転生したら創世滅亡輪廻の神だった件   作:ラムセス_

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レオン来たる

 

 西方諸国評議会のドタバタから一夜開け。

 

 そういえば、昨日さらっと当然みたいな顔をしてディアブロがいたが、どうやら勧誘の旅から帰ってきたらしい。

 ディアブロはキラキラ笑顔でリムルの後ろに立ちながら言った。

  

「私にはリムル様のお世話という大切な役目があるので先に帰らせていただきましたが、後から二人も来ると約束を取り付けることができました」

「なるほど、自由だよなお前」

 

 しみじみリムルが言ったところはこの場の総意でもある。

 

 さて、今集まっている会議場は迎賓館内の一角にある。

 稼働率が高い部屋で、間取りの関係で気持ちのいい日差しが差し込む。

 

 そこで高級そうな椅子に座りむっつりと黙り込んでいるギィと、付き添いなのかなんなのか、隣でレオンがすましこんで座っている。

 

 ギィは昨日夜遅くに突然やってきて「アルジュナ神はいるか!!!」と叫んだのだ。

 ユガが起きてから氷土の大陸から急いでやってきたのだろう。

 

 ギィがジロリとした視線で俺をみる。

 

「……で、今回はなんだって突然終末を発動したんだ?」

「…?通知の通りですよ。少しばかり西方諸国評議会の会議が荒れたので、その修正に少しばかりユガを回したんです」

「ほ、んとうにそれだけのために世界を作り直したのか」

 

 沈鬱な顔でギィが沈み込んだ。

 レオンはまるで興味なさそうに茶を飲んでいる。

 

 俺は一応弁明した。

 

「それに精神支配のアーティファクトで私を支配しようとしたんですよ?流石に不敬すぎるのでちょっとした威嚇がてら力を使っておこうかと」

「お前を!?支配!?人間がか???どんだけ愚かならそんな発想が出てくるんだ???」

 

 ガタリと立ち上がったギィが叫んだ。完全に宇宙を背景にした猫のような表情だ。

 リムルが「分かる…あれは酷かったもんな…」と頷くなどしている。

 

 我関せずといった風体で紅茶を飲んでいたレオンが、ぽつりと「いつの時代も支配欲というのは限りないものだな」と一言落とす。

 頭が痛そうに両手で顔を覆ってギィが大きなため息をついた。

 両側の悪魔メイドがさっとギィに水を出す。

 

 出された水を一気飲みして、ギィは「後でバカは少し間引くとして、だ」とわりと本気のトーンで呟いてからこちらを見た。

 

「これは単なる要望だが。もし何かあったら終末を下す前に俺たちに相談しちゃくれねぇか」

「え、でも小さなことでわざわざ手間を掛けさせるのもなんですし」

「お前に動かれる方が万倍手間なんだよ!!俺の心核が口から出そうになってもいいってのか!」

 

 ギィが叫んだ。

 「お前も、なんで止めなかったんだ」とギィにぎろっと睨まれてリムルは視線を泳がせた。

 

「いやぁ、温厚な俺もそろそろ頭に来ていたと言いますか。この辺でちょっと目にもの見せてやりたかったというか、ね?」

「……俺は悲しい。長年ちょいちょい襲撃をかけて危機感を持たせてやってきた人間どもがこんなに愚かだったなんてな」

 

 見守ってきたみたいな口調だが、わりと悪どいことやっているギィである。

 さすが、正しく「外敵でもって人を団結させる」という手段をとった人類の守護者である。

 

 レオンがふむ、と顎に手をやって考え込んでから「そろそろ本題に入りたいのだが」と切り出した。

 「いやお前、俺のが本題じゃなかったみたいなセリフはどうなんだよ」とギィが冷静に突っ込んでいる。

 

「あなたには前々から会いたいと思っていた。滅亡神アルジュナ」

「ふむ。私に何か望みでもあるのですか?」

 

 ひとまずすっとぼけておく。

 分かってはいるけど知ってて黙ってたと知られたら恨まれるかもしれないからや。

 

「あなたは一処に滞在せず、暗部のものや情報網を通して動きを掴んでも転移を繰り返して捕捉し続けるのが難しい」

「そうでしょうね。私は東と西を行ったり来たりしていましたから」

「問いたい。私はクロエ・オベールという少女を探している。貴方の力でもってそれを探すことは可能か?」

 

 どう答えようかな、と俺が思案していると、リムルがごほん、と咳払いをした。

 「ちょっといいか」とそのまま口を出したので、レオンの視線が集中する。

 

「レオンの探しているクロエ・オベールと同一人物かは知らないが、テンペストの魔法学園にはクロエ・オベールって名前の召喚者の少女がいる」

「!!……それは本当か?」

「ああ。一応会ってみるか?今頃だと授業中だろうし、学園にいると思うぞ」

「案内を頼む」

 

 せっつくような速さでレオンが立ち上がった。

 リムルが苦笑する。

 「アルジュナの言っていた通りの妹命加減だな」とでも思っていそうな表情だ。

 

 むっつりと黙り込んでリムルと共に出ていくレオンに、残されたギィと俺は茶をすすりながら「そういや、東がまた戦争準備を始めたんだってな」などと世間話としけ込むことにした。

 

「中央はジュラの大森林が魔王領になったから、ドワルゴンを除いて魔王領の壁ができた形か」

「ですね。おそらく帝国は基本的にはドワルゴンを攻めて西に攻め入るつもりかと」

「まぁジュラの大森林にはお前がいるんだ。そりゃヴェルグリンドも二の足踏むだろ。ああそれと、今回の評議会でやんちゃしたっていう五大老はどう処分するんだ?」

 

 すう、と目を細めてギィが牙を見せる。

 なんでこいつがこんなに怒ってるんだ?

 

「特に考えませんよ。直接手を出されたわけじゃないですし、被害もないですし」

「俺に多大なる精神的被害が出た。立派な被害だろうが」

 

 いまにも謝罪と賠償を要求しそうな様子に、俺は首を捻ってうーんと唸った。

 

「ですが、近いうちにまた次の一手を打ってくるんじゃないでしょうか」

「何故そう思うんだ?」

「自由組合総帥、ユウキ・カグラザカがおそらく五大老とテンペストの潰し合いを誘導するつもりでしょうから」

「なるほど。お前が動く前に俺が消せばいいって話か」

「結論早いです。座ってください」

「お前こそ座ってろ!!!じっとしててくれ!」

 

 盛大に怒られてしまったので、俺は解せぬと思いながらも椅子に座り直すのであった。

 

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