さて、次の投稿は何時になるやら? 時間がかかりそうです、なんせ予定が真っ白ですからねw
書きたいシーンの断片は浮かぶんですが、上手く纏まらない。
困ったもんです、私が行き当たりバッタリで書いてるからなんですが(苦笑
始まりのアイテム
それは、冬の初めの頃だった。
「なんだろ、これ?」
浅間神社の社務所に其れは届いた。
ガイア連合の術者による、直接配送。普段ならキノ自身がもって来るのに珍しい……
最初はそう思ったんだけど、サプライズ込みの悪戯だったのかも知れない。
中味は取説とメタルカメオのネックレス? 取説によると展開式デモニカと言うらしい。
わざわざ、戦車の装甲版を削って製作している? 付喪神が宿る事で装甲強度がアップ? 良く分からないけど凄いんだろうか? 特注の特別製って書いてあるけど……
「デモニカ!? 本物ですか?」
同席していた先輩の巫女”美子”さんが驚く。なんでもガイア連合で開発されたばかりの夢のマシンとか?
「そんなにスゴイんですか?」
「そりゃあ、もう! コレを使えば非覚醒者でも悪魔を認識出来て戦えるそうですよ?」
なるほど、それは凄いのだろう。
でも私の場合は自分で認識出来るし、魔法もそれなりに覚えてて戦えるんだけど?
「それに強化服でもありますから、防御力も上がるそうです。何より成長上限が大幅に上がるとか!」
それは凄い。私の成長限界は高めではあるけれど、それでも20レベルだから……
「なんと! 30レベルまで上がるそうです!」
力説する先輩だが、確かに大きな差だ。
霊的守護を任務とする家に産まれて、やる気はあっても成長限界が低くどれだけ修行しても強くなれない。そんな悲劇は、この業界に身を置いてから良く聞く話だ。
効率的な修行法は失われて久しく(メシア教の過激派に奪われたという話もある)命がけの修行で覚醒しても、そこが限界だった。なんて話も良くある事らしい。
中味も同様で、メタルカメオのネックレスが入っていた。
違うのはカメオの題材だけ。
キノはオシャレとは無縁だったけど、このカメオをオシャレで渡す事は無いだろう。
題材が戦車だもの。
ミリタリーが趣味の
このサイズで細部まで見分けるって趣味人は凄いな。
私と同じく、取説に眼を通す二人。
「レベル上限を上げてくれるのは嬉しいな、そろそろ上限だし」
「同じくであります」
佐緒里さんはレベル14が上限で
十二分に上澄みだと言われているのだが、実感としてはマダマダ弱い。
三人ともレベル12に到達したので上限も近い、正直に言えば助かる。
私はマダ猶予があるけど、二人には……
これでも普通に強いと言われるんだけど、比較対象がアノ時の天使プリンシパリティに成っている。
あのレベルのバケモノを倒せる様になりたい。
私達の出発点がコレだから、三人とも限界まで鍛えても届かない気がする。
それを突破できるブーストアイテムなんだと思う。
「お三方は十分強いですからね。でも、生身より防御力はアップしますし、デモニカ自体のレベルアップも必要と聞きますよ」
だから、早めに渡してきたのではないか? それが先輩の推測。
「まずは試運転してみる?」
「いきなり実戦はコワイでありますな。交代人員が来たら、修行用異界に潜って確認するべきでは?」
一応、浅間神社で管理する修行用異界は卒業して、発生した異界を潰す仕事も初めている。
私にはハマ、ムド系とアギ系の才能が、
キノには羨ましがられた、凄く強いのに体質らしく魔法が覚えられないそうだ。
その分、銃に関しては自信があるようだ。
「そのうち仲間にしてあげよう♪」
冗談めかしてのセリフだったが、どういう意味だったんだろうか?
D案件(悪魔案件)
「皆さん、D案件発生です! 場所は大洗町のトンネル」
有名な幽霊スポットだったか……興味本位で近づいた人間の好奇心や恐怖心が悪魔を呼び寄せて小規模な異界になる事がある。
恐らくだが、雑霊が悪魔化した雑魚だろうと思うが、念のため。
「要らないと思うけど、持ってく?」
所持できるアイテムが減るなら迷うところだけど、今回はそうじゃ無いし……
「そうだね」
「でありますな」
大洗、新米デビルバスター三人組。出動です!
「謙虚なのは良いんですけど。レベル10越えって普通に一流なんですけどね?」
バイクで出発した私達には聞こえなかったが先輩が、そう零していたそうだ。
「Aチーム現着」
Aはアンコウの頭文字で1が私、2が佐緒里さんで3が
なんでも、緊急時の時短とか、呪術絡みで本名を隠すとか、意味は有るって主張するが、半分は自分のミリタリー趣味だと思う。
実害は無いし、それでやる気が上がるならって事で定着した。現着ってのは現場到着の略。
「現場封鎖ご苦労様です」
「はっ! よろしくお願いします」
お巡りさんと未成年女子の会話がこれって未だに慣れない。
きっちり敬礼までされて……
でも、向こうの事情も分かる。
本来、自分達の仕事であるべき危険な仕事を子供にやってもらうんだ。
心苦しいだろうし、罪悪感も有るんだろうと思う。
仕方が無いと思うんだけどね。適性が無いのはどうしようもない。
「良し、皆行くよ」
「A2了解」
「A3了解であります」
こうして私達アンコウチームは異界に突入した。
「なるほど、出来立ての異界みたいだね?」
「だねぇ~、でも悪魔って騙すのが得意だし油断はなしで行こうね」
「わたしが先行して偵察しましょうか?」
「やめとこうか、異界は異界、分断されるのもマズイし油断を誘う罠って可能性も残ってるし」
集団で固まって移動。一人がルートの確認をするなら、残る二人は必ず死角をカバー。
キノから貰ったガイア銃は高性能で私にも扱いやすく、威力が高かった。
お礼を言ったら、ちょっとだけ不機嫌に……理由を聞いたら、霊能の相性で余計な苦労をしたんだとか。
「安物の方が強かったんだよ!? 酷くない! しかも、一番強くて威力は二割五分しか無いんだよ!」
キノの愚痴が凄かったな。
気持ちは分かるけど、それ、私に言われてもね。
思わず苦笑した事を覚えている。
「ふう、ごめん思い出したらチョットね。結局はミホ達の役に立ってるんだし良いや」
キノも最初から強かった訳ではないのだ、苦心して自分なりに工夫して努力を重ねて強くなった。
なら私も頑張らなきゃ。
キノは過保護な位に支援をくれる。
防具も一級品をくれた。
火炎と氷結に耐性が付く戦闘用の物を一式、バイクにも合うパンツルック。
異界では物理と銃に耐性がある防弾ベストを着用し、電撃耐性とガイアフォンと連動したインカム付きのヘッドギアを装備。
武装はリボルバー型ガイア銃と銃剣付きアサルトライフル型ガイア銃を持っている。
ブーツも頑丈で攻撃にも使え、射撃と軍隊格闘術の基本は教えて貰った。
元自衛官だったと言う、春戸教官には頭が上がらない。定期的に顔を出して訓練してくれた。
それを言うなら、キノに一番お世話になってるんだけどね。
春戸教官もキノの紹介だし、実銃愛好部って所をキノが立ち上げて助かった内の一人だから恩返しの機会は有難いとか、アルバイト代は貰ってるとか、絶対キノの手配でしょ。
あの娘、他人に損をさせるの極端に嫌うから……
本来、私達が出すべきお金でしょ? って言ってみたんだけど……
「これはボクの我儘。ミホには色々助けられたし、困ってるなら恩返しはしないとね」
普通に友人だっただけなのに……
それを言うなら私が、私の心がキノにどれほど救われた事か……
「ミホの友達二人も、ミホが認めるなら良い娘なんでしょ? 装備の支援は同じくするよ」
これは私への信頼が言わせた言葉、この信頼を裏切っちゃいけない。
「それ以上が欲しければ、ボクの信頼を勝ち取って欲しいな」
とか言いながら、私に回復アイテムや攻撃アイテムを多めにくれる。
「仲間内の分配に口出しはしないからねぇ~♪」
ホント、優しいのか甘いのか……でも、これはキノの期待の表れでもある筈だ。
最初は私だけが金札で二人は銀札、もっともキノの合格点に達したみたいで、高校の卒業と同時に金札になっている。
二人も私の友人ってだけで優遇されるのは違う、実力を見て欲しいって娘だったから、凄く努力している。
この二年、真面目に訓練してレベルを上げて来た。二人とも実力で合格し金札に昇格したのだ。
教官に素人を卒業して、一人前のデビルバスターになった*1、と認められた時に手続きしたそうだ。
今回、三人共にデモニカを貰えたって事はキノの信頼を勝ち取った。そういう事で良いのだろうか?
教官の教え通りにお互いをフォローしながら進む。
良くあるダンジョンタイプであまり深くは無さそう。
分かれ道で奇襲、”トゥルダク”が襲い掛かって来る。
「邪鬼 トゥルダクレベル11、弱点は衝撃。A2出番であります!」
アナライズを得意とする
「確かに幽霊系の噂がある場所だけど、トゥルダクは何か違う気がしない?」
佐緒里さんの疑問は私も感じていた。
「うん、オカシイ気がする。この場所ならスライムやガキが限界だと思うけど?」
「同感でありますな、さらに慎重に参りましょう」
簡単な仕事だと油断出来ない……悪魔相手に油断は論外なんだけど。
想定よりも敵が強いと思った方が良さそうだ。
トゥルダクは閻魔の部下とされる悪魔だ、墳墓や墓地ならともかく幽霊トンネルごときで出て来る悪魔じゃない。
こういう事を知っていないと罠に嵌められる確率が上がる。
デビルバスターにも勉強は必要だと言われた。同感だけど、こういう知識を調べてると中二病と思われるのも良くある嫌な話。
幸い、私達三人は神社に巫女として就職した形なので、お祓いをお願いする人が聞いてくるから、で誤魔化せる。
おかげで学生時代は助かった。当時はアルバイトだったけど巫女さんではあったから。
警戒しながら慎重に進む。あれから出て来たのはガキとスライムばかり……では何故、最初のトゥルダクが出て来たのか? ひょっとしてトゥルダクは自然湧きじゃない?
三人で話しあってでた結論は黒幕が居る可能性……最初に番人としてトゥルダクを置いて、警報替わりにしている可能性がある。
だからって慌てたらダメ、一度引くのも選択肢なんだけど……
「逃がす気は無いみたいだね」
後ろが塞がれてる。
異界に干渉できる相手が敵みたいだ、自信もあるのかな? 小娘三人くらい返り討ちって?
「舐められてる気がするね」
佐緒里さんが不満そう。
「まあ、後悔させてあげれば良いでありますよ」
ノンビリ言ってるけど、怒っている
当然、私も不満だ。教官に認められ、キノにも褒められる位には強くなったし、装備も一流なのに……
「なら、どれほどの手腕の持ち主なのか、確かめないとね!」
笑ってるんだけど、獰猛なって言われる笑い方してるんだろうなぁ。
「「了解」」
うん、油断も無いし、闘志も十分だ。
「大胆かつ慎重に行こうか。隠れてやり過ごす可能性もあるから、違和感を感じたらアナライズを欠かさずで行こう」
「お任せであります」
さて、自信が本物なのか確かめさせてもらおう!
「なるほど、自信の源はソレか」
目の前には土蜘蛛。
強敵だけど倒せない相手じゃない筈。
「地霊 土蜘蛛レベル15、氷結弱点、電撃耐性であります」
先ず
それを聞いた私が一歩進んで、マハブフストーンを投げつける。
佐緒里さんは私にスクカジャをかけてくれてスピードアップ。
先手を取られダメージを与えられた土蜘蛛は私に攻撃するが、当たらない。
やっぱりバフって大事だね!
ダークサマナーが隠れて居たけど、全体攻撃であるマハブフストーンの攻撃範囲に巻きこめた。
攻撃されたら痛くて当然。
けど、その位で怯んでいたら勝つ事は出来ない。
私達も何度、教官に転がされたか……
「デバフもプレゼントでありますよ」
これで土蜘蛛の脅威は更に下がる。動きが鈍り、攻撃の精度も下がった。
そこに私と佐緒里さんがブフストーンを土蜘蛛にプレゼント。
悲鳴を上げて、苦しむ土蜘蛛。
反撃のマハジオが来る。痛いが耐性がある私達には軽度のダメージ。
これくらいで動けないのは三流だと教官に教わった。*2
なら、私達は動ける。一流には程遠くても三流呼ばわりはごめんだ!
自分自身では攻撃してこないダークサマナーを横目に、三人で集中射撃。
アレくらいで動けないって教官の分類ではコイツは三流だな。いやスタン時間が長すぎる、四流かもね。
土蜘蛛は滅びた。
ショックを受けているらしいダークサマナーに三人でリボルバーの神経弾*3を撃ち込む。
ガイア銃は悪魔には強力でも人間相手だと威力が弱まるから生きている。
後は眠り込んだダークサマナーを縛り上げて戦闘終了。
「楽に倒せたけど、弱すぎない?」
「確かに、典型的な力に溺れた雑魚でありますな」
二人に油断は無い。リーダー役を任された私としても満足な働きだと思う。リーダーなのはキノとの繋がりの御陰なんだけど。
ダークサマナーは力を使い果たしていたのではないだろうか? 異界を操作した手際は見事だが、それが限界だったのではないか? そうすると、敵グループの狙いは何だろう?
「ダークサマナーを連れて脱出してから、もっと良く考えてみよう」
土蜘蛛が異界の主だったらしい。
崩壊を始める前に逃げ出そう。
ダークサマナーは警官に引き渡した。
縛った後に神主様が自作した術を封じる呪符を張り付けてあるから、逃げる事は出来無いと思う。
気合の入った悪党だと、手足を犠牲にしてでも逃げる事があるそうだが、教官基準で三流以下のアイツじゃ無理だね。
後は警察と警察に協力する取り調べ専門の能力者の仕事だ。
私は撤退前に考えていた事を二人にも話す。
こういう事は一人で考えても良い考えは浮かばないモノだ。
三人寄れば文殊の知恵。ブレインストーミングは思わぬ発見をもたらす事がある。
治療しながら会議。MPは残した方が良さそうに思えるので、魔石で治療する。
キノからの支援の御陰。この手のアイテムは高級品で普通は温存するらしい。
「アイツさ~、どう考えても雑魚だよね~?」
佐緒里さんがチャクラドロップを舐めながら感想を述べる。
「ですな、あの程度の痛みで硬直とか教官が見たら鼻で笑うでありますよ」
「でも、土蜘蛛を従えてたんだよね~?」
そこが不自然。
「与えられた可能性がありますな?」
誰に?
「黒幕が居るのかも?」
じゃあ目的は何だろう?
「戦力の分散……」
私の言葉に二人が頷く。
「黒幕が居ると仮定すると、敵の攻撃目標は……」
「「「神社!」」」
私達三人の声が揃った。
やっぱりだ、社務所に電話がつながらない。
「急いで戻ろう」
私が立ち上がりバイクに乗ろうとすると……
「でも、この装備のままじゃ目立つよ!?」
佐緒里さんからの最もな指摘。
「普通の恰好で行きましょう。ベストとヘッドギアを外して、ヘルメットも忘れずに」
「やっぱり持ってきて良かったでありますな」
右手で首から下げた、カメオを軽く持ち上げている。
「「あっ」」
そうだ、デモニカは展開式。どんな格好であっても、戦闘に相応しい装備に直ぐ変わる!
急遽戦う必要があるなら、デモニカを展開すれば良いんだ!
ならば、善は急げだ。
バイクのシートバックに防弾ベストとヘッドギアをしまい込む、銃も同様だ。
このバック、大きさはリュック程度なのに、その10倍は物が入る。
ガイアでは、それなりに普及してるって話だったけど、先輩に見せたら驚かれた。かなりお高いらしい……
キノは身内に甘い。そして私は数少ない身内にカウントされている。
それに甘えたままじゃイケナイ、今のままでは無理でも、何時かは私がキノを助ける。
これは誓いだ。その為にも……
「私達を嵌めようとする黒幕がいるなら後悔させないとね!」
ヘルメットを被る前に、私が見た二人の顔は女の子がしちゃいけない獰猛な笑みだった。多分私も同じ笑みを浮かべている筈だ。
大洗浅間神社に所属するアンコウチームは若手のホープ。悪党なんかに舐められたままじゃイケナイよね!
浅間神社の危機
「まさか白昼堂々と攻めてくるとは……」
現在、我が浅間神社は強力な悪霊に襲われています。悪魔としての名前はレギオン、聖書にも出て来る悪魔です。
油断していたのかも知れない。あの娘達が参加してからは戦力が不足する事も無く順当でした。
流石に黒札とは比べ物にならないが普通の基準だと才能豊かな娘達、チームワークも良く黒札の後援もあって、装備も優秀でアイテムも潤沢。
努力も十分で僅か一年半で一流の壁と言われる10レベルに到達した新鋭。
黒札は別格として、普通の基準なら天才と呼ばれても可笑しくない才能なのです。
彼女達は否定するでしょうが……
だからこそ、彼女達が邪魔だったのだろう、貴重な仲魔を譲渡してまで、彼女達をココから引き離したのでしょう。
通信を遮断される寸前の警察からの報告で異界に侵入した事まではわかっています。
そして、その後に通信は遮断された。
盗聴していたのでしょう。電話線と近くの携帯電話基地局が破壊されたようです。
支援する人間がいる可能性もありますね。
敵は此処を知っている。
おそらく追放された人間がダークサマナーに身を堕として復讐するつもりです。
私には心当たりがあります。レギオンと土蜘蛛を従えた、強さのみを指標とする男。
ここ浅間神社では数年前、粛清が行われています。あの時に逃げ出した、卑怯者が犯人でしょう。
コノハナサクヤヒメの復活、それに伴う綱紀粛正。
その音頭を取ったのがガイア連合に所属する浅間神社の神主の一人、茨城県の神社仏閣間の緩やかな繋がりの事実上の代表。
コードネームらしい、その名は”梅昆布ネキ”。名前はもう少し何とかして頂きたかった……
いち早く神を復活を知り、修羅勢とまで呼ばれるガイア連合の精鋭の助けを借りて、茨城中の異界の攻略と浅間神社の綱紀粛正を成功させた手腕は本物です。
代表として不満は無く、術者としても修行を欠かさない好人物なのです。
ネームセンスや性的嗜好が残念でも、その位は愛嬌だと思います。本人はジェンダーで悩んだのだと思うし、女の子同士でも子孫が残せるらしいから実害はないでしょう。
好き合ってるなら性別に五月蠅く言うのは神道的に違うのではないでしょうか?
ノーマルな娘を誑かす訳じゃなく、自分のシキガミ一筋なんだから、藪をつついて蛇を出す必要は無い……無いですよね?*4
コノハナサクヤヒメが復活できたなら、その他の神仏が復活するのもあり得る話。だから、茨城では宗教の枠を飛び越えて、神仏に仕える者達のネットーワークが発達したのです。
その切っ掛けが上記の神主”梅昆布ネキ”なのです。
やってる事は偉業なのに、名前の所為か残念臭がするのには苦笑するしかありません……
そして、今年はとうとうガイア連合が本腰を入れて、封印されていた神仏を開放し始めました、当然、悪徳神官や生臭坊主が居場所を失うでしょう。
なんとか逃げ出しダークサマナーに堕ちた者も多いのだろうと思います。
そして、どうにか力を手に入れ手下と共に復讐しに来たのでは無いか? 私はそう推測します。
あれから大洗海岸でも怪異が発生し、大洗神社の神主様達が出かけられました。
うちの宮司、禰宜共にデビルバスターとしても術師としても優秀ではあるから、あちらの心配はいらないだろうが、こちらの戦力が心もとないです。
私と見習いの巫女だけ……アルバイト巫女では無く本物の巫女で、それなりには抵抗できるとは言え、スライム相手がやっとの見習いにレギオンの相手は無理でしょう。
なんとか結界が持つ間に打開策が必要なんですけど……このままだと破られるでしょうね。
援軍は来る、梅昆布ネキが私達を見捨てるハズは無い。連絡は出来なくても、連絡が出来ない事こそが異常である。必ず調査を兼ねた援軍は来るはずです。
問題は間に合うかどうか……
援軍が来る前に消耗したミホさん達が戻って来てヤラレル。そんな可能性もありますか……
仕方ない、私程度でも時間稼ぎは出来るでしょう。ここが命のかけ所!
「大丈夫です、私が時間を稼ぎます。皆さんは結界の強化に全力を注いでください」
さて、ガイア連合の基準で7レベルの私がどこまで抵抗出来るか……あまり後輩に無様な所は見せたくないけど、泥臭く生き足掻いて見せましょう。
術者の呪符はレベル以上に強力なのだと知らしめましょう。
問題は敵の新たな手札がどれほどのモノか? あの男が切り札を手放す訳がありません。
レギオンが攻めて来ている以上それ以上に強力な悪魔を支配している筈です。
二体しか制御できない男だったから、新たに強力な手札を入手して、土蜘蛛を譲ったのでしょう……
どの道、私ではレギオンは倒せません。時間稼ぎに専念するとしましょうか。
「コノハナサクヤヒメ様、どうか御加護を」
戦神では無いのだが、こんな時だ加護を願っても怒られはすまい。
私は一人、結界から出て悪魔と対峙する。”大悪魔レギオン”と……
魔砲少女
「見えたっ!」
「あたしも見えた!」
「アナライズ完了、外道 レギオンレベル20、呪殺無効で電撃破魔弱点でありますな」
「全員停車」
私はバイクを止めさせる。
先輩の美子さんが命がけでレギオンをあしらっている。
あれは幻惑の呪符を複数使用して、レギオンの狙いを外しているのだと思う。
時折掠って軽いケガをしつつも、致命傷は受けていない。
まだ余裕がありそうだし、準備の時間はありそうだ。
今も必死で逃げている先輩には悪いがもう少し我慢してもらおう。
「どうしたの?」
「敵の伏兵でありますな?」
「そっか、レギオンなんて大悪魔が神聖な神社近くに自然湧きする筈ないもんね」
相変わらず二人とも察しが良い。教官にそう鍛えられたのだが……
「多分だけど、さっきの雑魚とやり口が同じと仮定するなら、ダークサマナー本人と護衛の悪魔が潜んでいる筈だよ」
だから、こちらが逆に奇襲したい。
「私一人で援軍に行く。二人は隠れて敵が出てきたら挟み撃ちで奇襲。これで良い?」
「危険じゃない?」
「でも、危険を犯さず勝てる相手でも無いでありますから」
しぶしぶだけど承知してくれた。
「じゃあ私は一人で堂々と、二人はコソコソ作戦でお願いね」
話し合う間に私達は防具を装備し、武器を手に取って行動を開始する。
デモニカの便利機能、チーム内通信網をオンにする。待機状態でも使えるのは便利だ、特別製ってのはホントらしい。
さて、先ずは私がしっかり遣らないと!
アサルトライフルを右手に持ち、左手にアイテムを入れた小袋を握る。
「やあああ!」
声を上げながら接近、銃を撃ちつつ、魔法の準備。
レギオンの意識が私に向いた。
「逃げて!」
先輩に声をかけて、左手の小袋を投げ渡す。回復アイテムが入っているから、逃げながら回復して欲しい。
私は更に接近。
レギオンのムド、先輩は範囲外。なら目標は私!
「キノ有難う」
私にはキノがくれたマスコットがある。呪殺を無効化する強力なお守りだ。
私の反撃、ハマオン。破魔弱点ならかなり効くはず!
レギオンはダメージを受け苦しんでいる。
それから距離を詰めて来た。
物理攻撃を狙ってるんだろうけど、私は足を止めて迎撃する。
後ろから先輩の援護。混乱の呪符かな? 同時に使用できる限界の数、6枚の呪符がレギオンを包む。
レギオンの動きが鈍る。一瞬でも動きが鈍ればこちらが有利!
もう一度、ハマオン! かなり効いた。これなら……敵、天使擬きとダークサマナーが出現。
やっぱり、潜んでいた。
『天使 アークエンジェルレベル22、破魔無効、電撃呪殺弱点であります』
デモニカ通信で
ムドオン! 天使擬きには効くはず、やってる事は邪悪以外の何物でもない癖に、呪いが効くのは馬鹿みたい。
先輩がもう一度、混乱の呪符をばら撒いてくれる。
レギオンの足止めは助かる、この辺りの判断力は流石だ。
これが無ければ一撃は喰らったかも……覚悟の上だったんだけど。
運はコチラの味方かな? 神社を襲ったんだ、神様の加護は望めないと思うけど。
天使に大ダメージ。滅ばなかったのは残念。
でもダークサマナーの手札は、もう無さそう。
死にかけのアークエンジェルと死にかけのレギオンだけか、一気に決着を付けよう。
私は銃を捨てると、カメオを握り念じる。
私を光が包み、体に装甲が施されていく。
ジャバラを思わせる装甲が施されたワンピース。
肩にはシュルツェンをモチーフにした装甲。
そして手には48口径75mm砲を小型化した様な大砲。
「魔砲少女四号ちゃん! 恋と平和の魔砲少女! あ~なたの胸にぃ~、突撃よっ!!」
オートでコレ言わされるの恥かしいんだけど! キノ、悪戯したでしょ! 私、来年は20才だよ!?*5
相手を囲んだ位置、左手に佐緒里さんが変身した魔砲少女オストヴィントちゃんが、右手に
それぞれ、あの恥かしい口上は言わされたみたいで、二人とも顔が赤い。
オストヴィントちゃんは私の恰好から肩アーマーを外した感じで、四駆ちゃんも肩アーマーは無いけど胸部に追加装甲がある。
武器はそれぞれオストヴィントちゃんが3.7cm対空機関砲をイメージした大砲を右肩に背負い、四駆ちゃんが48口径75mm砲をイメージした大砲を抱えている。
四駆ちゃんの大砲は腰からのアームに支えられて両手持ち。射角は悪いらしい、その分装甲は厚そうだけど……キノめ、遊んでるな?
敵は詰んでる。もう終わりにしよう。
『一斉射撃、電撃優先で』
『『了解』』
「『『フォイヤー!』』」
それぞれが得意とする最大火力を撃ち放つ。
私はMPが消耗してたのもあってマハラギ。
佐緒里さんはマハジオンガ。
三方向からの包囲魔法攻撃。流石に耐えられなかった様だ。
ダークサマナーは死に、二体の悪魔は滅びた。
後始末は大人の仕事
それにしてもミホさん達は私が思うよりズット強かったようです。
今回の陰謀はミホさん達三人だけで返り討ちにしたと言っても過言ではありません。
あれから、自分の手当てをした私はミホさんに怒られました。
「遠慮しないで使って欲しかったし、逃げて欲しかった」
気持ちは嬉しいが魔石一つにしても、私のお給料で幾つ買えるか知っているのだろうか?
命には代えられないって言うのは分かるが、命に係わる状況じゃ無ければ、余計な出費はしたくないのです。
大人としてのメンツも考えて欲しい。
子供に集る大人には為りたくありませんし、子供に危険を押し付けて逃げる大人はもっと嫌です。
有力な黒札である、キノネキからの支援が潤沢だからわからないのだろうが、アイテムは貴重なのだから。
強力なアイテムは簡単に手に入るモノじゃない……ハズなのだが、ガイア連合では事情が変わります。
優れた術者、技術者を多く抱え、強力なアイテムを量産し、修羅勢と呼ばれる強力な戦闘集団まで備えている。
流石に修羅勢は切り札なのだろう。
普段は本部にいるらしい。
キノネキみたいに定期的に巡回する事を任務とする修羅勢も居る様だが……
それはともかく今回の事件はダークサマナーに依る逆恨みって事になります。
表向きにはですが……
やはり、例の神仏解放によって、放逐された人物達の仕業だった。そこはウソではない。
しかし、少なくない数がメシア教に吸収されてテロリスト予備軍になっている恐れがあります。
必要なら敵は殺せる。時折やって来て、教官を務めてくれた黒札に鍛えられた彼女達は戸惑い無く攻撃できる。
悪人ならなおさらだ。
だからと言って、私達の為に彼女達の手を血で汚して良いハズが無いのです。
今回、高価な蘇生アイテムを使用したのは彼女達に余計な負担を与えない為です。キノネキの支援もありましたし。
「貴方に価値があるとでも思っていたなら、お生憎さま」
捕虜となったダークサマナーに言い聞かせる。お前に価値などない。
「お前に聞きたい事なんてないし、お前の技術など、誰も評価していない」
お前を評価する人間も求めている人間も居ない。
「ソレを理解する事です」
私がこの馬鹿に付き合うのもコレで終わりです。
彼女達は人を殺した訳では無いと知り、安心できるだろう。
それだけの為にお前は生かされたのです。
「今後、お前がどうなろうと我々は気にしません。そのうち、お前の使い道が決まるでしょう」
そして彼女達が知らない所で、お前がどうなっても彼女達の負担にはならない。
「さて、どうなるのか……楽に生きる道があるとは思わない方が良いと思いますよ」
お前の使い道は梅昆布ネキが決めます。
決まるまでは震えて待つが良いのです!
それにしても、シリアスなシーンで梅昆布ネキは無いと思うのですよ、代表……
魔砲少女四号ちゃんの登場回でした。
えっ? 知らない? そっかー(残念
丸川トモヒロ先生の漫画作品『成恵の世界』の劇中劇。のち作者の手によって独立作品として漫画化されてます。
Lilyala様 梅昆布ネキをホンノリ出世させております。茨城にも派出所はあるみたいだけど、所長を引き受ける性格とは思えなかったので、茨城県の神社仏閣間のゆるーい繋がりの代表です
ミホ達は高校卒業後、正式にデビルバスターとして大洗浅間神社で巫女さんをしています
四号ちゃん 本人の資質+ブフ系+α
オストヴィントちゃん 本人の資質+ジオ系+α
四駆ちゃん 本人の資質+フレイ系+α
攻撃能力はふわっとこれぐらい……+αに関しては決めています、一応伏線になるハズ……
日片野 美子(にっぺんの みこ)
ミホ達三人の先輩巫女。書道家でペン習字にも優れる。レベル7の呪符使い
作者のお遊び、苗字は創作ですw