転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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開国祭①

 

 会議と貴族達への対応の合間を縫って、シズさんとリムルがどこかへと転移していった。

 

 どうやらソーマにある自由学園から転移者の子供達を一時的に連れてくるつもりらしい。

 たしかかなり前から手続きしていたらしく、自由学園から新設するテンペスト総合学園への移籍も決まっている。

 

 ソーマとしてはリムルへの懐の痛まない献上品兼友好の証として渡したのだろう。

 色々考えるところもあるユウキとしてもこの情勢では断れず今に至る。

 

 一時間ほどの離席ののち、リムル達は元気いっぱいな五人の子供達を連れて戻ってきた。

 付き添いにティス先生も連れている。

 

 「ようこそ、俺の国へ!」というリムルの声に子供達が口々に騒ぎだした。

 遅ればせながら俺もそろっと彼らに近づき、やや屈んで視線を合わせる。

 

「初めまして、子供達。私はアルジュナ。よく来ましたね」

「あなたが神様……?」

 

 あわわわわ、え、まさか、テンペストにいるっていう……!?とティス先生が驚愕に打ち震えているのを横目に、クロエ・オベールが平然とこちらへと寄って来た。

 ソーマの国の人間であるティス先生からしたら、俺はビッグネームの主神の片割れだ。

 普通に旅館前にポップしたらそりゃびっくりはするだろう。

 

 それと、子供達とは地味に初顔合わせだ。

 俺はそうそうこの国から動けないからな。

 前回子供達を助けた時は遠隔で千里眼で見ながらちょちょいとシステムを構築しただけで、直に会うことはなかった。

 

「はい。ソーマにて崇められる滅亡神アルジュナとは私のことです」

「はん!お、俺はお前なんて怖くねーぞ!」

「こら、ケンヤ!」

 

 怯えながら吠えた子供の一人…ケンヤがピシャリとシズさんに怒られてしょぼくれる。

 可愛い子達だ。

 望めば家にも帰したのだが、それぞれの家庭の事情、個別の思惑、そして仲間意識から全員がこの世界への滞在を決めたらしい。

 

 それと、クロエのことはいずれ機会を見てあの魔王レオンクロムウェルにも伝えねばなるまい。

 時期をよく見ないとどんな反応をするか不確かだからな、あのシスコン魔王は。

 

 そんな感じで平和に彼らは日本風旅館で一泊。

 翌日の開国祭挨拶を聞きに行ったのだった。

 

 ティス先生も、まさかリムルが新興国たる魔物の国テンペストの国王だとは思ってもみなかったらしく、正体を知って倒れ込んでしまった。

 そりゃ国王が他国で子供達の教師してるとか意味わからないにも程があるからな。

 

 リムルは、まだ滞在してゆったりと温泉旅館を楽しんでいたルベリオス使節団の人員にちょうどいいとばかりに子供達のお守りを押し付けた。

 シズさんは警備隊長としての仕事が大忙しだし、子供達を宥められるだけのある程度の強者となるとルベリオスの騎士達がちょうどいい。

 

 実際、各地に遠征して村々と交流している彼らは子供慣れしているらしく、レナードやリティスらとすぐに仲良くなったのだった。

 

 

 とまぁ、そんなこんな言っているうちに勇者パーティも到着したらしい。

 

 ジウ、ジンライ、バーニィ、そしてマサユキの四人組だ。

 魔法使い二人、前衛一人、バフ役一人とちょっとバランスの悪い感じだが、バフ役たるマサユキのバフの強化率が狂ってるから危なげなく成立している模様。

 さすがは英雄覇道(エラバレシモノ)

 

 パーティの誰もが隙あらばマサユキを称賛していて、ルドラがよくわからん取り巻きを獲得しているようで実に面白い。

 

 とはいえ、ゆっくり見守っているうちにも馬車から降りたマサユキ達が、迎えに出たリムル達と一悶着起こしかけている。

 

 俺もその場に野次馬がてら入り込み、一触即発といった様子の双方の間に割って入る。

 

「戦いはまかりなりません」

「!!!……、滅亡神、アルジュナ……!」

 

 バーニィが額に汗を流しながらたじろいだ。ジウが僅かに後退しながらも俺へと歯を食いしばりながら食ってかかる。

 

「神!あなたは何故魔王の肩を持つ!?」

「あなたたちには根本的に認識の誤りがある。魔王とは人類の保護機構。「脅威」という概念で以て人を団結させることを選んだ守護者を指します」

「なっ、……!?」

「人が魔王を打倒したところで、大抵の場合利などありませんよ」

 

 「そんな……嘘だろう!?」と驚愕に放心した様子のバーニィに、話についていけず困った様子のジンライ。

 遅れて到着した馬車から降りて来たグランドマスター、ユウキ・カグラザカが肩をすくめている。

 

 リムルがあんぐりと口を開けて俺を見た。

 

「マジか!?俺初耳なんだけど!」

「一定以上の力を持つ魔物が他の知性体を害さないように登録制にしよう、みたいなノリで決めましたからね。この辺の事情は最古の魔王であるギィしか知らないでしょうね」

「それって制度としてどうなんだ?」

「まぁ、どうあれ上手く回ってるので問題ないと思いますよ」

 

 思えば意外と知られていない裏設定だったかもしれない。

 難しい顔をする勇者一行をそのままに、その場はお開きとなった。

 

 エルフはなにも言わずに返してくれたところを見るに、向こうも考えるところがあるようだ。

 

 

 さて、華麗な音楽祭を終えれば夜は寿司だ。

 音楽祭に関しては省略だ。

 言葉で伝えられる良さなど高が知れているし、まぁせいぜい各国貴族達が大絶賛した程度のことがわかればそれでいいだろう。

 

 唯一、演奏に使われたホールの防音と音の響きに関してサラスヴァーティー神の流体制御の権能を利用して最適な図面を俺が弾き出したりはしたが。

 

 やはり本題は寿司である。飯である。

 

 このために巨大な魔魚を捕えることができるのがこのテンペストの国力だといっても過言ではない。

 やはりBランク相当の魔魚を軽く狩ることができる魔人の大集団国家であることが大きい。

 

 宴の途中で天帝エルメシアも寿司には魅了されっぱなしだ。

 ここら辺の文化に基けば多少ゲテモノ喰いなところがあったため食いつきは遅かったが、食べてみればご覧の通りよ。

 

 俺も存分に脂の乗った大トロを堪能した。ここまでくるとサーモンやえんがわも欲しくなるが、そりゃ贅沢か。

 地味に後ろでウルティマがトロ尽くしを堪能している。

 

 そういえば天帝エルメシアと会うのは2400年ぶりのことだ。

 建国の際に挨拶がてら若きエルメシアに加護を授けに行ったっきりか。

 

 俺がそう思いながらぶらぶらと茶湯で美食を楽しんでいると、こちらの姿に気がついたエルメシアが歩み寄って来た。

 

「お久しぶりですわね。創世輪廻の神、アルジュナ様」

「ええ。あなたも息災そうで何よりです」

 

 エルメシアが恭しく頭を下げた。

 かの天帝がわざわざ赴いて頭を下げたという事実に周囲の貴族達がざわりと驚愕に声をあげる。

 

 リムルには軽くエルメシアの事情を説明してあったのだが、それを見て興味が湧いたのか話しかけて来た。

 

「そういや、建国の際の加護って何の加護を授けたんだ?」

「内紛を抑える結束の加護ですね。連合国家だと聞いていたので、王家の間で諍いが起きないようにと」

「なるほどな。そりゃいい」

「神の子と言われる彼女ですが、だからこそ身内贔屓がしたくなりまして」

 

 エルメシアは神祖トワイライト・バレンタインの高弟の一人、シルビアの娘だ。

 つまりハイエルフの始祖の直系になる。

 

 神祖は創生神ヴェルダナーヴァが手ずから生み出した最初の知性体で、全ての知性体の祖である。

 この世の知性体のほとんどはその血筋を辿ると神祖トワイライト・バレンタインに行き着く。

 まさに神に近しいと名乗っても特に不思議ではない存在なのだ。

 

 そのように説明すれば、さりげなく後ろでドワルゴンの書記官がものすごい勢いで話を書き留めていく。

 ガゼル王がうむ、と額に一筋の汗を流しながら無言で頷いた。

 

「バレンタイン?それって魔王の…」

「ええ、ルミナス・バレンタインは神祖の娘、というか神祖のコピー体です。なので彼女がルミナス教を興して唯一神を名乗るのは特段間違ってはいないんですよ」

「そういう秘められた裏設定ってバンバン投下していいやつなのか???」

 

 リムルが冷静にツッコんだ。

 頭が痛いという顔をしたラーゼン王が良質なワインをあおっている。

 普段から胃痛に悩まされてそうな顔をしているお爺さんだ。

 まだまだ長生きしてもらわねば困るし、ここいらで一つ彼にも若く強い肉体をプレゼントしてやるべきか。

 

 エルメシアが「アルジュナ様、その話はここだけのこととしてご内密に」と眉間の皺を深くしながら頭を下げた。

 別に隠してない設定なのだが、なぜ皆そんな反応なんだ。

 

 納得はいかずとも口に含む料理は美味しい。

 もぐ、と口に含むホタテを堪能しつつ、向かいで竜を祀る民とシュナが一悶着起こしている。

 

 俺はホタテが大好きだから今度はホタテを追加オーダーしようかななどと考えながら珠玉の料理に舌鼓を打つ。

 いや、自分で望めばいくらでも上手い料理を出せるのだが。

 

 でも人の金で食う焼肉は格別美味いのと同じ理論で他人の料理は美味いものだ。

 

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