新宿はがんばる   作:のーばでぃ

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昨日は諸事情で投稿できなかったので。
ハーメルン奥義、1日2回投稿。
……どうせそのうち失速して、毎日投稿なんて出来なくなるんだろうけども。

ところでたまに1日3回投稿とかやってる化け物居るよね。ランキング上位陣に。
あのひとはすごいなあ。ぼくにはとてもできない。



山手線は光にのまれ

丘と言うより、そこは断崖だった。

突き立てられた長い杭にワグナスが縛り付けられて放置されている。

兵は、ちょっと遠くにまばらな感じ。

 

……何だこれ、晒されてるのかコレは?

町はずっと向こうだぞ。こんなところで晒して何になる。

それともこのまま放置して衰弱死させる的な刑か?

 

「俺こういうの、良く知らないんだけどさ……処刑ってこんな感じなワケ?クーデター犯は特殊的な?」

「いえ……私もこれは分かりません。磔にするにしても、立てた棒の上部に固定するモノなんですけどね。それに兵がまばらなのも気にかかる……」

 

ノエルが駆け寄って行った。

俺達も後に続くが、もともと見晴らしのいい断崖の上だ。兵が気付いて何名か駆け寄って来ている。

……アレは相手をする必要があるか。

 

左手に術力を纏わせ、爪を振り切った。

撃ち出した昏い爪がまだ距離のある兵たちをまとめて薙ぎ払う。

 

「ぐああああああっ!!」

 

ただの爪撃ではなかった。

『ライフスティール』の要領で相手体内に浸透し、生命力を奪うのではなく神経を直接刺激する。

体の内側を思いっきり抓られるような激痛が全身を駆け巡った筈である。

爪撃と『ライフスティール』のちょっとした応用――『ペイン』とでも呼ぼうか。

消耗させたり動きを止めたり……あとは拷問とかに使えそう。我ながらコワいが。

冥術は情報が無くて独学で開発するしかないけど、総じて浸食する様な使い方が相性良さそうだな。

 

……予想外だったのは、それで皆して気絶してしまった事である。

 

「練度ひっっく!?おい体力無さ過ぎるぞ、前の俺並みじゃねえか!?」

 

なんだ、新兵ばっかり集めたのか?

 

「――ノエル、なぜ来た」

 

気付けばワグナスが解放されていた。

クィーン討伐後もスタスタ歩いてたワグナスが、見る影もないくらいフラフラだ。

……まさか捕まってから何も食ったり飲んだりして無いのか?

死刑囚だって死ぬ前にはタバコ吸わせて貰えるって聞くのに?

 

「ここで私が逃亡すれば、大神官の思う壺だ。奴はさらに声高に七英雄の脅威を喧伝し、民の恐怖心を煽る。民はタームに支配された絶望と戦慄の記憶をよみがえらせ、タームと七英雄とを重ねるだろう……!

そうなればもう、断罪を求める声を制する事はできない。民は私のみならず、七英雄全員の抹殺を願う。

 

――そうなる前に、私が七英雄のリーダーとして処刑されなければならなかったのに!」

 

崩れ落ちるワグナスの顔は、悲壮で埋め尽くされていた。

俺達はもう、既に反逆者となってしまったのだ。

 

「ワグナス、あなたらしくもない。冷静になって状況を把握なされよ」

 

ボクオーンがしゃがんでワグナスに目線を合わせる。

 

「あなたが今口にした筋書きは、貴方が処刑された後でも十分起こり得るのです。あなたがまさに今、無実の罪で処刑されようとしていたのをお忘れか?

――大神官が、同じ事を私たちにしない理由は無いのですよ?」

 

ワグナスの呼吸が止まった。

 

「あなたが処刑されるという情報は、王城はともかく市井にはあまり出回っていないようです。あなたが処刑されるまでの時間も異様に早かった。……つまり、私たちに時間を与えたくなかったのでしょう。

大神官は速攻で事を終わらせ、口を出す者が誰も居なくなった後で悠々と情報操作を行う腹積もりのようだ。私たちの反逆は、とっくに既定路線だったんですよ」

 

……なるほど。

ワグナスの拘束が長引けば、その間に俺達に何かの工作をされるリスクが高まるもんな。

気に食わないけど七英雄、ネームバリューだけはあるし。

俺達は自分で反逆を決めて来たけど、そうでなくても結局こうなってたのか。

 

ボクオーンは何時から気付いてたんだろ。

……バーの時か。確かにそう言う理由ならクーデターはある種の活路に思えてくる。

 

「……時に、気になる事があります。ひとつお聞かせ願いたい。

ひそかに開発が進められている噂の次元転移装置……アレは既に完成されておられるので?」

「……なんだそれ?」

 

新しい単語が出て来て思わず口を挟んでしまった。

スービエが答えてくれる。

 

「予想される大災厄に対する王城の出した回答だ。ここではない別の次元に転移して、大災厄から逃れるんだ」

「まるでSFじゃないか……え、出来んの?そんなトンでもない技術がある訳??」

「技術的には十分に可能で、超術学研究所がその方向で開発を進めていると聞いたぞ。……しかしボクオーン、なぜ今そんな話を?」

 

立ち上がってボクオーンが周りを見渡した。

 

「ノエルが処刑の情報を掴んで共有するのは向こうも分かっていたでしょう。ならばもちろん、我々が助けに来ることも。しかし、七英雄を相手にするには用意されている備えがあまりにも脆弱、()()()()()()

「……私たちが強すぎて、対抗できる兵を用意出来なかったからでは?」

「いやあ、それにしては数揃えてないし練度も低いよアレ。実際、「使い捨て出来る新兵並べてみました」って感じだった。……俺達に殺させたかったんじゃないか?そうすれば「七英雄は殺人鬼の集団だ」って排斥する口実になる」

「……あれ、結局死んだの?」

「さすがに生きてる筈だけど……あとで殺されそうだなアイツら」

 

で、俺が殺した事になる訳か。

もう何の感情も沸かねえわ。勝手にしといてくれ。

 

「私もクジンシーと同じく、口実だと思っていたのです。しかしそうなると、反逆し逃亡した私たちを処分する方法がわからない」

「まさか、これは……罠か!?」

 

――その時だ。

シュウウウウウウウと、どうにも名称のし難い音があたりに響き渡る。

 

「おい!こいつは何の音だ!?」

 

ダンターグが疑問の声を上げてから地面が揺れ始めるまで間は無かった。

揺れはますます大きくなって、あたりの空間を振るえさせて行く。

 

「まさか、この音は……次元転移……!?」

 

 

空に光の輪が広がった。

世界が真っ赤に染まる。

 

 

何が起こっているのか分からない。

『熱風』でも食らっているのだろうか。

 

「か……体が熱い……!燃えるようだ……!」

 

揺れと熱さで蹲るしか出来なかった。

シュウウウウウ、と何かが体を突き抜けて行く。

もはや目の前すら見えない。

自分の体がどうなっているのかすら分からない。

 

「こ……ここは……ワグナスだけを処刑する地では無かった……!

七英雄の処刑場……我らを異世界に追放するための……!」

 

次元転移による追放。

反則だ、こんなカード。

神官貴族(じぶんたち)だけ逃げるための手段で目障りなモノも追放する……その悪辣さには果てが見えない。

 

揺れと苦痛の中でワグナスが叫ぶ。

 

「――良いだろう、私を断じよ!七英雄に流刑の制裁を加えよ!!

だがいずれ、我らはこの世界に帰る!

その時は必ず、この手で貴様らを……!

 

 

――復讐の裁きを!!」

 

 

……最後に認識したのは、何かが割れ、やぶれるような音。

そして、強い光で真っ白に染まった、視界。

 

 

@ @ @

 

 

――七英雄の伝説――

 

数多くの悪しき魔物を倒し 世界を救い、その後 いずこかへ消えた

クジンシー、スービエ、ダンターグ、ノエル、ボクオーン、ロックブーケ、ワグナス

いつの日か、彼らは戻ってきて 再び世界を救うのだという

 

世の中が乱れる度に、人々は伝説を語り、救いを願った

しかし、平和が訪れると……伝説は忘れられた

 

人の世の興亡はくり返す

 

安定した国々による平和な時代が終わり、分裂と闘争の時代が始まった

七英雄の名はふたたび語られ始めた

 

そして、彼らは来た

 

――だが

 

 





リベサガ『七英雄の記憶』終了。
日程感とかは独自解釈で、その影響で少し展開変わってます。
……だって良く分からなかったんだもん。

大神官のムーブってこれ、策略練る上ではかなり綱渡りに思えるんですよね。
リベサガではワグナスを捕らえてから人心を掌握し、処刑に臨んで罠に嵌めたって表現されてるけど、それだと時間が足りなくないか?
仮に七英雄がモンスターだったと喧伝し人心掌握を優先したら、絶対処刑までの間に七英雄の反乱受けてたよね?
そうでなくても想定はすると思います。実際はともかく、大神官なら逆の立場だったら絶対やってるだろうから。
ので、七英雄処刑を優先して人心掌握を後から如何様にでも……と言う流れの方が納得できたんで彼らの考察でもそう書いたんですけど。
でも大神官の視点で考えるとちょっとズレてる気がするんです。

――だってさ。あと半年で大災厄くるのよ?
その時どうせ市井捨てるんでしょ?きみら。
居なくなるやつらワザワザ丁寧に丸め込むか?
秘密裏に追放して「七英雄はいずこかに消えた」で半年の時間稼ぎとしては十分過ぎますよね。
そう考えるとSFC版OPデモで語られる七英雄の伝説がとてもしっくりきました。

まあその辺置いたとしてもですよ。
これ、追放失敗したら大神官はそのまま破滅です。
サグザーに追放に使う旨を伝えたのが直前になったのも、苦悩による開発遅延や妨害工作を警戒したからなのでしょう。
しかし次元転移装置はまだテストも出来ておらず、この追放が初めての起動。
デバッグせずにプログラム動かすようなもんでしょ?しかも開発急いでる最中で。まともに動くと思えないんだけど。
サグザーに掛ける信頼が大変に厚かったって事なのかしら。

原作では触れられていませんでしたが、本作ではボクオーンが挙げた七英雄によるクーデターもこの状況では普通にあり得たと思います。
……いや、触れてはいたのか。ワグナスは「仲間に手ぇ出したらお前ころちゅ」って言ってたもんね。
そんな訳で、大神官は自分の全ての命運を、何の保険の用意もせず、次元転移装置のテスト起動に全ベットしてた訳です。

――勝てたのはマジで運が良かっただけだと思う。
きみ、ちゃんとサグザーにありがとう言った??

さて、そんな訳でもにょる部分もあった訳ですが、とりあえずは『七英雄の記憶』も書き切れました。
次回からは……どうしようかな。マジで何も考えてない。
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