新宿はがんばる   作:のーばでぃ

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前書きとかあとがきにさ。書こうかなってネタがぼんやりと浮かぶじゃない?
で、本編を書き切るじゃない?
……そしたら書こうと思ってたこと忘れちゃって、ここに書くネタ捻り出すのに苦労したりするの。

「あるある」って思っちゃった人は評価か感想残してってね♡

……しかしワリと反響もらってランキングにも乗ってるのに、一向にロマサガ小説が増えない。
妙だな……(チラッチラッ



新宿は旅に出る

 

 アバロンを離れるのは随分と、惜しまれた。

思えば随分イジられたり、イジられ倒したり、すごくイジられたりする事もあったけど。

随分と心地の良い職場だった気がする。あとイジられたけど。

およそ、人間のような形をした気持ち悪いヤツラの姿を見かける事は無かった気がする。最も、一皮剝くような事態に無かっただけなのかもしれないが。

でもそれだけでも、アバロンは恐ろしい所だけど同時に良い所でもあったと思う。

 

 事情を知って居るヘクターとの会話は、最後まで微妙にギクシャクしてしまった気もする。

行先を聞かれたけど、黙っていた……きっと察せられてはいそうだけれど。

……次会う時は、剣を向け合う事になるのだろうか。

 

 また、アバロンに戻って来れれば良いのだけれど。

また、戻って来れる顔が残っていれば良いのだけれど。

 

 キャラバンに便乗して北方山脈を横断し、山脈を超えた辺りの街道で彼らと別れた。

南へ向かう街道を歩いて南バレンヌ方面へと向かう。

バレンヌは面積の大半が山脈と言って良いほど険しい土地だと思う。

ここから更に更にと南下すると、ルドン高原という大半どころか全てが山と言っても過言ではない土地に出る。

人々は山々の隙間を縫って辛うじて広がる平らな土地に生活圏を築いている訳だ。

 

 故にこそ、流通の大切さが良く分かる。こうやって歩いていると特に。

 

 幸いにも平らな土地のほとんどは海に面している。北のオレオン海、南のロンギット海だ。

険しい山を通さなくとも、海から臨めば輸送は出来る。

……だから海を抑えれば流通を抑える事ができ、流通を抑えれば土地に影響力を持つ事が出来る。

この地はきっと、海を制する者が勝つような土地なのだろう。

ボクオーンはきっと、それを地図から読み取っていたんだろうなと思う。

 

 アバロンから数えて大体5日を掛けて、ヴィクトール運河まで辿り着いた。

皇太子と同じ名の……逆か。この運河が開通したのは50年ほど前と聞くので、皇太子の方がこの運河から名を貰っている筈である。

 

 近くで見れば壮観だ。

警備にモンスターを混ぜた堅牢なる要塞がそびえ立っているが、輸送の事を考えていたからかまず俺の目に入ったのは土地の起伏だった。

 

 山脈が一部切り崩されているのである。

この運河が出来る前、ここは普通に山脈の一部だったことが予想される訳だ。

どういう労力を使えばここまでの物が出来上がるのだろう。

人の力はものすごいな、と感心する。

 

 ちょうど、小さな船が恐々としながら運河を通る様子が見えた。

銭を払えば積み荷によっては通る事が出来ると聞く。あれは、その類なのだろう。

要塞の近くに小舟を浮かべている場所も見える。

渡し舟、という奴だろうか。中々ぼったくられそうな面構えだ。

 

 そして要塞の近くには、掘っ立て小屋が2~3戸ほど建っていた。

信じられない事に、そのうちの一つに酒を描いた看板がぶら下がっている。

……やってるのか。

こんなところで。

酒場が。

……凄まじいバイタリティだ。

 

 空を見上げる。

茜色の空の向こうで、オレンジ色ににじむ太陽が山々の隙間に沈んで行こうとしている。

 

 目を閉じる。

酒場で情報収集……的な奴をやるべきか。

やっても良い、やっても良いんだが……なんか、ぼったくられそうな気もひしひしする。

 

 これ、アレだろ?

マスターになんか聞くたびに酒注文したりコイン積んだりしなきゃイケないアレだろ?

こちとら酒場の丁稚だぞ。そんな持ち合わせなんてある訳ない。

 

 ――目を開ける。

俺は深呼吸して肺の中の空気を吐き出すと、要塞の門に視線を向けた。

 

 

 

@ @ @

 

 

 

――いや通す訳ないだろ誰だよお前

「ですよね」

 

 玉砕した。

 

 

 

@ @ @

 

 

 

 恐る恐る酒場に入ってミルクを頼むと、なんかいつかの焼き増しのように爆笑されるのである。

なんだろう。ミルク頼むのがそんなに笑えるのだろうか。

キミらは喉乾いたら何飲んでるんだとちょっと真剣に疑問に思う。

 

 そしてなんか、筋肉隆々のデカいスキンヘッドがニヤニヤしながら俺の方に手を置くのだ。

 

「なあ兄ちゃん……ここいらにはな。初めての奴は古参の奴に有り金を振舞わなきゃイケナイっつう、奥ゆかしい決まりがあるのを知ってるかい?」

「ウッソだろ絡み方までソーモンと全く同じじゃんかもしかして全国共通なのか???」

 

 さらに爆笑が響いた。

「おいお前ワンパターンだってよ!」とヤジの声が響く。

絡んできたスキンヘッドは肩に手を置いた格好のまま、顔を赤くしてプルプル震えていた。

え、えっと……なんかゴメンね?

 

「なら、ルールはよくご存じな訳だよなあ、ああ?とっとと財布よこせやゴラァっ!!!」

 

 ……ひさびさだな、この流れ。襲い掛かってきた奴を返り討ちにして逆に有り金貰うやつ。

内心嘆息しながら胸倉をつかまれている手に右腕を添え、そして――

 

「やめときな」

 

 怒鳴ってもいないのに、喧騒に包まれた酒場の中に随分と良く通る声だった。

視線を向ければ、なんだか潮の香りが漂う気がする金髪碧眼の偉丈夫が、ウィスキーの入ったグラスを片手に口角を上げている。

 

「なんだぁ……?テメエ……正義の味方気取りか?」

「絡む相手は選んだ方が良いって言ってるのさ」

 

何処までもニヒルにその男が笑う。

 

「背伸びしてそうで垢ぬけてないその佇まい。左目の仮面に左手の籠手。

聞いてるぜ……それに引き付けられてきた奴を悶絶させて有り金むしる手口でな。

 

そうだろ……?

 

――『腹パンのジーク』さんよ

 

 思わず気が遠くなりかけた俺を責めれる奴は誰も居ない筈だと確信する。

にわかに場の空気が騒ぎ出すのだ。

 

「『腹パンのジーク』……こいつが、あの……!?」

「ソーモンのワルを軒並み潰して回っていたという、あの……!?」

「腹パンを受けた奴の内臓が、あまりの衝撃の為に液化するという、あの……!?」

「ねえ待ってなんかヒッドイ尾ひれ付いてんだけど!?っつーか何でこんなトコにまで広がってんだよその二つ名がよお!?」

 

 俺のツッコミなんぞ誰もが皆どこ吹く風である。

俺に絡んでたスキンヘッドまで衝撃を受けて肩から手を放し慄いていた。

みんな、おれのはなしをきいてくれない。

 

 スキンヘッドが頭を振って奮い立った。

 

「は……ハッタリだぜッッ!!人のはらわたがよお……

 

 

――パンチ一発で液状化する筈がねえッッ!!

うんその通りだと俺も思うんですけども!?!?

 

 心の底から肯定の叫びをあげるが、やっぱり誰もがどこ吹く風だ。

みんな、おれのはなしをぜんぜんきいてくれない。

 

 そして奮い立ったついでにいきり立ったスキンヘッドのパンチを躱して、()()()()()の腹パンを叩き込むのである。

 

ギヤアアアアアアアアアアアア!!

 

 もはや予定調和であった。

つか、腹に行くのわかってんだから対応ぐらいしなさいよキミ。

 

 周りからはなんかもう、「恐ろしい……!」とか、「これがはらわたが液状化した奴の叫び……!」とか、ホント好き勝手慄く声が聞こえてくる。

彼らからは俺が一体何に見えていると言うのだろうか。

 

 俺がジークだとバラした男が、ぴゅうと口笛吹いて口角を上げた。

 

「良いモンが拝めたぜ。これが船乗りたちの恐怖の的になっている伝家の宝刀――『爆砕鉄拳』か」

人のパンチに変な名前つけんのやめて貰えます???

 

 ねえ4年前だよ?4年も前なんだよ??

何で今になってこんなカオスが飛び出してくるんですか??

一体どんな尾ひれがつきまくってるのか確かめるのも恐ろしい。

 

 男はこっちの『とんらん』を物ともせず、「マスター、良い酒だった。釣りはいらねえ」と銀貨を一枚弾いて自らが飲んでいたウィスキーにカップインさせると、オレンジのパイレーツハットを被ってマイペースに酒場から去って行った。

 

 ……一体なんだったんだ、あいつは。

 

 

 

@ @ @

 

 

 

 ――話のオチなのだけれど。

 

 この時の騒動が瞬く間に広がったらしく。

俺に絡んでくる奴がいなくなった上にもうひとつ、思わぬ展開が寄って来る事になる。

 

 ……運河要塞の人間が、俺に接触しに来たのだ。

 





サガフロに『爆砕鉄拳』ってのがあるらしいです。
サガ系でなんか香ばしい名前の体術技無いかなってWiki探したら見つけました。
ちなみに『羅刹掌』との2択でした。

マイペースのアイツは、多分気付いてる人は気づいてると思われる人です。
ここではあまり絡みません。

ちなみに行頭空白開ける書き方試してみたんですけど、やっぱ横読みのWeb小説だと1行しかない部分では違和感あるなぁ……
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