時系列とか混乱する事になるだろうけど簡便な!
こう、章的なの作って挿入投稿とかしても良いんだけどそれだとお気に入りとか変な風になる筈なのよね確か。
新宿から新を抜いてみた
――聞いた所によれば。
異常気象が行き着く所まで行き着くと、大地は厚い氷に覆われ、空は毒を帯びた灰を降らし、この星は死の星と化して最初の10日ほどでほとんどの命が死滅するというトンでもない運命が待っていたとの事。
「盛り過ぎじゃね?」って思うじゃん。もはや「異常気象のレベル超えてね?」って思うじゃん。
一体何がどうなったらそこまで終わり切ってしまうのか。
……いや、聞いたらちゃんと返って来たけどね。
複数の海底火山に由来する大噴火と、それに伴う大規模な地殻変動だってさ。
高濃度の重金属を含んだ火山灰が太陽光を遮断して疑似的な氷河期に突入してしまうとの事。
食料なんて望むべくもなく、暮らす場所も極寒に覆われ、もはや人類どころかあまねく命に逃げ場なし。
……さて、俺はワグナスがウソを言ったとは思っていないが、それでもどこかでウソは入ってると思ってる。
確かにあの『王国』の姿は影も形も無いが。
それでも大地は緑にあふれ、太陽は登り、そこに人は確かに住んでいた。
――まず真っ先に疑うウソは……これ、戻る世界間違えてんじゃね???
@ @ @
――バレンヌ帝国歴996年。
人の興亡は繰り返し。
かつては栄華を誇ったバレンヌ帝国も衰退し、現在バレンヌが実効支配出来ているのは首都アバロンのある北バレンヌの一角のみとなっていた。
各地に出没するモンスターの脅威はあったが、それでも人々は生活圏を確保し、それなりに安定した生活を享受できている。
近ごろは景気も上向きで、もうしばらくすれば帝国歴1000年と言う事もあり。
盛大に催される予定の千年祭やそれによる景気の影響目当てで、まばらに人が集まり出していた頃。
北バレンヌ地方、東に位置する海岸線にソーモンという小さな港町があった。
アバロンの兵力が届くには微妙に遠く、バレンヌの実効支配を受けているというにはどうにも言い難いが、それでも海の玄関口の役割を担い商人や腕に自信のあるものが集う町だった。
――この街の酒場に、一人の男がやって来た。
長く使い込んでいるような暗い色のマントを羽織り、指先の尖ったくすんだ黄金の籠手を左手のみに嵌め、左目には目だけ覆う仮面がつけられていた。
モンスター討伐や商人などの護衛で腕に覚えのある戦士は、少しでも特徴を覚えられようと派手な装いをする事がある。
あの仮面がその範疇であるならば、随分と控えめな部類に当たるだろう。
マントの上から一瞥しても筋肉隆々の体ではないと判る。
戦士を名乗れば鼻で笑われるような、しかし何処か異様な雰囲気だけは備えている優男だった。
場所柄、ここには荒くれが多い。
見るからに筋肉隆々の客が、入ってきた男を一瞥してニヤニヤし始めている。
(……どこかのボンボンか?まあ、命までは取られんだろうが)
生憎止めてくれるような奴はここには居ない。自己責任だった。
そんな傍観の心中を知らず男がカウンターに座る。
第一声がこれまたひどい。
「――ミルクあるか?」
爆笑が響いた。
男が笑ってる奴を一瞥し、興味無さそうに視線を元に戻す。
「……あんた、あるっちゃあるがね。ここは酒を飲む所だぞ」
「なら後で酒も頼むけど、今はのどが渇いてるんだよ。冷えてるとなお有り難いんだが」
「生憎ミルクは冷やしてないね。常温で我慢してくれ」
……生憎、そのミルクも飲めるかどうか。
ニヤニヤしながら立ち上がる一部の男たちを眺めて、店主はなるべくゆっくり動き出す。
入れたミルクが無駄になる可能性が強いからだ。
「よう兄ちゃん、アンタこの町は初めてか。ここはな、はじめての奴は財布の中身を古株に差し出すって言う奥ゆかしいルールがあるんだぜ」
ほら、からみ始めた。
ミルクを用意する手を止める。グラスを汚すのもアホらしくなったからだ。
しかし意外だったのは男の対応だ。
「……これで食って行くつもりはないが、最近割の良い稼ぎ方を見つけてさ」
「あん?」
「襲ってくる奴を叩きのめして、逆に武器や有り金巻き上げる。こう云う格好してると面白いほど釣れてな」
そして、男が仮面のついた目で睨み上げた。
「……あんたら、財布は持ってるだろうね?」
「口だけは上等じゃねえか、気に入った。身ぐるみ剥いで売っぱらってやるよ」
――ガシッ!!
こめかみに血管を浮かべて繰り出されたパンチを、男が細腕で受け止める。
見た目にそぐわない怪力でも持っていたのか、パンチした腕はガッチリ固定されてビクともしない。
「て、てめっ……!!」
「このままイキナリおっぱじめるなよ短気だな。店のモン壊したら、お前の金を俺が貰うんだから、結局俺が弁償する事になるんだぞ。――ちょっと表出ようか」
そのままズルズルと体格差のある男を軽々引きずって表に出て行く。
残された取り巻きがビックリしたように顔を合わせ、しかし退くつもりは無かったようで各々武器を取り出し店の外に飛び出していった。
……少し時間をおいて、いくつも悲鳴が外から聞こえてくる。
単純な暴力だけならここまで壮絶な悲鳴は上がらない。
まるで神経を直接つねくり回された様な、拷問でも受けているような悲鳴だ。
店主には何が起こっているのか分からなかったがしかし、その悲鳴の中にあの男の声が入っていないのは分かった。
……いつもはこういう時、囃し立てる声が上がったりヤジ馬が出たりするものだが。
あまりにも意外な光景に、皆飲み食いする手を止めて外に向かう扉を見つめ固まっていた。
脳がこの流れを処理できていない。
そして静かになり、程なくしてさっきの男が戻ってきた。
手には財布に使われている革袋がいくつか握られている。
――武器は、取らなかったようだ。
男がカウンターを一瞥して、言った。
「……ミルクまだ?」
「アッ、ハイ」
あ、こいつヤバい奴だ。
今度は大急ぎでミルクを用意する事に決めた。
「それと……」
「は、はい?」
店主の背中に声が掛かる。
「……あいつ等が飲み食いした代金、いくら?」
……。
……実は結構、誠実な奴なのかもしれない。
@ @ @
男はその後ミルクを2杯一気飲みすると、ようやくひと心地付いたように大きなため息をついて、簡単な食べ物とワインを一杯注文した。
固まっていたバーの空気が次第に動き出して行く。
待ち時間の間、男はぶすくれたように頬杖をつきながら右手で見慣れない金貨を
金貨を見るその眼は睨みつけるように鋭い。何かあるのだろうか、と思いつつ詮索はしない。
大体の奴が男を放置する方向で決めたようだ。
外から聞こえて来ていた悲鳴はそれほどまでに異様だった。
触らぬ神に祟りなし。
――それでも好奇心旺盛な奴はいるようで。
「よう、随分乱暴な流れ方してるじゃないか」
「お、おい!」
思わず店主が制止の声を上げた。
よりによって声を掛けたのが、この店の用心棒だったからだ。
めんどくさそうに男が目線を上げる。
「なんだ……あんたもやるのか?」
「いいや?お前がこの店に手を出すなら話は別だがね」
男の隣にドカリと座り込んだ男は、ヘクターと言った。
流れの傭兵で腕は確か。信用もある。ゆえに、店主が一時的に雇っている男だ。
荒れくれが多いこの町では、こういう備えが無いと安心して商売が出来ない。
男が座り込んだヘクターを眺めてポツリと呟く様に口を開く。
「……派手だな、あんた。それ維持するの大変だろ」
「あっはっはっは!」
確かにヘクターは派手だった。
毛先に青いメッシュを入れたセミロング、武骨なバンダナに右目に眼帯。
青いアーマーにパープルのマント、背負う大剣も歪曲しててまた派手だ。
「自己紹介変わりだ。一目で俺と判るだろ?おかげで覚えも良くてな」
「確かに、一度見たら忘れそうにないな……」
「お前のそれも、そう言う奴だろ?」
左目の仮面と左手の籠手を言ってるのだろう。
複雑そうな顔で左手をひらひら眺めながら「まあ……うん」と曖昧に呟く。
うすうす感じていたが、割とこいつ暗いやつなのかもしれない。
店主は注文された料理を出すと、仕事をしながらしばらく二人の会話に聞き耳を立てた。
「しかしお前、格好はちょっと背伸びしてるのになんか垢ぬけてないな。そりゃおのぼりさんと間違われて襲われもするわ」
「ほっといてくれよ……良いんだよ、返り討ちにして行ったらいつか要領も分かって来るだろ」
「ははは、確信犯かよ怖えー怖えー。……随分腕に自信があるじゃないか。さっきの奴らにゃ何してたんだ?」
「……。企業秘密」
ここにいる客が一番気になる所は、さらっと躱されてしまったようだ。
「お前もアバロン千年祭が目当てのクチかい?」
「うん?……ああ、目的はアバロンだけど千年祭は、まあ……見れるなら見ようかな、ぐらいで。
でも直ぐ行く気は無くてさ。少しここで仕事探せたらなとは思ってるけど」
「おっと違うのか。アンタ若そうだし、物見遊山かと思ったんだがな。しかしなら、なんでアバロンに?」
「いや、調べ物があって……ここらじゃアバロンが一番古いから、まあ。
……と言うか、気が早いだろ千年祭目的にするのは。まだ4年あるぞ?」
「わかってないね。好景気が予想されるから事前に潜り込んで置けば、儲けが期待できるのさ。かく言う俺もそのクチでな、適当な所でアバロンに流れようかと思ってる」
「ふうん‥‥‥そんなもんか」
男がワイングラスを口にする。
しかし安いワインをちびちび飲む男だ。
これは、本当に義理で酒を頼まれたらしい。
「しかし、仕事ね……あんた強いのはまあ分かったが、結構信用大事だぜ?この商売は。依頼人を逆に襲う奴もいるからな」
「何で護衛だけなんだよ、別に良いだろ水夫でもなんでも。港町なんだから、荷運びとか漁の手伝いとか色々あるだろ」
「水夫うっっ!?さっきの奴ら軽く片した上でか!?」
「別に暴力だけで生きてくつもりねーようるさいな……てか、なんだよ。さっきの奴らそれなりに名が通ってたのか?」
「まあ、所謂
「秩序て。ソッコー襲われたけど」
「そりゃ、その見てくれが悪い。『カン違い』してる奴は早めに叩きのめして従順にしとかねーと後がメンドクサイんだよ。そのうち無秩序に暴れられるからな……逆に『カン違い』してたのはアイツらだったようだが。
お前、財布は取ったが武器までは取らなかったな。何でだ?」
「……財布に金が入ってたからだ。入ってなかったら武器を取ってた。それだけ。――勉強代には十分だろ」
「なるほどな……そう云うムーブしてりゃあ、まあ信用がついて仕事も見つかるさ。――ちなみに教えてやると、武器や命を取っていたら俺が動いていた」
「……ふうん。そんなもんか」
軽く言うその男の様子に、ヘクターは口角を上げてグラスを飲み干す。
「――俺程度、軽くあしらえるってかい?」
「さあ?やるって言うならやるだけだ……ただ、」
男もワインを飲み干して、言った。
「――力を笠にマウント取ったり、逆に力に
ヘクターが大きな声で笑った。
とても機嫌が良さそうに、大きな声で。
「……気に入った!マスター、こいつの分は俺の稼ぎから引いといてくれ。
俺はヘクター。流れの傭兵をやっている。お前は?」
男が目を泳がせる。
「……。シン……と、ジーク……かな。どっちが強そうだと思う?」
「ああ?……その2つなら、ジークかね」
「じゃあ、ジークだ」
「なんだ訳アリか……まあ、かまわんさ」
あからさまな偽名にしかし、ヘクターは気にした様子もなく返す。
「じゃあ、乾杯と行こうか。これも俺の奢りさ。――マスター、ウイスキーを2つ」
「やだ!絶対に、絶対にウイスキーは飲まないぞ!絶対にだ!!」
ジークを名乗った男が物凄い強い口調で否定した。
あっけにとられたヘクターが微妙な顔をしながら「……やっぱワインを2つで」と訂正を入れる。
――強いのに、妙に締まらない男だった。
ジーク……いったい何ジンシーなんだ……
いや、たぶん次回は普通に本人視点で書く事になると思いますけども。
異世界追放から戻ってくる話も書きたいんですが全然設定思いつかないし、とりあえず雑にロマサガ2本編をはじめてみた。
異世界は言及完全に無いから設定作りづらいねん……