ちょっと待って! 私の下の階級に猪熊柔がいるんだけど……!   作:怪盗218

45 / 76
45話 女子52kg以下級 4回戦(準決勝) 第1試合

ソウルオリンピックにおける柔道競技の全てが行われている奨忠(チャンチュン)体育館。大会2日目、女子52kg以下級ベスト8同士の準決勝進出をかけた白熱した試合に、会場内のボルテージも最高潮に達していた。

 

今、試合会場では五輪カラーの五色に髪を染めたドレッドヘアの黒人選手が、褐色の肌の選手を抑え込んでいる。私は、彼女達の試合から僅かに視線を剥がし、電光掲示板の表示を確認した。

 

「抑え込み残り時間20、いや、19秒……か。どうやら決まりのようね」

 

「そうね。あれだけ完璧に抑え込まれていると逃げるのは難しそう。ブラジルのベアトゥリスか。確か、前の試合も寝技で勝っていたんじゃなかったかしら」

 

三上の相槌に、私はこくりと頷く。彼女の前の試合は控室内に備え付けられているモニターで確認していた。崩れ袈裟固めから、最後は腕挫手固(うでひしぎてがため)という肘関節を極める関節技で彼女は勝利を収めていた。

 

電光掲示板の抑え込みの残り時間が10秒を切る。寝技から逃れる事を諦めたのか、ベアトゥリスに上四方固めで抑え込まれているスペインの選手は、先ほどまでばたばたと動かしていた両足を、畳の上に投げ出すようにして動きを止めた。

 

3,2,1……。

 

「――一本! それまで!」

 

審判の勝ち名乗りを受け、ブラジル選手らしく陽気にその場でジャンプして勝利を喜ぶベアトゥリス。日本人選手とは異なるその真っすぐな感情の発露に私はくすっと笑みを零すが、三上は真剣な表情で私に囁く。

 

「桐生さん、明らかにあの選手は寝技を得意としているよ。寝技に比べたら立ち技のレベルは幾分落ちるから、準決勝は立ち技主体で行った方が良いかも」

 

確かに……ね。そも柔道は、日本以外に寝技を得意とする国はほとんどいないと言っても過言では無いが、ことブラジルだけは例外だ。あの国には、ブラジルに移民した日本人柔道家・前田光世の弟子であるグレイシー兄弟が発展させたグレイシー柔術が今も息づいている。あの流れるような寝技を見ただけで、彼女の柔道にその系譜がはっきりと刻まれている事が分かろうと言うものだった。

 

面白い。私は、三上の提案に笑みだけ返して、控室に戻って行った。

 

 

 

「――始めっ!」

 

準決勝1回戦。視界の隅に、この試合の後対戦予定のフルシチョワと韓国のジアンが腕組みをしてこちらを注視している様子が映った。先ほどまで開始線の上で独特のステップを踏む様に小刻みに身体を揺らしていたベアトゥリスが、主審の開始の合図で一気に向かってきた。

 

「――せいぃっ!」

 

――!

 

組み合うなり、ベアトゥリスが私に対して巴投げを仕掛けてくる。その巴投げには、私の身体を宙に浮かせる力は無い。そんな事はベアトゥリスも十分に理解しているはず。彼女の狙いはただ一つ。私を寝技に引き込む事だ。

 

「――桐生、寝技に付き合うな!」

 

背後の女子柔道勢が陣取っている観客席からそんな声が飛ぶ。完全に畳に背を付けて私の懐に入っているベアトゥリス。ここで両腕に力を込め彼女の身体を畳から浮かせると、おそらく審判は『待て』を宣告するだろう。

 

立ち技勝負に拘るならそれが正解。だけど私は……。

 

「――おもしろいじゃない! グレイシー柔術、私に見せて見なさいよ! ナナテイとどっちが上か勝負!」

 

私はぐっと腰を落とし、ベアトゥリスに覆いかぶさるように寝技の攻防戦に突貫していく。

 

ベアトゥリスの両足の間に身体を滑り込ませた私は、そのまま彼女の上半身を狙い身体をスライドさせていく。ベアトゥリスは私の選択が意外だったのか、虚を突かれようにすんなりと足の間から私が抜け出すのを認めた。……が、私の狙いが上半身と気付いてからは、寝技師としての矜持を見せ、私のその行為を阻害し始める。

 

彼女の襟に伸ばした私の右手を引きつけながら、その身体を入れ替える。一瞬にして私の背中に背後から飛びついたベアトゥリスは、私を抱えたまま後ろ向きに勢いよく倒れる。

 

「――! ぐっ、かはっ!」

 

――袖車絞(そでぐるまじめ)か! 自身の片腕を相手の首に廻し、もう片方の手でその袖を取り引き絞る事で、相手の咽喉(いんこう)を圧迫し窒息させる技。この技自体は良く知られた講道館柔道絞め技12本の内の一つだが、そこに至るまでの無駄のない流麗な動きと、それに連動した両足の動きが秀逸だった。ベアトゥリスは両腕で私の咽喉(いんこう)を絞めつつ、自身の両足を背後から私に回して下半身の動きまでも封じようとしていた。

 

だけど、私は両足の拘束がなされる前にこの絞め技からの脱却を選択していた。私は彼女を背にしたままダンッと勢いよく畳を蹴りつけ、その反動で彼女に絞められている咽喉(いんこう)を支点にくるり、と一回転する事で、彼女の腕の中から頭をすぽっと引っこ抜く事に成功する。

 

「――何っ!?」

 

「ワクワクさせてくれるじゃない、ベアトゥリス! でも、今度はこっちの番よ!」

 

驚きに目を見ひらく彼女に対して、私もお返しとばかりにその首に腕を回して背後を取り返す。狙うは、送り襟締め……からの、地獄絞(じごくじめ)よっ!

 

「――ぐっ!」

 

通常の送り襟締めは、相手を後ろから抱え込むような体勢で、片方の手を相手のあごの下から回して反対側の襟を握り、もう片方の手は脇の下から回して反対側の襟を握る事で、相手の咽喉(いんこう)を圧迫する技。これに加えて身体の位置を入れ替えつつ相手の片腕に両足または片足をかけて動きを掣肘(せいちゅう)するのを、地獄絞(じごくじめ)と呼ぶ。

 

頸動脈を圧迫された事で顔を真っ赤にして苦渋の表情を浮かべるベアトゥリスだったが、私が地獄絞(じごくじめ)を完成させようと身体を起こした瞬間に、彼女は横回転を選択する。

 

まずいっ、このまま彼女に回転されると逆に私が抑え込まれる!

 

そう判断した私は、その横方向の回転に巻き込まれる前に彼女から身体を離し距離を取った。彼女もいったん送り襟締めから免れた事で良しと考えたのか、直ぐに立ち上がれる膝立ちの態勢を維持しながら私を見つめる。

 

……やるわね、ベアトゥリス。

 

寝技の攻防がいったん途切れたのを見て取り、審判が「待てっ!」を宣告する。

 

互いに絞められて赤く腫れた首元を手でさすりながら、開始線に戻る私達。時間にして30秒に満たないほどの間に繰り広げられた激しい寝技の攻防に、奨忠(チャンチュン)体育館に詰めかけた観客から大声援が飛んだ。金緑旗と日の丸が激しく振られる中、日本チームの監督、コーチ達からの声が届く。

 

開始早々激しい寝技の攻防を行った事で、私とベアトゥリスの道着が大きく崩れていた。審判がその道着の乱れを正すように私達に注意したので、ベアトゥリスと私はそれぞれ帯をほどき、道着を再び整える。その間に、互いの陣営から声が飛ぶ。ベアトゥリスの方は何を言われているのか分からないが、私の方ははっきりとその声が耳朶に届く。

 

「桐生、ベアトゥリスの寝技に付き合うなって言っているだろう!」

 

「そうだ、寝技は捨てろ! お前なら立ち技で圧倒できるだろう!」

 

そんな声を聞いても、私は心の中で舌を出しながらゆっくりと開始線に戻る。途中三上と視線が合ったが、彼女は処置無し、とでも言いたげに苦笑いを浮かべながら、肩を竦めるだけだった。

 

「始めっ!」の審判の言葉に、私達は再び組み合う。今度は直ぐに組手がまとまらなかった。互いに右手と右手、左手と左手を組み合う、相撲で言う所の“手四つ”の状態でけん制し合う。おそらくベアトゥリスは、意外だった私の寝技の技術にこのまま寝技中心の戦い方を続けて良いのだろうか、と逡巡しているのだろう。そして私は、彼女がどのような選択をするのか待っていた。

 

――!

 

突然彼女が私と組み合ってきた。その動きは、寝技狙いではなく立ち技主体で行くと言わんばかりの大きく激しい動き。そう来るのなら、私も遠慮しない。

 

小刻みに足を飛ばしながら激しく左右に動き始めた彼女に追随するように追いかける私。一つ二つ、互いに技をかけ合う。ベアトゥリスの技もかからないが、私の技もかからない。彼女の腰が引けているからだ。私が踏み込もうとすると、彼女は過剰なほどにそれから逃げる。

 

もうっ、中途半端な間合いねっ! 立ち技で攻めると決めたのなら、覚悟を決めなさいよっ!

 

しかし、ベアトゥリスが寝技でなく立ち技で挑もうとしていると考えた私の考えは、いささか早計だったようだ。

 

「――!?」

 

――飛んだ!?

 

突然、ベアトゥリスが跳躍し、私の上半身を前後から両足で挟む様にしながら飛びついてきたのだ。そして彼女は、そのまま私の右腕に取りついたまま全体重をかけて私を寝技に引きずり込もうと体重をかけてくる。

 

――これは“飛び十字”! 正確には、飛びつき腕十字だ! 令和の時代のIJF(国際柔道連盟)ルールでは禁止されている、立ち技から入る関節技の一つ。組み合った状態から勢いよく飛び上がり、片脚を相手の腋の下で、もう片脚を首を刈るように振り上げて、ぶら下がるように自体重で相手の体を畳に引きずり落としながら極める、令和で言う所の実にばえる『腕ひしぎ十字固め』。

 

畳に落ちた時の体重の掛け具合によっては、一発で腕をへし折られる可能性のある危険極まりない技だが、もちろんこの時代では合法だ。ベアトゥリスと私では、体重は彼女に分がある。私の身体は、回転していた駒がゆっくりとその動きを止めようとしている時の動きのように、右方向にゆらりと回転しながら倒れていく。このまま倒れれば、その時点で腕ひしぎ十字固めが完成する。その結果を想像したのか、日本の応援団が占めている観客席からは悲鳴が、そしてブラジルの応援団が占めている観客席からは歓声が飛ぶ。

 

そんな悲鳴と歓声が入り混じる中、私はベアトゥリスに対する最大級の賛辞の声を一人胸中で上げていた。彼女はどこまでも寝技師だった。相手手強しとみても、それでも自身がこれまで培ってきた技術で一点突破する事にかけたのだ。そういう信念、好きだよ。

 

――だけど、このまま負けてあげる事はできないけどね!

 

確かに“飛び十字”は、私が生きていた時代のIJF(国際柔道連盟)ルールでも、講道館柔道でも禁止されていた。それゆえに、初めて受けたこの飛び道具に面食らい、現在やばい状況になりつつあることは認める。だけど、私だって何の対策もしていないわけでは無い。

 

飛び十字は、腕を挟まれた相手の両足が足先で組み合わされると完成されるが、逆に言うと、それまでにその両足のどちらかを外す事で躱す事が出来る。そして、どちらがより支配的かというと、腕より下の部分に回された足の方だ。私は、崩されようとしている不安定な姿勢の中、左腕でベアトゥリスの右足を持ち上げ、その強固なロックを外す。

 

この一連の動作を、彼女に畳に引き倒されるまでの僅かな時間に行った私は、飛び十字を無力化させることに成功する。奇襲攻撃に失敗した事を悟ったベアトゥリスは、私からの反撃を恐れて亀のように身を縮こませて四つん這いになる。

 

一瞬審判が試合を止めるべきか悩む素振りを見せるが、私はその必要は無いとばかりにベアトゥリスに上からのし掛かった。

 

逃がさないよ、ベアトゥリス。寝技の攻防を選択したのなら寝技で決着をつけるのが、あなたへの何よりのたむけになるはずよ!

 

寝技は、互いの動きが膠着すると審判に『待て』を宣告され、開始線からの仕切り直しになる。膠着したかどうかの判断は審判により異なるが、おおよそ10秒か15秒くらいだろうか。その短い間に、寝技を拒む相手のカメ(畳に四つん這い状態の事を言う)を攻略しなければならない。

 

堅牢なカメの崩し方こそ、ナナテイ柔道の真骨頂! 前世で、“超弩級”の称号を得た私を舐めんじゃないよ!

 

私は、かつて柔ちゃんとの練習試合の時に畳に腹ばいになった彼女の身体を裏返したのと同じやり方で、彼女の脇の下に手を突っ込み斜め回転を利かせながらベアトゥリスの身体を「うりゃっ!」と勢いよくひっくり返す。

 

いとも簡単にカメの身体をひっくり返された事にベアトゥリスの顔に驚きの表情が浮かぶ。本来このやり方で相手を裏返した時には、そのまま抑え込みに移行する事も可能だが、この時の私は抑え込みでなく別のことを狙っていた。

 

ひっくり返しはしたものの、現状私が下で、彼女の身体が上。つまりマウントを取っているのは彼女だ。これを千載一遇のチャンスと見たのか、彼女の瞳に勝機を得た歓喜の瞬きが煌めく。かかった。咄嗟に彼女は、私の襟を取ろうと手を伸ばして来る。

 

かつて柔ちゃんは、ここから引き返した。それは彼女の持って生まれた天性の危険察知能力ゆえだったのだろうが、ベアトゥリスはいとも容易くルビコン川を渡った。

 

「――!?」

 

「――ふっ!」

 

勝機とみて差し出されたベアトゥリスの腕を、一瞬で絡めとる私。同時に、彼女の下から両足で彼女の片腕と首を挟み込む。腕と首を挟まれて、四つん這いのまま前に引き出されるような格好になるベアトゥリスだが、私の足で下半身が抑えられているため、腕だけが引っ張られる状態になっている。

 

「――あぐっ!?」

 

腕ひしぎ三角固め。それがこの技の名前。完璧に極まった際の両足の形が三角形になる事から名付けられた講道館柔道 関節技十本の内の一つ。総合格闘技におけるアームロックという名の関節技、と言った方が分かる人が多いのかもしれない。

 

ギリギリと骨の軋む音を発しそうなほどにベアトゥリスの腕を極める私。苦悶の表情を浮かべるベアトゥリスだが、完璧に極まった関節技から逃れる術はない。それは寝技師であるベアトゥリスが一番よく分かっているはずだけど、それでも彼女はタップをしようとはしなかった。

 

腕ひしぎ三角固めは、肘関節を極められる事もさることながら、頸動脈も同時に圧迫される。酸素が脳に行きわたらずベアトゥリスの顔が充血したように赤く染まるが、それでも彼女は必死の形相で私の関節技から逃れようと身じろぎする。

 

……分かるよ。ベアトゥリスの肩越しに、彼女の背後の観客席に陣取るブラジル応援団の姿が、私の視界の片隅に映る。金緑旗を腕が千切れんばかりに振り回し、のどを枯らせて声援を送る彼らの事を考えれば、容易くギブアップなど出来ようはずもない。

 

だけど、だからと言って私がここで手を抜く事も出来ない。私の背後にも、私の勝利を信じて声を枯らせて応援してくれる日本の応援団がいる。きっと、『必勝』の旗も振られている事だろう。国の威信を背負うとはそういう事。

 

ベアトゥリスは、最後の最後までこの関節技から逃れる事を諦めてはいなかった。彼女は、満足な態勢でないのに、極められた右腕を私の身体ごと持ち上げようとする。それは、彼女を応援する人達の力を自身の力に変えたかのような凄まじい膂力だった。

そしてそれは、ただの蛮行ではなく、確かな技術に裏打ちされた行為。彼女は、そうして僅かに畳から浮かせた私の身体を再び畳に叩きつけた時の衝撃でこのロックを外し、逃れようとしているのだ。

 

 

ダンッ!

 

僅かに畳から浮いた私の背が、再び畳に接地する。その衝撃で、腕ひしぎ三角固めに極めていた私のロックが僅かに崩れる。肘関節を取っていた私のロックが緩んだのだ。それを狙っていたベアトゥリスの顔に、一瞬歓喜の表情が浮かぶ。

 

だが、それは一瞬の事だった。直ぐに彼女は驚愕に目を見開く。

 

そう、確かに肘関節は緩んだ。だが、逆に彼女の頸動脈を絞めていた私の足の締め付けはより強まっていた。

 

私は、ベアトゥリスが私の身体を畳に叩きつける事で腕ひしぎ三角固めから逃れようとしている事に気づいていた。畳に叩きつけた瞬間の衝撃を利用するのだろうと。それに気づいた私は、逆にそのタイミングに、狙いを彼女の肘ではなく頸動脈に変えていたのだ。

 

先ほど以上の早さで酸欠状態に陥り、その顔を一気に赤く染めるベアトゥリス。彼女は、自身の狙いを逆に利用された事に気づいたのだろう。憎々し気な目で私を見下ろす。そして、私はその彼女の視線を真っ向から受け止め睨み返す。

 

火花が散るかのような視線の交わりは、長くは続かなかった。不意に、私と視線を交錯させていた彼女の瞳から、強い意志の光が消える。

 

――落ちたっ! その瞬間を審判も固唾を飲んで見守っていたのだろう。私が彼女の首を絞めている両足の力を抜くのと、審判が「――一本!」と、勝ち名乗りを上げるのは同時だった。

 

 

私による両足の拘束が緩まった事で、ぐらっとよろめきながら畳に崩れ落ちるベアトゥリス。まるで死んだように横たわるその様子に、奨忠(チャンチュン)体育館が静寂に包まれる。

 

私は、ベアトゥリスの身体を支える審判に近づき、彼に「任せて」と声をかけながらベアトゥリスの背後に回る。上半身だけを起こした彼女の背中に膝を押し当てた私は、ふんっと勢いよく彼女の胸郭を広げる動作を行う事で活を入れる。

 

ビクンっと一瞬痙攣したベアトゥリスだったが、直ぐに力なく(こうべ)垂れていた頭を上げて、周囲をキョロキョロと見回す。落とされた選手によくある事だけど、落とされる瞬間の記憶が一瞬頭から抜け落ちているのだろう。私も、今世では無いが前世で何度か落とされた経験があるからよく分かる。あれ、実は気持ちいいんだよね。本当に天国に行くように気持ちよく眠れるし、目覚めてもちょっとした居眠りから目覚めた時のように、妙に頭がすっきりした状態で目覚める。

 

ただ、膀胱にお小水が溜まっていると、落とされている間に失禁する事があるから(尿意で目覚めるほど軽い寝落ちじゃ無いって事なんだよね)、トイレを我慢して柔道の試合に臨むのは厳禁なのは、柔道家あるあるなんだけど……。

 

おっと、話を戻そう。とどのつまり私は先ほどの最後の攻防の最中、ベアトゥリスに対して関節技という苦痛を与えるのではなく、絞め技という快楽を与える事で勝利する事に切り替え、それが功を奏したというわけだ。人間、苦痛には耐えられても、快楽には耐えられないとはよく言うが(言わないか?)、ベアトゥリスもその後多分に漏れなかったという事。

 

ご苦労さん、とばかりに審判に肩をポンと叩かれた私は、ベアトゥリスを審判に任せて一足先に開始線に戻る。私の後を、頭を左右に振りながらふらついた足取りで開始線に戻ってくるベアトゥリス。意識を失うまで試合を諦めなかった彼女に対して、会場内から万感の拍手が送られる。同時に、金緑旗がそんな彼女を誇りに思うかのように、激しく揺れていた。

 

「――礼!」

 

審判の言葉に、私達は互いに礼をする。そして、私とベアトゥリスが互いに歩み寄り、開始線の中央付近で互いの健闘をたたえ合い抱擁する。

 

「楽しかった。一緒に表彰台に上がろうね、ベアトゥリス」

 

「次は一番高い場所に立ってみせるよ。だから、それまではあんたにその座を預けておくわ」

 

返事を期待していたわけでは無いが、英語で話しかけた私に、ベアトゥリスはニヤッと笑みを浮かべて返してくれた。なんだ、英語できるんじゃない。

 

そのまま互いに肩をポンポンと叩いた後、私達はそれぞれ畳から降りて行った。さあ、これで金メダルまであと1勝。ベアトゥリスにも一番高い場所の座を預けておくって言われちゃったし、ちゃんとその場に私が居座っておかないといけない。

 

がんばるぞぉっ! そして私は鼻息荒く、三上の待つ場所に戻って行った。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

時は少し遡る。

 

「さあ、日本の桐生選手の準決勝がいよいよ始まります。山上さん、猪熊先生、この試合に勝てば、桐生選手は銀メダル以上が確定しますね」

 

「そうですね、昨日は本阿弥が悔しい銀メダルに終わりましたからね。桐生には、是非この試合に勝って決勝に進み、悲願の金メダルを獲得して欲しいですね」

 

「ふんっ、狙うは金メダルただ一つよ! この試合など、桐生にとっては通過点に過ぎんわ!」

 

アナウンサーに対して、それぞれの口調で桐生に対して激励の言葉を送る山上と猪熊滋悟郎。彼らがそんな会話を放送席で交わしている間にも、桐生と準決勝の対戦相手であるブラジルのベアトゥリスが、ゆっくりと畳の上に上がる。

 

「さあ、日本の桐生選手の準決勝が……今始まりました!」

 

 

 

ベアトゥリスの袖車絞(そでぐるまじめ)を桐生が躱し、直後、桐生の地獄絞(じごくじめ)をベアトゥリスが躱した所で審判が『待て』を宣告する。両者の激しい寝技の攻防に魅入っていたアナウンサーが、ほうっと長い息を吐いた。

 

「いやー、思わず息をすることも忘れるほどの激しい寝技の連続でしたね。しかし、これまで全ての試合を寝技で勝ち上がってきているベアトゥリス選手はともかく、立ち技主体で勝ってきた桐生選手があれほど寝技をこなすとは、意外だったのではないですか?」

 

その言葉に、山上は感心したように顔を振りながら応える。

 

「いえいえ、意外だなどと表現して良いレベルの寝技では無かったですよ。それに、私だけでしょうか。桐生のあの寝技の動きにナナテイの匂いを感じたのは……」

 

「ナナテイ……? 山上さん、それはいったい……」とアナウンサーが首を傾げるが、山上の隣の猪熊滋悟郎が「ほっほっほっ!」と高笑いをする。

 

「ふむ、さすがは山上じゃな。桐生のあの寝技の動きは、ナナテイを齧ったものにしか出せん動きじゃ!」

 

「――! やはり、そうですか! なんと、あの若さでナナテイの技術を身に着けているとは……」

 

二人だけで納得しているようで蚊帳の外に置かれたアナウンサーが焦れたように問いかける。

 

「あ、あの……ナナテイとはいったい……」

 

「ああ、失礼しました。ナナテイとは、七帝(ななてい)柔道の事です。北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の旧帝大の柔道部で行われている寝技中心の高専柔道の流れを汲む柔道の事を七帝(ななてい)柔道と呼びます」

 

「なるほど。それはいわゆる講道館柔道とは違うのですか?」

 

「似ているようでいて、その実態はまるで違います。まず、七帝(ななてい)柔道に個人戦は存在せず、団体15人制の勝ち抜き戦のみです。その上、勝ち負けは一本のみで決まり、それ以外はポイントになりません。そして何より、寝技での攻防に『待て』や『参った』の概念がありません」

 

「――『待て』や『参った』が無いのですか!?」と驚くアナウンサーに、山上は「はい」と頷く。

 

「し、しかしそれでは寝技の攻防がいつまでも続くのでは……?」

 

「そうです、寝技の攻防に終わりがありません。それゆえに、七帝(ななてい)柔道は、講道館柔道とは異なる独自の寝技技術が発展しているのです」

 

「ふっふっふ、お主、知らんのか? 山上が現役の時には、その七帝(ななてい)柔道の寝技で勝った事もあるというのに」

 

猪熊滋悟郎のその言葉に、山上は頭を掻きながら「昔の事ですから、先生……」と照れたように笑みを浮かべる。

 

「はー、なるほどぉ。おっと、試合が再開されましたね。おや、ベアトゥリス選手は先ほどとは打って変わって、立ち技での攻防を選択したように見えますね」

 

アナウンサーの言葉の通り、桐生茜と組み合ったベアトゥリスは、小刻みに足を飛ばすと同時に、投げ技の動作を幾度か取る。しかし、その様子をじっと見ていた猪熊滋悟郎は「いや……」と首を振る。

 

「よう見てみぃ。あのブラジルの寝技使いは、これっぽっちも寝技で勝利する事を諦めておらんぞ。あ奴のかけておる投げ技には魂がこもっておらん」

 

「確かに……」と山上も続く。

 

「……桐生め。ベアトゥリスの狙いに気づかんと、不意をつかれ――。 ――それみいっ!」

 

「「――あっ!!」」

 

山上とアナウンサーの声が揃う。彼らの見つめる先で、ベアトゥリスが飛びつき腕十字という奇襲技に出たためだった。

 

「桐生、危ないっ!」

 

山上が声を上げる隣で、猪熊滋悟郎が「――下じゃっ!」と声を張り上げる。その声が聞こえるはずも無いが、桐生は右腕を挟み込んだベアトゥリスの両足の内、低い方、つまり腹の方に置かれた足をぐっと持ち上げ、次いで身体を逸らしつつ胸の上に置かれた足も外す。

 

そうやって右腕の拘束を解いた桐生は、勢いよくベアトゥリスの身体から右腕を引き抜く。極めようとしていた腕を取れなかったベアトゥリスはそのまま畳に突っ伏し、即座に四つん這いの態勢に。

 

解説席にいる3人がほっと息を付くが、直ぐに緊張の声を発する。

 

「なんと、桐生選手、ベアトゥリス選手に再び寝技を仕掛けました! しかし、ベアトゥリス選手は固く身体を丸めています。これは崩すのは困難では、山上さん?」

 

アナウンサーの問いに、じっと桐生の動きを見ていた山上が応える。

 

「……いえ、確かに困難ですが、桐生ならあるいは……! あっ、桐生が仕掛けましたよ!」

 

「ほっほう、やりおるわ、桐生!」

 

山上と猪熊滋悟郎が期待に満ちた目で桐生を見つめる。その桐生は、いったいどうやったのか、硬く手足を縮めていたベアトゥリスの身体をいともたやすくひっくり返していた。

 

「なんと、桐生選手、攻略困難と見えたベアトゥリス選手の身体をひっくり返しました。山上さん、今のはいったい……?」

 

「これではっきりしましたね。今の亀の崩し方こそ、七帝柔道の真骨頂です。あれは……SRTという七帝柔道から生まれた技の一つです」

 

「SRT……? それは何かの略称なのでしょうか?」という問いかけに、山上は少し言いよどんだ後、恥ずかしそうに答える。

 

「そ、そうですね。SRT、正確には、ス……、スーパーローリングサンダーという技……です、はい」

 

「す、スーパーローリングサンダー……ですか。随分と柔道の技に似つかわしくない技名のように思えますが、もしかして山上さんが付けた名前でしょうか?」

 

「――違いますよ!」と、顔を真っ赤にして否定する山上だが、その隣で桐生達の寝技の攻防を見つめていた猪熊滋悟郎が声を張り上げる。

 

「そんな事はどうでもよいわい! それより、極まるぞ! よう見てみいっ!」

 

猪熊滋悟郎に促され、二人が再び畳に視線を戻すと、ちょうど桐生茜がベアトゥリスの右腕を腕ひしぎ三角固めに捉えた所だった。

 

「山上さん、あれは……!?」

 

「腕ひしぎ三角固めですね。ここから見る限りでは完璧に極まっているように見えます。どうやら、勝負あったようですね。遠からず、ベアトゥリスはギブアップをするのでは無いでしょうか」

 

しかし、山上のその言葉に、猪熊滋悟郎は畳の上の二人に厳しい視線を向けたまま口を開く。

 

「そうとは限らんぞ。あのベアトゥリスという選手、なかなか根性が座っておるわ」

 

その言葉のとおり、ベアトゥリスは腕を完全に極められているにもかかわらず、桐生の極めた関節技に抵抗の意思を示す。下半身も桐生に崩されており不安定な態勢にも関わらず、極められた右腕一本で、桐生の身体をほんの僅かだが畳から浮かせる。

 

「……なんという勝利への執念なんでしょう、ベアトゥリス選手」

 

「ええ、耐えがたい程の激痛が襲っているはずですが、まだ諦めていませんよ、彼女は」

 

「……これがオリンピックよ。国の威信を背負って戦っているからこそ、土壇場であのような力が発揮できるのぢゃよ」

 

猪熊滋悟郎のその言葉には、どこか憧憬の感情が含まれていた。自身が現役の時は、当時の日本を取り巻く様々な事情から、とうとうオリンピックには出場できなかった。あの時オリンピックに出場していれば、どれほどの強者と戦えたことか、どれほどの力を発揮できたことか。彼には経験しようも無い場で戦う二人を見て、彼が思わずそう思ったのも無理はないだろう。

 

(桐生、その腕ひしぎ三角固めは外されるぞ)

 

猪熊滋悟郎は、ベアトゥリスの狙いを正確に予測し、そう胸の中で呟く。そして彼の予測の通り、ベアトゥリスがほんの僅かに畳から浮かせた桐生の身体を勢いよく畳に叩きつけ、その衝撃で三角固めから逃れようとする。

 

しかし、国の威信を背負い、自身の持ちうる力を限界以上に発揮していたのは、ベアトゥリスだけでは無かった。オリンピックという舞台の重みを誰よりも理解していた桐生も、猪熊滋悟郎同様にベアトゥリスの狙いを察していた。そして、それゆえ彼女はベアトゥリスの狙いを利用し、自身の狙いをベアトゥリスの肘関節から頸動脈へと変えていた。

 

ずんっと、桐生の背中に加えられた衝撃が、彼女が極めていたベアトゥリスの右腕を通じてベアトゥリス自身にも達する。その一瞬の技の乱れを桐生は最大限に活用し、逆にベアトゥリスの首を絞めていた両太ももの位置を微修正し、その拘束を更に深める。

 

肘関節の拘束が緩んだとベアトゥリスが歓喜の表情を浮かべたのは一瞬だった。直ぐに彼女は、自身の行動が招いた結果を理解する。ぐうっと苦悶の表情を浮かべるベアトゥリス。

 

「おおっ、桐生選手、今度はベアトゥリス選手の首を絞めていませんか?」

 

「ええ、おっしゃる通り、完全に絞まっていますね。いやー、やりますね、桐生。もしかするとベアトゥリスの動きを読んでいたのかもしれませんね。いかがですか、猪熊先生?」

 

山上に水を向けられた猪熊滋悟郎はふんっと鼻を鳴らす。

 

「……勝負あったようじゃの。痛みを伴う関節技には耐えられても、緩やかな眠りに誘う絞め技に耐えられる選手はおらん。一本勝ちじゃ」

 

猪熊滋悟郎の言葉通り、彼の言葉が終わるかおらないかのタイミングで審判が桐生の勝利を宣告する。

 

 

 

「それにしても、見事な寝技でしたね。しかし、桐生選手はいつその七帝と呼ばれれる寝技の技術を身に着けたのでしょう?」

 

ベアトゥリスと畳の上で抱き合いながら言葉を交わす二人を見下ろしながら、アナウンサーが山上に問いかける。

 

「普通に考えれば、大学に入ってからという事になりますが……」と、首を傾げる山上に猪熊滋悟郎が「――うんにゃっ!」と否定の声を上げる。

 

「桐生は、去年の3月に柔と試合をした時にも同じ攻め方をしておった。それに、今は桐生も柔も三葉女子短大で共に稽古に勤しんでおるから、そのような暇は無かったぢゃろう」

 

「なるほど……。ああ、そう言えば桐生は秋田県出身でしたか。では、高校在学時に東北大学まで出稽古に行っていたという線が濃厚でしょうかね。それにしても見事な寝技でした。もし女子に七帝柔道があれば、彼女なら“超弩級”の称号を得られたかもしれませんね」

 

「山上さん、“超弩級”とは……?」

 

またもや耳慣れない単語が飛び出した事で、アナウンサーが山上に尋ねる。

 

「“超弩級”とは、15人制の七帝柔道団体戦における抜き役……まあ、エースと考えてくれて良いのですが、一人で7人も8人も抜くような大エースを戦時中の巨大戦艦になぞらえて“超弩級”と呼ぶのです」

 

なるほど、と理解した様子のアナウンサーと山上のやり取りの隣で、猪熊滋悟郎は畳をゆっくりと降りていく桐生茜に視線を落としていた。

 

立ち技と違って、寝技の戦いに一発逆転は無い。それは、将棋で言う所の詰将棋にも通じていて、ただ各々の選手がそれまでに培った寝技の技術が相手を上回るかどうかで勝負は決まる。

 

そう言う意味では、桐生茜の研鑽がベアトゥリスのそれを上回っていたというだけの事。しかし、猪熊滋悟郎は桐生茜のその技量にどうしても首を傾げざるを得なかった。

 

実力が足りていない事についてではない。逆だ。実力が付きすぎているのだ。桐生茜が猪熊邸で下宿するようになって、5カ月が過ぎた。その間、彼は孫娘と桐生茜の二人を直に指導してきた。当然二人で組み合う事も毎日の日課のようなものであった。

 

その勝敗についてだが、滋悟郎の見立てでは、立ち技では総じて互角と言っても良かった。あえて差をつけるなら、技のキレ、反応では僅かに柔が、技の選択、試合運びでは僅かに桐生に分があるか。

 

しかし、寝技に限定するとその勝敗は僅かに桐生に分があった。

 

決して、孫娘に対する寝技の稽古をおざなりにしてきたわけでは無い。立ち技はもちろん、十分すぎるほどの寝技の稽古も孫娘に課してきたという自覚が滋悟郎にはある。しかし、その柔の寝技技術をもってしても、桐生が上回っているのである。いったいどれほど密度の濃い練習をすれば、あれほどの技術が身につくのか。滋悟郎は、理解が追いつかない不気味な存在を見るような目で、桐生を見下ろす。

 

ただ、桐生の実力を十分に買っている猪熊滋悟郎でも、彼女のこれまでの戦い方に一抹の不安を抱いていないわけでは無かった。

 

それは、孫娘である柔と桐生茜の試合に臨む心づもりの決定的な違いだった。最近の柔は、以前のように投げやりな姿勢で柔道を取る事は少なくなった。決して口に出す事は無いが、対戦相手によっては試合後に楽しい柔道だったと捉えている節が見え隠れする。その傾向は、桐生やジョデーとの試合以後顕著に見られるようになった。

 

翻って、桐生だ。彼女の試合に臨む姿勢は、柔の更に上を行っている。その違いは、楽しい柔道にするためには、相手選手の得意な領域で戦う事も辞さない点である。先の試合で、あれほど寝技での決着に拘ったのは、相手選手が寝技を得意としていたからだろう。

 

もし、先ほどの試合のブラジル選手の相手が柔だったならば、おそらく30秒以内に投げ技で柔が一本勝ちしていただろう。桐生も立ち技主体で戦っていたなら、同じ事が出来たはず。しかし、桐生はあえて投げ技でなく寝技で戦う事を是とした。それは、その方が楽しいからという判断からであろう。

 

滋悟郎は、桐生のその心づもりは決して嫌いではない。むしろ、あっぱれと評したいほどだ。しかし、桐生のそれは敗北のリスクも多分に抱えるという事も意味する。もちろん、その事は桐生は百も承知の事であろうから、外野がとやかく言う事ではないとも思う。

 

だから滋悟郎は、一人胸の内だけで呟くにとどめる。もし桐生が金メダルを逃すとすれば、それは、勝負師の才覚があるにも関わらずそれに徹しきれない自身の性根に起因するぢゃろうと……。

 

########################################

 

【桐生 茜 ステータス】

 

なまえ  :きりゅう あかね

せいべつ :おんな

ねんれい :18さい

れべる  :33

くらす  :じょし52kgいかきゅう

ちから  :96

すばやさ :217

たいりょく:156

かしこさ :203

わざ   :224

こうげき力:253

しゅび力 :230

 

E じゅうどうぎ

 

【ステファニ・ベアトゥリス ステータス】

 

なまえ  :すてふぁに べあとぅりす

せいべつ :おんな

ねんれい :26さい

れべる  :29

くらす  :じょし52kgいかきゅう

ちから  :97

すばやさ :189

たいりょく:172

かしこさ :180

わざ   :199

こうげき力:229

しゅび力 :201

 

E じゅうどうぎ

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。