新宿はがんばる   作:のーばでぃ

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 「あきらめた」執筆完了後に感想返し纏めてしたわけですけども。
中編書いて1日経った時点では未返信数3ページ分だったのでどうにかなるかと思ってたのに、後編書いて次の日には未返信数6ページ分になっててスゴイビックリ。

 ……ていうか、感想くれるの凄い早い人が居るんですよね。
投稿してお風呂入って戻って来て見てみたら新規感想出てるの、なんかおかしくないか??時空歪んでたりしない??

 時に、今更リベサガの魔石の画像検索しました。あったんだね画像。
これ、コランダム系ってか水晶系やんけ……まあコランダムも六方晶族だからそこまで外しては無かったけど、それにしたってデカくねえかこれ。キャラの身長よりデカいぞ???
新宿君キミ、どうやって持って帰ったん?

 本作ではもうちょいちっこいイメージでお願いします。
これが最終的に指輪にまで縮まるのか……



新宿のルドン越え

 まるで子供のミイラでも運んでいるような感覚だった。

布でぐるぐる巻きにして呪符をベタベタ縫い付けて、その上から持ち運びできるように繩でがんじがらめに縛った一品だ。

一体どんな厄ネタ運んでるんだと傍から見たら一発で思うだろう。

そんな見た通りの呪物とその他物資を担いで、俺は『ルドン送り』の名所、ルドン高原に挑んでいる。

 

 第一印象、『ヤバイ』

険しい悪路は別に想定内だから良いのだが、赤青黄色の鮮やかな実をつけた木がうねうねと動き回り、暴れ回るリザードマンの耳に触手をブスリして絡みついている。

ちょっとインパクトが強すぎる。

 

 第二印象、『ヒドイ』

ほとんど聳え立つ岩とまばらに生えてるコケとモンスターだらけのフィールドなのだが、時々岩肌にでっかく『サヨナラ』ってガリガリ書かれた文字と赤黒い血の染みとボロボロに食い千切られた衣服が転がってたりする。

かなりインパクトが強すぎる。

 

 第三印象、『泣ける』

明らかに肉食の有翼モンスターが俺の姿を見ると群れを成して突っ込んでくるのである。

左手は荷物で塞がってるので、右手に剣を顕現させて『カマイタチ』で撃ち落とす。

すると、地面に激突したそのモンスターを横から何かの触手が絡めとって岩陰に引っ張り込み、ガラスを引っかいたような甲高い悲鳴とジタバタ暴れ回る羽音が響き、やがて何の気配もしなくなる。

……もはやインパクトがどうというレベルではない。

 

 この光景を子供に見せて『ルドン送り』をちらつかせたら、そりゃあ誰だって従順になるだろう。

そしてこれを脅し文句にする大人は、そのセリフが「貴様の子供は預かった」と同レベルの最悪の脅しである事を深く自覚するべきだと心の底から思う。

 

 そこかしこに潜むモンスターの影。

おかげで俺は、道中ずっと『死神の目』を解放しながら進む羽目になった。

雑に進んだらアンブッシュ受けて死ぬ未来しか見えない。

なんでココこんなに終わってんの?モンスターだって住みづらいだろこんな修羅の土地。

 

 おかげで地図のマーキングがとてもやりづらい。何とか頑張ってるけど。

岩しか無い悪路と襲い掛かってくるモンスターのせいで何処を通ってるのか曖昧な時があるのだ。

宝石担いでなければ本腰入れてルート開拓した方が良いなと思うぐらいには。

 

 ――それでも、見どころというかこんな修羅の土地でなければ観光スポットに出来そうな光景もあったのだ。

 

 とても美しい湖だった。

セルリアンブルーにきらめき、風で水面を揺らす素晴らしい湖だ。

湖の岸辺にはモンスターの気配が無く、なんだかとても穏やかな気持ちになれる。

 

 ……と言うか、この修羅の土地でよくもまあこんな穏やかな空間造り出せてるよね。

あれか?今がちょうど100年に1回有るか無いかの奇跡的な奴なのだろうか?

 

 まあ良いや、ちょうどいい。水筒の中身を満たしておこうと湖に近づくと声が掛かった。

 

 

「――やめて!そんな汚い手で触らないで!!」

 

 

 顔を上げると、水面から女が顔を出していた。

魚のひれのようなものが両耳から伸び、その下半身は水蛇のそれに置き換わっている。

 

 呆然としながら口を開く。

 

「……にん、ぎょ?」

 

「ネレイドよ!あっちは下半身が魚!こっちは水龍よ!一緒にしないで!!」

 

 水面から出したその尾先が自己主張するようにぴちぴち水面を叩く。

正直違いが良く分からないが、彼女がそう言うならそうなのだろう。そもそも人魚見た事ないけど。

一瞬、スービエみたいに『吸収の法』でも使ったのかとすら思った。

 

「え、ウソだろ……住んでるのか?この湖に??周りはモンスターだらけなのに???」

 

「私たちが苦労して追っ払ってるのよ!この湖の水を奇麗に保つためにどれだけの労力割いてるかわかる?汚い手で水に触らないでちょうだい!!」

 

 へええ、あの弱肉強食の世界で揉まれまくってる世紀末動植物相手に、そりゃあ凄い。

この分じゃあモンスターとかが水飲みに来ても跳ね除けてる訳か。

なんだってこんな場所に居を構えようと思ったのかは不明だが、あれら相手に切磋琢磨して来たんならその苦労は察するに余りある。

 

「……でもまあ、そっか。アンタみたいな種族が全身浸かってるんなら、そりゃあ飲み水には適さないよな……邪魔したな」

 

はあああああ!?!?!?

 

 ひどく気に障ったらしかった。

素直に踵を返す俺に「待ちなさいよ!」と怒声が貫く。

 

「アンタねえ!?このアクア湖の水は、その清らかさから人の世じゃ高値で取引されるほどのものなのよ!?撤回しなさいよ!!」

 

「え、いやそんなん言われても……それアレだろ?女の子が使った風呂の水飲むようなアレだろ?俺そう言う性癖は無いし……

 

私たちが苦労して水質管理している清らかな水を『清らか(意味深)』に取ってんじゃないわよはっ倒すわよ!?

 

 ひどくひどく気に障ったらしかった。

 

 いやでもさ、全身浸かってその中で生活してるなら、どうしたってアレやソレやあるだろ。

水質管理してるったって絶対限度あるって。

おめーらメシとかトイレとかどーしてんだって話だよ。

 

「あーもーあったま来た!!あんたみたいなデリカシーの欠片もない無粋な男は、この湖の近くに居るだけで重大な穢れになるわ!!あっち行け!!二度と来るんじゃないわよ!!」

 

 ――ドシュドシュドシュドシュ!!!

 

「ぶべ、っ、おま、んぶっ!?!?!?」

 

 水術の『ウォーターガン』をめったやたらにぶっ放された。

信じらんね―この女、それはモンスターを殺傷できる術だぞ!?人に撃ってんじゃないよ!?

 

「チクショウ頼まれたって来るかこんなトコ!!」

 

 なんかお約束っぽいセリフを吐きながらも、俺は逃げるように湖を後にした。

 

 

 

@ @ @

 

 

 

 ……水浸しである。

目指す南は氷の世界で、しかもルドン高原は既に気温が低い。

 

「……さむい……」

 

 ボクオーンに言われてしっかり買い込んだ対山地防寒装備も、濡れてしまってはどうしようもない。

適当な所で火を起こして乾かす外ないが、薪に出来そうな木々が生えている場所では無い。

そのうえ自分は火術が使えない。

植物系モンスターを燃やして暖を取るという選択肢も取れないだろう。

 

 開放体になって凌ぐかどうか真剣に考える。

爬虫類チックな見た目だが、流石に寒さぐらいなら凌げる体である。

しかし、用意した装備は全部脱ぐなどの配慮をしなければならない。じゃないと多分破く。せっかく買ったのに。

いつもの格好だったら灯火(トーチ)に記録されてるからそのまま使えるんだけども。

 

「おのれ……おのれネレイド」

 

 今度あそこ通り掛かったらアクア湖目がけて放尿してやろうかとどうせ実行できもしない事を考えていると、進行方向の岩陰から焚火の明かりが目に入った。

 

 

「……ほう、随分な恰好じゃないか。人魚に喧嘩でも売ったのかな?」

 

 

 すごい人が居た。

筋肉隆々のおっさんが、上半身裸の上に毛皮を纏うというスタイルで布で巻かれた棒のようなものを燃やしながら、暖を取りつつ肉の調理を行っていた。

 

 ずぶ濡れの格好ではあるが、こいつにだけは格好について言われたくない。

 

 やっぱり呆然としながら声が漏れるのである。

 

「……人がいる……」

 

「人くらい居るさ。どこにだってな」

 

 口角上げながらなんか凄いニヒルな事を言っているが、言っているのは上半身裸に毛皮を纏ったおっさんである。

何なのこれ。

何が起こってるのこれ。

 

「火に当たってくかい?それぐらいは構わないぜ」

 

 おっさんがそう言ってくれたので、素直に頷いてご厚意に甘える事にした。

 

 

 

 火にくべている物を見ると、それは炭や薪と言ったものではなく、熱量もそれらと比べて若干低いように思えた。

なんだか独特な匂いもする。

 

「これは……なにを燃やしてるんだ?」

 

「ムーの油さ。細い枝を挟んで巻いた布の棒にしみこませて燃やしてる。処理にコツがいるが、持ち運べる燃料としてはなかなか優秀だ」

 

「……ムー?」

 

 聞きなれない名前だ。

動物か何かだろうか。

 

「ナゼールでは欠かせない動物さ。毛皮、肉、ミルク、骨、角、油……すべて利用できる偉大な家畜だよ。我々はムーを育てて暮らしているんだ。

この毛皮もムーのものさ……あまりに温かいから、服の上から毛皮を羽織るともう暑いぐらいでね」

 

「それは……スゴイな」

 

 その恰好は暑すぎるムーの毛皮がなせるワザだったのか。

だからってなにも着ないのどうかと思うんだけど。せめてタンクトップとか無かったんですか。

……いやそれでも変態の格好だな。

 

「ムーのミルクは栄養が豊富で、ムーの肉は腹を満たすのに最適だ。骨は頑丈でかつ加工がしやすいから、色んな道具を作る事が出来る」

 

「へえ……この高地を安定して通る事が出来れば、良い商材になりそうな話だ」

 

「まさしくそれが目的で山越えをしていてな。

……ムーが居れば生活は出来るが、それだけというのも味気ない。

だからたまに山越えして、ムーから取れる品を売って、酒や道具を買ったりしているんだよ」

 

「はーなるほど、道理で……」

 

 おっさんの傍らには特徴的なデカい帽子と、なかなかの荷物が置いてあった。

これを持って山越えは随分キツいだろうな。しかも相手があの修羅のモンスターどもだ、命懸けだろう。

 

 とはいっても、おっさんの佇まいは随分堂に入っている。

これが初めての山越えという訳では無いのだろう。

 

「寒いなら、温かい毛皮買って行くかい?2000クラウンで売ってるが」

 

 高っか。

防寒具と山越え装備や旅道具一式全部ひっくるめて6000クラウンだった事を考えると、毛皮一枚2000クラウンは随分勇気がいる選択だ。

 

 いやでも、本当に毛皮で凌げるぐらい暖かいならそこまで悪い買い物でもないのか。

 

 うーんとかなり真剣に悩んでいると、「温かいミルク一杯と焼いた肉200gほどならサービスでつけても良いぜ」と後押しで言われ、あえなく陥落した。

取引成立である。

 

 

 

 提供されたミルクはクセがあったがとても濃厚で、肉は随分硬かったが味が良く、腹が膨れた。

山越えの携帯食としては随分良いものだと思う。

 

「これ……ペミカン作ったら随分人気でそうだなぁ」

 

 干して砕いた薄切り肉と油とドライフルーツと調味料を混ぜて煮詰めた保存食。

適当に作ってもちゃんと美味しいしパンに合うのでたまに自分で作ったりする。

 

「ドライフルーツがこっちじゃ手に入らなくてね……だから買って帰って、地元で作ったりしている。俺と同じことを考える人もいるんだな。気に入ってくれたようで何よりだ」

 

「うん。リーブラまで持ってったら商談持ち掛けられそうだなって思うくらい良い品だと思うよ。

……あ、タコの干物食べる?最近リーブラで取り扱ってんだけどさ、ハマっちまったんで持って来てるんだ。金は良いよ、布教用さ」

 

「ほう、ありがたく頂こうか……海産物かい?うま味が強いなこれは」

 

 ある意味、このおっさんも商人だった訳で。

俺もそれに片足突っ込んでる身としては、随分意気投合できたと思う。

 

「リーブラなんて港町、知らない内に出来てたんだなぁ」

 

「面白い物色々手に入るよ。ロンギット行くならおすすめ」

 

 何気にマーケティングしちゃったりなんかして、大変有意義な出会いになった。

 

 名前を交換する。

サイゴ族のエイリークと言うそうだ。

ルドン高原を抜けたら人はほとんど居ない想定だったから、ムーと共に暮らすサイゴ族の情報はとても新鮮だった。

 

「……時にエイリーク。この毛皮……確かに暖かいんだけどさ……

さすがに上半身裸だと、普通に寒いぞ……?」

 

 水で濡れた服類を絞りつつ、毛皮についてのレビューである。

本人は何の気負いもないようなすまし顔で言い放つ。

 

「ああ……もちろん、感じ方には個人差があるさ」

 

 「やられた」と思ったが、ミルクと肉は食ってしまったので返品は効かなかった。

 




 なお、山越え後は毛皮一枚800クラウンで売っていた模様。
勉強になったね新宿君。これが需要と供給だよ。

 ちなみに、ネレイドにウォーターガンぶち込まれた際、その拍子に魔石をアクア湖に落としてしまい、ボクオーンの手配してくれた封印が利いているとはいえ魔石引き上げに天術の干渉が必要になり、原因を作ったネレイド(テティス)と共にステップに行って月光のクシ(天術の魔道具兼ねる設定)を探す二人旅、最初は互いにグチグチ言っていたけど次第に打ち解けていくなんてルートを考えてたんですが、確実に今の倍は風呂敷を広げなきゃいけなくなり体力切れしそうだからガマンしました。えらい?
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