前回・前々回で反響デカすぎるねんな……
やっぱワグナスのおっぱいが良かったんやろおまいら(名推理)
『ルールの概要を再度説明させて頂きます!!
第1STAGEは北方山脈ふもとから街道を通り、ソーモンまでの最も短い道のりを駆けて頂きます!
この時、大会が用意する
コンテナはロンギット運輸標準の固定規格であり、タイヤなどの付属アタッチメントは要望によって自由にカスタマイズ可能です!
3つのコンテナはすべて同じサイズではありますが、その重さが異なっております!
そして大事なのは、このSBRレースは『ポイント制』だと言う事ッ!
各チェックポイントへの到着順に到着タイム、運んだコンテナの数、そしてそのコンテナの重さという複数のポイント要素を総計して順位が決定されるのです!
レースの意義に反する戦術を行使されることを防ぐため、ポイント総計の計算式は最後に明かされますが……
当然ッ!重いコンテナの方がポイントが高く、複数運べる方が圧倒的に有利となりますッ!
そして注意して頂きたいのはこのレース、運ぶコンテナの変更が出来るのは第1チェックポイントのみとなっております!
第1チェックポイントであるソーモンを出発したら最後、選んだコンテナは最終ゴールまでずっと運んで頂きます!コンテナの追加も認められません!
つまり、第1STAGEはコンテナ運搬の試用走行と言ってよいでしょう!
コンテナは各チェックポイントで開封され中身に不正が無いか確認されますが、それは必ず大会員の手によって行われなければなりません!コンテナを選手が開封する事は固く禁じられます!
そしてコンテナの破損や紛失にもペナルティが入る事になります!!
逆に言えば、コンテナの開封と変更をしなければ比較的自由が認められています。
各チェックポイントでの馬や設備の交換、コンテナに装備させるアタッチメントの変更も認められていますが、コンテナのアタッチメント更新以外はすべて選手側の自費にて行って頂きます!
また、運搬途中で襲い掛かってくるモンスターには自力で対処をして頂きます!
禁則事項は故意による他選手の進路妨害や攻撃、コンテナの開封ですッ!
――さあ、各チームがコンテナの選択を進めております!』
あらかじめ聞いていたルールを背景に、マシンの状態をチェックする。
コンテナの規格や3つの重量については前もって公開されていた上、サンプルも希望すれば発注できた為、ここでモタつく選手はほぼいないだろう。
『ナハトズィーガー』にはコンテナを搭載するための、コウメイ設計による専用固定具が用意されている。これを使ってナハトズィーガーに2台積め、さらに悪路に対応する大口径タイヤのアタッチメントを別のコンテナにつければさらに1台牽引可能だ。
俺達は予定通り、第1STAGEは
「――やはり、固定アタッチメントを使って
「ええ、道がしっかり舗装されているのであればともかく、悪路ではどうしても障害になってしまうでしょう。ともすればコンテナ破損に繋がります。
第1STAGEはテスト走行に最適ですが距離が短い。それは、一度モタついてリカバーしている間に他のチームに追い越される可能性が高いと言う事を意味します。
マシンがタダでさえじゃじゃ馬なのです。我々は刹那的に狙うベストリザルトではなく、高水準で安定したベターリザルトを狙いましょう。
ポイント計算式が公開されているのならばともかく、そうでないなら順位も数も重さもすべてを
うーん、この頭を使う時の安定感。頼もしいね。
なのに教授ときたらつまらなそうに口をとがらせている。
「いーじゃない、最初なんだから
「エンジンがOKでも重心が酷すぎて横転するのが見えていますのでダメです」
「Boooooooo!!!!」
素晴らしい。特にこの、キチッと理屈で教授を抑えてくれる手腕と言ったら!
必死に身に付けた機械工学は、完全ではないにしても多少は教授をコントロールする事に成功したのである。
科学者以外の視点でなんか言われても教授は大体無視するけれど、科学者の視点で話をされたら割と話を聞くと言う事が知れたのは素晴らしい成果だった。
帝国はコウメイに最大級の賛辞と勲章を渡すべきだと本気で思う。
――ふと、「おおおおっ」と歓声が響いた。
視線を向ければ、『H』が刻印されたコンテナを3つぶら下げて、ワグナスが空を舞っていた。
隣にいる翼人は、レースに必要な糧秣や道具その他を持って飛ぶぐらいしか出来てない。
あそこまでサイズ差・膂力差があると二人で牽引するなんて選択肢が取れないのだろう。
コンテナ牽引はワグナス一人の仕事のようだ。
……余裕そうに口角が上がっているが、その唇がキュッと固く結ばれているのを俺は見逃していない。
「先ほどジークさんがあいさつしに行っていた、お知り合いのチームでしたね。
単独で
「いいや、相当無理してるねアレは。もってソーモンまでだ。
第1STAGEに岩山みたいな高低差のある地形や障害、荒地は存在していない。空を飛ぶアドバンテージは団子状態を無視できるぐらいだ。
……普通に突き放せるさ!」
その姿を見た時は「何でいるお前」が頭の中でめっちゃめちゃバウンド反響していたのだが、超自慢げに勝利宣言までされてはまあ黙ってはいられないのである。
こちとら何回死ぬような目にあったのか、もはや数えきれないような地獄の道を渡って来た上でここに立っているのだ。
――花火が上がる。
開幕を知らせる花火が。
……でも教授……
頼むからその曲流すのはやめてくれ……!
@ @ @
始まってみると、随分色々なアイデアで参加されているんだなというのが良く分かる。
ワグナスの空路や俺達の魔導エンジンマシンは言うならば力業だ。
頭のおかしい技術力やら、『吸収の法』による反則開放体でゴリ押しているに過ぎない。
他の人達はというと、例えば想定されていたキャラバンを組んで8台もの
技術力の拙さを数によって補う、という回答を出したチームが相当数いた。
そう言うチームは決まって団子になるから、スタート時の混雑に巻き込まれると先に進めなくなってしまう。
ちなみに気になるリーブラは、車輪に帯を付けた奇妙な足回り*1の車体を使って、可もなく不可もなくなスピードで安定した走りをみせていた。
――だが、やはり速さという点でこう云う展開になる。
『――早いッ!早いぞッ!
まさかのリーブラをはるか後方に押しのけて、二つのチームがデッドヒートぉッ!!馬の速度をはるかに上回っている!!
風と共に空を突き進む『チカパの風』!!
響く振動と変な曲と共に地上を駆ける『大大大天才教授』!!
一体だれがこの展開を予想した!?
片や見た目が変態、片や名前が変態の色物チーム達がソーモンの町に帰ってくる――ッ!!』
「何よーっ!?こんなにカッコいいフォルムを見て見た目が変態とはセンスのないやつね!?」
「名前が変態だっつってんだよ恥ずかしいから黙っててくれませんかねッッ!?」
「行けますよ!!こちらの方が僅かに早いッ!!」
「ワグナス様、大丈夫ですか!?」
「クッ……風術で後押ししてもやはりこの重量ではこれが限界か……ッ!?」
備え付けられたスピードメーターは90km/hを示している。
牽引しているコンテナの振動がモロに車体に掛かり、ガタガタと心臓に悪い悲鳴をあげていた。
――そして。
「ゴォーーーーーーールッッッ!!!
第1STAGEを制した覇者は、『大大大天才教授』チームッッ!!
まさに新時代の技術力を見せてくれましたぁーーッッ!!」
大歓声とともに、盛大な拍手が響き渡った。
@ @ @
「ぐ……かなり無理をしていたのだが、それでも届かなかったか。素晴らしいな、クジンシーの駆るあの車は」
重いコンテナを降ろしながら、心地の良い疲労感に包まれ思わず笑いが浮かび出た。
こんなスポーツ感覚で全力を出したのは本当にいつぶりだろうか?
少なくとも、かつて王城に勤めていた頃からこっちは全く記憶が無い。
まして開放体でスポーツなどと。
「お疲れ様ですワグナス様。翼に無理が掛かったのではないですか?」
降ろしたコンテナを止まり木代わりに体を預ける様子を見て、ウィンディが不安そうに声を掛けてくる。
「ああ……流石に
まあ、風についてはそこまで練度が高い訳ではない。自分の術力ではこんな物だろう。
「なんだか……楽しそうですね?」
「とても楽しいとも!それも、立ちはだかってくれたのがなんとあのクジンシーだ!
まさか彼とこういう大会でライバル関係になれるとは、はは……ボクオーンにもクジンシーにも感謝しなくてはならないな!」
「……まさか、勝つのを諦めてはいませんよね?」
ウィンディがぷーと頬を膨らせて睨んでくる。
「まさか!だがここからは全力をさらに超えて行く気概でないと彼らには勝てないだろう。戦略も練り直さなくてはな。
……コンテナだが、やはり
「……私も、
「いや、やめた方が良いだろう。道中のモンスターの相手は君がメインになる。糧秣だって軽くはあるまい、コンテナ運びは私の仕事さ。
特に、ここから先はコンテナの更新は出来ないのだから。
……そうだな、
そこから追加するにしても
数か、重さか、それとも早さか……くく、ボクオーンめ、計算式の公表を最後に回すあたり本当に良く分かっているなあ」
「しかし結局、『大大大天才教授』チームが
ウィンディが不安げにクジンシーたちの方角に視線を送る。
「いや、そうは思わない。
このSBRレースには私たちにとって圧倒的に有利なSTAGEが3つも用意されている。
十分巻き返せる要素があるだろう。
それに……果たして、クジンシーたちは
彼らがコンテナをどう積んでいるのかはしっかりと見た。
あのやり方であれば……おそらく、コンテナ3つを選んだ時点で相当な爆弾を抱える事になる筈である。
果たして、向こうにそれを見抜ける人材がいるだろうか……?
@ @ @
「コンテナ、1個減らすぞ。やっぱ牽引は駄目だ」
「何言ってるのよあんた!?重要なアドバンテージひとつ潰すつもり!?」
教授がぎゃーすか騒ぎ出すが、俺としては意見を曲げるつもりはない構えだ。
コウメイが言う。
「確かに走っている時の振動は凄かったですが、結局90km/hの爆走でも接合部やコンテナはしっかり耐えてくれたようです。あれほどの負荷をかけても劣化部分が見当たりません」
「とーぜんよ!この天才が生み出した特殊合金製のフレームよ!?素材が高いから負荷が大きいとこだけにしか使えなかったけれど!」
「それを分かっていた上でそう仰ると言う事は……何か不安要素がおありで?」
俺はこくりと頷いた。
「ある。賭けて良い。牽引した状態だと、第3STAGE……はまだギリギリ行けるかもだけど、第7STAGEのメッシナ山脈地帯は絶対超えられない」
ヴィクトール運河にレオンブリッジが出来てから*2こっち、人通りも多くなって道も随分マシになったと聞くが、やはり限界もある筈だ。
あそこは最も小回りが必要になる。牽引する様な長大な状態で突破できる場所じゃない。
というか、そもそも陸路の輸送を考える上でもあそこはルートにするべきじゃない場所だ。
ボクオーンなら、大会側である程度の救済措置を用意している可能性はあるけれど……前もってそれを調べることは出来なかった以上、安定の方を考えるべきだろう。
「……根拠は?」
「俺だ。俺はかつて、運河要塞がまだあった頃、運河要塞から山脈地帯渡ってマイルズまで歩いたことがある。
あそこがどう言う場所なのかは身を以て知ってんだよ」
「……なるほど、それはものすごい説得力だ。そう言う話なら、コンテナ2つでゴールする事を考えた方が良さそうですね」
「ええー??アンタたちなに安定取ってんのよ、『開拓への挑戦』がこのレースのモットーでしょ!?
ダイジョーブよ、コンテナ3つで行きましょう?
どんなに険しい道だろうが、なんなら壁だろうがヘッチャラよ!!
――そんな障害、この私が!!想定していなかったとでも思っているの!?」
教授が胸を張った。
……思わず、コウメイと目を見合わせた。
想定も何も、そもそもあのマシンの設計開発には俺達もガッツリ絡んでいたのである。
そしてその設計には、険しい道は何とかなっても、壁までなんとか出来るような機能は搭載していなかった。
それでもなお、この自信という事は。
そう言えば、あのスピーカーも本来は設計に存在してない筈ではなかったか。
「……」
「……」
「……ねー、あの、なんで二人ともそんな怖い顔で睨んでるの?ねーえ?ちょっとぉー?」
@ @ @
そして『大大大天才教授』チームは
その時には外部スピーカーは取り外され、始終鳴らしていた変な曲が再び流される事はなかったという。
そして彼らが去った後のスペースには、猿轡して後ろ手に縛られながらムームー騒いでいるチームメンバーが一人、取り残されていたのだとか。
一般的な輸送コンテナの最小サイズは大体長さ20フィート(約6m)らしいですが、この作品ではもうちょっと短めになるんじゃないかと思います。
まあ、細かい所は気にせずにフィーリングで見て頂きたく。
考えるな、感じるのだ。
原作SBRレースは馬の取り換え禁止となっていますが、このSBRレースはメインが輸送技術に据えられてるのでこんなルールになっています。
言及してないけど、到着順による課金は無いけどタイムボーナスはある感じ。
あと、チェックポイントでの整備とかメンバー変更とかも認められてる感じ。
――だから、教授を置いていく必要があったんですね(メガトン構文)
教授「これで終わったと思わない事ね……ッ!!」