中学時代はボッチでした
面倒で天然パーマな癖っ毛を短髪にしてた性もあるんでしょうなぁ……
まあ、バイクオタでミリタリーオタ。そんな女子中学生に同好の士が居なくても当然ではありまして……
見た目が怖く、趣味が理解できない。はい、ボッチの出来上がりと言う訳です。
状況が変わったのは高校生の時。
髪を必死で矯正したのもあって、見た目は普通になり、ボッチながらもステルスには成功していたあの頃。
西隅殿が転校してきたのです。
今では親友となりミホ殿と呼んでいるのでありますが……
当時のミホ殿はわたし以上に孤高でした。
逆にカッコよく見えたモノです。
自分の芯をシッカリと持っている娘に見えました。
勘違いだったのですけどね。
わたし達、普通の女子高校生とは違った次元で悩み苦しんでいただけでした。
唯一無二の理解者で親友は亡くなり、家族が最大の敵となる。
我が身に置き換えて考えると、自分には耐えられるとは思えません。
当時のミホ殿は既に覚醒しており、普通の人間以上の戦闘力を保持しておりました。
虐待してくる祖母を返り討ちにして、有り余る戦闘能力。
一応、どんなロクデナシでも殺せば司法のお世話になるのが表の世界。
あのロクデナシの為に人生を棒に振る気は無かったそうです。
ついでに、あのクズに殺す程の価値は無いとも……
まあ、わたしとしては、それでミホ殿と知り合えたのですから問題はありませんな。
ミホ殿は亡くなった〝そう偽装していた訳ですが〟キノさんの影響でバイクを好んでおり、我が家であるバイク店に足を運んで頂いたのが知り合う切っ掛けですな。
話に聞いていたキノさんは銃が好きで私有地でバイクに乗り、免許も取る気マンマンでミリタリーに詳しい。
なにそれ、友人に欲しい! ってな感じの人でありました。
実際に会ってみると、想像以上に楽しく、強い人だったのでありますが……
異能者と言うだけで規格外ではありますが……とびっきりの規格外。
拳銃一丁で、どんな悪魔も滅ぼせる強者。
そんな人間をどう評価すればよいのやら。
苦笑しか出来ませんなぁ~。
ミホ殿との高校生活
そんな訳でミホ殿が転校してきて脱ボッチと相成りました。
実に充実した日々でありました。
そしてあの日。
ミホ殿とキノさんは再び親友となる定めだったのでしょうか?
いえ、人間の選択の結果です。
定めだの運命だのと言う言葉で片付けるのは陳腐でしょうな。
キノさんが祖父母の柿を沢山食べて、お土産にまで求めてくれたのは嬉しい事でした。
なにしろ山梨はフルーツ王国。
柿だって美味しい柿が其処らに転がっている環境です。
祖父母の柿は山梨産に劣らない、知り合いに食べ比べさせたいって言ってくれたそうです。
売上も嬉しかったのでしょうが、それ以上に誇らしげに祖母が喜んでいました。
当時のキノさんはミホ殿を霊的に見守りはしても、祖父母の柿を食べたのは偶然でしかありません。
なので、あれは忖度無しの本音でしょう。
わたしとしても我が事の様に嬉しかったんですよ?
食没なるスキルを身に着けていると知るまでは〝食べ過ぎてお腹を壊さないか?〟なんて心配しましたなぁ~。
証拠もありますよ? キノさんが掛け値なしに祖父母の柿を気に入っていたという、これ以上ない根拠があるのです。
つい先日の事ですが、祖父母の果樹園を助けるために〝壺中天〟なる術を使って頂いたのです。
キノさんは手配して術者に依頼しただけと言われるますがね? 祖父母を助けるついでに果樹園丸ごとを異界へ避難させるって、スケールが違い過ぎてビックリです。
わたしの両親も終末後はバイク屋は無理だろうから、果樹園を手伝えば良いと。
終末後は甘味が貴重になるし、お金に換えられるとも……もっとも日本円の価値は暴落するだろうから、マッカかガイアポイントと交換する様にって。
至れり尽くせり過ぎて、両親はポカンとしてました。
対価を要求するでもなく、『友人の家族を助けただけだよ? あっ、今度は柿以外も食べて見たいな!』って、それだけです。
全く、人たらしが過ぎますな~♪
わたしまでもが堕とされるとは……これでアンコウチームは全員撃破です。
おっと、思い出話の途中でしたな。
その後我々は、ペ天使に、今は穢教鳥と呼ぶのでしたか?
アレに狙われ、キノさんに助けられて。
二つの道を示されたのです。
全てを忘れて平和に生きるか。それとも悪魔と戦うか。
結局、我々は悪魔に対抗する道を選び、大洗の浅間神社に所属する事になります。
高校生の時はバイト巫女さん。
それだけなら、それほど珍しい存在でも無かったと思うのですが……
高校を卒業して、本格的に神職に為ると教師やクラスメイトが驚いていましたっけ。
クラスの男子が妄想する世界とは程遠い、血生臭い世界なのですがね。
教官に扱かれ、軍人顔負けの訓練の果てに、命がけで戦うお仕事。
おそらく元クラスメイトは信じないでしょう。
まあ、そもそも知る機会など無い方がよろしい。
我々には才能がソレナリには有りました。
比較対象が、あの日のキノさんですからな。
多少の才能など誤差に思えたのですが……
本職の先輩ですら才能では我々に劣る。
そう知ってしまえば、より一層の努力をせざるを得ません。
勿論、経験を踏まえて考えれば、頼れる先輩でありますよ?
術者の力量は霊力の多寡だけでは測れない。知識がモノを言う世界ですしね。
けれど、けれども、純粋な戦闘能力では我々は頼られる側なのです。
安易に助けを求める事が許されるとは思えなかった。
霊能の世界は努力だけでは埋められない、才能が無ければ戦えない世界でした。
才能があり、狙われた経験を持つ我々が最期に頼れるのは自分と仲間だけ……そう思えば努力をさぼる気には成れませんよね?
まあ、頼ってしまったのですが……
キノさんは頼りに成り過ぎるのでありますよ。
神社での日々
いやホント、装備を始め、訓練してくれた教官までもがキノさんの手配ですからな。
消費アイテムも必要十分以上に与えてくれましたし。
一応、ミホ殿宛とは言え〝仲間内の分配〟には口を出さないと明言。
我々のみならず、神社の後輩達もあのアイテムには救われました。
先輩からは苦言も頂いたのでありますが……
あれ程の強力なアイテムを潤沢に使えるのは普通では無いのだと。
確かにミホ殿に甘いキノさんだからこその支援。
あれを当たり前と思っては成りませんな。
順調に実力を伸ばし、教官に認められた時にわたしと
暫らくは雑魚共をシバク日々が続き、神社が襲われる事件が起こります。
それを予見したかの様に与えられた装備〝デモニカ〟魔砲少女型と呼ばれるアイテムを与えられて、我々は更に強くなった。
我々がオカルト世界に踏み込む切っ掛けとなった穢教鳥とも単独で渡り合える自信があります。
上には上が居るのがこの世界なのですが……
ガンナーとしては世界最高峰では無いか? そう思えるキノさんですら敵わないと思わせる異能者がガイア連合には大勢いるんだそうで?
そんな人間がどれだけ居ても世界を救うには足りない。
世界どころか日本を救うのにも大層苦労しているのが現状との事。
大勢とは言っても精々三桁、そりゃあ足りませんよね。
キノさんだって神奈川県の半分にも満たない面積を治めるのに四苦八苦。
友人が手伝ってくれても手が足りない、何度も愚痴を零していたとか……
いくら巨大とは言え、一民間企業に日本の命運が託されている現状がオカシイとも言えますなぁ~。
わたしの様な一介の巫女さんには、理解できないレベルのお話なのですよ。
そして現在
DDSを見れば、東京壊滅までのカウントダウンが始まっております。
ミホ殿が悩む訳ですな。
ミホ殿の実家は八王子市。遠からず壊滅すると知らされた訳です。
勿論ミホ殿と御実家の確執は存じておりますよ?
しかし、人間簡単に割り切れるなら苦労はありません。
隣で見ていてもミホ殿の葛藤が手に取る様にわかります。
マダ許せない、しかし死んで欲しくは無い……
さて親友の端くれとして背中を押さねば。
ミホ殿はもっと我儘になって良いのです。
わたしはミホ殿に助けられた、恩は返さねば!
我々はチームです。
一人一人の力では勝てない敵も多いでしょうが、チームでならば話は別です。
大悪魔と呼ばれる存在だって三人でなら調伏出来ます。
それだけの訓練と実戦を熟した自信があるのです!
限度はありますが……キノさんを始めとする修羅勢は大悪魔よりも怖いし強いのですよ……
敵対しなければ良いのですから、考えない様にしましょうか。
はてさて、いかにしてマホさん達を、ミホ殿の御両親を助け出すか。
思案の為所ですな?
実はキノさんからミホ殿とは別にアイテムを渡されてるのでありますよ。
ミホ殿に渡された本命以外にも保険は必要でしょうしなぁ。
『今のミホは冷静になり切れていない、視野が狭いと思うからフォローしてあげて』
とのメッセージ付きです。
ムクムクやる気が漲ります。
まあ、現地に行って見ないとわからない事も多い。
北神奈川支部で情報収集から始めるのが良さそうではありますが、時間に余裕は無さそうです。
高度な柔軟性を保ちつつ臨機応変にやりますか! 所詮、行き当たりバッタリと言うヤツですがね。