【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅   作:山親父

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今回も迷走してます
いつもの事だね……


嫁と家族を呼び寄せる

 ちょっと切れそう

 

「ミホの所は母娘二人だけ、佐緒里はお腹の子供と御両親。縁はお腹の子供と御両親に祖父母夫婦と4世代か」

 ミホ達アンコウチームはレベル30のデモニカ使い、茨城支部のエース格。

 デモニカ無しでも、ミホがレベル27、佐緒里と縁がレベル23、素のレベル限界も高い経験豊富な人材だ。

 レベル限界が上がったのはボクと結ばれたから、夜の営みを通じてボクが霊格を引き上げた形になる。

 娘達は彼女達とボクの血を引く訳で、霊格も高いだろうし期待の人材。守護者候補。

 それは、まあ仕方が無いんだろう。

 

 だからって、マダ産まれてもいない赤ちゃんに過度な期待を押し付けるんじゃないよ!

 

 気持ちはわかる。認めるかは別だ!

 

 ボクの娘だぞ? 産まれてもいないのに勝手に将来を決めんな! 成長してから本人が希望するなら認めるけど、強制は許さないぞ!

 

 極一部の人間のヤラカシではある。でも母親から奪い去って英才教育をって馬鹿がいたのは事実だ。

 もう処されたみたいだけど……メシアンだったんだろうか?

 梅昆布ネキを始めとした茨城の黒札は頑張っている。

 でもさ、こんなヤツラがいる場所に子供を任せられるのか? ボクの手が届かないのに?

 万が一を考えるなら手元で育てるに決まってるだろ!

 親としては当然の希望だ、子供の安全はボクが護る!

 

 北神奈川支部にだって、赤子を利用したい人間は隠れているだろう。メシアンとか外様神の信者とか、一部の我儘市民とかメシアンとかね?

 でもボクの目と手が届く北神奈川支部なら、子供の安全は護れる。

 助けてくれる部下もいるし、頼れる友人もいる、なによりボクがすぐさま動ける。

 

「ミホ達全員を引き取るからね!」

 これは決定だ。ミホ達とも相談済みだし譲らない。

 ミホ達だって茨城を見捨てたい訳じゃ無い。

 なら茨城に残せって? それじゃあボクが安心できないんだよ!

 油断して家族を奪われるのは厭だ!

 

 幸い、ミホとボクの娘のミキは首が据わるまではって事でマダ北神奈川支部に居る。

 後は安定期に入った佐緒里と縁を家族ごと迎え入れれば良いのだ。

 出産もこっちの病院の方が安心安全だしね。

 

「まあ代替になる戦力は送ろう」

 人員は無理でもデモニカなら送れる。余計にマッカが掛かっても必要経費だ。

 

 正規のデモニカも簡易デモニカもくれてやる。足りないなら多脚戦車も渡そう。

 だからボクと家族を引き離すな!

 

 冷静になろう……梅昆布ネキが、ボクに意地悪する筈がない。

 現地の人の不安もわかるし、戦力が欲しいだけだろう。

 

 でも育休中のお母さんと出産前のお母さん達を戦力として頼るのは如何なの? 最終手段だとは思うけどさぁ…… 

 引き抜きと言われようとも、それで嫌われようとも、お嫁さんと娘達は保護する。

 絶対に、絶対にだ!

 

 

 魔砲少女は人気らしい

 

「ちょっとしたアイドルになってる気がするよ?」

 ネットで活動しているアンコウチーム非公式ファンクラブを見つけた。

 お母さんになっても、人気に陰りは無いようだ……

 

 神社の広報HPに掲載された病院で撮影した母娘での記念写真にはオメデトウのコメントが多数。

 ちなみに撮影はフォトネキだ。

 何故かボクと木太郎の写真も北神奈川支部の広報が持って行った。

 HPに掲載するんだって……何故か怖くてマダ見ていない。

 

「これって茨城のアイドルを引き抜く形になっちゃう?」

 ただでさえアンコウチーム全員を娶ったボクはヘイトを稼ぎ気味なのに、ファンから引き離す形になったらボクが炎上する?

「ボクだけなら気にしないけど、恨みが無自覚な呪いになる事もあるし、流れ弾は怖いか」

 どうするかな……

 ミホ達に変わるアイドルがいるなら、ヘイトも減るかも?

 

「魔砲少女型デモニカを渡した方が良いな」

 

 M26パーシングちゃん*1を3体作ろう。

 使用者は戦う意思がある人達からオーディションで選ばせる。

 始めから、ご当地アイドルとしてプロデュースさせちゃえ♪

 

 男性用には簡易デモニカ*2の〝A.F.S〟を用意しよう。

 〝P.K.A〟があるのに〝A.F.S〟が無いのは寂しいし。

 〝A.F.S〟もマシーネンクリーガーに出て来るパワードスーツでArmored Fighting Suitの略だ。

 左手のレーザーは適当な魔法に置き換える。ノーブ*3と同様に【アギ】と【ブフ】が切り替えられれば良いだろう。

 〝P.K.A〟が〝ハーク〟の下位互換なら〝A.F.S〟は〝ノーブ〟の下位互換だ。

 

 〝A.F.S〟は12機出そう。三個小隊、これだけでもアンコウチームの穴埋めは出来ると思う。

 パーシングちゃんも3人、埋め合わせには十分だよね?

 

「後の交渉はお願いね? Mr.ロジャー・スミス」

「任せて頂こう」

「ボクを悪者にしても良いから、軟着陸させて欲しい」

 

 ホント頼むよ? 

 

 

 私はこの支部に欠かせない仕事をしている

 

「さて依頼人のオーダーは家族をトラブル無く、引き抜く事か」

 私の手腕なら、どんな交渉でも問題無い。

 残念ながら、そう断言出来たのは終末前までだ。

 終末後と来たら、誰も彼も猜疑心を膨らませ、被害者妄想に憑りつかれ、力尽くで奪った方が早いと交渉等はしようともしない。

 私がどれ程の凄腕交渉人だとしても、これではね。

 

「獣の論理が蔓延り、理性による対話と駆け引きによる交渉は消えてしまった」

 アメリカではサンフランシスコを初めとする一部地域だけが例外だ。

 大半の地域は暴力がモノを言う野蛮な世界に落ちぶれてしまった。

 だから私はキノ支部長のスカウトを受けたのだ。

 

 日本では人間としての文明、文化が生き残っている。

 市民も秩序を保ち、団結して終末と言う危機を乗り越えようとしている様に思える。

 

 日本全てが護られた訳では無い。アメリカも同様だがシェルターと言う人類の文化圏と悪魔どもが争っているのだ。違いは日本だとガイア連合と言う人間組織の力が強く、人間が優位にあると言うだけ。

 言葉にすると簡単だが、実行するとなると……その難度がどれ程だったのか? 想像も出来ない。

 

「だが、こうして人間同士が話し合い、契約が結べるならば……」

 

 私の存在にも意味がある。

 

 実質的にシェルターとは一つの小国だ。

 建前では日本と言う国は存続しているのだろう。だが現実は?

 各シェルターは独自に運営され、統一された権限などない。

 ガイア連合の盟主ですら、出来るのはお願いだけ……命令は出来ない。

 

 私の立場は北神奈川支部の公式交渉人。実質的には外交官だ。

「私はアメリカ人なのだがね……」

 国籍には意味が無くなったし、支部長への感謝と忠誠心は持っているが、良いのだろうか?

 

「まあ良い、私はキノ支部長の願いを叶えるだけだ」

 

 交渉相手は梅昆布ネキと言うコードネームで呼ばれる、ガイア連合の黒札だ。

 温厚で誠実、少々気が弱く、統率力には難がある。

 親交もある様だし、無理は言うまい……部下を納得させる事が出来るかが問題になる。

 

「しかし、本当にこれで上手く行くのか?」

 私の手の中には〝茨城支部を護るのは君だ! 魔砲少女始めませんか?〟こんなキャッチコピーを与えられたオーディションの企画がある。

「戦力選定をイベントにして楽しませ、ストレス解放と不安の解消を同時に熟す?」

 大丈夫なのか? ものすごく不安なんだが……

 

 上手く行ってしまった。

 

「本当に大丈夫なのか?」

 私はイベントの成否より、熱狂する彼らの精神状態の方が心配になった。

 うら若い女性達だとは言え、選んだのは戦士だったハズ?

「では選ばれた彼女等は何故に歌を披露して踊っているのだ?」

 そんな彼女等を奇声を上げ応援する野郎どもの群れ……

 

「今後も、こんなヤツラと交渉しなければならないのだろうか?」

 かなり心配になって来た。矢生先生に良い胃薬を紹介してもらおう。

 

 

 明日の茨城支部を護るのは君だ! 魔砲少女オーディション!!

 

「ありがとうございました!!」

 一曲歌い切った私は観客席に大きく頭を下げる。

 

 素敵な衣装を着て、大勢の人達に歌を披露出来た。

 明るく照らされたステージでステップを踏み、踊る事を楽しんだ。

 昔から好きだった曲、振り付けを真似した憧れの曲だ。

 観客が喜ぶ顔を見て、私も笑う事が出来た。 

 小さな子供の頃からの夢〝アイドル〟終末が来て、一度は諦めた夢だった。

 

「こんな形で叶うなんて……」

 感動で目が潤む。

 私が魔砲少女に選ばれるとは思わない。

 万が一に選ばれたなら、誰かを護る為に戦わないといけない。

 覚悟はある。なんて断言出来れば良いんだけど……

「やってみないと分からないよね?」

 正直言って自信は無い。

 

 でも……

 

「カッコいいよね、魔砲少女」

 

 シェルターが襲われた時、颯爽と駆けつけ悪魔を蹴散らした三人の少女。*4

 彼女達みたいになりたい。そう思った、あの日の事を忘れた事は無い。

 強くて可愛い。戦う人達なんだけど、アイドル顔負けの美少女達。*5

 人気が出るのは当然だと思う。

 憧れた、その強さに、そして可愛らしさに。

 現実感が無かったんだと思う。アニメで見る魔法少女に憧れる様なものだ。

 

「でも、現実に目指すとすれば?」

 

 反応は二つに分かれる。自分には無理と諦めるか、ダメ元でチャレンジするかだ。

 

「ヤルだけはやった。駄目で元々、良い思い出にはなるよ」

 

 観客の反応は悪くない。ワンチャンないかなぁ? もし選ばれたなら家族に、もう少し良い物を食べさせたり出来るかも。

 私に出来る事は、もう無い。速やかにステージを降りる。

 

「貴女も頑張ってね」

 

 舞台袖に待機していた、次の娘にエールを送り、控室に移動した。

 後は結果発表を待つだけ。

 

「多分ダメなんだろうな……」

 そんな私の想像は良い意味で裏切られた。

 1時間後、私は舞台の上で泣きじゃくる事になる。

 

 

 ヨシ、上手い事お祭りになったな!

 

「ふふふっ、我が策なれり」

 ボクが言っても似合わないな。

 

 まあ、目論見通りアイドルコンテストと化した〝パーシングちゃん〟選考イベントなのである。

 ネットの投票は順調に進んでいるし、それぞれやる気もある。

 流石にアイドルだけが目的な人は篩い落としたらしい。

 デモニカ貰ってアイドルだけしてたいって……世の中には痛い人も居るんだね?

 変なイベントに仕立てたボクが悪い? (∩゚д゚)アーアーキコエナーイ

 

 これでミホ達が上手い事フェードアウト出来る……ハズだ。多分、きっと、maybe。

 

 後は茨城支部内部の事だ。

 ボクとしてはミホ達を引き抜く以上、代わりの戦力を渡すってだけだし。

 ミホ達が家族(つまりはボク)と一緒に暮らす事を選んだって文句を言われる筋合いはない。

 

 そうは言っても人間、簡単に割り切れはしないからな。

 ミホ達は優秀で実績もある。惜しむ人間が居て当然だ。

 茨城に帰る場所が残っていても良いんじゃないか? そう考えた事もある。

 

 でもダメだ。

 

 例えば縁の祖父達があちらに残るとする。

 切羽詰まると祖父達を人質に戦力として呼び寄せ戻そうとする人間が出て来る。

 そこまでしなくても、人質にして物資を要求するくらいは当たり前に想定しなきゃならない。

 あの人達は自衛出来ないんだ、戦える人間の保護下に置かなきゃ危険だ。

 全ての人間が高潔に生きられる筈がない。用心しないと……

 

 終末後の世界。

 力が正義、モラルってなに? 一般人には生き難い世界になった。

 

 人権は萎え、規律は力を失い、法の元の平等が語られる事はない。 法の精神は死んだのだ。警察も死んだ、司法も死んだ、秩序を保つ者は全て逝ってしまった……*6

 

 つまりは自助努力が必須な世界。家族を護りたいなら、手の届くところに居て貰わないとダメなのだ。

 その辺を自覚して貰わないと……

 流石に別支部所属だと護り切れない。

 

 迎えに行く時には、ココにホエールキングを出して貰おう。

 それなりに大勢の引っ越しだし、土壇場で相手にごねられても困る。威嚇じゃないけど、イザって時の事は考えて置く。

 多脚戦車1両とP.K.A一個小隊をコンバット・キャリアー付きで護衛にしよう。

 揉める事無く、素直に引き渡すなら多脚戦車は置いてきても良い。

 だから頼むよ梅昆布ネキ、ちゃんと部下を抑えてよね。ご褒美もあるんだ、説得は出来るでしょ?

 

 人間同士の騙し合いも増えた。梅昆布ネキを信じない訳じゃ無いけど、茨城の人間全てが善人じゃない。

 この位の保険は欲しい。

 

「他人の良識を期待できないなんて……」

 

 イヤな時代だ。

 そんな時代の流れに抗い、人間らしい営みを残す。

 ガイア連合はそんな組織って事になる。結果論だけど……

 

「何時でもファミチキが食べたい」

 

 出発点はコレだものw

 この目標の達成には、人間同士の信用、十分な資源に流通網が必要になる。

 簡単に言うけど、文明が残らないと叶わない願いなんだ。

 意識している黒札がどれだけいるかは怪しいけどね。

 

「ボクは家族と幸せに暮らせれば良い」

 そんなボクの努力が世間を潤す事もあるだろう。

 それ以上を求められても知らない。貴様らに都合の良い救世主なんていないんだよ。

 

 だから勝手にガイア連合を救世主ポジションに据えるんじゃないよ!!

 

 数日後、家族の引っ越しは上手く行った。

 縁の両親は相模原市緑区でバイク屋さんを始めた。材料はモヒカンバイク、改造やメンテが主な業務で商品はボクが手配する事もある。

 祖父母は清川村で果樹園を再開する。霊脈の影響を受けた果物がどれだけ美味しくなるか? 今から楽しみだ。

 佐緒里の両親は中央区所属の事務員だ。

 ミホの家族も含めて、ボクが護れる範囲で暮らす事になる。

 本人と子供はボクの家だよ? 当然だよね?

 

 ちなみに茨城支部との関係は良好だ。

 梅昆布ネキ曰く『キノネキがお嫁さんと子供と暮らしたいって、暴走したそうだ。仕方ないから、快く送り出そう』だって……

 

 エースの移籍ではあるけど、家族と暮らしたいって理由だし、代替戦力は渡した、ストレス発散できるイベントも行った。

『キノさまは親バカだからしょうがない』

 これが茨城支部の市民感情らしい?

「オカシイな? ボクは悪者になる予定だったのに?」

 実際には微笑ましく笑われている。

「あれぇ? どーしてこうなったんだろう?」

 これも人徳って前向きに考えようか……深く考えすぎるとドツボに嵌まる気がする。

*1
限界レベル30

*2
限界レベル15

*3
自衛隊向け重装甲パワードスーツ型デモニカ

*4
成人しています

*5
今では既婚者で子供も居るんです

*6
ダグラム1話冒頭のパロ




終末後のアレコレを考えるとアンコウチームは呼び寄せたいなと……
茨城に安産に守護結界があるかも不明ですしね? シュレーディンガーにして置きたいw

でも、可笑しい? ミホ達を移籍させて、代替戦力を送るだけなのに、なぜアイドルコンテストをしてるんだろう??
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