満天の星が輝く夜。都市部から離れた郊外の山に私とカレンさんはいた。前々から決めていた一緒に星を見るという約束の為、スケジュールの調整に難儀したものだ。ある程度天気予報で日を絞ったとはいえ、思った以上に空気は澄み、天の殆どに雲が無い。絶好の観測日和というやつだ。
「アヤベさん、あの星はなんですか?」
「ああ、あれは――――――」
まずは付き添っているカレンさんに星や星座の解説をすることから始めた。ただ語り過ぎても良くないのでほどほどに。その星や星座の軽い詳細やエピソードを紹介する。中々に気を使ったが、彼女は興味深そうに聞いてくれたので及第点だろう。
「私、ここに来てよかったです」
あらかたの話を終えた頃にカレンさんはそう口にした。肯定的な意見を聞けて内心で自信をつけていると、ふと尻尾の方に違和感を感じた。横目で見ると、どうやらカレンさんの尻尾が私の尻尾に絡まった感覚だった。それについて口を出そうとすると、カレンさんは唇に人差し指をあてる。それを言うのは無粋だとでも言いたいのだろうか。ああ確かにある種のデートの様なものではある。それで気が済むのならつき合ってあげるのも良いだろう。
「全く…仕方ないわね」
「やったぁ♪」
お互いに身体を密着させる様にもたれかかった。普段の一人での天体観測と比べ、物理的にも精神的にも暖かい時間であった。
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「わぁ、皆お熱いねぇ…」
私、メジロパーマーは周囲を見渡しながら呟いた。先日人気ドラマ『Loveだっち』の最終回で尻尾ハグが披露されてからというもの、トレセン学園の各所で同様の行為が見られるようになったのだ。こういう一過性のブームに乗っかるのも悪くないと思った私は、友人のダイタクヘリオスに聞いてみることにした。
「そういうのははずいっていうか…」
だが、どうも様子がおかしい。いつものテンションアゲアゲな態度はどこへやら。顔を背けてどうも煮え切れない反応をするのみだ。私はそんなヘリオスの普段とのギャップに嗜虐心を刺激され、ちょっとしたいじわるを敢行する。
「いいじゃん!私達ズッ友だし、何もおかしいことじゃないよねっ!」
すぐさまヘリオスの後ろに陣取り、彼女が動く前に尻尾を絡めた。我ながら電光石火の早業だと評価したいスピードだ。初めは何が起こったか認識できなかったヘリオスも、次第にお互いの尻尾の接触に気付いてみるみる顔を赤くしていった。
「あ…え………パマちん大胆過ぎ…わりガチキュン死にしちゃ――――」
「ヘリオス?…ヘリオス!!!!??」
直後ヘリオスが興奮しすぎてぶっ倒れたが、私達の関係が一歩進んだのは良かったと思う。