【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅   作:山親父

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BGMに〝secret base ~君がくれたもの~〟を聞きながら書いてました
不備があるだろうけど、修正は諦めたので投稿


アイヌ巫女ちゃんの日常

 わたしは運が良い

 

「多分、だけど……」

 いや、運が悪いから攫われたのかも? でも、あのまま孤児院に居たら、終末で死んでた気もするし……

「うん、わたしは運が良いんだよ」

 そう思う事にする。

 人生後ろ向きだと幸運に見放されるって話もあるんだよ!?

 

 あれは、マダ子供だった頃。今でも小学生だから子供だけど、もーっと小っちゃかった頃のお話。

 

 怖くて、寒くて、すごーく大きな存在に心が潰されそうな時、颯爽と現れたお姉ちゃんに助けられた女の子のお話。

 

 わたしの心の一番奥に大事に仕舞ってる、思い出。

 

 運良く助けられた、わたしは今の両親に引き取られた。

 ママがロシア人とのハーフでパパが日本人で、子供に恵まれなかった二人がわたしを優しく迎え入れてくれて……

 

 やっぱり、わたしは幸運なんだよ!

 

 わたしは旧名〝アリョーナ・ショスタコフスカヤ〟、現在の名前を〝本間 明子(めいこ)〟と申します。

 HNは〝アイヌ巫女〟、樺太アイヌ? それともサハリンアイヌが正しいの? まあ、そーゆー血を引くシャーマンなサマナーなのです。

 

 アリョーナってロシア語の名前には〝明るい〟とか〝光〟って意味があってね? メシア教過激派に攫われた過去を持つ、わたしは新しい名前と戸籍を貰って、ロシア人クォーターの日本人として暮らしているのです。

 

 わたしを引き取って暫らくしてから、パパの転勤が決まったんですよね。

 タダの偶然だと思うんだけど……でも、カス子お姉ちゃんなら、簡単に手配できるだろうし、ちょっと疑ってます。

 カス子お姉ちゃんも、優しい人だし*1、わたしが恩返しをしたいって知ってたし……

 

 まあ、良いや。わかんない事は気にしてもしょーがないんだもん!

 

 あっ、パパは海老名市の牛乳の会社にお勤めです。もうでした、なのかも……

 お仕事の内容は変わってないんだけどな。

 

 終末に備えて、神奈川県産の牛乳を増やしていたそうで、規模は縮小しないとだけどミルクもチーズもヨーグルトだって作ってるんだって。

 特に粉ミルクは重要だって、逆にチーズやヨーグルトの生産は少なくなっちゃった。

 チーズ、好きなんだけどな……あとアイスクリームも、わたし的には重要なんです!

 だから頑張って強くなって何時でもアイスを食べられるだけのお金を稼ぐのです!

 

 わたしが強くなって働ければ、キノお姉ちゃんへの恩返しも、お父さんやお母さんと美味しい物をイッパイ食べる事もできるナイスなアイディアなのですねー!

 

 その為にも勉強なんです。

 

 普通の勉強もしなくちゃだけど、サマナーとしての勉強も頑張る!

 

 黒札のフォトネキ先生に色々と教えて貰うのです。*2

 

 一応、わたしも〝チロンヌプ〟ちゃんや〝コロポックル〟さんを仲魔に持つサマナーなのですよ? アイヌの神様を身に宿した事で霊格がかくちょーされたらしいです? 限界レベルも30を超えてるらしいですし、将来ゆーぼーなのです! えっへん!

 

 現在の所は9才の小学生でレベルもようやく二桁なんですが……

 

 運が悪いと、神様の力に耐えられずにパーンって風船みたいに割れてたって、運が普通でも心が壊れちゃってたっぽい? キノお姉ちゃんに助けて貰えなければ悪魔のゴハンだったんだし……

 

 訂正します。わたしはとっても運が良いんだよ! 今日は、そんなわたしの日常をお話するね。

 

 

 朝はパンの香りで始まる

 

「むにゅ……」

 

 パンの焼ける匂いで目が覚める。

 

「ふわぁ~」

 大きなあくびを一つ。

 目を擦りながら起きてトイレに行く。洗面所で手を洗ってから、顔も洗う。

 冷たいお水が気持ち良い。

 

 台所へ向かって、ママに挨拶。

 

「ママ、おはよー」

「はい、おはよー。パンは出来てるけど、どうする? 焼きたてをそのまま? それともトーストする?」

 

 ホームベーカリーと言う家電の御陰で毎朝焼きたてのパンが食べられる。

「そのまま! ジャムはマダ有ったよね?」

 焼きたてのパンに甘いジャム。目玉焼きと焼いた自家製のソーセージと少々のサラダ。これが我が家の定番の朝食だ。

 

 飲み物はミルクが多いかな? パパのお仕事的にも乳製品は多いと思う。

 

「いただきます」

 食事の前の挨拶? で良いのかな。ちょっと不思議だったけど、理由を聞いたらスッゴク納得できた言葉。

 食材になった命への感謝、食材を用意してくれた人への感謝、そして料理を作ってくれたママへの感謝。

 これを全部一言で言えるってスゴイと思うのです。

 

 ご飯を食べたら、歯磨きをして、お着換え。そしたら出発です。

 今日も〝じんたん〟と学校なのです。

 〝じんたん〟と言うのはわたしのお友達の綽名です。

 〝丹野(たんの) (じん)〟 これが本名ですね。

 

 漢気のあるスゴイ男の子なんですよ。

 さて、今日も自転車で〝じんたん〟を迎えに行こう!

 

 

 終末後でも学校は滅びなかった……

 

 わたしの住む海老名市は東名高速道路のSAでジュネスでもある派出所を結界の要にしている都市型シェルターです。

 まるっと、一つの都市を護り切る結界を作れるガイア連合は凄いと思います。

 そして、海老名市だけではなく、近くの都市も同じくシェルターとして護られています。都市を繋ぐ道路も無事です。道路を護ったのはキノお姉ちゃんの術です。お姉ちゃんも凄いんです!

 

 だから、シェルターの外に行かない限りは、普通の生活が出来ちゃいます。

 結界を破ろうとする悪魔も居るし、危険はあります。

 食べ物の確保だって大変です。

 お水だって、キノお姉ちゃんがダムを必死に護り切るだけの術を施したから困らないだけで、ホントなら水道だって止まっていたかも知れないのです。

 つまりここはとっても恵まれているのです。

 それでも不満を言う人が居ます。

 

 〝げんじつとーひ〟と言うのだそーです。

 

 あの人達は馬鹿なのでしょうか? 働いてお金を稼がないとゴハンは買えないのです。

 子供でも知ってる事なのですよ?

 

 美味しいゴハンを沢山食べたいならお仕事しないとダメなんですよ?

 なんで、文句を言うだけでゴハンが増えると思えるんでしょう?

 その体力をお仕事に使えば、皆も助かるし、あなた達だってゴハンが食べられるんだけど?

 

 やっぱりわかりません!? あの人達の事は大人になってもわからないと思います。

 そう言えば、三馬鹿ラスのお兄ちゃん達が言ってました。〝気にするな、どうせ大したことは言ってない〟って、お馬鹿で楽しい、お兄ちゃん達ですが、あの人達の事は理解できます。

 お兄ちゃん達は芸人さんなのです。

 皆を笑わそうと頑張っているのです。*3

 終末が来て、皆大変だけど、お兄ちゃん達が来ると笑顔になります。

 お友達も、笑ってます。三馬鹿のお兄ちゃん達は人気者です、私達とも遊んでくれます。

 自然に笑いを提供してくれる優しいお兄ちゃん達なのですよ!

 

 三馬鹿のお兄ちゃん達が凄いのは、すべて天然でやってる所です。笑らわれる為に計算でやってる芸人さんとは一味違います。

 でも、お友達の〝じんたん〟が言うには笑われているうちは二流で笑わせてこそ一流なんだって。

 芸の世界は奥深いんだね……わたしだと良くわからないけど、笑顔が増えるのは良い事だと思うのです。

 

 子供は笑顔でいるべきだって心の底から考えているから三馬鹿のお兄ちゃん達は十分にスゴイ芸人さんだと思います!

 

 終末の所為で、普通の学校は無くなりました。

 でも学校は生き残っているのです。

 非覚醒者の子供には終末後の世界で生き残る為の知恵を与え、覚醒者の子供には力の制御とオカルトの知識を与える場所として……

 折角、出来たお友達とも学校が別になっちゃったんだけど、〝じんたん〟だけは覚醒してたので一緒です。

 とっても嬉しいのはお友達と一緒だから……だよね? ちょっと違う気もします。

 お母さんに相談したらニコニコして『明子にも春が来たのかしら』って?

 終末で季節が狂ったけど、春はマダだと思うんですが……大人の言葉は難しいです。それともわたしの日本語の理解が浅いのかな? わかんないです。

 

 まあいいや、今日も〝じんたん〟と一緒に頑張るのです。

 目指せ一流のデビルバスターなのですね♪

 

 だから〝じんたん〟? 『学校なんて滅びれば良いのに……』とか言ってないで、ちゃんと勉強するのです。

 学べるって幸運なのですよ? 学歴でしたっけ? 良い学校を卒業しても意味が無いって言うのは同意するですが……

 悪魔を殴るだけじゃ罠に嵌められちゃいます。知識は武器なのですよ? フォトネキ先生の受け売りですけど。

 

 

 先生達も手探りなのです

 

 わたしはフォトネキ先生が教えてくれる分の勉強もあるので、〝じんたん〟とは内容が違う所もあるからでしょうか?

 〝じんたん〟が言うには、先生達の授業はまどろっこしいんだって。

 うーん、先生とは言っても霊能を教えてくれるのは先輩霊能者さんです。

 子供、それも他所様の子供に教えた事は無いみたいですしねぇ……何所までやれば良いのか手探りで教えているらしいです。

 覚醒者とは言っても子供、それも成長限界もマチマチで、特性も違う子供達を教えるのですよね……

 終末以前は普通の勉強を教える先生になるのにも資格って言うのが必要だったのに、教えるのが霊能と言う、特殊な技術。

 

 とっても難しそうですね?

 

 フォトネキ先生は一対一だからわたしに合わせて教えられるけど、大勢に教えるのは無理って言ってました。

 

 〝じんたん〟も優秀だし、周りの子とペースが合わないのでしょう……

 でも先生が足りないし、基本の制御だけは早急に教えないと、周りも自分もケガをしちゃうんですよね。

 時間が余る子は普通の勉強をすれば良いんですが、〝じんたん〟は普通の勉強が嫌いだからなぁ。

 算数も国語もデビルバスターをするなら必要なんですが……〝じんたん〟にそう言っても『なんでだよ!?』って信じてくれません。困りました。

 ウソでは無いのです。お金の計算が出来ないと騙されやすくなるし、国語だって、依頼の文章をちゃんと読めないと記述トリックと言うので騙されるかもなのです……〝じんたん〟は騙されやすそうだし、わたしが手助けしないとダメかもですねー。

 

 学校のお話でした。

 覚醒者用の小中学校はキノお姉ちゃんが作るって決めた事なのです。

 終末が来た所為で覚醒する人間が増えたんですって。

 それも、常識を身に着けた大人よりも、子供の方が多いっぽい?

 だから最低限の知識と能力制御は絶対に覚えさせないとマズイんだって。

 

 わたしも知ってます。子供の方が残酷なのです。

 悪気無く虐めたりするのは子供が多いのです。大人は悪気を持って虐めます。

 どっちにしても虐められる側には同じですけど……

 わたしは反撃しましたw

 撃って良いのは撃たれる覚悟がある人間だけなのです!

 〝コロポックル〟さんが怒ってたから、怒りを鎮めるためにも、すこし懲らしめておきました。

 グラウンドが急に凍った? 目の錯覚でしょう、脳震盪の所為かもデスネ。

 お大事になのですw

 

 そんな事もあって、ボッチを覚悟してたんですが、〝じんたん〟が『やったなw』って笑いながら声を掛けてくれました。

 レベル6の〝じんたん〟は将来有望な霊能者です。いわゆる霊能名家の希望の星なのですね。

 成長限界もレベル19*4もあるし、霊能の基本はお父さんに教わってる……授業がつまらなくても仕方が無いかも。

 誰か、良い先生に弟子入りした方が良いのでしょうか? キノお姉ちゃんに相談してみようかな?

 

 まあ〝じんたん〟? 先生達も手探りで試行錯誤中なのですから、いっそ手伝うつもりで参加してみてはどうでしょう? 先生方に一目置かれれば、師匠を紹介してもらえるかもですよ?

 

 

 放課後は皆で遊ぶんだよ

 

 今日も仲間が集まったのです。

 ジュネスには、正確にはお店としてのジュネスではなく、デビルバスター用の裏ジュネスなのですが、覚醒者の子供用の待機所があるのです。

 近くには体育館も有って、幼くして覚醒した子供が全力で遊べるようにレベルを制限する結界が張られています。

 同じ覚醒者の保母さんが常駐していて、派出所の職員さんの子供を預かったり、わたしたちみたいな子供が全力で遊べる様に解放してくれてたりするのです。

 

 男の子達が相談しています。

「今日はどうする?」

「運動する気分じゃないな」

「じゃあ、待機所でゲームはどうだ?」

「チビ達もいるし、カードゲームは難しいか?」

「素直にスマブラで良いんじゃね?」

「そだな、そうするか」

 おチビさん達でも出来るゲームが良いよね。

 

 〝じんたん〟にはカードゲームでも良いから戦略や戦術を学んで欲しい気もしますけど……

 

 とは言え、〝じんたん〟は仲間外れを嫌います。優しい人なんですよ♪

 

 あれ? 他にも仲の良い、お友達はいるのに〝じんたん〟は特別な気がします……一番最初のお友達だからだよね? あれ? どうなんだろう……なんか自分でも良くわかりません。

 わかんないなら気にしても仕方がないですし、気にしない事にしましょう。

 

 今日は皆でゲームです。

 ゲーム機には限りがあるし、希望者を集めてボードゲームでもしましょうか。

 なにかやりたいゲームがある子はいますか?

 モノポリーって渋い趣味の子が居ますね? ああ、終末前の故郷を思い出せるからですか……

 わかりました、嫌な事はわすれて楽しくゲームです! 何時でも付き合いますからね?

 

 まったく、メシア教過激派は碌な事をしませんね。穏健派って言うのも怪しいと思うのですが、怪しいってだけで、やっつけるのはダメなんだって。

 ルールを破ったら容赦しないって、キノお姉ちゃんが良い笑顔で言ってました。

 笑ってるのに怖いって事もあるんですね……わたしが悪い訳じゃないのに、寒気がしました。

 キノお姉ちゃんは、とっても強いから普段は抑えてるんだけど、メシア教はお姉ちゃんをスッゴク怒らせているから……

 

 メシア教はズルい気がします。

 自分達は穏健派だから悪い事はしないと言ってる癖に、悪い事をする人が混じっているんです。

 悪い事をした人は過激派だ、穏健派の自分達は悪くない。悪い奴がコッソリ混ざってたんだって……卑怯な言い訳だと思います。

 それが本当だとしても、悪い人を自分達で見つけて罰を与えるべきだと思うのですが……

 

「お姉ちゃん? この物件買いますです」

 

「ああ、ゴメンね?」

 モノポリー中でした。バンカー(銀行係)さんがゲームの進行を邪魔しちゃダメですね。

 考え事は止めてゲームに集中しましょう。

 

 悪い人はキノお姉ちゃんがやっつけてしまうでしょうし、その時が来たらお手伝い出来るように頑張りましょうか。

 今は小さな子達と遊ぶのに全力ですけどね。

 

 時間が来たら、自転車で〝じんたん〟と一緒に帰るのです。

 今日の晩御飯は何かな? なんて考えてる〝じんたん〟を横目に並んで帰るこの時間がわたしは大好きです。

 

「どうした〝めんま〟? ちゃんと前を見ないと危ねーぞ」

「〝じんたん〟ごめんなさーい」

 

 終末が来たけどわたしは元気です!

*1
異論はあると思われる

*2
フォトネキ「私もマダマダ初心者なんですけど……」

*3
彼らはアレで大真面目です。笑わせようとしている訳では無いんですが……

*4
10+1D10のダイスロールの結果




ロシア人少女のイメージで思い浮かべたのが〝めんま〟だったんです
〝じんたん〟と〝めんま〟が幸せな世界が在っても良いよね? そっくりさんなだけで別人だけどw
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