万丈目「……喧嘩なら買うぞこの野郎」
白夜「宜しい。ならばデュエルだ!」
人生(前世含む)初の高校生活最初の授業は不良漫画か世紀末モヒカンのような『よくない生徒』のおかげで妨害されて無事にオシャカになった。授業料は返ってくるのでしょうか?
まあ、それは一旦置いておくとして。現在俺は……いや、万丈目もいるから、『俺達』は、デュエルアカデミアの屋根の上と言うか何か説明しづらい感じの場所にいる。
「どういうつもりだ離人。このオレをわざわざ放課後に、それもこんな場所に呼び出すとは」
「そう言うなってジョン。俺たち友達だろ」
「ジョンと呼ぶな友達ではないと言っているだろ!」
「まあまあ。
それより本題だが、デッキを調整したいからデュエルしてくれ」
「む、デッキの調整だと?」
「ああ。ちょっと前々から気になってた、使いこなせれば強いかも知れないけど扱いに困るカードがあってさ。
ずっと試してみたかったんだが……実力が同じくらいの友達も知り合いもいなくて、試せなかったんだ」
「使いこなせれば強いかも知れないが扱いに困る、実力が同じくらいでないと試せないようなカード…………??
友達呼ばわりは気に入らんが、そんなカードがあるなら興味が湧かないこともない。
それに、バトルロイヤルでは良いようにやられたからな。
やるからには手加減はせんぞ、離人!」
「そうでなくちゃ面白くない!」
いい感じだ。実にノリが良い。
楽しいデュエルになりそうじゃないか。
俺達はデュエルディスクを展開し、今邪魔者のいない一対一の初デュエルをーー
「キャハハハ。二人とも頑張れ〜☆つまんないデュエルしたらポップコーン投げちゃうぞー☆」
しようとしたら、観客がヤジを飛ばしてきた。
おかしいな……招待状を送った覚えはないんだが?
「旧溜永ルナ、何故キサマがここに居る?」
「そりゃーもちろん、暇だから♡
こんなトコでコソコソ〜ってデュエルしてたら、何かおもしろいことありそうじゃん?
だからルナちゃんが、男ムサ〜イ場所に華を添えて上げるね。感謝するよーに☆」
ワオ、厚かましい。
「ま、いいや。どうせ一戦二戦で済ませる気も無かったんだ。
ジョンとの後はルナ、キミにもお相手願おうか」
「えぇ〜アタシとデュエルしたいのぉ〜? どうしよっかな〜?
あんまりザコ過ぎると張り合いないから、ジョンとのデュエル次第かな〜?」
「おい旧溜永ルナ! キサマまでオレをジョンと呼ぶな!!」
「なら決まりだな。
さあ、初めようぜ。ジョン!!」
「頑張れよージョンwww」
「ジョンじゃなああああーーーい!!」
『たった一日で仲良くなったものね……』
「「ーーデュエル!!!!」」
白夜離人 LP4000
万丈目準 LP4000
「俺のターンからか。
じゃあドロー。メインフェイズ、モンスターをセット。カードを伏せてターンエンド」
??? DEF???
「守備表示か。得意のガジェットは引けなかったらしい。
行くぞ、オレのターン、ドロー」
万丈目が引いたカードを見てニヤリと笑う。イイね、この感じ。なまじカードを揃えて理想的なデッキが作れないこの世界ならではのドローの価値の重みと言うか。三積みが当たり前の前世より一回のドローにサンタクロースからのプレゼントを開けるようなワクワクを感じる。
欲しいオモチャなら狂喜乱舞。偉い人の本なんか送られようものなら怒声発狂だ。
「来い、『ランサー・ドラゴニュート』」
ランサー・ドラゴニュート ATK1500
「ランサー・ドラゴニュート……貫通能力を持ったモンスターねえ〜。ジョンwってば変わらずドラゴン族で固めてるんだ〜。ほんと男子ってドラゴン好きだよねぇ〜☆」
「オレのエースモンスターに合わせているだけだ。種族で固めておけばサポートカードを共有出来るからな。
こんなふうにだ。
魔法カード『スタンピング・クラッシュ』を発動。
このカードは、ドラゴン族モンスターがオレの場にある限り発動可能。
キサマのリバースカードを破壊させて貰うぞ」
「くっ、『串刺しの落とし穴』が……」
「更に、破壊したカードのコントローラーに500ポイントのダメージだ」
白夜離人 LP3500
(くそっ、このデッキじゃ貴重な強力カードだったのに)
「行け、ランサー・ドラゴニュート。裏守備モンスターを攻撃だ!」
ランサー・ドラゴニュート ATK1500
ランサー・ドラゴニュートの攻撃に反応し、俺のセットモンスターが姿を現す。
シルバー・ガジェット DEF1000
「何!? シルバー・ガジェットだと!?」
「ぐっ……!」
ランサー・ドラゴニュート ATK1500 VS シルバー・ガジェット DEF1000
白夜離人 LP3000
「やれやれ……いきなりライフ1000ポイントも持ってかれちまった。
8000もあれば誤差だが、流石にその半分となるとイヤでもライフ管理に意識を向けさせられるね」
「………………」
(どういう事だ……? 奴のデッキのモンスターは、機械族のレベル4モンスターが大半だった筈。
にも関わらず、シルバー・ガジェットは守備表示で出されている。
手札に機械族レベル4モンスターが無かった……と考えてデュエルを進行するべきか?
それとも、手札にモンスターはあったが、串刺しの落とし穴でオレのモンスターを破壊してからダイレクトアタックで一気に勝負を決めるつもりで温存しているのか……)
(んん〜? ジョンってばもう長考してるよー。ほんとしょーしんものー)
『ーーーーーーーー』
(んーまあ……そうだねー。確かに白夜のデュエルはペースの変更に予兆が無いね。
クルマのギアを変えれば最高スピードは変えられるけど、変速してからトップスピードに到達するまでの助走が求められる。
でも白夜のデュエルにはソレがない。
レベル4モンスターや魔法・罠で淡々とアドバンテージを稼ぐような戦い方をしていたと思ったら、突然パワー・ホールドなんて罠モンスターで攻撃力3000オーバーを弾き出して来たり。そもそもの切り札が『破滅竜ガンドラX』って言う、出たら決着が付くような圧倒的な破壊力のカード。
機械族で固めてるんだからリミッター解除なんてカードも隠し持ってるかもしれない。
変速ギアなんて話にもならない。ボタン一つで大爆発を起こして最高速度を叩きつけてくる。
良く言えばフィクションに出てくるロボット。現実で例えるならゴジラみたいにデカいゴキブリって感じ。
…………あ、そっか。それは身構えるか♪ テヘッ☆)
「悩んでるとこ悪いが万丈目、シルバー・ガジェットの効果を発動させて貰うよ。
破壊された場合にデッキから同名以外のレベル4ガジェットモンスターを特殊召喚出来る。
イエロー・ガジェットを特殊召喚。特殊召喚成功時、グリーン・ガジェットを手札に加える」
イエロー・ガジェット DEF1200
「ーー! シルバー・ガジェットにそんな効果があったのか……。
ならば、オレの応手は決まったぞ!
手札から『カイザー・グライダーーゴールデン・バースト』の効果を発動!
ランサー・ドラゴニュートを生贄に、このモンスターを特殊召喚する」
カイザー・グライダーーゴールデン・バースト ATK2400
「ソイツが来たか……!」
(じゃあ串刺し落とし穴さんどっち道仕事しねえー)
「更に速攻魔法発動『エネミー・コントローラー』!
イエロー・ガジェットを攻撃表示に変更だ!」
イエロー・ガジェット ATK1200
「おいおいイノシシかよお前、もうちょっと温存とか返しのターンとか……!」
「行け!! ゴールデン・バースト!」
カイザー・グライダーーゴールデン・バースト ATK2400 VS イエロー・ガジェット ATK1200
「うおおおーっ……!!」
白夜離人 LP1800
「カードを一枚伏せて、オレのターンは終了だ」
「ってて……やってくれる」
エンド宣言をした万丈目の瞳が目に入る。ギラギラとした、闘志と悦びに満ちた良い目をしている。
大会とかでもたま〜に見た、いわゆるゾーンみたいなのに入りかけてる目だ。
「
ああいう目してる奴のデュエルは、何故かいっつも運命力上振れてるんだよな。
ああ、イイねぇ……! 俺のターン、ドロー!」
いいトコで来たじゃねえか。
ようやく
「行くぜ、万丈目。
俺の新しいデッキの力、お披露目だ……!」
前日譚
ガンドラ『だからそのカードじゃ私が力を発揮出来ないじゃない!』
離人「だからお前を積極的に使う気ないって言ってんだろうが!
竹槍で戦争してるトコにライトセイバーとフォース持ち込めってのか!!」
ガンドラ『全てを焼き払えばみんな平和になって良いじゃない!
私と一緒に少女マンガ読んで過ごせば良いじゃない!』
離人「諍いや喧騒のないカドショなんてありえねえ!!
カドショはなあ! 人のカタチをしたサルが人間の真似事をして遊ぶ解放された動物園でなきゃならないんだ!!」
ガンドラ『何の話をしてるのよ! 誤魔化さないでよ! 私を使うデッキに作り直してー!!』
離人「あーコラ止めろ! クリッターと黒き森のウィッチをガン積みしようとするんじゃねえデッキが歪むだろうが!」