほとんどいないのに」

 

 その凄まじい戦闘にリムルが思わずと言った様子で「うぉ……すげーな。ありゃ俺の戦ったイフリートより強いんじゃないか?」とこぼした。

 それに答えたのは涼しい顔をしたディアブロだ。

 

「彼女は全盛期であれば、私の腕を落とすほどの腕前を誇る。私も手加減していたとは言え、人間としては驚異的な強さですよ」

「おぉ……お前実は強いんだな…」

 

 意外、と言った感じであんぐりとリムルが口を開ける。

 確かに普段のディアブロはノリが独特な変人悪魔でしかないもんな。

 

 圧倒的な炎に巻かれた白髪の大鬼族が焦ったように声を上げる。

 

「若、姫!ここはワシに任せてお逃げください!」

「じい、何を言う!」

「この者は強い。貴方達は生き残り、反撃のための牙を研ぐのです!」

「……っ!!」

 

 涙すら流さんばかりに奥歯を噛み締め、赤髪の大鬼族が強く拳を握りしめた。

 その拳に爪が食い込み、血が滴り落ちる。

 なんか感動的な雰囲気感だが、多分なんらかの大いなるすれ違いが有りそうな予感しかしない。

 チラリと赤髪の大鬼族の記憶を覗いてみる。

 

 ふむ。

 大鬼族の里が豚頭族に襲撃されたらしい。

 背後にいるのは中庸道化連?目的は配下となる魔王の擁立、か。

 壮大な計画があるようだが、複雑でイマイチ掴みづらい。

 ただ、一応世界征服を狙っているようだ。不出来案件とも言える。

 

 撤退しようと右足を踏みしめた赤髪の大鬼族の背後にディアブロが転移で回り込んだ。

 

「クフフ、逃げられるとでも思いました?」

 

 じわりと闇が染み出すように溢れ、異形化した爪をこれみよがしに見せるディアブロは実に悪魔っぽい。

 演出過多じゃなかろうか、とも思うものの敵は怯んでいるようだからそれで構わないのだろ。

 というかディアブロ、お前それ悪役のセリフ。

 

「応援!しかもここまで強大な魔人が三体…!」

 

 絶望的な顔で赤髪の大鬼族が歯軋りした。

 「俺たちは、一矢報いることすらできずにここで死ぬのか…!」と桃色の髪の大鬼族を抱きしめる。

 

 って、あれ、俺も魔人と間違われているのか?

 ふと俺の姿を正面から確認した赤髪の大鬼族が「鬼人……か?」とやや困惑した声を出した。

 

 ちなみに。

 大鬼族は世間一般では滅亡神アルジュナの血を引く神聖な一族とされている。

 実際のところ全然関係はないが、類感…つまり「似ていると言うことは同じだということ」という理論により俺の力の一部を獲得することも時々ある模様。

 主に破壊に関するスキルを受け取ることがあり、それを神の祝福としているのだとか。

 

 まぁ、なんでもいいか。

 

 ───俺の庇護する街を攻撃するのであれば、それ即ち不出来なり。

 

 廻剣を駆動させる。一雫ほどの力を込めて、この小さく弱い不出来をするりと切断せんと……。

 

「ちょぉっと待った!!!」

「…うん、リムル、どうしました?」

 

 「ステイアルジュナ!ディアブロも爪をしまう!!」とパタパタ慌てた様子でリムルが前に出てシズさんの両肩を掴んだ。

 戦闘中だったシズさんが仮面を脱いで困惑のまま立ち止まった。

 

 リムルはそのまま大鬼族たちに声をかける。

 

「何か事情がわからないが待ってくれ!俺の配下のものが失礼した!」

「……邪悪な魔人が何を言うかと思えば」

 

 血だらけの赤髪の大鬼族が口から血を吐き捨て、鋭い視線でリムルを睨め上げた。

 おん?やんのかコラ不出来がよぉ!と俺も地味にメンチを切る。

 友人のことに関しては俺は短気なのである。

 

 こちらの様子を伺っていた桃色の髪の大鬼姫が、訝しげな顔でこちらをじっと見て。

 そしてハッとした顔で信じられないものを見るように目を見開いた。

 

「お前達が俺たちの里を襲い───」

「ッ違いますお兄様!!この方は、この方達はあの魔人とは無関係です!」

 

 桃色の髪の大鬼族の姫は、焼け爛れた地面に額をついて平伏し、俺に震える声で嘆願した。

 

「偉大なる滅亡の神!古き文献に記されし破壊と創造を司るもの、アルジュナ様!われらの不敬をお赦しください!」

 

 赤髪の大鬼族がその言葉に驚愕したらしく、思わずと言った様子で動きを止めた。

 ランガ達との戦闘で気を失っていたらしい青髪の忍び風大鬼族、大男の黒髪大鬼族、紫ポニテの大鬼族の3人が意識を取り戻したのか、ギシギシと体を軋ませながら起き上がる。

 

 戦闘終了の雰囲気だ。

 「なんだ、つまらないですね」とディアブロが拗ねるように視線をあさっての方向へ向けた。

 おそらくリムルにいいところを見せようとしていたのだろう。

 

 その場にある視線が俺に集中している。

 右を見て、左を見て。俺は思わず口をつぐんだ。

 

 え、この空気俺が何か言わなきゃならないやつか?

 

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