「なによ、あれ。」
と凛がそう呟いた。
その一方で私はやはり来たかと自身の記憶とすり合わせを行う。
バーサーカーは強力だ。
多少身体能力が向上していれどセイバーほどでない私はこの体での戦闘経験が少ない分、前の身体よりも容易く負ける可能性はあるだろう。
「はじめまして。お兄ちゃん。そして当代のトオサカ。私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。」
「アインツベルン――!」
「さっきまで何やら面白そうな話をしてたけれど、ごめんなさいね。挨拶も済んだしここで終わらせてあげるわ。」
イリヤスフィールはそういいながら、自身のサーヴァントに命令する。
「殺っちゃえ、バーサーカー。」
「■■■ーーー!!!」
バーサーカーが出した雄たけびは大気をも震わせるものだった。
しかし、私は何事もないように弓を構える。
「
大気が揺れる。
弓に否、矢に込められた魔力がバーサーカーへと向けられる。
バーサーカーは自身の身に危険を感じたのか、イリヤスフィールを抱えるとともに大きくジャンプをした。
「なっ!」
イキナリのことだったためかマスターである凛まで驚いていたが、今はそこが問題ではない。
「凛。この際だから言っておこう。おそらく私の攻撃は宝具を除いて奴にダメージを与えることはできない。」
「なんですって!まさか、それがあいつの宝具?」
「・・・おそらくそうだろう。まあ、それだけとは思わない方がいいが。」
と言いながら私は真紅の剣を投影し構える。
一方でイリヤスフィールも今の状況を察したのか一呼吸おいて声を出す。
「――変わった英霊ね。リン。貴女のサーヴァントの攻撃なかなかやるじゃない。」
「そう、できれば今はここから去ってもらえるのがありがたいのだけれど。」
「・・・それは無理な相談ね、リン。そもそも、この戦争で捉えられそうな得物を逃すとでも?」
下がってはくれないか・・・と少し残念に思う私だったが、私は凛の方を向き指示を待つ。
凛はそれを見てか衛宮士郎に協力を仰ぐ。
そしてセイバーが私の隣に立つ。
「今は協力だ、セイバー。」
「――ええ、それがシロウが望むなら私はそれに従いましょう。」
――立場が違えど君の隣にまた立てるとはな。
と心の中で呟きながら真紅の剣に力を込める。
「■■■■■■ーーー!!!」
協力体制を敷く私たちをものともせずバーサーカーは走り出す。
彼がもつ戦斧はその大きさに見合った威力を出す。
「くっ!」
それを私はあえて受ける。もちろん、まともになど受けることはない。
多少受けて後は逸らす。
そう何度も受けられるものではなかったが一度くらいは特に問題はない。
セイバーはそんな私を気にせず高く飛び上がるとそのままバーサーカーに斬りつける。
しかし、バーサーカーはすぐさま逸らされた戦斧を地面にさすとそれを足場にしてセイバーを蹴る。
地面を駆け、地面が割れる。
その戦いはまさに英雄同士の戦いにふさわしい。
だが、二人の青と赤の剣士は互いに険しい顔を続けていた。
赤の剣士がもつ剣ではバーサーカーに傷すら与えることができず、青の剣士の攻撃は傷は与えることができても致命傷は与えることができずにいた。
バーサーカーの剛腕から振るわれる一撃は地面すらえぐりとる。
鈍重などではない、その速度威力ともに一線級いや桁が違う。
傍から見れば、二人の騎士が巨漢の男を押しているように見えるだろう。
だが、実際は着々と二人の騎士が押され始めていた。
ふと、セイバーの顔が歪み隙が生まれた。
おそらくはランサーの槍が原因だろう。
「セイバー!」
気づけば叫んでいた。
しかし、間に合わない。
だが、事態は思わぬ方向に進んだ。
そう、割って入ったのだ。
セイバーのマスターが。
「馬鹿野郎め!」
思わずそう口に出す。
衛宮士郎の身体には大きな穴が開く。
「なっ。なによそれ。・・・もういい。つまんない。リン、次会ったときは殺すから。」
イリヤスフィールは不機嫌な顔をしながらそう言ってバーサーカーを連れて去って行った。
私は警戒とくとマスターである凛の方を向きなおした。
「衛宮くん・・・!何考えてるのよ!」
そこには体に大きく穴をあけた衛宮士郎とそれを焦るように見るセイバーと凛の姿があった。
「凛、一度移動した方がいい。セイバーは怪我もしているはずだ。衛宮士郎は私が運ぼう。」
凛は「そうね」と返事をしつつ衛宮士郎の家へと向かう。
一方でセイバーは何かを悔やむ顔をしていたので一言言ってやった。
「セイバー。おそらくこのマスターは今後も似たようなことをするだろう。だが、理解できずとも共感してやらなくてはならない。それが奴のためにもなる。」
それは別に衛宮士郎を正義の味方にしたいというものではなかった。
ただ、自分の後悔を語っただけ。
そんな、私の言葉にセイバーは不思議そうな顔しつつ頷くのであった。
夢を見た。
それは偉大なる皇帝が黄金の劇場に立つものだった。
だが、その壮大さに対し観客席には誰一人として立ってはいなかった。
あるのは一人の皇帝とただ一組の剣だけだった。
それは皇帝がもつようなものではない。
白黒の中華剣。
ここにあってはならない異物であった。
皇帝がそれが触れたとき、世界が変わる。
そこは剣の丘であるのは空いっぱいに広がる雲と剣の刺さった死体の山だった。
そして皇帝の体からは数多くの剣が貫通している。
そして皇帝は言う。
「―――体は剣でできている」
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後書き的なやつ
読んでくれてありがとうございます!
いや、正直ネタで始めましたけどなんでアーチャーがネロになったのか。その理由がないと思って。
とりあえず、霊基の異常の可能性が一番あると思いますけどもしかすると――もしかするのかもしれません。