なんかSFCでは赤いザクロみたいなグラフィックだったけど、リベサガはどうなってるのかな。
一応、コランダム系のイメージで書いてたりします。
――最後の遺体を運び終わる。
全員、生まれたモンスターに損傷させられることなく、五体満足で残っていた。
不幸中の幸いとはこういう事を言うのだろうか?こんなこと、幸いなんぞにしたくはないけれども。
この後の埋葬は、町の人達で手分けしてやるのか……それとも家族が行うのか。
「……おかしいだろ」
誰かがポツリと呟いた声を拾って、俺は顔を上げる。
「何で……何でお前だけ大丈夫だったんだ?みんな死んだんだぞ……!?おかしいだろ!?」
「おいよせ!!」
事切れた一人に縋りながら叫ぶ声。
家族だったか、友人だったか。
俺はもう、濁った眼でそれをぼんやり見る事しか出来ない。
欲に駆られた者から死んで行ったというのであっても、おっちゃんは死ななくて良かった筈なのだ。
あの時、速攻であいつを見捨てておっちゃんの手を引いて入り口に走っていれば、少なくともおっちゃんは死ぬ事は無かった。
あるいは、遠隔であいつの生命力を簒奪しても良かった。
……ワグナスならこんな時でも、うまくやれたのだろうか。
あの宝石を、処理しなくては。
回収して……どうするべきだろう。
生命力を簒奪してもまだ足りない石だ。下手に砕いても、砕いた分だけ宝石が別れる未来しか見えない。
例えば俺の生命力を吸収させて……それをさらに簒奪して『綱引き』で抑え込む状態にすれば、時間は稼げるだろうか。
「おい、聞いてるのか!?」
坑道に踵を返してなお掛かるその声に、緩慢に振り返った。
「……なんだよ。つまりどうしたいんだ、あんた」
「っっ、落とし前つけろって言ってんだよぉっ!!」
「だからお前、やめろって!!」
「……落とし前……?」
止めようとする男を強引に押しのけて、そいつが叫ぶ。
「お前が目指してたもん掘り起こしたらこうなったんだぞ!?お前のせいだろうがどう考えても!!本当は、仕組んでたんじゃないのか!?そうでも無ければ、お前だけ生きてんの絶対おかしいだろうが!!」
……ああ、そうか。
メチャクチャな論理だが、とりあえず相手を糾弾して自分は正義だ悪くない関係ないと言いたいヤツか。
あるいはあいつは、最初に死んだ6人の計画を知っていた奴なのかもしれないけれども。
――もう、何もかもどうでも良かった。
「……じゃあ、良いよそれで」
「……ああ?」
俺の肯定に対して戸惑ったように眉をひそめる。
「俺はあの宝石をずっと目指していて、独り占めしたくて、それを手に取ろうとしてた奴が邪魔だったんで8人ことごとくを殺したんだろ?立派な凶悪犯だ。
――それで、あんたさ」
『冥』の術力を右手に集めて宙に振り切った。
その手に、瘴気を纏ったドクロの意匠を持つ魔剣が現れる。
「8人も殺した凶悪殺人犯と、戦争がご所望って事で良いんだよな……?」
踏み出す一歩に、軽めに『ホラー』もつけてやった。
ただ糾弾したかっただけの、何の覚悟もなく声を上げていただけのそいつは、「ひ、いいぃっ!?」と引き攣った声を上げながら尻もちをついて、バタバタと後ずさりするように手足を動かすしか出来なかったようだ。
それを一瞥して、再び踵を返す。
「……埋葬は、よろしくお願いします」
『死神の目』を展開する。
今度は流石に、抜け駆けして宝石を確保しようとする奴は誰も居なかった。
@ @ @
――ルドンの山脈にある宝石鉱山町ティファールに、かつて一人の男が居た。
男は若く、腕が立ち、当時坑道内にたむろしていたモンスターを一人で討滅出来るほどの力を持っていた。
男はティファールにフラっと現れると、モンスターから坑道を解放し、そのまま鉱夫として町に居ついた。
鉱夫をやるのは初めてで、周りに居た鉱夫から色々教えて貰いながら、まじめに鉱石掘りに励んでいたと云う。
やがて、鉱山の奥深くから男がひとつの宝石を掘り出した。
その宝石は魔性を帯び、触れた者ことごとくから命を吸い取って瘴気を振りまく、悪魔の宿った宝石だった。
この宝石の魔性によってティファールの鉱夫たちが次々と死んでいく事態となる。
――たった一人、魔性を受けても死ぬ事が無かったその男を除いて。
男はその宝石を手に、ティファールの町を後にして、ついに帰って来ることは無かった。
まるでその悪魔の宝石が、最初から男の目的だったかのように。
ある者は、男は悪魔の宝石から町を守った英雄だという。
またある者は、男はティファールに悪魔を解き放った悪魔だという。
その答えは誰にも分からない。
唯一残っているのは、男がただひたすらに掘り続けた一本の坑道のみである。
@ @ @
「……そんな訳で、ごめん。もうティファール行けなくなっちゃいました……」
ボクオーンは愕然とした目で俺を見つめていた。
呆れられたり失望されたいと言った目では無いから、その点だけは安心できたけども。
「死者8名……しばらく、鉱山の稼働は足が鈍ると思う。陸路の商材が減衰する事になると……」
「別に、扱われる商材をリーブラで管理してる訳じゃないんですから、そこは別に良いのですが……なんですかあなた、それでもろもろ自分のせいにして出てきちゃったんですか?」
「なんかもう、別にもうどうでも良いかなって……」
元々、嫌われてるのには慣れてる。
面倒か嫌われるかの二択だったら、別に後者でも良いやと思ってしまう程度には。
それに、あいつを脅しつけた時に八つ当たりが入ってたのは、確かに事実だったのだ。
それは自分の為に盾を探す大嫌いなあいつ等と同じ行動だった筈で。
体だけではなくて心まで人間から外れてしまったような気がして、やった後に自己嫌悪に襲われた。
「本当に不器用ですねあなたは……
まあ、良いです。その肝心の宝石ですが、見せて頂いても?」
「あ、うん……コレ。なんか分かるかな?」
未だこちらの命を吸おうと頑張っているそれをテーブルにドンと置く。
相手がボクオーンなのでかなり無防備に見せた。ボクオーン自身も、体を術力で纏って何らかの防護を行っているようだ。
例え1m以内に顔を近づけても、ボクオーンなら大丈夫だろうという強い信頼感がある。
「ふむ……随分大きい単結晶ですね。クラスターでも無くここまで大きいのは初めて見ました。色も深くて透明度も高い……なるほどこれは高値が付くでしょうねぇ、まともに流せるなら。
――たまに見る『魔石』と同種の物とは思いますが、生命力を取ろうとする変わり種は初めて見ます」
「ませき?」
「よく術杖に組み込まれる、術力を吸収・増幅する性質を持った宝石ですね。……私がクィーンの杖を使ってやったシャッタースタッフは覚えていますか?アレの前提条件になる石と思って頂ければそこまで外れていません」
……ああ、ボクオーンがめっちゃ気持ち良さそうにぶっ放してたアレか。
「つまり、対策その1はこの石を使ってシャッタースタッフを誘発する事ですが……生命力を吸い取る石に対して術力で起動してくれるかは未知数ですね。
生命力を使って起動……なんて口にするのは簡単ですが、そもそも生命力は普通動かしたり簒奪したりは出来ないものです。技術的な壁にぶつかる事は容易に想像できます」
「……なるほど」
話を聞いただけでも出来る気がしなかった。
そして、生命力をどうこうできるのは基本的に俺だけだ。俺が無理なら他の仲間も無理だろう。
「対策その2ですが、ラストダンジョンで思いっきり遠投すると云う手もあります。消滅はしませんがほぼ確実に回収不能になります」
「ああーーーっ!!!そうかその手があったか!!」
とても盲点だったように思えて、思わず声を上げてしまった。
なるほど、確かにあの謎空間なら誰の手にも渡る事はない。
瘴気だって万が一噴き出したとしてもどうにもならないだろう。
「ここからなら……もしかしてルドン高原南に行った方が手っ取り早かったりするのかな。そう言えば、地図情報あれば買い取ってくれるんだっけ?」
「行く気ですか?ほとんど未踏の地ですよ……?そりゃあ、情報があれば買い取りますが。
ルドン高原より南は、ほぼ人がいない氷の土地のハズです」
人のいない、険しい山岳地帯か。
……道中の苦難を想って思わず苦笑する。
「……良いんだ。今は……あまり、人が居ない所に行きたい気分でさ」
人のいない険しい山岳地帯なら、笑顔の後ろで糾弾されたり、とばっちりで誰かが死ぬような事も無いだろう。
そして、八つ当たりで誰かを攻撃してしまう事もない。
心の底から願ったりだった。
――ボクオーンが瞠目する。
「……わかりました。なら餞別渡すので、旅支度はしっかりして行きなさい。
この宝石も、こちらである程度封印を試してみますから」
「え、でも……」
「言っておきますが、南バレンヌからマイルズまで歩くよりも数段きつい道のりのハズです。……支度金ケチってロクな物揃えなかったら、逆にぶん殴りますからね?」
……ボクオーンには、本当に迷惑ばかりかけてしまっている。
ポンと出て来た1万クラウンを見つめながら、俺は口をもにゅもにゅするしか出来なかった。
と、言う訳で次はナゼールへ膝栗毛。クジンシー君の傷心旅行です。
2年で色々旅してんなコイツ。ナゼール行かせる予定なかったんだけど……
もはやセルフルドン送りですが、七英雄ならきっとマルガリータの触手相手でも凌ぎ切ってくれるでしょう。
むしろ考えなきゃいけないのはあっち着いてからだよ。
やべえよダンターグ居るじゃんあっちの方……