大したことは出来ないがプレゼントをしたい
「と言う訳でね、ボクも御誕生日をお祝いしたいんですよハム子ネキ」
はい、お電話中です。相手はハム子ネキ、探求ネキこと瑞樹ちゃんの誕生日をお祝いしたいのである。
正直、瑞樹ちゃんは女友達、TS友達の方が正確かも? そんな感じだったんだけど、鈍いボクでも好意を感じたからには答えを出さなきゃいけないって気持ちがある。
「私に断る必要は無いんじゃないかなって気もするんだけど?」
「お二人の仲は知ってますよ? 実質夫婦だよね?」
ボクにはお馬さんに蹴られる趣味は無いんだけどな。
「夫婦って……否定はしないけど。瑞樹は性に奔放だしお相手も私一人じゃないよ?」
知ってた……男としても女としても子供を儲けているんだし、チョット混乱しないでもないけど。
「ボク、NTRはどっちも嫌いだしパートナーさんには断りを入れるのがマナーでは?」
平日の昼間、ハム子ネキが学校でいない時間に会うんだしマナーだよね?
「気遣いは感謝するけど……あの娘ってキノネキもタイプらしいわよ?」
もしかしてボクも探求ネキのハーレムメンバーに? でも、どうだろう?
瑞樹ちゃんの事はカワイイし綺麗だなって思うけど、恋愛対象かって言われると違う気がする。
うん、お互いの子供時代を知っている友人だし、大事な人なんだけど……恋人にしたいかって言われると、迷うけどNO寄りかなぁ?
「ボク、独占欲強い見たいだから本気になるとマズイよ?」
笑いを混ぜ、冗談めかして言ってみたけど本心だったりする。
好きな人は独占したいしされたい。
ボクって意外と乙女だったのかな?
どうやらボクの性自認は女の子寄りで固まったみたいだ。6:4位だと思うけど。
「ふーん、ソレはソレで燃えるかも」
笑ってるけど、譲る気はアリマセンって宣戦布告かな?
このあたりの機微は良くわかんないけどさ。
でも、ボクとしては瑞樹ちゃんの一番はハム子ネキだと思ってる。
言っちゃ悪いけど、ハム子ネキ以外は現地の人だ。
黒札のお子さんも混じってるけど、対等に愛し合ってるのはハム子ネキだと思う。
で、ボクの性格だとハム子ネキの次、二番目で我慢できるとは思えない。
だから、出遅れたボクの初恋はお終いにするのだ。
小学生の内に済ませておくレベルの淡い思いだったし、初恋なんてのは成就する事の方が少ないと聞く。
正直、初恋って言えるのかも疑問だしね。
こんな年になって初めて異性? を意識するとは我が事ながら奥手にも程があるな。
だがプレゼント出来るモノは限られる
はい、正直言ってボクがプレゼント出来るモノなんて知れてるんだよね。
探求ネキが、色々自分で作りすぎてる所為もある。
食べ物、お酒、アイテム、et cetera……逆に作っていないモノを探す方が難しい。
しかし、アレだけの物を貰って御返ししないのは矜持に関わる。
悩んではいるが思いつかない。
おふざけで思いついたIF。
瑞樹ちゃんと琴音ちゃんが結ばれる前なら、自分をリボンでラッピングして……
「好きにして良いよ?」
なんてしてたら大喜びしそうだなって。
もし今これをやるとハム子ネキと怪獣大決戦をヤラカス事になりかねない。
「うん、ダメだ。きっとボクは本気になっちゃうし、其の他大勢で我慢できる性格じゃないや」
瑞樹ちゃんも我慢しないで食べちゃうだろうし、冗談で済まない事はやるべきではない。
折角の幸せな家族なんだ、無理にボクが混ざると壊してしまいそうだからね。
「そうなると、結局は銃になるんだけど……普通の銃は要らないだろうなぁ」
コレが問題だ。
瑞樹ちゃんの場合、装備も何もかもが自分で解決出来るし、あらゆる物が自己完結している気がするのだ。
「外部から入手しなきゃいけないモノが無さすぎる……」
となると、思い出作りの方向? 食事もお酒も瑞樹ちゃんが作る品物の方が上。
ケーキくらいは作れるけど、本職には敵わないし本人にも劣るだろう。
「気持ちが大事って事もあるから一応ケーキは焼こう」
材料が瑞樹ちゃん製の物が多くなりそうだが、其処は愛嬌だと思っちゃえ。
「今更、普通の銃はいらないだろうし……人手が増えるなら喜んでくれるかな?」
実はそれなりに手応えを感じている物がある。
「半分以上、瑞樹ちゃんの設計なのが間抜けだけど、仕方が無い」
基本は九十九式自動人形だ。
これにボクのオリジナル要素を足せば面白いモノが出来る。
自信はあるし、半分は完成している。
そうだな、実用性が低い可能性もあるけど、新たな技術的アプローチは喜ぶかも。
「技術部で相談だね」
そんな訳で、ボクとしては珍しい製作活動開始なのである。
さて、瑞樹ちゃんの好みはドッチかな?
FN FNCはベルギー製のアサルトライフルである。
ボクの戦利品の一つでメシア教に主人を殺された付喪神だ。
正確には付喪神に成りかけだった銃をボクが異界で仕上げた形になる。
この子なんだけど、メシアに復讐したいよりも今度こそ護りたいって思いが強いみたいだ。
だから、体を欲しがっている。
使って貰えなきゃ誰も護れない銃。
自分の体があれば、護れた。
少なくとも楯にはなれた。
後悔とは違うな? こうだったら、そう在れたなら……そんなIFを考え、今度こそって思ってるんだ。
だからボクがその思いを叶える。
九十九式自動人形の素材を戦闘に耐えられるように強化した上で、コアにFNCの付喪神を使用するだけの簡単カスタム。
実際、簡単だった……ボクは製造×だけど改良なら問題無いのかな? いや、素材が銃、しかもライフルだからだろうな。
ボクの霊力を浸透させて霊銃を創ろうとした時もハンドガンは最低限、ライフルは普通の出来だった。
取り合えずコアは出来た。
後はボディだね。
素体は素直に技術部に頼む事にする。
公私混同はしたくないし、イデニキもヤプールニキも自分の仕事を抱えてるんだから、ボクの私用に付き合わせる訳にはいかないよね。
プレゼント用だって念押しすれば秘密は守ってくれるんだし、ボクが自分で作ろうとすれば惨事になるし……
技術部の部員が大惨事を起こすのは日常茶飯事だけど、それはそれ。
ボクが騒ぎを起こして良い理由にはならないのだ。
ここからが問題。
俺らの認識を利用した方が上手く行く確率が高い。
んで、選択肢が二つある。
FN FNCを擬人化した作品で有名なのが二つあるんだ。
一つは”ドールズフロントライン”金髪で長い髪を編みこんでおさげにした娘。
一つは”うぽって”灰色の髪をショートにしたヒロイン娘。マンガ版とアニメ版でも髪型に差があるね。
どっちが瑞樹ちゃんの好みだろう?
はてさて? うーーん? ぶっちゃけドッチも好き? まてまて、瑞樹ちゃんを只の女好きみたいに……
あれ? 否定出来ないのかも? うみゅう?
うーんと、ハム子ネキは活発系、ボクも一応活発系? 大人しいイメージの娘も居るけど、活発系が多い?
でもショートヘアもロングヘアの娘も両方いる。
あれ? ホントにわかんないぞ? どっちでも喜びそうだけど……
こーゆー時は本人と言うか本付喪神の意見を聞けば良いんだ!
FNCちゃんはドッチが良い? イメージを送って確認してみる。
ふむふむ、カワイイとか良くわからないけど”うぽって”の方が動きやすそう?
じゃあ、”うぽって”のアニメ版をベースにしよっか、決定!
「外見はアニメ版”うぽって”のFNCでお願いします」
ボクの仕事は此処迄、後は技術部任せ。
一応、ドイツで見つけて来たお高いお酒とケーキは準備するけどね。
問おう、貴女が私のマスターか?
プレゼントを巌戸台支部に持って行く。
エミールはお留守番。
長居をするつもりは無いしね。
「やあ、探求ネキ。御誕生日おめでとう」
そう言って渡すのはドイツの貴腐ワイン、トロッケンベーレンアウスレーゼ。
”ライヒスラート フォン ブール”150年を超える歴史を誇る醸造所が造った最高級のドイツワイン。
【ライヒスラート フォン ブール フォルスター ウンゲホイヤー リースリング トロッケンベーレンアウスレーゼ 2001】
当たり年だった2001年製。
一昨年の品なんだけど今後造られる可能性がゼロに近いワイン。
ボクはお酒に詳しくないし、どのくらいが飲み頃なのかもわかんない。
だから瑞樹ちゃんが飲みたい時に飲めば良い。
多分、普通の材料で造られたお酒としては最高峰に近い。
目の前の人は普通じゃない材料でトンデモナク美味なお酒を造る人なんだけどね。
苦笑するしかないじゃん、こんなの。
「それとボクが焼いたマロンケーキだね」
トリコ食材が形を変えて戻って来ただけなんだけどねww
もう草生やすしかない。
「それからコノ娘を任せるよ」
うん、付喪神とは言え魂を持つ以上、物扱いはしたくない。
でも、付喪神も悪魔の一種と言われれば人間扱いも違う。
さて、どう扱うのが正解なんだろうね?
付喪神を譲渡するのも初めてだし……娘を嫁に出す親の気分?
なお、ボディはプレゼントされる側が設計していたりする。
「問おう、貴女が私のマスターか?」
ボクの後ろから呼び出して、最初のセリフがコレだ。
おい、そのセリフは誰が仕込んだ!? 技術部の誰かが悪乗りしただろ!!
「この娘は九十九式? いえ、コアが違いますね」
「ご名答、この娘のコアは”FN FNC”の付喪神だよ5.56㎜のアサルトライフルだね」
「よろしくお願いしますマスター」
外に分体としてアサルトライフルを出せる、戦える九十九式がコンセプトだ。
はてさて、探求ネキはこの娘をどんな風に使い、どんな形に仕上げるのかな?
チョット期待しているボクなのである。
あれ? 結局変わらない?
「それでね、ボクから瑞樹ちゃんに大切なお話が「stop!」ほえ?」
「予想は出来るんですけど……多分、恋愛絡みですよね?」
アレ? なんで解るんだろう?
「そりゃあ、ハム子ネキにあんな事を言えば推測出来ますよ?」
あっ!?
「そこで私から質問です。私の事が嫌いですか?」
それはNO、嫌いな訳が無い。首を横に振る。
「他に好きな人が出来ましたか?」
これもNO。やっぱり首は横に振る。
「じゃあ、急ぐ理由ってあります?」
うん? 無いのかな?
「そもそも、私達ってかなり長生きしますよ? 下手をするとお互い死ななくなるかもですし」
そう…なるね……。ボクもマダ強くなる気だし、超越者になる気マンマンだし。
「慌てて答えを出す必要は無いんです。ゆっくり、先輩の速度で進んで行きましょう」
「それで良いのかな?」
普通は好意を示されたなら返答しなくちゃダメじゃないかな?
「普通は「私達は普通じゃないです」……」
それはそう。
「だから焦らないで良いんです、先輩のペースでゆっくり答えを出してください」
ホントに、それで良いのかな?
「チャンスがゼロなら諦めますけど、違いますよね?」
あれ? ボクに心の折り合いが付けれれば問題ないのか?
悩んでたら、瑞樹ちゃんの顔が近づいてて? おでこにキス?
「これだけ気を許してくれているのに、諦める選択肢はないです♪」
いかん、この程度で顔が真っ赤だ……
「恋愛小学生メンタルから成長したら、改めて考えます……」
オカシイ? なんで返り討ちに遭ってるんだろう?
スゴスゴと出直すボクなのである。
感想返しで緋咲虚徹氏からキラーパスが来たのでアンサーとして、小品を書いて見る
キノとしては、こんな感じかなと……気付いた時には終わっていた初恋。
こう書くと綺麗に感じるねw
ドロドロした感情とか書きたくないし、キノは探求ネキハーレムの一員では我慢できそうにないので。
んで、お断りしようとしたらインターセプトされましたw
探求ネキが決定的な理由もないのに諦めるかなって考えたら、そんな訳が無いとしか思えなかったのでw
プレゼントした九十九式ふんこちゃんはご自由にどうぞ。
フェードアウトしても良いし、何処かを守護させても良い、レベルを与えてNPCとして使っても良い、自由とはそういう事だw