転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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謁見式

 

 開国式に先駆けてやってきたもの達が多く集まったため、少し早めだが謁見式を行うことになった。

 期間は本日より三日間。

 

 ささやかながら謁見にきた代表者には俺から加護を授けることになっている。

 ただし、加護の内容は気持ち程度の運気の上昇だけだ。

 無いよりはマシというレベルでしかない。

 長くなくしていた失せ物などが見つかることはあるだろうが、その程度の細やかなものである。

 

 さて、本題の謁見式だ。

 今回の謁見者について簡単に会議を済ませ、俺も正装に身を包んでリムルの隣の玉座に座る。

 

 参加するのは下記の通り。

 軍事を統括するベニマル。

 警察たる警備兵達のトップ、かつ学院の長であるシズ。

 国土交通省のような役割でもって国の交通の維持と管理に務めるゲルド。

 王の私設軍である近衛兵の団長たるシオン。

 神の巫女兼裁判所の判事、ウルティマ。

 公安・諜報機関の長、ソウエイ。

 立法を務めるとともに、財務省の役割も果たすミョルマイル。

 国立研究所所長にして空挺隊トップのガビル。

 内閣府の実務担当、シュナ。

 

 国のトップが一ヶ所に集まる光景は壮観の一言だ。

 すっかり国として形となったようで、あの石器時代さながらの様相を知る身として涙が溢れそう。

 

 ちなみに、俺の役職は最高裁判所判事以外は地味にふわっとしている。

 まぁ神なんて皆そんなもんだ。

 

 そうして行われた謁見式は意外とスムーズに行われた。

 

 真っ先にやってきたリザードマンの首領アビルや、森に隠れ住まうエルフなどがやって来ていたが、大きな騒動もなく。

 ただ、アビルの方は見た感じ、高齢らしく運命力──生きるために当然使用する幸運──が底をつきかけていた。

 

「近いうちに死にますね、貴方。生きたいですか?」

「……いいえ。もう十分にワシは生きた。もう後継に譲るべきだと考えております」

「そうですか」

 

 出し抜けに口に出した死亡予告に、アビルは動じることなく瞳を伏せた。

 その覚悟、様子を見るに自分の死期を悟っていたのだろう。

 

 狼狽えざわめくリザードマンの側近達の前に慌てて飛び出たのは息子のガビルだ。

 

「いけません!いけませんぞ親父殿!貴方がいなくては誰が今のリザードマン一族を引っ張っていくのですか!」

「お前もソウカもいるではないか」

「この国にいて吾輩は習いましたぞ!王の責務とは次代の王たる子を残すことと、一分一秒でも長生きして安定の時を伸ばすことだと!親父殿が長生きしなくてだれがそうするというのです!」

「ガビル……」

 

 背後にいたリザードマンが口々に「そうですぞ首領!」「首領!!!」と叫んでいる。

 俺は優しく声をかける。

 

「どうします?このまま死の安寧を受け入れるもよし、生きながらえるもよし」

「……死の運命を、その、変えられるのですか?」

「私にかかれば運命力の補充など造作もありませんよ。どちらがいいかは貴方自身の決断に任せましょう。死の時期は生命体が自ら選ぶべきだ」

「……ワシほど幸運な者もなかなかおりますまい。多くのものに望まれ、死を選ぶ機会に恵まれるとは」

 

 珍しくリムルが黙ったままなのは、俺の行動を容認しているということだろう。

 アビルは長く沈黙し、そのまま顔を上げた。

 

「このような老いぼれが貴方の力を受けられるのなら。まだ一時、後少しでも皆を見守って行きたいのです!」

「善し。では、貴方に加護を授けましょう」

 

 権能を繰り、つきかけていた運命力を補填。寿命を40年ほど引き延ばし、かつ子孫に囲まれて幸せのうちに死ねるように幸運値を補正する。

 どうせならこの決断が幸いだったと、長生きしてよかったと思って欲しいからな。

 

 光が収束し、アビルに降り注ぐ。

 その荘厳な光景にリザードマンだけでなく後ろに並んでいた他種族の代表もざわめいている。

 

 光が止めば、一段、力を取り戻し若々しくなったアビルが強く地面を踏み締めて立っていた。

 

「あなた方への忠誠をここに。ワシはリザードマンを教え導き、必ずやあなた方の力となりましょうぞ」

 

 そうして深くひれ伏すアビルに、若いリザードマン達も次々と続いた。

 涙目でガビルが「アルジュナ様!感謝いたしますぞ!!!よくぞ親父殿を助けてくださいました!!」と叫んだ。

 そのまま抱きつかれそうな勢いだったがそれはさらっとシュナが制してくれた。

 リムルが半笑いで俺に声をかけてくる。

 

「そうやってると凄い神様みたいなんだけどなぁ」

「いつもは神に見えないみたいに聞こえるので撤回してください」

「まぁアルジュナだし」

 

 ちなみに、噂はあっという間に広がり、「力を授けてくれれば軍門に降る!」なんて不躾な願いをする輩が出たことは追記しておく。

 無論断ったが、魔物にもとんでもない輩がいるものである。

 

 また、川向こう最強種族の牛頭馬頭の謁見の途中に魔王ダグリュールの子供達が来たのがちょっとした騒動になった

 

 とはいえ、見た感じこの程度なら特に心配はいらない戦闘力でしかない。

 建物を壊される恐れが非常に高いのが気がかりだが、場所を選んで戦闘すればいいだけの話だ。

 

 実際、リムルも冥界を戦闘の場に選んだようだ。

 俺が昔に作った冥界へ繋がる門をリムルに渡してあったのだが、それを闘技場の地下に設置したらしい。

 「これは…」とやや動揺した様子の巨人三兄弟だったが、素早く思考を切り替えた模様。

 流石は太古の魔王の息子達、躊躇わず転移門をくぐってみせた。

 

 

 門を潜れば素早くアストラル体に変換され、ジュラの大森林そっくりの森に転移した。

 遠くにヴィオレの家たる邸宅が見える。

 

 戦いは少しばかりこの森を抜けた先の岩場で行われることとなった。

 

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