「勝負服っていいよね…」
メガドリームサポーターのVR世界にも慣れてきたある日。三女神AIのダーレーアラビアンがふとそんなことを呟いた。勝負服とはG1やそれに類する格のレースでのみ着用できる特別な服。ウマ娘それぞれの想いが込められた衣装には多くのファンが魅了されてきた。膨大な情報を司る彼女にとっても、それは気になるものらしい。
「分かります。個性が出ているから見てて飽きないですね」
その後勝負服について話していると、彼女も楽しそうに聞いてくれていた。そのうち話すだけでは物足りなくなったらしく何かを思案し始める。少しの沈黙の後、彼女はポンと手を叩いた。
「そうだ!俺も勝負服を作ろう!幸いデザインのデータも沢山あるから良いものが作れそうだ!すぐ終わるから、待ってね子羊くん。」
そうして、ダーレーアラビアンは眼前から姿を消した。はてさてAIが考える魅力的な勝負服は如何程の物か?色々楽しみに待つ事数分。再び現れた彼女の姿に目を奪われることになる。
「お待たせ!」
その勝負服はアラブ系の民族衣装風のデザインだった。世界最古の踊りと称されるベリーダンスの衣装に近いだろうか。ビキニ型のトップスにボリュームがありながら大きくスリットの入ったスカート。腰にスカーフが巻かれ、後頭部から背中にかけてと口元を半透明のヴェールが覆っている。随所にあしらわれたスパンコールやビーズがまばゆい輝きを放ち、その絢爛さを引き立たせていた。また、ワインレッドの配色が多めに露出した褐色の肌と合わせて妖艶な雰囲気を醸し出している。外見がやや筋肉質で引き締まった体つきなのもそれに拍車をかけていた。
「アラビアンって名前に合わせて中東の踊り子風にしてみたんだ!結構な自信作さ!」
得意げに胸を張るダーレーアラビアン。仮想の空間だというのに、その一挙手一投足が中々どうして艶めかしい。衝撃で固まっていると、こちらの様子に気付いた彼女が顔を覗き込んでくる。
「…子羊くん?」
故意ではないのだろうが、丁度上目遣いになる位置関係。健康的な一般成人男性からすれば、それは余りにも強烈過ぎた。幸いにもここはVR世界。生理反応が出ることが無いのがせめてもの救いである。
「―――――――――それ、あまり皆に見せない方が良いかもしれません」
「ええ~~~~~~!!?」
その後、件の中東風勝負服は大々的にお披露目されることはなかったものの、気に入ったのかダーレーアラビアンがちょくちょく着てくるようになり、学園内でちょっとした話題になったという。
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その後、ダーレーアラビアンに触発されたのか、残りの女神達も勝負服を作るに至る。
バイアリータークは威厳ある軍服姿を、ゴドルフィンバルブは古代ギリシャ風の神々しい純白の姿を。それらは多くのトレーナーやウマ娘の目を釘付けにしたという。
「だから、衣服とてある程度の規律は必要だ!それをお前たちは…」
「も~~バイアリーは硬すぎるよ」
「個性の重視も認めるべきだと思いますよ?」