【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅   作:山親父

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頑張ってみた。


三馬鹿ラスとの出会い

 キノは困っている

 

「どうしよう?  藤香(ふじか)ちゃんに相談したけど、やっぱり手が足りないか」

 キノが立ち上げた相模原市の派出所がイキナリ北神奈川支部と呼ばれるまでに巨大化したのは、つい先日の事。

 そもそも、ヨーロッパの戦いは自ら石化を選ぶくらいには厳しい戦いだった。

 復帰早々に、この不意打ちである。

 とは言えイデニキを必要以上に怒るのも間違いだった。

 

 ヨーロッパでのキノの活躍。

 これが大きいのだ。

 知り合いがドイツやその周辺国に残っている避難民は多い。

 其処から知られたキノの実力……レベル100に達する大天使ラグエルとメシア教過激派600名を数える精鋭大隊の単独撃破。

 

 コレを仲間に迎えた避難民達や彼らから聞いた現地の異能者達がどう思ったか?

「寄らば大樹の陰って事か~」

 メシア教を恐れつつも必死で抗ってきた真面な地元の名家、彼らがキノの下に着けば安心だと雪崩を打って合流して来たのだ。

 事情を聞けば無理は無いし、イデニキは横浜市や川崎市の合流は幾らなんでも問題があるとして防いでもくれていた。

 隣接した市町村は諦めて積極的に受け入れやがったので、何発かBB弾を撃ち込んだのだが。

 

「ん~、地脈を整えられる位に熟達した人が仕事を受けてくれると助かるんだけどな……」

 

 勿論、そんな人材は引っ張りだこだから、キノを優先して助ける理由は思いつかない。

「マッカで報酬が用意出来るのは強みかもだけどね」

 トコトコ歩きながら考える。

「暇つぶしで準ガイア銃はある程度、量産出来たけど……」

 これを報酬にしても良いけど欲しがる人が居るかは疑問だ。

 

 9㎜パラベラム弾を使用する拳銃H&K P8、5.56㎜NATO弾のアサルトライフルH&K G36がそれぞれ300丁程の戦利品として存在する。

 無駄にするのも勿体ないし、出来れば有効に使いたい。取り合えず待機中の暇つぶしで霊力を定着させた準ガイア銃の材料にしているが、消費しきれそうもない。

 実銃愛好部のH&Kファンな部員に超格安で譲り渡したが焼石に水、マダマダ余っている。

「田舎ニキみたいに現地人を支援している人になら需要はあるかな~?」

 

 ともかく、一人で悩んでいても意味が無い。

 

「事務でちひろネキに相談しないと……依頼を出すにも手続きは必要だしね」

 

 そんなキノが事務室に入るとガイア連合でも有名な珍獣達が居た。

 

 

 今日も今日とて馬鹿話

 

「と言う訳で今日の議題だ!」

 受付待ちの暇つぶしだろうか? どうせ深い意味は無いから考えるだけ無駄かな?

 

「何がと言う訳ですか! 何時も唐突すぎるんですよ!」

 ヨロイニキの言葉にクロマニキと呼ばれる馬鹿が反応する。

 

「まあマテ、コイツに真っ当な前振りを望む方が間違いだ。違うか?」

「ふむ、サスケニキの言う通りですか……」

 

「「で議題って何よ?」」

 

「こないだ合法ロリ同盟の三人に銀河の果てまで吹っ飛ばされるエフェクト付きで殴られただろ? まあ、あの反応から察する事はあったと言う事で収穫もゼロじゃない。だけど合法ロリ同盟はあの三人だけじゃねぇんだ。後は分かるだろ?」 

 

 合法ロリ同盟なんて言うのは、見た目が幼い娘を纏めて好き勝手に呼んでるってだけの話だからね。

 盟主って呼ばれてるのが最年長の破魔ネキってだけでメンバーは固定じゃない。そもそも幼女ネキとか黒死ネキって正真正銘のロリじゃ無いのかな?

 

「そう! キノネキはパイパンなのかどうかだ!!」

 

 おい、ヨロイニキ。なんだ無駄に効果音までついてそうな力説は!?

 

「なるほど、キノネキは一応150cmを超える身長と小柄ながらバランスのとれたプロポーションを御持ちです。人に依ってはロリに数えない人も居るでしょうしね」

「いやいや、あの身長は12歳、小学生6年生の平均身長だ。つまりロリ!」

「お胸は少々小振りか? 俺としては尻が魅力的だから問題ない! 問題は御毛々だ!!」

 

 おい、何が言いたいんだ!

 

「やはり年齢相応に生えてらっしゃるのでは?」

「でも年上の破魔ネキはパイパンだぞ? いや、反応からして多分だけど」

「いやいや、アレはスキルの影響かも知れないぜ?」

 お前ら、此処は事務室だぞ? 少しは人目を気にしろよ……

 

「ふむ、合法ロリの場合、見た目の影響の方が大きいのか? それとも年齢が優先されるのか? これは大いなる謎ですね」

「だろ? 俺としてはホンノリ生えてる説を推すね!」

「しかし見た目通りの可能性も捨てがたい……」

 男子、しかも高校生くらいの年齢ならY談で盛り上がるのもわかるけどさ……少しは懲りたら? 女性が冷たい目で見てるよ? それでモテたいって無理があるでしょ……

 

「見た目通りなら小学6年生は御毛々が生えてても可笑しくない。モジャも無毛もあり得る年齢だぞ」

「シュレーディンガーの御毛々……観測しない限りは確定しないって事ですか」

「ふーん、つまりは確認できない限りは各々理想の御毛々で妄想できるって訳だ!」

 

「今回は平和に終わりそうで何よりですね。とは言え、我々としての統一見解は決めておくべきでは?」

 

 おい、マダこの話題続くのか? 流石に恥ずかしくなって来たんだけど? それにお前らに見せる気は無いんだし関係無いだろうに。

 

 

 三馬鹿ラスは馬鹿らしい事で殴り合う生き物である

 

 こいつら学習能力は無いんだろうか? こないだのヤラカシそのままの流れで殴り合いを始めたぞ?

 

 

「他がつるつるの中、自分だけ生えてるのを気にするロリの良さと健気さがマダ分からぬと言うか、こぉのバカチンがぁ!」

 

 

 

「毛なんざぁ、いつかは生えてくんだよ! だからこそ限られた無い時期の良さが引き立つんだろうが! 少女と大人の女性の間にある貴重な時間、変化を楽しめよ、この田ゴ作がァー!」

 

 

 

「無毛はロリだけの特権ではない、大人の女性だからこそ滾るものがある。大人の女性が無毛を恥じらう姿にこそ萌えがある! どうしてソレが分からないんですか、死んでしまえ!」

 

 

 

 途中から本来の議題だったキノの事は頭から消え去り、互いの癖を叫びながら殴り合う。

 

 激しく罵倒しつつシバキ合う何時ものやり取りだが、場所が事務室なので普段家で行う程度の泥臭いディスカッション。

 

「キノネキのシキガミちゃんが無毛でキノネキがモジャ! この対比が萌えを生み出すと何故わからん!!」

 

 

「馬鹿がよ! キノネキは成長するがシキガミちゃんはそのまま! 無毛を気にするキノネキ~シキガミちゃんに遠慮しがらも細やかに生えて来た事を喜ぶキノネキまで楽しんだ方がお得だろうが!!」

 

 

「五月蠅いですね! お互い無毛なのを慰め合うシキガミちゃんとの絆の尊さが分からないなんて死ねば良いんです!!」

 

 

 おい、お前らボクのみならずリコの事まで揶揄ったか……

 

 キノが怒りに震えながら、レミントンM31を取り出した。

 俗称ライアットショットガン……込めてあるのは暴徒鎮圧用のゴム弾、正にこういう時に使う銃だ。

 

「言いたい事はそれだけかぁ!!」 

 

 ガチャンとコッキングして初弾をチャンバーに送り込む。

 余りの怒りに空気が震える。殺気はピンポイントで馬鹿どもにしか向けてないから問題は無い、いいね?

 この状況だと手加減は出来ないし、する気も無い。

 威力が固定のライアットガンを使うのはせめてもの情けだ。

 

 自動的にキノが持つ銃強化スキルセットは乗るが、手加減抜きの蹴りよりはマシだと思う。多分、無意識にスキルで蹴るだろうし。

 今のキノのカラテはヒサツ・ワザだ! 必ず殺すっ!! 死んでも道返玉があるし殺しても良いかな? いやいや、確信的に殺すのはダメだ。事故なら仕方ないかも?

 

「「「アイエエエ!? キノネキ!? ブチギレナンデ!? コワイ!」」」

 

「ドーモ、三馬鹿ラスさん。キノネキです」

 アイサツ! キノが礼儀正しくオジギをする。オジギ体勢を解いた瞬間から覚醒者の戦闘、すなわちイクサが始まるのだ!

 

「ドーモ、キノネキさん。三馬鹿ラスです」

 ニンジャとしてアイサツから逃げる訳には行かない。サスケニキが代表してアイサツを返す。サスケニキ個人ではなく三馬鹿ラスとして答える事で残り二人の逃げ道を塞ぐのは彼らとしては当然の選択。

 俺は逃げても二人は逃がさん。コレが三人共通の思考だった。

 

 

「表に出ようか? 久しぶりに……キレちまったよ……」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ショットガンを片手に威圧するキノの目は笑っていない。

 恥ずかしい思いをした事とリコを揶揄われた怒りに頬が紅潮している。

 

「ハイクを詠め、介錯してやる!」

 

 当事者で無ければカワイイと思えただろうが、三馬鹿ラスは当事者である。キノが向ける殺気に足が震える。

 

 だが、素直に諦め裁きを受ける様なら三馬鹿ラスとは呼ばれていない!

 

「Wasshoi!」

 決断的カラテ・シャウトと共にサスケニキは跳躍!

 速特化の覚醒者としての動きで天井目掛けて飛び上がり、キノを二方向から攻撃せんと試みる。

 

「無駄」

 無常な宣言と共にヘッドショット!

 

「アバーッ!」

 顔面にゴム弾を喰らったサスケニキの意識は爆発四散。

「オタッシャデー!」

 最期の力を振り絞り、残り二人へのエールを残した。

 

「イヤーッ!」

 ヨロイニキのカラテ・シャウトが響き渡る。しかし、ヨロイニキは高度なカラテは使えない。よって、その攻撃は単純なタックルだった。ウカツ!

 

「遅い」

 一言で斬って落とされる。コメカミへのヘッドショット! ワザマエ!

 

「グワーッ!」

 憐れヨロイニキの意識も沈んだ。ナムサン!

 

 クロマニキは迷ってしまう、自分より身体能力に優れた二人が瞬殺されている。

 知性派*1である自分では勝ち目がない。しかし事務室で魔法を使う訳にも……

 だが自分がこの強者から逃れる事が出来れば、実にキンボシ・オオキイ!

 先に沈んだ二人にマウントを取れる事間違い無しである。

 

 ジリー・プアー、悩む暇があるならクロマニキは一目散に逃亡するベキだった。

「焦るな私……ヘイキンテキを保つのです」

 隙を見逃すまいとするクロマニキ、だがソレはデスノボリ! クロマニキ程度が付ける隙などキノには無い。

 

 ショッギョ・ムッジョ! クロマニキは何も出来ずにヘッドショットで地に沈む。

 

 こうして三馬鹿ラスは気絶した。ここまでされる謂れは無い! とは言えないだろうし言わせない。

 

「フートンに包まれてあれ」

 屠殺場に送られる家畜を見る目でキノは三馬鹿ラスを見送った。完全な無表情である、コワイ!

 

 一応医務室送りで済ませるようだ。

 

 

 エピローグ

 

 三馬鹿ラスが血涙を流している。

 先日の騒ぎのお詫びに北神奈川支部で黒札マタギな依頼に奔走される事、数日。

 

 疲れ果てた三人が見る事になったのがキノの周りの華やかさだ。

 

 

 キノの周りは美女、美少女に溢れている。

 

 キノを主人と認め従う金髪美少女なシキガミ、元は人間でキノに救われた為、その姉までもがキノを慕う。

 

 キノを義姉と慕い、甘えまくる茶髪と黒髪の美少女が二人。

 

 さらにはキノを主人と慕う、小柄で可愛らしい黒髪のメイドさんが18名。彼女達もシキガミらしい。

 

 ついでにキノを妹呼びする不審者、義姉を名乗る黒札トゥルーデネキ。

 

 普通に友人なフォトネキは癒しだが、自分のシキガミ天使とカップルだろう。黒札とシキガミが結ばれるのはガイアでは常識、当然、当たり前……それはそれとしてムカつくし嫉妬もするのだが。

 

 現地人だがキノの従妹もおねショタを堪能しているし、ヨナ君は嫉妬の対象である。現地人だけど三馬鹿ラス達のみならず、大半の黒札よりも強いから腹いせも出来ない。こいつら嫉妬はしても変な嫌がらせはしないから、人格はマシなんだと思う。

 超絶に鬱陶しいけど。

 

「百合の間に挟まる大罪を犯すつもりは無いけど……流石に多過ぎだろ?」

 サスケニキの言い分はもっともだ。

 

「眼福ではあるんだけどよ、他にも居るんだろ? なんでキノネキは、こんなにモテてるんだろうな?」

 ヨロイニキは己を見つめ直せば良いと思うよ? 因みに、北海道から恩人を手助けしたくて、保護者と共に移住してきたロシアの銀髪美少女な現地人を初めとして、ヨーロッパの魔女達とか移住者でキノを慕う人物は多い。

 勿論、男性も多いんだが、野郎は全自動でカットできる三馬鹿ラスは認識しない。

 

「嫉妬心が抑えられません。しかし百合に挟まるのは大罪! 私は如何すれば!?」

 素直に諦めたら? 覚醒者なんだし、贅沢言わないでシキガミ頼めば良いのに。シキガミと寄り添い共に成長するのもステキな事だよ? そんな正論を聞き入れられるなら、ココ迄童貞を拗らせないだろうけど……

 

 

「「「羨ましい ああ、羨ましい 羨ましい」」」

 

――三バカ心の俳句

 

 

 まるで成長していない……

 

 安西先生が匙を投げる事、間違いなしの安心安定の馬鹿どもであった。

 

*1
自称




マカーブル氏から感想キリバンの記念にリクエストを聞かれたんですよ。
欲しいイラストはありませんかって、素直な私はライフルを持ったキノの絵が欲しいと答えた訳です。
そして速攻届いたイラスト群の中にその絵はありました。
キノがショットガンを持っている様にしか見えない絵です。
その時、私に電流が走ります「天は言っている。三馬鹿ラスを書く事を諦めるなと」
んで出来ちゃったのが、このお話です。

大量に頂いた他のイラストも此処に掲載しておきます。
マカーブル氏に感謝!

【挿絵表示】


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作中で挿絵に使わせて頂きました

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