転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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ユーラザニア使節団

 

 リムル、シズ、そしてディアブロはシズの教え子達の学校のあるソーマへ行くこととなった。

 

 ただし、例によって俺は留守番だ。

 めちゃくちゃ駄々をこねたし、ミリムを見習って畳の上で転げ回ったのだが許可はもらえず。

 

 「アルジュナが神として祀られてる国にお前を連れて行ったらろくに身動きも取れなくなるだろ!」とのことだ。

 もっともだが、心が納得しない今日この頃である。

 

 まぁ、リムルも修行の甲斐ありだんごむしぐらいには強くなったし。

 リムルがそこらのミジンコにやられる心配は少なくなったからいいとするか。

 

 そういえば、リムルの友達のヴェルドラについてだが。

 ラファエルの尽力で無限牢獄とかいう特殊なスキルの解析も終わり、リムルの体内から外に出せるようになったらしい。

 

 しかし、本人が「出ていきたくない、我ずっとここにいる…」と震えるため、今のところリムルの中で生活を続けているのだとか。

 そんなに居心地がいいところなのだろうか。リムルの中。

 

 まぁ、ヴェルドラはともかくとして。

 

 ソーマに行ったと思ったリムルは、俺の作ったポータルを宿に設置してわずか一週間ほどで帰ってきた。

 どうやら向こうで教師をすることになったらしいが、国主としての仕事もあるためすぐに行き来できるポータルを使うことにしたらしい。

 

 ポータルは俺の力作で、魔素による転送の影響も無ければ転送制限もない。

 俺の「単独顕現」を流用した、その気になれば時空すら超えることが可能な代物だ。

 

 単独顕現、気付けばスキルとして持ってたんだよね…俺……。

 

 ともかく。

 今回の蜻蛉返りはユーラザニアからの使節団到着に合わせた形となる。

 

 フォビオを追い出してから、ユーラザニアとは協議の末、俺たちと国交を持つことになった。

 

 フォビオ自身は謹慎中とのことだが、千里眼で見たところ帰国早々魔王カリオンに肉ミンチにされていた。

 そりゃ使節に送ったら上層部に喧嘩売って帰ってきたとかあったらな。

 

 此度の使節団もフォビオの首頭を手土産に、という話も出たのだが、そんなナマモノいらないしな。

 そのためフォビオも無事地下牢で吊るされたまま水に打たれている。

 

 ……思ったよりガチだな、カリオン。

 

 

 

 

 そうして、使節団到着の日。

 使節団は虎が引く馬車に乗ってものすごい速さで疾走していた。

 魔獣の一種らしい帯電した虎は、バチバチと鋭い音を立てて周囲を威圧している。

 

 まず馬車から降りてきたのは魔王カリオンその人だ。

 

 カリオンは他国へと続くまだ土が剥き出しの道に降り立ち、リムルと共に出迎えに来た俺に目礼する。

 続いて降り立ったのは、蛇の獣人アルビス、虎の獣人スフィア、狼の獣人グルーシスの三人だ。

 

 そのどれもが内心不満を抱えているのか、黙ったままこちらを鋭い視線で睨んでいる。

 血気盛んでプライドの高い獣人族だ。

 カリオンの手前反抗的なことは口にはしないが、俺たちを認める気は無いらしい。

 

 なんというか、柴犬みたいな奴らである。

 

 その剣呑な視線に「うわ」とゲンナリしたリムルに、こっそり耳打ちする。

 

「面倒ですが、初手で交流試合としてこの場で一度戦った方が話が早いかと思います」

「え、いやいやいや、俺ら使節団を迎えてんだよな?戦闘ってありなの?」

「弱肉強食がルールな魔物ならではの外交ですね。人間相手にこれをやったら国交にヒビが入ります」

「それはそう。しかし、あー、そういう…?」

 

 特にユーラザニアは頭戦闘民族だから仕方ない。

 挨拶がわりに手合わせするサイヤ人文化と思ってもらえれば適当である。

 泰然とした格好の裏で今にも胃が擦り切れそうなカリオンを慮る意味でも、これは悪くない手だろう。

 

「んー、えーっとだな。まだ会ったばかりで互いをよくわかっていないからな。どうだろう、互いを理解する意味でも交流試合をするとい」

「っしゃあ!よく言ったスライム!良いぜ、やろうか!」

 

 食い気味に虎の獣人スフィアが躍り出た。

 

 それを注意しようとして途中でやめたのか、カリオンがやや動揺している。

 カリオンの目からすれば、俺たちが強者であるのはひと目見てわかる事実だ。

 滅亡神たる俺を除いても、この場にはディアブロという超級の悪魔がいる。

 

 だが、部下達にそれを身をもって思い知らさせるには丁度いいと思ったのだろう。

 にやり、と笑ってカリオンはアルビスに目配せした。

 

「……願ってもない申し出だ。お前ら、いけるな」

「もちろんですカリオン様。では、私とスフィア、グルーシスで参ります」

 

 千里眼でのぞけば、高速で思考をあっちこっち飛ばしている魔王カリオンが胃を痛めていることがわかった。

 俺の実力は流石に正確には測れなかったらしいが、それでも自分より遥かに上であることはわかったはずだ。

 痛む胃をさすろうとして途中でなんとか堪えて、を繰り返している。

 

 おいたわしや、カリオン上……。

 

「じゃあこっちはディアブロ、シオン、ソウエイだな。頼んだぞ」

「かしこまりました。せいぜい遊んで差し上げましょう」

「お任せください!木っ端微塵にしてやります!」

「承知した」

 

 こちらもまた不躾な視線で血気をたぎらせている部下達だ。

 一緒についてきたこの国の人間代表であるヨウムが「うわぁ……」という顔をして口を引き結んでいる。

 

 ちなみに、ヨウムはファルムス王国からの任務完了後、この国に腰を据えることにしたらしい。

 飯もうまいし酒は上質。風呂もあるとなると、やはり離れがたくなったのだろう。

 ゆっくりしつつハクロウに剣を教えてもらいながら、テンペストにきた人間達の取りまとめと文化的すれ違いの解消等の役割を負ってくれている。

 

 ただ時々、こういう魔物の国ならではのトラブルに悩まされている模様。

 やはり種族的な差異というのは拭い難いらしい。

 

「では、審判は私が務めましょうか。神の名の下、公平に裁きましょう」

 

 …という名目で、見栄えがしそうな双方の戦闘の審判役を買って出る。

 ミジンコ相撲も時々見る分には楽しいからな。

 

 

 そんなわけで、俺たちと獣王国ユーラザニアの使節団交流会は始まったのである。

 




・魔王カリオン
実際にその目で見て、少なくとも自分が10人いてもアルジュナ神には勝てないと理解した。
フォビオは国に帰ったあとでもう一発殴っておこうかと考えている。
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