ウマ娘 SS短編集   作:本田直之

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キタサトと幼馴染♂

俺には二人の幼馴染がいる。キタサンブラックとサトノダイヤモンド。元気はつらつなウマ娘である。最初に公園で遊んでる所に声をかけられたのがきっかけで仲良くなり、三人でよく遊ぶようになっていた。二人はトゥインクルシリーズのファンであり、よくレース場に通っている。あまり興味が無かった俺も、誘われるにつれウマ娘レースにのめりこんでいった。トウカイテイオーが奇跡の復活を果たした有馬記念なんかは酷く感動したのを覚えている。結局は三人ともウマ娘関連の夢を追いかけることに。キタサンとダイヤはトレセン学園へ、俺はトレーナー学校へ。それぞれの道へ進み夢を叶えようという約束をした。トレーナーという職業の性質上、二人のデビューには追いつかない。資格取得に向けて勉強している間も、キタサンとダイヤは順調にクラスを上げていった。二人が活躍していくのを見ていると、俺も負けていられないなと思った。たまに悩みの相談などもしながら月日は流れ、とある冬の日。

 

『ついにこの日が来たな』

 

『うわ~~緊張してきた~~!!』

 

『しっかり私達を見ててくださいね』

 

『もちろん』

 

SNSのグループチャットにはキタサンとサトノからのメッセージ。何を隠そう、今日は二人が出走するGⅠ有馬記念の日なのだ。二人の初対決ということもあり、昨日から準備をして最前列を確保することに成功した。既にレース場は沢山の観客で埋め尽くされている。流石は一年の総決算たるグランプリレースだ。

 

『暮れの中山を彩る優駿達が姿を現します――――』

 

ターフに現れたキタサンとダイヤは本当に見違えた。本格化で身体が成長したのもあるが、何よりも一線級のウマ娘としての貫禄があるように感じた。その目は勝利だけを見据えている。これは最初から最後までしっかり見届けないと失礼とすら思った。

 

レースはまずまずの滑り出しから始まる。マルターズアポジーが先頭につき、キタサンと前年王者ゴールドアクターが続く。ダイヤは中団に陣取った。競り合うことが無かったからかレースはスローペース。後方のウマ娘も足を溜めることができるだろう。最終コーナーに差し掛かるころには力のあるウマ娘達が前方に進出を始めていた。最終直線に入り最後の追い比べが始まる。その中でも突出していたのがキタサンとダイヤ、そしてゴールドアクター。ここにきてさらに加速するキタサンに追いすがるダイヤ。幼い頃から共に過ごした二人が、こんな大舞台で先頭争いをしている。手に汗握るとはまさにこのこと。勝負の世界ではどちらかが負ける。でも、どちらにも勝ってほしくて。

 

「キタサン!!!ダイヤ!!!行けぇ!!!!」

 

思わず二人の名前を叫びながら勝利を願った。その声援が届いたかどうかは分からない。一つ残ったのは、ダイヤが一気に脚を伸ばしてキタサンを抜き去ってクビ差で優勝したという事実だ。

 

レースの後、キタサンとダイヤから再度メッセージが届いた中山近くの飲食店で会わないかという話だった。特に急いでいる訳ではなかったので二つ返事で了承する。現れた二人はとてもすっきりした顔をしていた。話した内容はレースについてがほとんどを占めた。俺がレースの所感を語り、二人が当事者としての補足をするなどして語り合う。その中で、キタサンとダイヤは確かに俺の声援が聞こえたという。それが二人の活力になったのなら幸いだ。レースの事を語り終えた頃にはモチベーションが湧いてきた。

 

「俺もトレーナー学校で首席目指さないとな…」

 

「うん、頑張って!」

 

「待ってるからね!」

 

「ん?」

 

二人の言葉に首を傾げた。待ってるとは一体どういう意味だろう。聞けば、キタサンとダイヤは俺が卒業してトレーナーになるまでターフで走り続ける気のようだった。ウマ娘は誰しもがピークを迎え、競争能力は緩やかに衰える。俺がトレーナーになる頃には二人とも全盛期を過ぎるだろう。それでも一般人ではなく、レースに携わる人間として同じ景色を見たい。だから辞めるつもりはない。そう嬉々として語る二人。その笑顔を見ていると、悲観的な思いは吹っ飛んでいく。

 

「…ったく。やるしかないじゃねぇか」

 

背中は押してもらった。後は俺が応える番だ。それこそどの科目でも主席を取れるような優秀なトレーナーにならなければ。いつか三人で、その景色を見るために。

 

~~~~~~~~~~

 

ウマ娘には本格化という現象が起きる。思春期を迎えた段階で身体が急激に成長するというものだ。それはキタサンとダイヤも同様であった。

 

「キタサンと…ダイヤ…か…?」

 

「そうですよ?○○君」

 

「久しぶりだね!」

 

前に会った時は自分より1回り2回りも小さかったと記憶している。しかし、今はどうだ。身長差はほぼ無くなり、本格化に伴って身体は完全に女性のそれになっている。服の上からでもはっきりと分かる膨らんだ臀部と双丘ははっきり言って年頃の男子には目の毒だ。それだけでも十分ヤバいが、問題なのは二人の接し方が昔と変わらないこと。その暴力的肢体でもって何の躊躇いもなく傍に座ってきた。いい匂うが鼻腔をくすぐる。当然というか雄としての生理反応というか、俺は終始前かがみにならざるを得なかった。

 

(心頭滅却…!!心頭滅却……!!)

 

今でこそだいぶ慣れてきたが、当時に何を話したかは覚えていない

 

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