転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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ラーゼンの苦悩

 

 無事、教義を変更して発布したという連絡がルベリオスより入った。

 

 同時にルベリオスと国交を結ぶ運びになり、テンペストへ聖騎士を含めた使節団も派遣されるそうだ。

 リムルは書状を見つめながら、うーんと悩ましげに呻いた。

 

「なーんか核兵器で脅したみたいでしっくりこないんだよな……」

「その意味でテンペスト勢力圏は核の傘に守られてますからね。国際社会とはそういうモノでしょう?」

「やめろぉ!?例えが笑えなくなるだろうが!!」

 

 現在は今後の国の方針を決める会議中だ。

 議題は主に交易の状態とルベリオスの状況、そしてファルムスの復興進捗だ。

 

 テンペストの交易だが、現在右肩上がり。

 今後はファルムスに代わり交易の要所として、特に西欧諸国と東の帝国を結ぶ安全な販路にもなる予定だ。

 大規模な組み代わりのため既存の流通経路を潰される商人組合なども出てくるだろうが。

 その辺りは盛者必衰ということで「文句あんならかかってこいや」の精神で進むものとする。

 

 また、クレイマンの支配域である傀儡国ジスターヴと始まった交易も実に実りのあるものだった。

 古代から続く珍しい魔法技術の使われたアーティファクトも輸入され、現在研究所でリバースエンジニアリング真っ盛りだ。

 ベスターも最近はずっと忙しそうで、なんとも活気があって良いものだ。

 

 窓から外を覗いてみれば。

 街道は整備され、街の活気もどんどん出てきてテンペストはますます栄えている。

 

 特に、避難民が流入したことで働き手不足が一時解消されたのが大きいだろう。

 いずれは復興した国に帰る人も多かろうが、このままテンペストに居つく住人もかなりの数になるはずだ。

 

 最後はディアブロのファルムス王国復興の進捗だ。

 

 前に進み出たディアブロは、硬い表情のまま口を開いた。

 

「やはり国を治める人員の手が足りぬ状況は解消されておらず……現在、地方貴族の次男三男を集めてよく教育することで体制を保っております」

「あー……そうだよな。部長課長グループリーダー全員一夜で消えたみたいなもんだもんな、仕事が回るわけないよな」

 

 想像したのかブルっとリムルが身を震わせた。

 確かに、社会人としては想像もしたくない状況なのは否定しない。

 期待に応えられない状況にディアブロも酷く悲しげにしょげている。

 

「配下の悪魔を召喚して一部代用しておりますので、もしご許可がいただければ追加で召喚増員して支配体制を確立しようと考えております」

「おー、ってそれ悪魔の国……まぁいいか。国として体をなさないほうが将来的には拙いし、周囲の国に腑分けされる気しかしないし」

「しかし、全員消すのは流石に不味かったですね……思考をいい感じに組み替えたほうがよかったでしょうか」

「アルジュナは発想が怖ぇよ! あと追加召喚は許可するから、なんとかファルムスを保たせてくれ! 頼んだぞディアブロ!」

「承知しました、我が君」

 

 相変わらずしょげきっているヘニャヘニャのディアブロだったが、リムルの「頼んだぞ」の言葉にパァッと顔が明るくなった。

 

 相変わらず現金な悪魔である。

 

「じゃ、そういうことで。あと、皆は俺が魔王になったことによる正式な謁見式。そっちの準備も進めておいてくれ」

「私も挨拶に訪れた各種族に加護を授けますので、そのための場所もお願いしますね」

 

 一斉に、リムルの部下達は立ち上がって「はっ!」と唱和したのだった。

 

 

 

 

 

 その頃。

 ラーゼンは頭を抱え、眉間に深い皺を刻んで頭を抱えていた。

 

 やることが、やることが多い……!

 

 そもそもの話。

 各地方の税収のまとめ、運用、地方騎士団による治安維持、交易状況調査、エトセトラ。

 

 国の維持は多くの人が関わる大事業だ。

 それこそ、それに携わる一族が貴族という名前でいくつも栄える程度にはやることは多岐にわたる。

 

 ラーゼン一人残ったとして、優秀な文官を担う貴族達が消えた今、補填の利くものではないのだ。

 あらゆるノウハウが白紙となり、国には「名も知れぬ誰か」の書いた書類が山のように残っている。

 他国との国境沿いの領地では武力偵察も行われていただろう。

 商人達の出入りから国際情勢を把握もしていたことだろう。

 

 ひとまず急いで存在が残っていた地方貴族の次男三男を中央に呼び寄せたのだが。

 地方で気軽に遊んでいたような連中だ。中央の政治などわかろうはずもない。

 

 王国の貴族達が欲の皮が突っ張った愚物の群れであるのならば。

 彼らはプライドだけは一人前の素人集団と言えるだろう。

 

 どっちがいいかラーゼンは語る口を持たない。

 

 あろうことか召集した次男三男の一部には「スライムの魔王など恐るるに足らず!我が軍の本隊を送りつければすぐにでも魔物の国を制圧できよう!!」などと声高に言い張る輩もいた。

 その時のディアブロの顔など、ラーゼンは今を以て思い出すだけで震えが走る。

 

 もちろん、現在彼らは悪魔によって厳しく───勿論、物理的に厳しくだ───躾けられてはいるものの、使い物になるまでにはしばらくの時がかかることだろう。

 

 その間はなるべくラーゼン一人で片付けねばなるまい。

 

 ばさり、と空間転移で現れた悪魔ディアブロがラーゼンのいる王の私室に出現する。

 どうやら魔国連邦から帰ってきたようだ。

 

「ラーゼン、仕事ですよ。リムル様から悪魔の追加召喚の許可をいただきました。国体掌握のため五百ほど召喚します」

「生贄を集めろ、と。そういうことでございますね」

「ええ。途中で消えてしまっては困りますから、受肉できるように手配しなさい」

「…………はい」

 

 その言葉に、ラーゼンは逆らう術がなかった。

 国がなくなるよりマシだと。そう飲み込んで。

 

 ラーゼンはそっと臣下の礼をとった。

 




・ちなみに
リムルは「悪魔召喚の生贄は悪いけどアルジュナに出してもらうかぁ」と考えている。
ディアブロは「生贄なぞ国民から適当に見繕えばいい」と思っている。
この直後、ディアブロとの考えの相違にラファエルさんが気付き、盛大に慌てたリムルから「ディアブロさんや!ちょーーっと待ったぁああ!」と念話が入るなどする模様。
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