感想全部返して次話書き始めて気付けば22時回ってんだもん。。。
なお、今回も視点がブレるので3人称。
ていうか当面3人称になるかも。
この地の為に用意された扉を硬く締め切ると、刻んである魔法陣が光を発し始める。
その周りには選りすぐりの封印術師が3名。
「――術師たちが力を合わせ、1昼夜かけて術法を施す。これにより岩戸は固く閉ざされ、封印される」
これでもう、モンスターの脅威に怯える事はない。
長時間をかける厳しい仕事だが、彼らは誇りをもって完璧にやり遂げてくれるだろう。
「父上……今更ですが。この地は一体、何だったのでしょうか」
封印術が始まったその扉を睨みながらジェラールが問う。
彼の脳裏にあったのは、この洞窟のあちこちにあった明らかな人工物。
そして、なんだか妙な気配のする石碑の羅列だった。
レオンが首を振って応える。
「さてな……何らかの遺跡だと言う事しか分かってはいない。ずっと昔にアバロンの考古学者が調査を行った事があったが、結局何に使われていたのかもわからずじまいだ。
ただ経験上、ああ云った『冥』の気配が漂う用途不明の遺跡は碌なものが無かった。実際にモンスターの巣にもなっていた……『影の盾』の忠告も的を射ていたと言えよう」
「『アバロンの
「ああ、私もだよ。……しかし残念ながら貴き身分の者はお断りだそうだ。それに、2年は帰って来れないと聞くのでな」
ヘクターにだけは、しばらく会えないと手紙が来たのだと云う。
そして、そこにはかの盾が働いていた酒場のマスターや詩人へのあいさつと一緒に、『北東の遺跡がある洞窟に気をつけろ』と忠告があったそうだ。
故にこそ、ジェラールの初陣に使う前に事前に隊を分けて斥侯を出したし、万全を期してこうやって封印の準備も整えたのだ。
まだ最後の封印が残っているが、とにかく大まかな予定がつつがなく終わった事でレオンは満足げに頷いた。
モンスターの憂いを取り除き、次男ジェラールの初陣も済ませた。
これでやっと南バレンヌに進出できる準備が整ったのだ。
「――さて、アバロンに戻るぞジェラール。皆がお前の凱旋を待っている」
@ @ @
アバロンの城下町は、モンスターに対する城塞として設計されていた。
四方を強固な壁が覆い、無辜の民をモンスターの脅威から護るために。
故にアバロンは屈強な兵が揃い、そして皇帝もまた力を求められている。
特にバレンヌ帝国30代目皇帝レオン。
彼は文武両道の武帝として国民より絶大な信頼を受けていた。
そんな父の後姿を見て、そしてその皇帝の凱旋を手放しに喜び称える民たちを見て、ジェラールは自分も力をつけて父を、兄を支えられるようになろうと決意を新たにするのだ。
……特に今は、『運河要塞攻略』という大一番を控えている。
父が遠征している間、アバロンを守るのは兄と自分なのだと、ジェラールはその大いなる責任を胸に地を踏みしめる。
「――父上、お帰りなさいませ」
玉座を守っていた兄、ヴィクトールがその表情を緩ませて玉座を空けた。
武に秀でた雄々しきヴィクトール。知に秀でた優しきジェラール。
レオンの才能を二人で分けたような皇子たちは、それ故に今後のアバロンも盤石だと民に称えられている。
ヴィクトールとしてはその重責を背負う事に否は無かったが、やはり内政はいまいち性に合わなかった。
最近はその苦手意識を押してあれやこれやと学ばされ始めているが、その結果はいかんともしがたく。
父の代わりとして守っていた玉座を父の元に戻せると、どうしてもホッとしてしまうのが否めない。
最近に至っては、ジェラールと一緒に宰相との会議にも出席させられている。
方々から寄せられる情報と、宰相の助言や分析。それらを纏めて決断を行う父レオンの背中は本当に遠い。
会議の内容のほとんどに頭が付いて行ってないのが実情だった。
……しかし、なんでそうなっているか。今何が起こっているか。
それぐらいは流石に読み取れた。
――つまりは、『運河要塞』である。
「やっと北バレンヌのあれこれを片付けられたからな。ここから『運河要塞』の攻略に集中していく事になる。その間、アバロンを守るのはお前たちだ。
これまでは各々が互いを補えばと思い、苦手分野には手心を加えてきたが……これからはそうも言ってられなくなるだろう。
――たとえば明日、この父が死ぬ。
それでもアバロンを守り切るのだと、その気概と覚悟を以て学ぶのだ」
レオンの口にするそれはとても厳しく、そして考えたくもない想定だった。
ヴィクトールもジェラールも、あまりに真剣なその眼光にごくりとつばを飲み込み「はい」と答えるしか出来ない。
それほどの相手なのか、と問う段階は既に過ぎ去っていた。
未だに相手の正体、目的が掴めない。
これはそもそも『まともに戦わせてくれすらしないだろう』というのが容易に想像できる相手だという事だ。
そこに、一人の王兵がやってくる。
「――陛下。オアイーブという女が謁見を願い出ておりますが?」
「またか……連日熱心に通ってくるな」
最近頻繁に王城を訪ねる、得体のしれない女魔導士。
傭兵登録ではなくあくまで謁見が望みだというそれを、レオンは近ごろの忙殺さもあり全て跳ね除けていたが。
「……仕方がない、会ってみるか」
そう考える気になったのは、北バレンヌでのタスクにやっと一区切りがついたからだった。
――そして通されたのは、女魔導士と呼ぶには随分と若々しい、奇妙な装いをした女だった。
薄手の赤い布を被り、口元にもフェイスベールを当て、金の首輪をいくつか嵌めている。
南方の者か?とレオンは思った。
資料で見たメルー砂漠方面に住む民たちの装い、その一部にこんな格好があったような記憶がある。
「お目通りがかないまして光栄です、皇帝陛下」
「まだお若いな。魔導士というから相当な年寄りと思って居ったわ。
ヴィクトール、ジェラール……お前たちは下がってよいぞ」
――そしてこの瞬間より、アバロンの運命は変わっていく事になる。
@ @ @
「……ボクオーンが、本物だと?七英雄が帰って来たと聞こえ始めた噂は
「はい……私は遠く、ヤウダの方より渡ってまいりました。
直接七英雄に会う事は叶いませんでしたが、彼らの影響を道中でよく耳にいたします。
その中でもより頻繁に聞く名がボクオーンです」
「ほう。それは遠路はるばる、良く参られたな。
して……そのボクオーンと敵対するのは危険だと、教えに来てくれたという訳かな?」
「いいえ。私が伝えに来たのは……七英雄の力の正体と、それに対抗する術についてです」
途中までレオンは労うような姿勢を取っていたが、オアイーブのその発言には流石に剣呑な空気を出さずにはいられなかった。
「……七英雄を排除するために我がバレンヌをぶつけたいと。そう聞こえるが」
オアイーブが俯くように視線を下げている。
「……そのように聞こえる事。結果的にそう言っているのと同じである事。
そして既に、運河要塞の件で衝突が必至であること……重々承知しております」
フェイスベールのせいで表情がいささか読みづらい。
しかし彼女の目から見える感情……これは、懺悔だろうか?
「……そなた、何者だ。七英雄と如何なる関係か」
「一口に言えば……
私は、私たちは、七英雄に因縁がある……
……いえ、七英雄の因縁を受けるもの、という言い方になるのでしょうか」
「どういう事だ。因縁ゆえにそなたらに代わり、バレンヌに七英雄を討てと。そう言っているのではないのか?」
「逆です。
……私たちは、彼らに殺されても文句は言えません。
しかしあなた方はそうではない。
しかし失礼ながら、あなた方では七英雄に勝てない。
……いいえ、誰も勝てない。勝つ事が出来ないのです。
ゆえに私は、お伝えしに来ました。
七英雄の力の正体と、それに対抗する術について」
そう言って顔を上げるオアイーブの目は、今にも泣き出しそうなほど罪悪感で歪んでいるように見えた。
もっと進めたかったけど眠いから無理。。。
『前』『中』『後』と3編構成になるかな?
収まり切れずに『終』とか入れるかもだけど。
……追悼のご準備をお願いいたします。