【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅   作:山親父

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ネタが尽きそうだ……徒然なるままに適当に書いてるので仕方ないけどw
プロット? 知らない子ですね


皆で幸せになろうよ

 機動警備隊結成

 

 日本のロボット製造技術の保存の為に生み出され、あらゆる分野に進出した汎用人間型作業機械……レイバー。

 しかしそれは、レイバー犯罪と呼ばれる新たな社会的脅威が発生する可能性が高い事を意味した。

 発生が予想されるレイバー犯罪に、ガイア連合北神奈川支部は各派出所内に特殊車両2課を創設してこれに対処する事にした。

 通称特車2課パトロールレイバー隊…パトレイバーの誕生である。

 

「正直に言います。パトレイバー隊に対悪魔戦は期待していません。パトレイバーは対悪魔戦力としては脆すぎます」

 パトレイバー隊の結成式でボクは早々にぶっちゃけた。

 ボク、北神奈川支部の支部長であるキノとしては、隊員に無駄に死んで欲しくは無い。

 とは言え、パトレイバー隊を構成する隊員達は元とは言え警察官。市民を護る意識は強い筈だ。

 だから釘をさす。

「もしも、悪魔に襲われる事があったなら、速やかに援護要請。その後、時間稼ぎに専念してください」

 彼らの職場は基本的に支部の結界内、悪魔と戦うとしたら結界を破れる大物が来た時か、結界が綻んだ時だ。

 大物ならイングラムの性能では戦闘は無理だし、結界の異常ならパトレイバー隊に出来る事は殆ど無い。

 彼らの仕事はあくまで治安維持。現実を認められないからと暴れる普通の人間や半覚醒者が相手なんだ。

 イングラムなら市街地へのダメージも少なく出来るし*1、建築用のレイバーを使ったレイバー犯罪も今後は起こり得るから先手を取っただけ……武装の分、建築用レイバーの〝ヘラクレス21〟を無力化するのも容易な筈だからね。

 でも、彼らにも市民を護って来たって実績とプライドがあるだろうしな……

 多少のアップデートは考える必要があるのかも知れないね。

 

 でも本格的に彼らが悪魔と戦うならデモニカか、多脚戦車が必要なんだ。

 そして彼らの適性は戦闘、つまりは殺しじゃ無い。人間を、秩序を護る事に適性がある人間だ。

 だから過度な装備は与えたくない。治安維持部隊が外部に侵攻する、出来るって言うのは本末転倒じゃないかな?

 

 市民を護ろうと言う気概は認める。でも戦闘に適性を持つ覚醒者以外を駆り出す気は無い。

 

 彼らのレベルでは、普通のニューナンブで悪魔なんて倒せない。

 今回の選抜メンバーは低レベルだけど覚醒者だ、でも普通の銃だと効果的とは言えないんだよ。

 銃撃スキルも無しに撃っても、威力が足りないだろうしね。

 準ガイア銃に改造して、対悪魔弾頭を使えばワンチャンあるかな? 結局は技量や霊力次第でもあるんだけどさ。

 一応、準ガイア銃は支給するけど、対悪魔戦闘はして欲しくない。

 

 元自衛官も多い支部だし、外の悪魔は元自衛隊や元米軍、そして高位の覚醒者。内は元警察って割り切ってくれないかな?

 難しいかな? 覚醒者とは言え、主力は名家を初めとした一般人だものね。

 

 成り行きを見守るしかないか。

 

 ただ、市民を護る=悪魔と戦うって訳じゃ無い事は覚えておいて貰わないと……

 だから、ボクの挨拶では人間の団結力の重要性を強調して置く。

 それぞれが自分の責任を全うすれば道は開けると思うんだ。思いたいだけかもだけどさ……

 

「では初代隊長〝後東 喜一〟氏より、挨拶をお願いします」

「先ずは一言〝皆で幸せになろうよ〟」

 ボクの紹介の後、後東隊長は原作でも有名なセリフを言い放った。

 

 

 カミソリ後東

 

「うえっ? 後東隊長ってマジ??」

 

 シホさんが持ち込んだ、パトレイバー隊の資料を確認中。

 ボクは隊長の履歴書を見て驚いた。

 漢字は違うんだけど、見覚えのある、胡散臭い感じのおじさんの写真が載ってるんだもん。

 のほほんとして見せてるけど、パトレイバーの運用は上手だし陰謀にも長けていると聞いた。

 伝聞形なのはボクには陰謀なんて解らないからだね。

 

 なんか、犯罪者を上手く嵌めたらしいんだけど、説明されないと理解出来なかった……説明されても全部を理解出来たとは言えないけど。

 

 シホさんの推薦だし、ボクとしては承認一択だけどね。

 

 原作同様の切れ者の可能性も高いしさ。

 ボクだと制御は出来ないかもだけど、暴走するなら潰せば良い。*2

 

 シホさんや喜太郎小父さんなら、上手く使ってくれる気もするし……

 

 ボクが不安なのは、原作のイメージに踊らされてる面もあるだろうからね。

 取り合えず、親睦会でも開いて隊員達を知る所から始めないとだな。

 勝手な先入観で判断する訳にはいかない。間違っている可能性が高いしね。

 

 ボクが持つ、後藤隊長のイメージを捨てて、真っ新な状態で彼と話して見よう。

 

 隊員達とも面識を持たないと。

 どんな人が居るんだろうね?

 ちょっと興味が出たから調べて見よう。そう思ったボクは資料の続きを読む。

 

 

 おい、ここまで揃うって態とじゃないよな!?*3

 

 一号機、指揮官“篠原 明日茉(あすま)〟 同パイロット〝和泉 のあ〟

 二号機、指揮官“熊上 武緒〟 同パイロット〝太田 (いさみ)

 隊長〝後東 喜一〟 

 専属整備員〝司馬 茂〟

 

 相模原中央区派出所で発足した、パトレイバー隊の主要メンバーがコレだ!

 

 態と揃えたんじゃ無いのか? 思わず疑ってしまうが、マッド二人はそれぞれ仕事を抱えて忙しい筈。

 多分、そんな暇はないと思うし、そもそも名前だけ似た人間を揃えた所で意味は無い。

 適性が有るから選ばれたんだし、偶然に名前が似てるだけ……ホントに?*4

 いやいや、篠原さんも太田さんも女性だし、やはり偶然?

 でもでも、篠原さんはレイバー製作会社〝篠原工業〟のお嬢様だし、太田さんもトリガーハッピー……

 まてまて、〝篠原工業〟は規模としては中小企業だぞ? 影響力は大きくないし、家族仲も悪くないみたいだ。

 パトレイバーの原作とは状況が違うんだけど、パラレルで色々設定が変わる作品だから油断が出来ない。

 

 疑い出すとキリが無いけど、これだけ状況が揃ってるなら個人でどうこう出来るレベルじゃないよね。

 多分、偶然……運命的に必然かも?

 

 メンバーの名前的に漫画版っぽいのは幸いかな? OVAとかアニメ版の事件なんて洒落にならないから……

 

 まさか内海課長とか居ないだろうな?

 思わず〝シャフトエンタープライズ〟なんて会社が無いか調べたボクは悪くない。

 

 

 後東隊長の葛藤  

 

「さて、善良な元お巡りさんとしては、これからどう動くべきだろうか?」

 正義なんて青臭い言葉を信じて、改革を目指した時期もあったが、諦めた。

 おじさんは疲れちゃったんだよ。

 普通に昼行燈を続けて、定年までのほほんと過ごすつもりだった。

 

「だった、なんだよね~。いやはや環境が変わり過ぎでしょ」

 思わずボヤク。

 なんだい、終末って……カルトの言う〝世界の終わり〟が本当だったなんて、信じたくないんだけどね。

 

「でも、現実に悪魔が出て来ちゃったんだよねぇ~」

 煙草をぷかりと吹かす。

 思索のお供としての煙草なんだが、喫煙者には厳しい時代になった。

 副流煙等の被害を考えると、仕方ない。喫煙所で吸うのは納得するし当然だけど、マナーを守ってる喫煙者にも白い眼を向けるのは止めて欲しいねぇ……

 

 そんな事より悪魔だ。

 残念ながら、我々の装備、能力では悪魔を倒せる確率は低い。

 だからと言って、市民を見捨てるのは論外なんだよねぇ……

 

「援護を頼んで時間を稼ぐ。コレは正しいんだけど、市民を護りながらって前提を忘れちゃいけないよね」

 我々は警察官だ、神奈川県警と言う組織が潰れたとしても、個々人の意識は変わっていない。

「じゃ無きゃ、こんな仕事を続けちゃいないんだよ」

 犯罪者のみならず、悪魔とも対峙する危険な仕事。

 終末前と違い、犯罪者も強力な武器を所持している可能性が高い。悪魔の危険は言うに及ばず。

 それでも警官であろうとする人間が市民を見捨てるとは思わない。思いたくない。

 なら、どうするのか……

 

「自己満足で部下に死んで欲しくは無いよねぇ」

 

 思わず天井を見上げる。

 不足なモノは多い、だが無い袖は振れない。人員も装備もレベルも足りない。足りてるモノの方が少ない位だ。

 

 パトレイバー隊は結界の外での行動も視野に入る。最低限、覚醒してレベル1になって貰わなきゃ、入隊させられない。

 

 結界内の警備だけなら未覚醒者でも出来なくは無いけど、危険度は終末以前と比べ物に成らない位には苛酷だ。

 一つの目安だが北神奈川支部ではレベル5、10、15、ソレ以上に区分けしている。

 レベル5未満なら治安維持。レベル10未満は外周部での防衛隊。レベル15未満なら結界外での攻勢部隊。レベル15以上なら切り札クラス。チームを組む事が前提だけど、基本はこんな感じだねぇ。

 戦闘に関わるならの話だけど。

 それなりの高レベル覚醒者でも適性やら性格的に不向きやらで生産に回る人間も多いしね。

 

 北神奈川支部の覚醒者は小粒だって噂もある。

 キノ支部長は集団戦こそが人間の強みだと考えているからね、他の支部では後方支援に回る人間も戦闘に出やすいってだけかも知れないけど。

 

「人員に関しては、覚醒に向けた地道な努力を継続してもらうとして、準ガイアショットガンくらいは配備して貰おうかな……」

 銃に関してはこの支部は充実している。元お巡りさんとしては複雑だけどね、まさか我々の管轄地域が銃密造の一大拠点だったなんてさ……

 文句を言おうにもオカルト絡み、国が、根願寺がシッカリしていたら必要は無かった。自衛せざるを得ない状況に追い込んだのは国だ。そう言われちゃぁ、何も言えない。

 故郷を護る為に死人を出しながら、必死に抗っていた霊能名家と助力したガイア連合の有力者。

 彼らに救われたのは、我々警官も同じなんだからね。

 

「皆で幸せになろうよ……」

 パトレイバー隊の結成時に部下達にした挨拶の一節。

 本気の言葉ではあるが、実現する為のハードルが高い事……

 市民を護れずにパトレイバー隊メンバーが幸せを感じられるか? 俺は無理だと断言する。

 終末に至ってなお、お巡りさんで在る事を選んだ人間達だからね。

 

「安全は勿論、水や空気ですら高額な世界だもんな~」

 一般人が生存するだけでコストが必要な世界……

 生き残るだけで人生ハードモード、幸せに生きるとなればベリーハードか? ルナティックか?

 パトレイバー隊の人間は一応、覚醒者だ。戦闘力は低いけれど。

 俺も覚醒はしている、低レベルだけどね。レベルは2、普通に弱い。

 それでも結界の外で行動できる分、アドバンテージではある。

 その程度の霊能者でも治安維持の為に必要不可欠なのよね……この支部ってばさ。

 

 ある程度の能力者は外部の防衛に駆り出され、低レベルでも貴重な人材として貢献してもらう。

 無理強いはしていないけど、生きる為には戦わなきゃいけないからね。能力があるのに抗わない人間は居ない。

 能力は有っても、適性が無い人間も居るし、直接戦闘だけが抗う手段じゃない。

 そういう意味では北神奈川支部の人間は全員が戦っているとも言える。

 例外は追い出されるとの噂だ。

 

 犯罪者は逮捕する、これは当然だけど、無理解な市民への対処についても考えなきゃ……

 そもそもキノ支部長が居なければ北神奈川支部は詰むんだよ。

 

 資源や資材、高度なオカルト技術は支部長さんのコネ頼り。食料だって輸入は支部長のコネが無いと厳しい。

 食料自給率を上げようと努力はしてるけど、現在は不足分を輸入に頼ってる。

 武装も支部長さんが私財を投じて開発したり購入したり……個人に頼り切ってるのは問題だよね。

 

 支部長さんも危惧してて、数少ない能力者は低レベルでも厚遇してるし、人材を育てようともしている。

 輸出入のルートを構築、維持しながら、資源も自給できる量を増やそうともしている。

 安定するまでは時間が掛かるだろうけどさ。

 将来への投資が実るまでは、我々が持たせないといけない訳ね……

 

 幸せへのハードルが高すぎるでしょ……

 装備をケチる心配が無いのが救いだねぇ。ガイア連合の黒札とは言え、一個人に頼り切りってのは心苦しいけどね……

 なんとか善良な市民の皆さんと一緒に幸せに成りたいもんだよ。

 

 

 パトレイバーのお仕事

 

 警備用レイバーM10、通称イングラム。全高8.02メートル、重量6.02トン。

 動力は五行炉、駆動系にフィールドモーターシステムを採用。37ミリリボルバーカノン、スタンスティック等のオプション装備を自在に扱う器用さと、抜群の運動性能を誇る。

 見る者に与える心理的影響までも考慮して設計された、パトロールレイバーである。

 

「のあ! 10時の方向にヘラクレス! 警備隊の人達が人質を解放するまで粘って!」

 

『了解!』

 

 パイロットは指揮官に従う事、とは言うけど、無茶振りして良いって訳じゃ無い。

 ワタシ、明日茉(あすま)は周囲の状況を把握するべく務める。

 イングラムとセットで運用される指揮車輌のセンサーは優秀だけど、装備を活かすも殺すも人員次第。

 ワタシに、この車両を……〝のあ〟と〝イングラム〟を活かす事が出来るのか? 不安になるけど、悩むのは後だ。

 今は事件解決に集中しないと!

 

「敵レイバーは解体中のビルを遮蔽物に抵抗している……砕いたコンクリートを投げ付けてるけど、そろそろソレも尽きるハズ」

 

 敵レイバーの位置を見失わなければ、〝のあ〟が対処してくれる。

 

 人質の状況も把握済み。

 

「アガシオンは偵察を続けて」

 低レベルの覚醒者である、ワタシは使い魔を放っている。

 もう少し強ければ……無い物ねだりはダメだ、力が欲しいのは皆同じ。

 低レベル、レベル3でも覚醒出来ただけワタシは恵まれている。

 戦闘力は皆無だけれど……

 マッパー特化型霊能者。しかもレベル限界が低いから。

 

 そろそろ警備隊が現地に着く。

 

「警備隊の皆さん、準備は良いですか?」

 

『OKだ、何時でも行けるぜ!』

 

「のあ! カウント5! 4、3、2、1、GO!」

 

 シールドを構えながら、電磁警棒を手にしたイングラムが突撃する。

 

 同時に警備隊も突入。人質と犯人グループを引きはがした。

 

「人質の解放を確認。やっちゃえ、のあ!」

 

『やぁぁぁぁ!』

 ヘラクレス21の首元に警棒を突きこむイングラム。制御回路がショートして安全装置が作動、ヘラクレスが緊急停止する。

 

「窃盗、及び器物破損、シェルター破壊未遂の現行犯で逮捕する!」*5

 指揮車のスピーカーで宣言。

 

 警備隊が停止したヘラクレス21を取り囲む。

 これで詰み。

 無駄な抵抗を試みたけど、警備隊の威嚇射撃で犯人達の心が折れた。

 終末後なのに、甘い奴らだ。人権なんて言葉は随分と軽くなった。

 真っ当な市民ですら、命の保証が無い世界で、犯罪者の生命が丁寧に護られる筈が無いのに……

 

 ワタシも慣れたとは言い難いけれど。

 警察学校を卒業して、神奈川県警に配備されたばかりの新人警察官だったのよ?

 世界が変わっても、培ってきた常識がいきなり変わる訳が無い。

 

 でも世界は容赦が無くて……終末で覚醒したワタシには悪魔に襲われる市民がハッキリと見えて。*6

 ニューナンブなんてマメ鉄砲は頼りにならず……*7

 せめて市民を護ろうとして盾になった。

 結局、霊能名家って人達に助けられたんだけどね。

 

 正直複雑な気分だった。

 彼らは準ガイア銃なる、アサルトライフルで武装してたから……

 

 確かにニューナンブが効かなくてもライフルならって理屈は正しい。霊的に強化されているなら尚更だ。

 彼らとて市民を助ける為に、仕方なく起こした行動だろう。

 つい先日まで警官の前では隠していただろう、ライフルで攻撃する。

 攻撃せざるを得ない世界に変わってしまった。

 

 我が身を以って思い知ったのに、未だ信じたくないと思っている自分が居る。

 

「犯人達が常識に縋りたい気持ちも解らないでは無いわね」

 捕らえられた犯人達を横目にワタシはポツリと呟いた。

 

 でも、ワタシ達は生きている。この終末後の世界で生き抜かなきゃいけないんだ。

 

「こんな世界でも逞しく生きている人間の邪魔はさせない!」

 これは誓いだ。

「どれ程、世界が苛酷でも、悪魔が強力でも、人間が団結する限りは道はある」

 キノ支部長がパトレイバー達の結成式で言った言葉。

 この言葉をワタシも信じて見ようと思う。

*1
比較対象〝多脚戦車〟

*2
脳筋の発想

*3
イデニキ達への不信

*4
ぬぐい切れない不信

*5
暫定的に日本の法律を踏襲しつつ、シェルター保護の為の条令を追加している

*6
定番のガキ

*7
ダメージは有るが滅ぼせない




(電波の)コンディション・グリーン
あれっ? シホさんの出番が消えた?? 予定と違うが何時もの事だな!? ヨシ!!
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