新宿はがんばる   作:のーばでぃ

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リハビリかつイキナリ降りて来たネタを書きなぐる。
ロマサガ2だけ既プレイで、リベンジオブザセブンは実はエアプ。
真プレイヤーが投下してくれることを願って。


新宿はがんばった

 

か細く青い魔力の光が岩肌を照らしていた。

復活直後のぼけた頭を振り、次第に焦点を合わせながら周りを見渡す。

 

知らない場所だ、と思う。

 

本体を収めた場所はここではなかった筈だが、しかし振り返ればかつて封印した時と同じままの本体がそこに鎮座している。

しかし窮屈な場所だ。天井は低く、周りは突貫で掘ったような岩肌。本体と幻体を合わせて14人、とりあえず収まる程度のスペースに身を置いている。

ぎゅうぎゅうに詰められるような事はない程度に広いのがまだ幸いか。

しかし誰か一人、幻体が本性を現すまでになれば相当に不快な狭さになるだろう。

 

「ここは……」

「起きたか、ワグナス」

 

ノエルだった。

奥にはボクオーンの姿もある。

 

「私たちも、今しがた復活したところだ。復活のタイミングがこれほど被ったのは奇跡かもな。……わが妹ロックブーケは私より先にやられた筈だが、復活には今しばらく掛かる様だ」

「よもやワグナス、あなたまで倒れるとは思っていませんでしたよ。……もし『血の誓い』を果たす事があれば、それは貴方だと思っていました」

「……お前たちとロックブーケ、そしてスービエがやられたのは知っている。もしやこの状況は、『血の誓い』に関するものか」

 

――我ら七英雄。肉体を捨て、幻体の身にて活動す。

さすれば幻体が倒れども、肉体が残っていれば長い時を経て再び現世へと舞い戻れる。

しかし他6人が倒れたならば、最後の1人はいかなる理由があろうとも、命を賭して肉体を守り続けるべし。

 

肉体は、『最後の要塞(ラストダンジョン)』と名付けた特殊な空間に浮かんでいた遺跡に保管した筈だった。

なればこそ、復活するとしたらその遺跡の中であった筈なのだが。

……あの遺跡は、もっとずっと広かったなあと頭の片隅によぎったりもする。

 

「見てください、ワグナス」

 

そう言ってボクオーンが差し出したのは、ここの薄い光を淡く反射する一枚の金貨だった。

 

「……『灯火(トーチ)』……か? クジンシーの……?」

 

それは、別段術研究とは無縁だったクジンシーが、それでも自分なりに組み上げ、しかし結局ワグナスやノエルの力を頼る事になった一つのシステム。

『吸収の法』のデメリットに対してカウンターとする為の、か細い灯火。

各々がそれぞれ持つ、小さな灯台だ。

金貨の形を取るあたり、クジンシーは小物だとボクオーンが吐き捨てていたのを覚えている。

 

……そもそもそれは、実体を取っておく必要すらない。

疑似的にでも『作れる』状態にすればそれだけで機能を保てるものだった筈なのだが。

 

「……予想外も予想外な事に、『血の誓い』を履行したのはどうやらクジンシーだったようですね。この状況は彼が作った。……そして、『伝言』を残して消え去ったようだ」

 

ボクオーンが本体に視線を投げた。

……言われて気付く。

本体の中に、クジンシーの姿がない。

 

「……自分の灯火(トーチ)を伝言の鍵にするとは、彼も味な真似をするモノです。……この程度の干渉なら造作もない。再生してみますよ?」

 

ボクオーンが小さく術を唱えると、岩肌をスクリーンにクジンシーの姿が映った。

 

 

@ @ @

 

 

――この映像を見てるって事は、たぶん俺は死んだんだと思う。

 

最初に復活するのは誰だろうな?

ボクオーンのような気はしてるが……とりあえず、みんな復活したって体で話すよ。

 

見ての通り、本体の場所を移した。

最後の要塞(ラストダンジョン)に浮いてた大きめの島……? 岩盤……?

まあ、そういう感じの場所を眷属動員して突貫で掘って作った間に合わせの空洞さ。

 

良い隠し場所にはなってんじゃあないかな。

出入り口もないだろ? 瓦礫で埋めてコンクリートとかで分厚く固めてある。

例えば皇帝がここに気付いて入り口掘っても、随分苦労するだろうよ。

地上から見ればここは大雪原の奥にある、モンスターもいる異空間だもんな……人海戦術だって使えないはずだ。

羽の生えてる眷属使ってここまで移動するのだって苦労したしな。

 

まあそんな訳で、出るのも苦労するとは思うんだけど……うん。

ほら、俺らは時間なんていくらでもある訳だし……うん。

ゴメンだけど、そっちで何とかしてくれ。

大丈夫さ、きっとワグナスなら何とか良い方法考えてくれるんじゃないかな、うん。

ロックブーケの眷属(幽霊)使えば壁壊さずに外の様子だって見れるだろうし、何だったら転移で外に出る事を考えたって良い……それが出来るほど物資無いけど。

 

よし、皇帝の!皇帝の話しよう!!

 

……予想してると思うけど、『血の誓い』絶賛履行中だ。

特に大規模な動きは起こさずにこっそり動いてるから、位置はまだ割れてないとは思うんだけど……時間の問題だろうな。

そもそも皇帝は、古代人の誰かと接触した可能性があると思うんだ。

なんか、話聞いてると『同化の法』を継承に特化させたような術を使ってるように思えてさ……古代人が嚙んでるなら、俺らが地上へ出るのに使ったルートを探知したりできるかもしれねえ。

相手は6人の英雄を各個撃破してきた奴だ。しかも死んでも『次に継承』して、対策建てた上でゾンビアタックしてくる奴だ。

俺だけでなんとか出来るかって言われると、随分つらいだろうよ。

 

――だから、こういう方法を取った。

 

見ての通り俺はもう幻体じゃない。肉体の方に意識を移してる。

俺はこれから、最初に実体を安置してたあの遺跡で皇帝を待ち受ける。

 

んで……なんと言うか……

 

「――七英雄とは歪んで伝わった言い伝えだ! もともとはこの俺が7つの幻体を以てモンスターを屠っていたのを、民衆が横から称えていたただけに過ぎない! 七英雄ではない……この俺様こそが! 何物をも超越した、たった一人の英雄なのだあーーッッッ!!」

 

……みたいなアトモスフィア漂わせて何とかしてみようかなって。

皇帝が古代人の奴らとズブズブだったらまあ、どうしようもないだろうなとは思うんだけど。

最後に相対した奴が実体だったらほら、ワンチャンあるんじゃないかなって。

それに、最終的に俺の死体が残るだけで本体への線は途切れる訳だから、どうしようもなくなりゃ皇帝もしぶしぶ帰るだろ。

だってアブねーもんここ。

 

あ、信ぴょう性高めるために全員からそれなりな量の血を頂きました。

『吸収の法』でおいしく頂きました。

まあその……ごめん。後でレバーでも食って何とかしといてくれ。

 

もし作戦が成功したら、遺跡に俺の死体だけが転がってんじゃないかな……たぶん俺が奴らのうち一人二人は持ってってるから、そいつらの死体と一緒にさ。

……いや、残った奴が死体回収するだろうからそれは無いか?

とにかく、皇帝はいなくなってると思う。

 

その後実体をどうするか、地上の調査はどうするかとかはそっちに任せるよ。

そこに隠し続けるも良し。

地上に舞い戻るにしてもやり方は工夫してくれ。

――皇帝は、強いぜ?

なんてったって、皆を倒して見せたんだもんな。

雑に相手しちゃいけないやつだと思う。

 

古代人の行方については……ごめん、俺は何の情報も得る事が出来なかった。

皇帝に接触してる可能性は示唆したけど、それを辿るのはちょっと考えた方が良いかもな。

……まあ、そのあたりはボクオーンやワグナスがなんか考えてくれるだろうし、心配する事は無いか。

 

もし大神官までたどり着いたらさ。

俺の分として、凄まじい勢いで股間蹴り上げてやってくれ。2回くらい。

俺のはそれだけで良いや。残りはみんなで分けてくれ。

 

大神官以外の奴らについては……別にどうでも良いや。

 

――白状するけどさ。

 

タームのクイーン倒して帰った時のこと覚えてる?

アイツら、七英雄だなんだ言い出して俺らの事すげー勢いで称え始めたじゃん。

実を言うと俺あの時、すっげえ気持ち悪かったんだ。必死に吐き気こらえてた。

 

その声の中に、あのパワハラヤローが「自分は最初からやると信じてました」みたいに混じってたから。

俺に怒鳴ってたその口で「七英雄に栄光あれ」とかすっっっげえ白々しく叫んでたから。

アイツだけじゃねーよ。全員とは言わないけど、似たようなのいくらか混じってたよ。

ホントにキモくて仕方なかった。

 

アイツらの手と舌はさ、きっとドリルで出来てんだよ。

光に集まる虫みてーに強い奴に迎合する習性で、ちょっとでも自分の方が強かったりすると途端に目を吊り上げて怒鳴るんだ。

……人間じゃねーよアレは。

だから嵌められた時だって、俺「ああ、そういう習性だもんな」ってどっかで冷めて見てたもん。

裏切られたとか言う感覚無いんだわ。

だからあの時、ワグナス助けた時、こう言う事になってなかったら俺、七英雄抜けてアイツらのいないトコに旅に出てたと思う。

 

だから、アイツらはもうどうでも良いや。

そっちで好きにやってくれ。

俺はもう関わりたくない。

……いやもう、関われなくなるんだけどさ。

 

 

ああー……そんぐらいか?

他になんか伝える事あったかな……?

 

 

ええと……皆からさ。

言い方悪いけど、嘗められてたのは感じてた。

皆と違って元は一般市民だしな。そりゃしゃあねえとは思うし、自分で言い出してなんだけど鉄砲玉に使われるのも当然だと思ってる。

討伐隊に入ったのだって、結局自分の為だしな。

だからその辺は良いんだよ。

最終的に決断してくれたノエルやワグナスには、マジで感謝してるんだ。

 

……あんときは、俺もアイツらみたいに人間じゃないトコあったし。

自分で言うのもアレだけど、その……コミュ障だったトコもあったしさ。

人間よりもモンスターの方がずっと良いって思う事もあったよ。てか、ぶっちゃけそれについては今もそう思ってる部分あるし。

なんなら、みんなの事を疎ましく思った事すらあったよ。

 

でも今は……今は、違うんだ。

オレもちょっとは成長出来たんじゃないかって思ってる。

力も付いたしな。

 

アイツらに無視されるのは別に良いけど、みんなに無視されるのは、堪えるんだ。

皆から「七英雄の一員じゃない」って思われるのは、本当に堪えるんだ。

 

 

……だから、だからさ。

俺の実体は『七英雄』として使う事にするよ。

それが一番、誇らしく思えるから。

 

じゃあな、みんな。

大神官をひねる日が来るのを、心から祈ってる。

 

 

その……今まで、ありがとな。

 

 

@ @ @

 

 

――ノエルも。ボクオーンも。

そしてワグナスも。

しばらく、映像が消えた岩肌をぼうっと見つめて沈黙していた。

自分たちが如何にクジンシーの事を見ていなかったのかを痛感したからだ。

 

そのうち、絞り出すように最初に口を開いたのはボクオーン。

 

「……ええ、ええ、確かに。プレゼン能力は無かったでしょうとも。この映像でそれは良く分かりました。……しかし、」

「無能とは思わん」

 

ノエルだ。

 

「小賢しいと悪く言う事もあったが、実際それに助けられた事もあった。……今だって」

 

その右手の中に造り出したのは、小さな剣のような幻影。

ノエルの灯火(トーチ)だ。

 

「……でもまさか、まさか俺達のために命を投げ出すなんて!」

 

握りしめ、床に叩きつけた拳の間から、崩れほどけた幻影の光が漏れた。

それを眺めて「私の責任かもな」と独り言ちる。

ワグナスの脳裏に浮かぶのは、討伐隊に志願した時のクジンシーの姿。

 

 

力のない平民からタームの餌になっていく。

貴族神官は信用できず、たとえ何か対策が打たれるにしても、それは平民である自分たちが助かる方法では絶対無いに決まってる。

上司に怒鳴られ、同僚には馬鹿にされ、挙句最後はタームに食われて終わるのなんてまっぴらだ。

だったら自分からタームをぶっ殺してやる。オレも英雄になってやる。

だから連れて行ってくれ!

 

 

――そんな理由だった。

足手纏いを連れて行く余裕はなく、当然やんわり断った。

だがあいつは、自分で価値を示して見せたのだ。

 

 

――同化の法をうまくタームに使えば、タームを超える事が出来るかもしれない。

あるいは、似たようなブースト方法を考えてるんじゃないのか?

データが要るだろ?

俺が志願するって言ってるんだ!

 

 

……ああ、ああそうだ。

その時すでにノエルらと研究していた『吸収の法』に、アイツは何の情報もなく近づいて見せた。

クジンシーに力はない。要領もない。知識も軍略もない。人望もコネも身分もない。

 

しかし発想だけは。

発想だけは時々ハッとするようなものを示して見せた。

 

そしてそんな奴が、タームの討伐隊に志願した。

兵が徐々に削られていたあの状況で。ほぼ詰みと言っても良い状態だったあの状況で。

生存の保証など誰の目にも無かったあの状況で。

 

ああ、ああ、ならば。

それならば。

 

 

相応の覚悟だって持てる奴なのだと、知っていただろうに。

 

 

「軽く見ていた。『吸収の法』のデータ取りに使った負い目もあった。見ないようにしていたんだ……愚かなのは私の方だった」

 

すまぬ、クジンシー。

そう言って、彼の灯火(トーチ)を両手で包み込む。

 

灯火(トーチ)の本質は心の向かう道標。

『吸収の法』で数多のモンスターを取り込んでなお、変わらずそこに有るための指標。

それが『欲』の象徴である金貨であったとしても、もう誰も見下す事は無かった。

 

 

――七英雄、復活。

たとえその一角が削れようとも。

彼らは三度(みたび)舞い戻る。

 

 

すでにバレンヌ皇帝の姿は無く。

最後の決戦の遺跡には、壮絶な戦闘があったことを示す戦闘跡と、そして――

 




とりあえずラストだけ書いとけば、途中で投げ出しても許される説。
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