新宿はがんばる   作:のーばでぃ

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やっちまったなあと思うトコはね、まあ色々あるんですよ。
『足がらめ』は土に沈ませるんじゃなくて草生やして絡めとる術だし、『デスレイン』を風で防護できる設定にするなら頑張って『エアスクリーン』を全体に掛けるんじゃなくて、そもそも全体対象である『ミサイルガード』で良いじゃんとか。
味方のやる『地獄爪殺法』は確かに遠距離技だけどヴィジュアルは敵に近づいて爪撃するんだから、クジンシーのあのシーンおかしくねえ?とか。
ゲーム既プレイ勢にはそりゃあ無理のある設定や表現、いっぱいあった事でしょう。
指摘しないでそっとして貰えてるのは、みなさまのやさしさだと思ってます。

……なら、「自覚してるなら直せ」って言わないのもまた、みなさまのやさしさですよね?(マテ)



新宿は灯をともす

 

「『灯火(トーチ)』……?」

「そう。体まで、心までモンスターにならないようにするための、『吸収の法』のカウンター。実はずっと考えてたんだ」

 

金貨を取り出してみんなに見せる。

 

「戦う理由。自分が自分で居る理由。『吸収の法』に手を出してまで戦う事を決意した理由……それらを象徴するもの。

――なんでもいい。みんな、そう言うのあるか?

別に今から作っても良いんだ。自分が『どうなりたいか』『どうあるべきか』を強く思えるなら。

それを心の中において、その自分をいつでも見れるようにしておくんだ。そうすれば『吸収の法』で心が迷子になっても、そこに向かって戻っていける」

「向かうべき灯台にするわけか」

「そう。だから『灯火(トーチ)』って呼んでる。道なき道、どうなるか分からないだだっ広い大海原で、それでも人であるための目印」

 

ダンターグが不満そうに口を開く。

 

「しかし、『吸収の法』で人を保ち続けるだけでは得られる力の上昇率が下がってしまうんだろう?本末転倒だと思うがな」

「むしろこれは、その部分を解決する手段でもあるのだ」

 

ワグナスが後を引き継いだ。

 

「灯台の下に錨を降ろす訳じゃないんだよダンターグ。原理的には、大海原のどこにいても『戻って来れる』仕組みを作るものだ。まだ研究部分もあるが、うまく行けば……例えばモンスターを取り込み変異した体と人間の体。それを任意に切り替える事すら出来るかもしれない」

「それは……凄いな。『吸収の法』のデメリットがそのまま消えると言う事じゃないか」

 

スービエは素直に称賛してくれたが、ロックブーケはやっぱりジト目で俺を睨むのだ。

 

「アンタ、前から考えてたならクィーンに向かう時より前に言いなさいよ……」

「アイディアの方向性が定まったのはその後だったんだよう……」

 

そりゃあ、いちいちごもっともだとは思うけども。

左手の件があるから特に。

 

……とはいえ、この左手を人の形に戻したいなら別口でももうやり方は見えてるんだけどな、やらないけど。

簡単な話で、《かくあるべし》と望んで吸収すれば体はそのように変わるのだ。だから呼び水としてそれを望んでモンスターを取り込み続ければ、そのうちその様になる。

あるいは、人間を取り込む。それならほぼ一発で戻れるだろう。まったくやるつもりないが。

いや、部分的な見てくれ変えたいだけなら、それなりな量の血だけ貰って吸収すれば戻れるかもな。元々クィーンの腕だけ吸収して変化したんだから。まあそれでもやるつもりないけど。

 

ボクオーンがふむ、と少し唸った。

 

「仕組みと効果は大体見えました。要は今の状態を保存しておき、アイテムを用いてそれを想起する訳ですね……確かに有効だと思います。

とはいえ、『灯火(トーチ)』にするアイテムは、各々にある確たる『オリジン』を象徴する物品でなければならない。その点においては難易度はなかなか高めなのかもしれませんね。いわゆる『思い入れ』がある何かが必要だ」

「それは例えば、持ち歩ける物でなくてはならないのか?」

「いいや。究極的には幻体などのような形で自分で作り出しても問題ない。要はそれをきっかけに想起する事が出来れば良い訳だからな。

……ただ、持ち運べてしかもそれがシンプルな物であるならば、それは灯火(トーチ)として優秀であると言えるだろう。幻体で作るなどの熟練は不要になる訳だしな」

 

――そう言った点では、俺のはあまり優秀ではないが。

そう断った上で、ノエルが手の中に一つの幻体を作り出す。

それはミニチュアサイズの木剣だった。

「あっそれは……!」とロックブーケが嬉しそうに笑ったのを見て、ノエルも笑顔を返した。

 

「そう、昔ロックブーケに作って貰った木剣だな。俺の原点、思い入れのある品と言ったらこうもなるさ。……サグザーと一緒に写った写真もアリなんだが、写真は流石に幻体で作るには不向きすぎるからな」

 

ゆくゆくはこれのサイズを変えて、実際に武器として耐えうるようにしたい物だ。

そう言って作った木剣を握るが、あくまで幻体なので実体はなく、それはノエルの手の中に消えて行った。

 

何時かノエルが語ってくれた木剣の話。

アレも灯火(トーチ)を考える上でのファクターになっていたから、ノエルならあの時の写真になるだろうなと思っていたけど、まさか自分で幻体の木剣を作ってそれを灯火(トーチ)にするとは予想外だった。

 

……と言うか、実際に幻体作れるのが凄い。何それ、俺そんなの出来そうにない。

 

「――俺は要らねえな」

 

ダンターグだった。

そのままドンっと自分の胸を叩いて獰猛に笑う。

 

「この体だ!『思い入れのあるアイテム』を探せって言うならな。

この体こそが俺の歩んできた道のりであり、そして歩んでいく目標の礎だ。これ以外ありえねえ!」

 

……なるほど、そう言うのもあるのか。

これも流石に盲点過ぎた。

 

ワグナスが頷く。

 

「ああ、それも良いだろう。そしてスービエやボクオーン、ロックブーケも、今すぐここで用意する必要はない。お前たちなら先に術を教えておけば自分でそれを灯火(トーチ)に出来るだろうからな。――しかし可能なら、なるべく早く見つけて欲しい。保存する状態は早い方が良いのは確かだ」

 

3人とも既に思い当ってはいるのだろう。

焦りのない様子でその言葉に頷いた。

 

「しかし……クジンシー。あなたよりによって金貨が灯火(トーチ)になるとは……

その俗っぽさと言うかなんと言うか、何とかなりませんか?さすがに小物が過ぎるでしょうに」

「良いだろほっといてくれよ……人の灯火(トーチ)に文句つけるのはマナー違反だぞ絶対」

 

呆れるように言ったボクオーンに口を尖らせる。

たぶんボクオーンは真逆の意味で金貨を解釈してるんだろうなー、とは思う。

うまく説明できる自信がないので否定はしないでおくけども。

 

「ワグナス様も、もう灯火(トーチ)は作られたんですか?」

「ん?……ああ、術の開発に必要だったからな、もちろん既に作ってある。見せても良いが……笑わないで欲しいな」

 

ロックブーケに苦笑しながら、ワグナスが幻体で作り出したのは――ひとつのグラスだった。

 

「ウイスキーを入れるグラス‥‥‥ですか?」

 

不思議そうにまじまじとロックブーケがのぞき込む。

 

「ああ。クィーン討伐前にみんなで行った、バーがあっただろう?あの時の乾杯に使ったグラスだ。

……灯火(トーチ)の話が出た時、真っ先に思い浮かんだのがあの時の光景だったんだ。今の役に着くまでに色々な事も勿論あったが……それでも私の中で一層鮮明だったのが、この7人でグラスをぶつけたあの時の光景だったんだよ。不思議だろう?」

 

照れくさそうに笑いながら、ワグナスが両腕を広げる。

 

「――もちろん、人の灯火(トーチ)に文句つけるのはマナー違反だ……絶対な」

 

――ここにいるワグナスは王軍最高司令官のワグナスではなく、俺達の仲間のワグナスなんだな。

そう思う。

 

 

@ @ @

 

 

――だから、たとえワグナスが俺らを庇って一人で処刑に臨んだのだとしても。

見捨てるなんて選択肢はあり得なかった。

 





――追放のカウントダウンが始まりました。

『七英雄の記憶』は後2話ぐらいで終了かな?
でもたぶん『血の誓い』はこのままの流れではやらないと思う。アレの時期良くわかんねんだもん。
追放されてあまり時間経たずにラストダンジョンに辿り着いたとも取れるし、数千年次元をさ迷った末に辿り着いたとも取れる。ちゃんとした設定あるんだろうかこのあたり。

追放までの流れは、あるいはダイジェスト風味になるかもしれない。
だってたぶんオリ要素あんまり差し込めないもんコレ……
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