【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅   作:山親父

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掲示板回の後半部分


終末は来たれり-東京壊滅まで後2日-

 総力戦

 

「相模総合補給廠からメシアン一個中隊200名規模の進軍を確認。指揮官はソロネ(レベル70)、ドミニオン(レベル50)、アークエンジェルやエンジェルが多数随伴!」

 オペレーターが悲鳴を上げる。

 

「大規模侵攻としては最後かな? もう一波乱ありそうだが……」

 出し惜しみは出来ないな。

 避難民に被害が出るのは避けなければ。

 

「リコちゃん、後は任せる」

 お嬢が信頼する補佐役。お嬢のシキガミ、リコちゃんに指揮権を渡す。

 そして、此処からが俺の本領。鉄火場だ!

「ハーク隊、俺に続け! セブン出撃する!」

 俺には前線指揮の方が性に合ってる。

 所詮は荒くれ者だ。

 

「さあ、俺達の故郷を荒らそうという馬鹿どもに引導を渡すぞ!」

 たかが高位の穢教鳥数匹と雑魚が群れた所で無意味だと思い知らせてやる。

 

 

 敵は軽装甲車〝LAV-25〟を先頭に押し立てて闇雲に攻め寄て来た。

 戦術どころか簡単な駆け引きすらしないのか?

 

 俺達を舐めるな!

 

 ハーク隊がジャンプ、上空から〝スナイパーグレネードランチャー〟を撃ち放つ。

 攻撃するハークは4機、たった二回のジャンプで全ての軽装甲車が撃破される。

 着地したハークは手持ち式に改造した〝ブローニングM2〟に武器を持ち換え敵兵に発砲。

 幸い敵の大半はレプリカ兵、数少ない普通の人間も狂信者だ。

 遠慮はいらねぇ、ぶち込みな!

 

 ドタタタタタタタタタタタン!×4

 

 連続した射撃音、どんな防具を付けた所で人間が耐えられる威力じゃない。

 例外もいる。主にガイア連合にだが。

 

「貴様の相手は俺だ」

 ソロネには上空を通過されたがドミニオンは逃さない。

 奴も逃げる気は無いんだろうな。

 なんせ格上だ。

 

 レベルだけの話だがな!

 

邪悪なる異教徒よ、頭を垂れ跪くなら助かる道もありますよ

 嫌らしく笑う。

 

 一々反応してられるか。

 

 この程度の低能に下げる程、俺の頭は安くない!

 

「死ねっ!」

 お嬢から貰った同田貫。写しだが並みの霊刀とは訳が違う!

 刀身から炎が迸り、斬撃が飛ぶ。【魔法飛斬】と名付けられた得意技だ。

 【アギ】系なのは俺が使える魔法だからだ。別に他の魔法で出来ない訳じゃ無い。今回も一ひねりしてあるしな。

 

私に炎は弱点とはなりませんよ?

 嘲る穢教鳥(ドミニオン)。誰が只の炎だと言った?

 そうやって人間を舐めてるから痛い目に遭うんだよ。

 

ぎゃぁあ!

 呪いの炎、セブンスーツと優れた霊刀の御陰で可能な技だ。他にも浄化の炎も使えるがコイツには関係ないな。

 この同田貫には纏った魔法を合成する能力と【ハマ】と【ムド】を強化する能力がある。*1

 今回は俺自身が使用した【アギラオ】と左手に握った【ムドオンストーン】の効力を合成した。

 只の【ムドストーン】でも同田貫を通して使えば、高位の穢教鳥(ドミニオン)にも効くんだ。【ムドオンストーン】なら余計に効いただろうよ。

 

 問答無用で追撃、先制の斬撃で翼を傷めたコイツが躱せる筈が無い。

 その筈だったんだがな……

 

 周囲の人間が気絶し、ヤツの翼が再生していた。

 

良くもやってくれましたね! 貴方はジワジワと嬲り殺しにしてあげましょう

 

 信者(いけにえ)頼りで再生した癖に、何で偉そうなんだか? 俺の追撃が怖いのか上空から魔法を撃ち下ろそうとしている穢教鳥(ドミニオン)

 無駄に隙を晒している。

 馬鹿がっ!

 

 ズドム! ズドム!

 

 二発の鈍い射撃音。

 穢教鳥(ドミニオン)が呪いがタップリ混ざった爆炎に焼かれる。

 

うぎゃぁあ!!

 悲鳴を上げ、地面に落ちて転がり回る。

 

「人間を舐めるからこうなる」

 【ムドオンストーン】の効力を纏わせた刀身を突き刺す。

 格上と判っているなら力を発揮させなければ良いんだ、相手の行動を封じて確殺する。

 それが戦術ってモンだろう?

 

 だから色々、罠を準備してたんだよ。

 

 ハークに支援させる気で先の四人とは別に、二人を潜ませて居たのさ。

 コイツも、油断せず真面に戦えば強敵だった筈だ。

 こんなのと独りで戦えるなんて自惚れちゃいない。

 

「スマンな、助かった」

 ハーク乗り二人に感謝する。

 

「気にせんでください。アレは仕方ありませんや」

 

「ですな、敵は馬鹿だが力は本物ですからね」

 

 まさか、無防備に【ムドオン弾】を喰らうなんてな……予想の斜め下だった。

 伏兵とは言え、上空から見下ろしていたんだぜ? チョット注意深く観察すりゃあ、ハークが潜んでいる事くらいわかるだろうに……

 自分が負けるハズが無いとでも思ったのか? 慢心は怖いな。

 俺も気を付けるとしよう。

 あんな無様な死に方はごめんだ。

 

「親父! 無事だな!」

 TAROSUITが飛んできた。

「輝太郎か、八王子はもう駄目か……」

 コイツが此処に居るんだ、そういう事だろうな。

「残念だがな……格上、レベル50以上が群れで来たんじゃ手に負えねぇ」

 そうか……

「部下にも家族が居るんだ、無茶して死なせる訳には行かねぇ」

「それで良い」

 悔しそうな息子にそう声を掛ける。

「何もせずに逃げ帰ったって訳じゃ無いんだろ?」

 自慢の息子だ、無様に逃げ出すだけって事はありえない。

 

「一応、持ち込んだガイア製自販機で現地のビルに結界を作って置いた。水や保存食も置いて来たから避難所代わりにはなるだろ」

 なるほど、なら後は、避難民それぞれの運次第だな。

 出来る限りの事はしたんだ、そう思うしかない。

 無理なモノは無理なんだ……

 

「良し、見た所、応急処置は済ませたって所か?」

 

「見ただけでわかるのか? 会社に井出さんの部下が来ていて、簡単にだが修理は済ませた」

 

 そりゃあ、わかるさ。息子が被害なしで引くなんて考えられん、ならダメージの許容範囲ギリギリまで粘って帰還。修理が出来たって事だろうさ。

 見た所とは言ったが、お前の性格からの推測だよ。わざわざ言わんがな。

 

 

「良し、ならば次だ、〝エンジェル〟も〝アークエンジェル〟も雑魚だが数が多い。お前も手伝え」

「おう!」

 ソロネはウィッチ隊に任せるしか無い。

 先ずはこの戦場を片付ける。

 ウルトラマン親子直々の掃討戦だ、光栄に思って滅びていけ!

 

 

 トゥルーデネキは黒札なんです  

 

「リコさん、ウィッチ隊は大丈夫でしょうか?」

 一介のオペレーターでは味方の強さも敵の脅威も推し量れない。

 ただレベルと言う数値を把握しているだけ。

 レベルだけの話だけれど敵の〝ソロネ〟は〝トゥルーデネキ〟より格上だった。

 

「大丈夫ですよ。あんなのに遅れを取るトゥルーデネキではありません」

 そうだ、ウィッチ隊は部下達も優秀だがトゥルーデネキは別格なのだ。

 

「マスター、キノ様には劣るとしてもトゥルーデネキも上位の黒札。修羅勢の一人なんですよ」

 

 彼女は下層で戦う強者。あのソロネより若干だがレベルは低い……それがどうした? その程度で負ける人間が修羅勢等と呼ばれるモノか!

 

 才能あふれる黒札とは言え、痛みに耐え、死を乗り越え、中層を超えられる人間は限られる。

 マスターが更に格上の深層到達者だから目立たない。

 だがトゥルーデネキとて下層を狩場にする修羅の一員。

 

「あの程度の力に奢った化け物に遅れを取るような人間を修羅勢とは呼びません」

 

 断言できる。

 ほら、あっけなく終わった。

 レベルで勝るとしても、ソロネは格上と戦った経験はないだろう。

 トゥルーデネキは違う、定期的に格上の上位修羅勢との模擬戦を経験している。 

 

 速度、魔力、何よりも空間把握能力に劣るソロネが、トゥルーデネキに勝てるものか!

 

 上空から地上の敵を攻撃する楽な戦いに慣れ切ったソロネ。

 アレが自分より速く、上下左右から自在に攻撃してくるトゥルーデネキに勝てる道理が無い。

 

 自信過剰なソロネは衝撃を纏った銃弾に穴だらけにされて消えた。

 

 これで、目に見える脅威は消える。

 終わり? メシアンが諦めるとは思え得ない。

 杞憂で終われば良かったのに……

 私達は嫌な光景を見せつけられる事になる。

 

 

 格上? 3レベルの差なんて誤差だろう?

 

「ハイディ!*2 スカイガールズ隊を任せる! 雑魚は頼む!」

「了解、トゥルーデは?」

「勿論、ボスを叩く!」

 私は好戦的な笑みを浮かべている筈だ。

 

 以前、故郷を護ろうとして破れた時。

 あの時の私は一人だった。

 共に戦おうとした人間が居なかった訳じゃ無い。

 だが戦力として数えられる人間は既に死に、敗残兵とすら言えない集団と子供達。

 殿を務めようとして、戦い破れ、目の前で友人や妹を殺された、あの日。

 

 新しい故郷を共に護らんとする、頼れる戦友は数知れず。

 共に空を行く相棒とカワイイ部下達も居る。

 

 更にはリコちゃんやフォトネキが後ろに控えているんだ。

 安心感が違う。

 一人で頑張らなくてはと無理をしていた、あの悪夢の日とは全然違う。

 

 自分の戦いに集中できる。

 私がフォローしなくても部下達は勝利出来ると確信できる。

 

 私がソロネを倒せば終わる。

 それだけで良いんだ。

 楽なもんじゃ無いか!

 

一人で私の相手をすると? 自信過剰が過ぎますね。お仕置きしてあげましょう

 

「ふん、自信過剰はどちらかな?」

 その余裕が何時まで持つのか試してやろう。

 

生意気な!

 

 沸点が低いな、この程度のあおりで単純な。

 

死んで後悔しなさい!

 

 【アギバリオン】を放って来る。

 思わず笑ってしまう。

 こんな温い炎で見習いとは言え修羅勢が焼けるとでも? ショタおじ程とは言わないが【火炎無効】を貫通できる様になってから出直して来い!

 

 反撃の銃弾。ガイア銃〝ラインメタルMG3〟私と共に下層のMAGに晒され、悪魔を共に滅ぼしてきた愛銃。

 つい先日〝付喪神〟となってキノちゃんがスキルを付与してくれた。

 【銃貫通】【銃プレロマ】【銃ギガプレロマ】銃の威力を単純に強めるだけのスキル群。

 結局、基本を突き詰めるのが一番強い! 少なくとも、私には小細工をする頭脳なんか無いんだからな。

 そう思いつつ、【ザン】を纏わせる。

 攻撃力を増やすのが目的じゃないんだが。

 

ちぃ

 【テトラカーン】を使うか、予想通りだ。

 この支部の実力を知って尚、単体で勝てる自信があるんだものな? 銃を防ぐスキルくらいは持ってると思ったよ。

 だから貴様は負けるんだ。

 

ぎやぁああああ!!

 【テトラカーン】は物理攻撃を反射するスキルだ。なら、物理のみならず魔法攻撃でもあるならどうなるのか?

 私達レベルなら権能に至っているかどうか、どちらの権能が強いかだ。結局は意志の押し付け合いになる。

 

 私の意思が貴様如き甘ったれに負けるものか!

 

 私の【ザン】を纏った銃弾が、只のスキルで防げるものか! 私の意思がスキル如きに阻めるものか!

 

 多少レベルが上でも漫然とスキルを使うだけの相手に修羅が負ける道理はない。

 

 穢教鳥(ソロネ)の周囲を回り込みつつのフルオート射撃。

 弾を撃ち尽くしドラムマガジンを交換した時には穢教鳥(ソロネ)は消えていた。

 

「口ほどにもない」

 私は残敵の掃討に移ろうとして……遠くの機影に気付いた。

 

 

「アレは輸送ヘリ〝チヌーク〟か?」

 随分、無防備に飛んでいる。あれなら簡単に撃墜できるか?

 そう思ったんだが……

 

 ハークの射撃が跳ね返された。

 

 アレにも【テトラカーン】が使える存在が? それともアイテムか?

 連続で跳ね返し続けるなんて……普通はMPが足りるハズがないんだが? 否、メシアンのやる事だぞ、マトモとは言えない手段でMPを確保しても可笑しくないのか。

 

 後部ハッチが開く……見えたのは軍服の男と小さな人影。 

 

 子供? ……まさか!

 

「生贄か!」

 味方が茫然と見つめる中、次々に子供が殺されて行く。

 喉を斬られ、血を流しながら突き落とされる。

 円を描くようにヘリは飛び、次々に子供が殺されていく。

 

 私では距離もあるし、穢教鳥が邪魔だ。

 味方はそれぞれ戦っている。雑魚相手とはいえ無視は出来ない。

 視認する余裕はあるのがやるせない。

 

 結局、間に合わなかった。

 

 無邪気だったであろう子供と首謀者を生贄に強大な悪魔が出現するのを、ただ見ていた。

 

 

 北神奈川の空の護り  

 

「セラフですか……」

 

 強力ではある。 

 

 一つの個体としては、この場で最強の存在だろう。

 マスターなら一発だけど。

 

 でも、マスターに頼り切りはダメだ。

 北神奈川支部の自立がマスターの望み。

 そして、最後を任せられたのはマスター最愛のシキガミたる私、リコなのだ。あっエミール先輩はマスター最高の相棒なので怒らないでくださいね?

 

 ああっ、正実シスターズからクレームが! ごめんなさい調子に乗りました。テレパシーで繋がってた事を忘れてた。

 

 ううっ、今度フリッテッレ*3御馳走するので許してください。

 

 ととっ、シリアスに戻らなきゃ。

 

 取り合えず動揺している皆さんを安心させないと……

 私は作戦指揮所を変更し移動している。

 

「チョコさん、ステルス解除。ついで武装展開! あの穢教鳥(セラフ)に身の程を教育してあげましょう」

 付喪神式自動人形のチョコさん、この飛行島の総舵手にしてオペレータに指示する。

 

「Aye aye ma'am♪」

 

 術を解き、姿を現す。空を飛ぶ島。

 

 多数の砲門で武装した鋼の要塞。

 

 幾多の付喪神が護る、マスターの仙境。

 

「これこそが飛行島! キノ様の奥の手、北神奈川の空の護りです!!」

 

 スピーカーで、配信で、掲示板で、ありとあらゆる手段で宣言する。

 

 「飛行島と私が居る以上、貴様らに勝利は無いと知れ。穢教鳥(セラフ)!」

*1
柄からのみの一方通行で【ハマ】と【ムド】限定の【オートマカカジャ】が働く

*2
ハイデマリーの愛称。トゥルーデネキの相棒、ハイデマリー・ヴァルプルガ・シュナーベル女史の事

*3
イタリア伝統のドーナツのような揚げ菓子




後、チョットで終わる
次の話を書き終えたら、頭空っぽにしてお馬鹿な話を書くんだ……
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