~東方忘却郷~ 忘れられた世界の軌跡   作:クシ・ヤキ

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こんばんは、クシ・ヤキです。二話目が完成しました。
これから最低でも週一、暇な時間とかが増えれば、もう少し多く投稿できると思いますので何卒お願いしたいです。


入隊試験対策

入隊試験対策

 

――――後日――――

 俺は入隊試験に向けて永琳が組んだメニューを毎日死ぬ気でやることになった。文字通り死ぬ気でだ、メニューの内容は見ればわかると思う

 

「あのぉ…永琳さんや、俺は何で両手両足が縛られて崖の上に立たされているのでしょうか?それと、これは身体強化できるのでしょうか?」

 なんか思ってたのと違う、俺もっと簡単なのを想像してた。筋トレとか武術とか人体的な弱点とかそこら辺を鍛え上げるのかと思ってた

「凪斗は基礎的な体力がまだまだ必要よ、軍隊長クラスにもなるとあなたなんて下の下よ」

 うっそぉ…これでも結構体力には自信有ったんだけど…

「で…永琳さんや、体力が無いでなぜこれに繋がるのかについては?」

 少し怯えた俺の問いに永琳はとても良い笑顔で微笑むと俺の方にスタスタと歩いてくる

「ちょっ、永琳!落ち着けって!」

俺の叫びも虚しく、彼女は満面の笑みで俺を蹴り飛ばした。

「うぉおおおおおお??!!」

 嘘でしょ永琳!!俺死ぬって!?!?!?

「おおおおおおおお!!!???」

 進行方向に岩が見えるんだが!?ちょっと落ち着こう

「って!落ち着けるかぁぁぁああああ!!!」

 いやちょっと待てよ?霊力放出してあの岩ぶっ壊せてしまえばなんとかなるんじゃないか?否、なんとかなるに違いない

「よし!そうと決まれば!」 

 俺はとても急な坂、いや坂と言うよりも壁に近いところを死ぬ気で転がり続けながら、なんとか霊力放出の構えを――取ろうとしていた

「あっヤベ、俺両手両足縛られてるんだった」

 アカン…俺、死んだかも。永琳すまん俺約束守れそうにないです――――

「違う!!俺永琳に落とされたんだった!!!」

 覚悟しとけ永琳、後で絶対に泣かしてやる!!

 俺は転がっている中、足をなんとか地面につかせて地面を蹴り上げた

「うぉりゃぁぁあああああ!!」

 そのまま地面から離れ宙に舞った身体を捻り、岩から全力で離れた

 うぉおお!!避けたぞ!俺、避けたぞ!俺、凄い!!

「ってぇ!まだ転がってるままじゃねぇか!!!!」 

 

 ――その後…彼の型が付いた岩を発見するのはまた別の話だったのかもしれない…

 

****

 

「見知らぬ天井だ…。いや知ってるわ」

 えーっと、俺は確か………。あっそうだ、永琳を泣かしに行くんだった。って違うわ特訓してたんだったわ

「何言ってんのよ」

「うぉ!?永琳何時からそこに?!」 

 横を向くと永琳がちゃぶ台を挟んでお茶を飲んでいた、それに驚く俺………ビビりです。はい

「始めからよ、正確には凪斗が"見知らぬ天井だ…。いや…"」

「わかった!わかったから俺が言ったことをリピートしないで!!」

 あぁ…何で俺はあんなことを突拍子もなく言ってしまったのだろうか

 俺が過去を物凄く後悔している中一つ疑問が浮かんだ

「…ところで俺はなぜここで寝ているのでしょうか?」

 俺は確か転がって、岩を避けたと思ったら別の岩な衝突して…。気絶したのか?

 じゃあ誰がここまで運んで…?

「…永琳ってもしかして…。」

「違うわよ!私が運んだ訳じゃなくて私の部下につれてきて貰ったのよ!」

 ナチュラルに心読まないで頂きたいところではあるが…まぁそれは置いておくとする

「…はいはい、分かったよ。それでこれから何するんだ?」

「はぁ…。そうね凪斗の入隊試験まで大体後一ヶ月位だからそれまで私の特訓メニューを全部クリアして貰うわよ」

「…ちなみに拒否権とか、軽くして貰えるとかは…?」

 永琳は俺の問いに対して、ちゃぶ台を挟んで無言の圧で返答をしているようだ

「………はい。」

 

 

――試験へ向けての特訓二日目――

 

 

「目覚めの良い朝ですな…。とても眠いですが」

 俺は永琳に言い渡されたメニューの中に毎日朝4時に起きること、起きた後に水浴び(シャワー禁止、温水禁止)でその後永琳が作った特殊な棒で素振りをすることとなっているのだ、詳細は…まぁ見れば分かる

「つめっ!氷点下かよ!?死ぬって!」

歯をガチガチ鳴らしながら水を浴び、急いでバスタオルで身体を拭く。

「次はなんだっけ…あぁ素振りだ。なんか永琳が"凪斗用に特殊改造してある棒だから気を付けて使ってね"って言ってたけどどんな棒だよ──」

 俺の目の前にはメタルチックなコーティングがされていて"凪斗用"と書かれたメモ用紙が貼られている俺が作った木刀と同じくらいの大きさの棒が置かれていた

「──これだな、うん間違いなくこれだ」

 いくらなんでも分かりやす過ぎるだろ、俺は認知症か。と心の中でツッコミをしてみるが返答は無い

「よいしょっ…トォォ!?!?」

 重ッッッッッッも!なんだこれ?!軽く80kgはあるぞ!?

「…生体登録を開始します」

「ふぇ?」

 なんか喋ったんだけど?なにこれ?

「身長約190cm、体重約80kg、標準体型です。続いて声帯登録を開始します…………成功しました。続いて──」

 えっ?怖い、なにこれ永琳が作ったんだよね?俺なんにも知らないよ?

「──成功しました、トレーニングメニューを認証します。アップロード成功、モード、ルナティックを開始します」

 ルナティック?ルナティックってなんだ?ルナティックって確か…狂気とか常軌を逸しているとかだったよね?

「あれ?俺詰んだ?」

 凪斗がそんな事を思うのもそのはず永琳が作った特殊機能モリモリの棒は、持ち主の生体情報を分析し、その人に最適な負荷をかける仕組みになっている。してモードそれぞれで訓練メニューはその場で自動生成されるため、レベルが最高のルナティックモードを選択されている凪斗にとっては文字通りの地獄だった。

「鍛練メニューの開示、素振り1000回及び太刀筋矯正を3時間以内に終了させます。終了できない場合素振りの回数を500回追加と腕立て伏せ、腹筋、スクワットを100回、1時間全力ダッシュマラソンをランダムにメニューに入れます」 

「はぇぇ?」

 考えが追い付かない、どうしましょ…これは確かに狂気ですわ。ちょっと永琳に文句言ってこよ

 ボーっとしてる俺だが、それでも狂気は始まってしまう

「鍛練スタート」

 

****

 

「ふぁぁぁ……良い朝ね」

 小鳥達は囀ずり、窓の外から日差しが入り込みこの部屋を照らしている。やっぱり朝って良いわよね

「さてとそれじゃあご飯でも作りましょう、それと凪斗の様子を──」

 私が外の状態を確認しようと思い、窓の外を見ると…凪斗が上裸でぶっ倒れていた

「ちょっと!?凪斗!!!」

 私はパジャマから着替えることも忘れて、ダッシュで凪斗のところへ向かう

「凪斗!大丈夫!?」

 私は凪斗の胸板にそっと手を置き耳を近づけて心臓の音を聞く

 よかった、脈はあるみたい…でも一体なんでこんなことに?

「ペナルティ追加、スクワット100回、素振り500回」

 私はあっ…っと声を静かに上げて、私が作ったこの棒の電源をそっとOFFにした…

 

――少し気温が上がりマシになってきたころ――

 

「流石に機能付けすぎたかしら…」

 私は凪斗に体重が軽くなる薬を投与して背負い家の中に連れて帰った後、自己反省会的な事を始めた

 彼にはもっと強くなって欲しいし、彼が死なない為にもこれを乗り越えて欲しい…本当だったら細胞単位で人体改造を施したいところだけども、彼は多分嫌がると思う

「あぁ!もう!」

 こんなに考え込むなんて私らしくない!ちょっと前に凪斗も言っていた、"永琳は永琳らしいところが好きだよ"って、胸の奥が少しだけ暖かくなって、凄く…嬉しかった、けどあの時はそれを気付かれるのが嫌だったからいつも通りの冷静な顔を保った。その言葉は今、私の心に強く残り続けてる………それなら私は…私らしく

  

 「今出来ることを最大限に活かすだけよ!!!」

 

━━━━

 

「…知らn」

 あっぶねぇ、また黒歴史を造り上げるところだった。

「あら?起きたのね」

 永琳がこちらを上から覗くようにして声を掛けてくる。うん?覗くように?

「永琳さんや、つかぬことを伺いますが、今はどんな状況で?」

「じょ、状況って言っても。ただ、その…ひ、膝枕してだけよ…?」

 えっ可愛い…

 そんなに顔を赤くされてそんなこと言われても説得力が在りませんがな

「えっと…とても恥ずかしいのですが…」

「えっ!?…コホン…そんなことないわよ?凪斗貴方は大人しく私の膝の上で休んでなさい」 

 永琳が大人余裕を醸し出すかのような台詞を言っているが、一瞬で顔をさっきよりも真っ赤にして──

「可愛い」

「ふぇ?あう…ぁ…」

 永琳は口をパクパクしていてテンパっているように見える

「あっごめん、つい本音が──」

「ぁ…あぁう……ぁ……」

 駄目ださっきよりも顔が赤くなっている、でも可愛いんだもん…仕方なくない?

 

――素振り追加の特訓から5日後――

 

「ピピッ…ノルマ達成、以下。スコアを表示します。素振り1000回中太刀筋矯正26回、筋肉トレーニングノルマ達成、ダッシュマラソン、ペースを落とした回数4回。ペナルティ追加0回。始めの頃と比較します、以下結果です。初回素振り1000回中太刀筋矯正982回、筋肉トレーニングノルマ未達成、ダッシュマラソン、ペースを落とした回数159回。ペナルティ追加576回です」

 うぉぉ…始めに比べたら大分良くなったな…ペナルティの追加はマジでキツ過ぎるから本当に最初の頃は死ぬかと思ったもんだわ…ペナルティ喰らったら、ペナルティクリア出来なくてもっかいペナルティ喰らうとか言う永久機関ができちまったからな…

 それと…前日、永琳に『少しは形になったわね』と珍しく褒められた。たった一言だったけど、すごく嬉しかった

 そんな事を考えてしみじみしてる俺に手元にある棒は告げる

「ピピッ、ルナティックコースクリア、残りの時間は自由時間です」

「…永琳のところ行くか」

 久しぶりに永琳と朝飯でも食べるとしますかね──

 

****

 

 ──それから毎日ルナティックコースで地獄の鍛練を乗り越えて、最近では太刀筋矯正の指摘を喰らうことすらも無くなってきた。

 それで余った自由時間で何をしようか考えた訳だが、最近では永琳と雑談したり永琳と料理したり永琳に然り気無く好きと伝えてみたり、伝えたら永琳薬の実験体にされたりetc....していたが

 自主練に当てるのもよさそうだ

「自主練する事は決まったのだが…まぁ何をするのかはまだ決めてない」

 こう言う時は永琳に会いに行こう、まあ会いたいだけだが

「えーーーりーん!!!」

 家に居るであろう永琳に恐竜もビックリの大声で呼び掛ける

「うるさーーーい!!!そんなに大声じゃなくても聞こえるわよ!!もうちょっと静かにしなさい!!」

「ハイ…スンマセン…。」

 調子に乗りました許してください…

 

「──それで、どんな用かしら?」

 俺は今、いつものちゃぶ台で永琳と対面して相談にのってもらってる

「ちょっと自由時間の活用法を変えたいと思ってさ、今までは永琳と雑談したり、永琳と料理したりしてたけれどさ、その時間を自主練に当てよう思うんだ」

「へぇ………良いじゃない」

 永琳は顔を少し膨らませる中、俺はそれに気付かず淡々と話を続ける

「それでさ、その自主練の内容を決めたいんだよ、そこで…永琳の登場だ!」

「…なんでなのよ」

「永琳は人体をよーーーーく理解している、それは物理的なことだけじゃなくて霊力とか能力とかもだ。そうだろ?」

「…まぁその通りね……、それで?内容はある程度は決まっているのでしょうね?」

「大体は決まってるぞ、肉体強化はあの棒でやっているからそれ以外を鍛えたい、だけどそれ以外の鍛え方が分からないしどれが重要かも分からないんだ」

 永琳は顎に手を当て少し考えるような素振りをみせ

「──そうね…それなら霊力操作を、より精密にするのはどうかしら?」

「ほう…それは一体どういう効果があるんだい?」

「簡単に言うと霊力ロスを少なくしたり、身体強化をもっと強力にできるのが主な効果ね」

「霊力ロスってなんだ?霊力の漏れか?」

「大体はそうね、霊力を消費したり、巡回させたときに漏れ出る霊力のことをそう呼ぶわ、大体の人間はこれが大きいからすぐに霊力が無くなるのよ」

「つまりこれを鍛えると霊力がフルに活用できるようになるのか」

「そうよ、それでこれを鍛えるのかしら?」

 育成ゲーム見たいな選択肢を出してくる永琳は置いておくとして、霊力の精密さかぁ…。地味な特訓にはなりそうだがこれはこれで良いな

「あぁ、そうするよ、ちなみにどうやって鍛えるんだ?」

 そう、何を鍛えるのかが決まったとしても特訓の方法がなければ意味はない、だが地味な特訓になることは大体わかる

「ちょっと待っててね、確か向こうの部屋の押し入れにいれてあると思うから」

 永琳がテトテトと足音をたてながら部屋から出ていってしまった、少し静寂が訪れる

 

「しっかしまぁ、後大体3週間位だろ?、そんな時間で間に合うのか…」

 それもそのはず、霊力操作の習得とかに関しては洞窟暮らしのころは半年ぐらいかかっていたはずだ。そんな時間で足りるのだろうか。

 それでも時間は限られているんだ、やれるだけやらないと永琳にも失礼だろう。たとえ、どんな特訓方法でも必ずしも乗り越えてみせる。

  そんな事を考えていると廊下からまたテトテトと足音が聞こえてきた。

「お待たせ凪斗、特訓するための道具を持ってきたわよ」

「ほうほう、それでその道具は何処に?」

 永琳は永琳を模倣した人の顔サイズ位のぬいぐるみを持っている、しかしそれ以外の物がない。

 してそこから導き出される答えは……

「…もしかして…このぬいぐるみか?」

「その通り、これは永琳8556(ヤゴコロ)、霊力操作をより精密にするために作ったものよ」

「………色々と突っ込みたいことがあるんだが、それは置いておくとして、どうやって使うんだ?」

 何故ぬいぐるみなのか、何故作ったのか、何故永琳は自分をモチーフにしているのか。一度考えると無限に涌き出てくるから考えるのはやめよう

「使用方法は霊力をすこーしだけこのぬいぐるみに流す、それだけよ。けれど継続的に流すの、霊力が途切れたり、強弱の大きさが変わったら大変なことが起きるわよ」

「えぇ…なんか怖いんだが…?」

「そんな事はいいから一度使ってみなさい」

 永琳は半ば押し付けるようにぬいぐるみを差し出し、俺はそれを手に取る

「わかったよ…やってみれば良いんだろ?」

 俺は渋々承諾して、手に取ったぬいぐるみに霊力を少し流してみる

「…何も変化が無いぞ」

「あれっ?おかしいわね…本来なら霊力の強弱の変化や流れる速度の変化で起動するはずなのだけれど、ちょっと貸してみなさい」

 もしかして不良品か?と言う俺に永琳は無言で頭にチョップをかましてきた、痛いです…。

「ますますおかしいわね…ぬいぐるみに異常は無いのだけれど、ちょっともう一度やってみてくれない?今度は霊力を強くして」

「はいはい…分かりました分かりました」

 永琳からぬいぐるみを再度受け取り、霊力を2割程の力で流してみる。

 するとどうでしょうか、永琳のぬいぐるみの目が少しだけ、ほんの少しだけ光を出すではありませんか。

 それにとんでもない速度で反応して爆速で近づいてくる永琳が何かを言い出す。その前に近い…とても近い

「……もう既に、測定可能値を越えてる」

「えっ?なんか言った?」

 永琳が何か言った気がしたんだが、俺の幻聴だろうか?

「いや……何も言ってないわよ、取り敢えずこれで頑張ってね」

 永琳がこれ以上何も言わずに廊下に出てしまった。え?説明これだけ?もうちょっとぬいぐるみについて説明してくれても良いんじゃない?

「一回、霊力をどれぐらい流せば反応するか試してみるか」

 

――その一方で永琳は――

 

 あれは確実にぬいぐるみの不具合じゃない、さっき不具合かと思って私が流せば普通に反応した。

 だとしたら凪斗の霊力が少ない?いや、その可能性は薄い。前にツクヨミ様と話した時は凪斗の霊力は十分に有ると言っていた。

 もしかしたら凪斗の霊力操作の精密さは既に極致に到達しているのかもしてない。

 霊力には必ずと言って良い程波がある、その波は強弱だったり、速度だったり色々だ。だけど凪斗にはその波がほとんど無い、霊力をもっと強く流せば恐らくだが波ができる。

 

「これは……調べてみる価値がありそうね」

 彼の為にも、私たちの為にも…。

 

 

 

 To be continued___

 

 

 

 

 







読んでいただき有り難うございます。
次回は入隊試験が始まると思いますので付いてきてくれるとありがたいです。
できれば改善点や気になる点、誤字の報告などありましたら教えてください。
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