新宿はがんばる   作:のーばでぃ

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ロマサガOPのソーモン壊滅。
あれ、ナレーションが七英雄に触れる前だったから普通にモンスターの活発化で押し潰された説と、ソーモンにクジンシーが居座ってた事からクジンシーによる侵攻説があるそうで。
一方で最終的に防衛力に壊滅的な打撃を与える巨人(スプリガン)は、攻略本を紐解くと「召喚者に盲目的に従う巨人」なのだそうです。であるなら後者の方が有力かな?

この小説では後者と解釈しますが、それはそれとしてモンスターも活発化しています。



新宿は見回りする

一口にモンスターと言っても色々ある。

性質的に狂暴な動物を指してそう呼んだりとか、人間の手によって作り出された悪魔だとか、おとなしいけど強力な動物が何らかのきっかけで狂暴化したりとか。

何のことは無い、人間に仇なす奴を指して、人間の身勝手で勝手に『モンスター』と呼んでるだけだ。

なもんだから、俺にとっては周りにいる奴は人間に分類されていようともほぼ『モンスター』だった。具体的に言うと『()()()()()()()()だな。

 

それが何を意味するかと言うと、俺にとって『モンスター』はイコール即殺の対象ではないと言う事だ。

いちいち全部殺して回ってたら俺の周りは今頃血で染まっている。

……そして、それをヘクターは許せないらしい。

 

「ギキイイイィィィイイッッッ!!?」

 

ボーリングの玉よりもでかいリス*1にペインをぶち当て追っ払おうとした横から、ヘクターの大剣がその首を刎ねる。

その部分だけ切り取れば、後衛の俺が前衛の為に動きを止めたという連携の一種に見えるだろうが……殺すのではなく追っ払うつもりだった事は見て取れたようで、ヘクターは凄いもにょもにょした顔をしていた。

 

ちなみにこれは、もう3度目だ。

 

「お前……博愛主義、ってワケじゃねえよな。俺が殺しても別になんも言わないし」

 

そりゃあ、別に『モンスター』の生死に拘っている訳でもないし。

 

「……違うとは思うけどよ。まさか今回は調査だから殺さずにおいて、その後の対策で呼ばれた時に改めて報酬をせびろうとか、そういう魂胆だったりしないよな??」

「まさか。避けるか討伐するかはキャラバンの人達が決める事だ。

ただ……殺すってのは、基本的に『取り返しがつかなくなる』事だろ。簡単に追っ払えるならそれが一番良いとは思ってる。生態系だのなんだの気にする必要ないし、そもそも縄張りに入ってるのは俺達だ」

 

簡単に追っ払う手段もあるしな。

そう言うとヘクターが天を仰ぐのだ。

 

「あー、自然主義的な方だったか‥‥‥‥でもよう、放っておいたら被害受けるの町の連中だぜ?」

「それを加味した上で、責任もって『間引く』か『避ける』かを決めるのはキャラバンの人達な訳で。間引く方に踏み切られたなら、おとなしくそれに同調はするぞ?ぶっちゃけ、俺はここらの生態系の責任は取りたくない。そもそも外様だから余計にな。

……いや……これ、結果だけ見れば別途報酬せびってる形になるのか?……ゴメン、さっきのウソだ」

「あ、うん、考え方は分かった。……あー、どうなんだこの場合?俺の方が間違ってたのか??」

 

ワリとまじめに考えてくれてるらしい。

ヘクターが頭を抱え始める。

 

「……別に、自分の考えでやりゃ良いだろ。降り掛かる火の粉を払うのは何もおかしい事じゃない。自然にある力の(ことわり)だ」

 

だからこそ俺は、別に積極的に殺すヘクターを見て何も言ってない訳だし。

 

「いやあ、人間の生活圏拡大や乱獲とかに影響されてモンスターが活発化する事もあるって話、聞いた事あるからなぁー俺も……この件についてはジークの方が正しい気がして来たんだけど、けどそれはそれでアブねー気もするし。

そもそもキャラバンの連中に懐事情の心配が無ければ、間引き以外の選択はしそうに無い気もするんだよな。利益の事は考えても、生態系のことは考えては無さそう。それによって発生する被害についても」

「それはそう」

 

人間はなべてそう言う所あるよね。

 

「一応、俺のはセーフティはあるぞ。つまりは『人間への恐怖』を植え付けてんだよ。痛い思いして帰ればそれ以上、人間を襲わなくなるかもしれないだろ?気休めかもだが」

 

冥術通して痛みを植え付けたり恐怖心を植え付けたり。何だったら水術も併せて毒を植え付けたりも出来る。

殺す、脅す、動きを止める、逃走させる、やりたい事がピンポイントで出来るのは冥術の強みだと思う。

 

「なるほど、脅して追い返す……か」

 

ヘクターはなるほどなるほどと頷きながら、何か考えているようだった。

……結局、俺に「とりあえず今回は殺せ」とかは言わないんだなと、ちょっと意外に感じる。

 

 

@ @ @

 

 

「……あっ!悪いジーク、アレについては追い返す方向は駄目だ!殺す方向で対処してくれ!!」

 

色々考えていたようだった彼が前提をひっくり返したのは、いきり立ってこちらに向かって駆けてくる、二足歩行のウサギのモンスターを見てからだった。

亜人の類に見える。全部で三匹。

ヘクターが大剣を構えて前に出る。

 

叫びを上げながら爪を振り回すウサギを躱して、ヘクターの一閃が立て続けに2体の胴を両断した。

残る一体は――

 

「――クギャアアァッッッ!!」

 

冥術の『爪』で、俺が首を搔き切る。

文字通り『命を奪っても』良かったのだが、こちらの方が小回りが利くし消耗も少ないのだ。

 

崩れ落ちるウサギを見下ろして問うた。

 

「……ヤバいウサギなのか?」

「ゲットーっつうモンスターだ。領土拡大欲が異常に強くて、見たもんは手当たり次第に隷属させるか排斥にかかる。こいつに関しては生態系の保護だのなんだのは無縁だぜ。……普通のウサギと同じように多産だしな」

 

……なるほど。つまり、ウサギ版の人間みたいなモンか。

さすがにそう言う思考はヒネ過ぎだろうか。

 

「こいつらは群れで動き、集落を作って人間を襲う。……あいつらが来た方向にデカい洞窟があるな。たぶん巣だ」

 

地図を見た。

ここは山脈の間に通る街道からすぐ南の位置だ。こんな位置にモンスターの巣があったらそりゃ被害も増える。

 

「……本当に巣かどうか、中まで確認すべきか?」

「いや、お前と二人なら普通にイケそうだが、さすがにこれは情報を持ち帰るのが先だろうな。深入りはしないでおこう」

「――了解」

 

そんな感じで俺とヘクターは、襲ってくるモンスターをある時は殺し、ある時は追い返しながら調査を続けて行った。

別に俺に合わせなくても良いのに、後半になるとヘクターは明らかに不殺を意識していたように思う。

殺気と共に大剣を振り降ろし、モンスターの目の前でピタッと止めて威圧する。

そうやって力の差を思い知らせて追い返す……そんな技まで開眼して見せた。

相手が群れの場合なんかが凄かった。一目で群れのボスを見極め、そいつに敗北感を叩きつけると群れが丸ごと逃げ出すのだ。

 

「名付けて、活人剣!……なんちてな」

 

天才という奴はこう云うのを言うのだろうかとつくづく思う。

俺の不殺は、実は面倒と責任逃れからくる逃げにも近い物だったけど、こいつの不殺はそんなネガティブな物ではなく、もっと高潔な意識からくるような物に感じた。

 

――なんと言うか、ふとワグナス達を思い起こさせるような奴だ。

 

 

@ @ @

 

 

「……なるほど、亜人系モンスターが巣を作っていたのか……これはちょっと、アバロンの方にも情報を持って行って対応を考えなくてはいけないな」

 

終わってみると、4日の調査は随分スムーズに完了した。

出会ったモンスターの位置や種類と言った情報を地図に書き込み、別紙でさらにまとめた報告書は思いのほか分かりやすいと好評を貰う。何気にそれが一番嬉しかったかもしれない。

モンスターの巣になり得そうな洞窟や群れを見かけた場所なども書き込んでいたし。俺が欲しいと感じた物を書いていたが、ダメ出しされずに良かったと思う。

書き方が分からないとか纏め方が下手だとか注釈が少ないとか、資料を纏めてた時によく言われていたから自信が無かったんだ。

 

所でヘクターの予想通り、キャラバンの対処としてはモンスターの討伐に傾きそうではあるが、これについてはソーモンだけではなくアバロンも絡めて行うようだ。まあ、両者で使う街道なのだから当然か。

 

俺個人としても、随分と実りのある調査だった。

この辺の地形も把握できたし、活性化しているモンスターの分布も何となく解かった。

……有翼系、獣系、そして獣人系が主。後はほんの少しだけ精霊系。

これらは原則、住処を追われたなどの特殊ケースが無い限り人間とは関係なく分布する生物群だ。

つまり、悪魔系やゾンビ系と言った、何らかの要因によって発生するモンスターとは切り離して考えられる。

 

(とりあえず……近ごろのモンスターの活性化と、()()()()()()()()()……と見て、良さそうかな?)

 

()()()()()()()調査に臨んで居ただけに、内心少しホッとしていた。

活性化だって、人間の動きによってモンスターも連動したと考えられるレベルに収まっている。……ハズ。たぶん。きっと。

 

4日間の調査期間だった訳だが、4日間波止場で荷運びするよりは随分多めに報酬を貰った。

もしかしたら巣の掃討を行う時も力を借りるかも知れないから、その時はよろしく頼むよと一言添えられて。

 

さて、21日引く4日で17日、当初予定していた期間よりかは持て余している状態である。

また波止場に戻ってみようかとちょっと考えた辺りでヘクターからお誘いが掛かった。

 

「――なあジーク。お前も結局、アバロンに行く予定なんだよな?どうせなら一緒に行かないか?」

 

聞けば今度のキャラバン出発に合わせて、護衛と言う形でソーモンを発とうと思っていたらしい。

時期を合わせてくれるなら、向こうでも護衛系の仕事はキャラバンの人が顔繋ぎをしてくれると言う。

 

特に出発を遅らせる理由も無かったので、俺は了承する事にした。

 

*1
マイザー。SFCにおいてLv1の獣系モンスター。魔物の死骸を食べて狂暴したとされる




少しずつ複線張り始めてるけど淡々と続くなあ……と言う印象。
見よ、この長期連載なろう小説みたいな山無しオチ無しな1話を。まあ、アレはアレでずっと続くので無ければ良いとは思うけども。

作中で出て来た巣はウォッチマンの巣な訳ですが、ちょっと早めに出し過ぎましたね。レオンによる掃討までまだ4年もある。この間対処しないのはちょっと不自然かもしれない。
まあ、相当されても4年後にまた居つくのでしょう、きっと。あるいは4年かけて無視できないぐらい規模が大きくなったか。

次回はアバロンでお仕事かな。
うっかりヴィクトール君に『ソウルスティール』カマすような事故は起こらない筈ですが。



『誓いの木剣』

七英雄の一人、ノエルが持つ灯火(トーチ)
使うと人間性が回復する

最愛の妹の手で作られ、贈られた木剣
彼はかつてそれを手に、友と護国を誓い合った
例え異なる道であったとしても、目指す場所に変わりは無いと

かつての青さは既になく、今や国に居場所はない
しかし誓いは今もなお、彼を導き続けている
たとえ、目指す場所が変わっていようとも
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