【カオ転三次】世界が終わるまでのバイク旅   作:山親父

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アビャゲイル氏のスレでカズフサニキとキノとの会話が描写されました
読んで思ったのは「大体合ってる」なんですが、少し深堀りしておこうかなと


北神奈川支部幹部会議

 シキボーグは如何しよう?

 

「KSJ研究所のカズフサニキからシキボーグ*1の売り込みが有った」

 キノちゃんの兄弟子に当たるのだったか?

「強力だし、近接戦闘能力者不足を解消できるのは間違いないんだけど……」

 キノちゃんが言い淀む。

「確か、〝死ねという命令以外絶対服従〟と言う呪縛が必須だったね」

 イデニキが確認した。有名な話ではあるが、会議では前提条件を周知する為に、口に出す事も重要だ。

「うん、それでチョット迷ってる」

 ふむ?

「出来れば人間の尊厳を捨てて欲しくないって気持もゼロじゃないよ? 綺麗事だって自覚もあるけどね」

 キノちゃんの表情が自嘲から真面目な表情に切り替わる。

「幾つか危惧してる点があってさ」

 危惧? 人倫の問題だけじゃ無く?

 

「やるなら希望者だけになるんだけど……絶対、現地の名家は飛びつくよね?」

 まあ、確かに……

「代金を個人で支払わせるのか、支部で出すのか? 先ず、これが一点」

 それなりに資金は必要になる。

 個人で払うのなら、自己責任で済む。そんな資金を稼げる人間は、シキボーグ技術を必要としていない事が多いが。

 支部で払うなら、呪縛の契約先をどうするのかが問題になる。対象がKSJ研究所だけ? それはそれでリスクになる。

 なら追加で呪縛の契約先を増やすのか? では誰に? まあキノちゃんになるんだろうが……

「ボクが資金を出しても良いけど、呪縛が気になるんだよね」

 キノちゃんが資金を出すなら、個人の忠誠はキノちゃんに向く。これは今更だな?

 呪縛の問題。KSJ研究所の命令とキノちゃんの利害がぶつかった時に、被験者がどうなるのか? KSJ研究所に絶対服従になる? キノちゃんに心酔する部下の心は如何なる?

「下手に呪縛契約がブッキングすると部下の心が壊れる可能性があるのか?」

 疑問点は口に出さなきゃな。

「あるだろうね。細かく条件を詰めれば減らせるだろうがゼロにはなるまい」

 ヤプールニキの見解はそうなるか。

 キノちゃんのみを契約先に出来るなら問題は減るのか? KSJ研究所の技術的優位の問題もあるし、可能なのかも不明だな?

「技術移転を受ければヤプールニキでも作れるか?」

 私の質問への答えはNOだった。

「あれは職人芸だよ。私が行うなら年単位の時間が必要だね」

 その上、時間をかけて作っても完成度は比べ物にならない……か。

「そして危険だ、行うべきでは無い」

 危険? ヤプールニキがそこまで言うんだ、なら実行は不可だか、理由は?

「技術移転には技術漏洩の危険が付き物だからさ」

 〝死ねという命令以外絶対服従〟この呪縛の主導権がKSJ研究所側にある限りメシアンは使わない。

 逆に言えばメシア教が技術を奪って、自力で作り出し呪縛を無くせるなら躊躇なく使うだろう。

「確かに危険だ。セキュリティが万全なKSJ研究所のみの独自技術にしておくべきだな」

 メシアンに技術が奪われたら、起点が穏健派でも、絶対に過激派にも流れるだろう。

 

「二点目、元避難民達の問題。彼らも飛びついてもおかしくない、それは良い」

 ホントは良くないけど、どうしようもないから……ポツリとキノちゃんが呟いている。

「力を手に入れた彼らの矛先が悪魔だけに向くと思う?」

 ……無理だろうな。

 必ずメシア教にも矛先は向く。奴らはソレだけの事をしでかした。

「呪縛でメシア教との戦闘を禁じると、奴らがヤラカシタ時に後手に回る事になる」

 だからと言って、無条件もマズイ。過激派相手なら問題無いが穏健派を攻撃されると、ガイア連合が契約違反をした事になる。

 今の所はシキボーグ化を希望する者はいないが、出てきた時にどうするか? 今の内に考えておく必要があるだろうな。

 

「最後にメシア教穏健派の反応が読めない」

 対悪魔用の強化術として認めるのか、人外を作る技術として反対するのか? 分かり易く反対してくるだけなら良い方か……表では何も言わずに、裏で嫌がらせをしてくる可能性もある。

 メシア教穏健派はショタおじとの契約で正式に居住権と信仰の自由を保障された存在だ。

 どんなに目障りでも排除は出来ない。

 メシア教穏健派と揉めれば、現在良好な関係を保っている、元在日米軍との関係も微妙になりかねない。

 メリットはあるがデメリットもある。

 キノちゃんが迷う訳だ…… 

「ついでに言えば一神教調和派も良い顔はしないだろうね」

 今までのシキガミパーツは治療が目的だった。だから反対意見は少なかったが、戦闘の為の強化となれば話は変わる。

 悪魔の脅威に対抗する手段が他にないと言うなら、反対意見は潰せるだろう。

 だが現在は何とか対抗出来ている状況だ。

 余裕があるとは言えないけれど。

 予算がね……

 

「うちは実弾メインだから補給がねー」

 魔力弾なら弾切れは無いが、MP切れが問題になる。

 そして現地の人間はレベルが低くMPが低い。

 継戦能力を考えると実弾の方が楽だし強い。

 資金は必要だが。

 

「まあ、銃も弾丸も輸出が出来るくらいに作ってるんだ、防衛戦なら補給切れの心配は要らない」

 防衛だけではジリ貧になる可能性もある。攻勢を考えると武器弾薬は幾らあっても良いんだが…… 

 金属資源は異界鉱山で採掘出来るし、銃や弾丸の工場もフル稼働中。

 キノちゃんが世界各国から呼び寄せた元銃器メーカーの職人が工員を育ててくれていて、今後の操業にも不安は無い。

 キノちゃんみたいにオカルト樹木やアイテムを駆使して自力で弾薬を用意する人間も居るけれど。

 

「デモニカや多脚戦車もソコソコ揃っているし、余程じゃ無ければ護りきれるだろうな」

 かなりの大悪魔が出たとしても〝セブンガー〟が居る。レベル66を誇る、北神奈川支部の守護神、シキオウジロボ。

 ほんの30分時間を稼げば〝セブンガー〟が出撃出来る。

 支部の戦力と連携し、レベル80の悪魔を討滅した実績も有る。

 

 無論、キノちゃんがお膳立てしてくれたからこその実績だが、支部員からの信頼は本物だ。

 〝セブンガー〟に倒せない悪魔が出て来る可能性? そんな兆候があれば、キノちゃんが黙っていない。

 この娘はレベル100を超えて尚、じわじわと成長中の超越者だ。

 気配を感じただけで撃ち滅ぼしても不思議は無い。

 比較対象が〝探求ネキ〟や〝人魚ネキ〟達だからか?

 キノちゃんは自分を過小評価しがちだが、銃に関しての才能は本物で、割と無法な事もやってのける。

 部下達(セブンガーを含む)の手に負えない大悪魔が出ようものなら、キノちゃんの知覚範囲に入り次第、撃ち滅ぼされるだろう。 

 

 さて、改めて考えてみよう。

 シキボーグは北神奈川支部に必要か?

 

 あれば便利ではある、だが必須では無い。

 将来、個人で資金を貯めてシキボーグ化を希望する人間が出て来る可能性もある?

 まあ、シキボーグ技術を必要とする人間のレベルが高いハズは無く、金策に時間がかかる筈だ。

 希望者が出るまでに対応策を構築できたなら導入も可能だろうか?

 

 私の考えはこうなる。

 

 

 やっぱりキノちゃんも無法だよ……

 

 結論としては、シキボーグについては、詳しい情報を求め、精査の後に改めて考える事になった。

 そうすると、部下の生存率を上げる代案が必要になるんだが……

 

「素直に銃の威力を上げるのが王道だと思うんだ」

 それが出来れば苦労は無いんだぞ? キノちゃん?

「銃を更新するのかね?」

 イデニキが質問する。

「正直、強力な銃を作る事は出来るが、部下が使い熟せるかは別の話だ。資金的にも厳しいし……」

 私の意見にキノちゃんが頷く。

「そうだね、だからバフを掛けようと思う」

 はい?

「飛行島を起点にすれば北神奈川支部の管理地域内はイケると思うんだ!」

 凄い事を言いだしたぞ?

「んと、そうだな。離れた場所だと辛いかもだから、全派出所上空には端末を浮かせる。飛行島は移動する事もあるしね」

 中継機器を用意すると?

「んでボクの権能でスキルを貸し与えるシステムを組み上げた*2から、それを使わせるんだ!」

 ……どうも、こんな感じらしい。

 

 1.私は北神奈川支部の人員で有り、貢献する事を誓う。(共同体に貢献しないと駄目だよ?)

 

 2.これは不可避の戦いである。(話し合いで済むなら喧嘩すんな)

 

 3.これは、人道に背かぬ戦いである。(ちゃんとモラルは守ってね?)

 

 4.これは支部を護る為の戦いである。(仲間を護る為なら、力を貸すよ)

 

 5.これは、己より強大な者との戦いである。(格上相手に命を張るなら、応援してあげる)

 

 6.これは邪悪との戦いである。(悪人でも悪魔でも、悪い事するヤツは許すな!)

 

 これ等の条件を満たすとキノちゃんの銃強化スキルセットを貸し与える事が出来るとか……

 

「Fateはエクスカリバーの十三の拘束をリスペクトしてみた♪」

 

 1.は前提条件。

 2.で【銃ブースタ】を貸与。

 3.で【銃ハイブースター】を貸与。

 4.で【銃プレロマ】を貸与。

 5.で【銃ギガプレロマ】を貸与。

 6.で【銃貫通】が貸与されるそうだ……

 

「全部乗るなら……相性に依る個人差もあるけど、威力が3倍前後? +貫通する」

 

 相性が良ければ4倍まで行くかも知れないらしい。

 いやはや、すごいな……呆れて言葉が出ないぞ?

 結界の関係で攻勢には使い難いが、防御では強力だ。

 

 北神奈川支部の戦闘員は兵士として戦える。そう訓練されている。

 練度も今では十分に高い。勿論プロフェッショナルである、元在日米軍や自衛隊と比べれば劣る。

 プロの兵士を熟練兵とするなら、北神奈川支部の戦闘員は最高でも一般兵だ。

 しかも練度は一律で同じな訳では無い、新兵~一般兵まで差はある。

 つまり最低でも兵士として行動できる訓練を積んでいるんだが。

 

 そんな彼らの使用する銃器の威力が一律で跳ね上がるって事だな?

 

 凄い事になるんじゃないか?

 

 後日わかった事だが……やっぱりなった。

 防衛隊の人員の限界レベルが幾つか上がったらしい。

 元々、限界ギリギリまで鍛えていた人員達だ、彼らが自分より強い悪魔に挑み、キノちゃんのバフの御陰で撃ち滅ぼす……

 試練を超えた扱いで、限界レベルが上昇しても不思議は無い。

 流石に二度三度と上昇する人間は少ない様だが。

 

「キノちゃんの負担は?」

「ほぼ無いけど?」

 キノちゃんは私の質問にキョトンとしている。

「飛行島を経由するし、あれには五行炉もMAGバッテリーも積んでるから、ボクに負荷は無いよ?」

 ああ、なるほど。直接じゃ無いんだものな……

「直接だと一個師団位が限度かな? 自分でも戦わないとだし」

 おい、数千単位はイケるのか? 真・修羅勢パネェ!?

 

 キノちゃんは自分を無才呼ばわりするけど、才能が特化型過ぎるだけで適性のある銃に関してはメチャクチャだ!?

 流石は超越者……やっぱりキノちゃんも無法だよ。

 

 

 接近戦用のデモニカが必要だ

 

「「私としては近接戦闘が可能なデモニカを開発したい」」

 異口同音で二人のマッドが声を揃えた。

「一人ずつ発言する様に、候補はあるの?」

 二人が牽制し合うのを制してキノちゃんが質問する。

「「うむ、色々有るんだがな」」

 キノちゃんが一人ずつって言ってるだろ!

 

「では私から〝装鬼兵M.D.ガイスト〟の〝ファイテックス・スーツ〟を「却下!」……何故に!?」

 イデニキの提案は速攻で却下された。

「万が一、アレの主人公が生えて来たらどうするのさ! ダメ!」

 アニメ史上、稀に見るキ印で戦闘狂が主人公らしい。考えすぎだとは思うが用心した方が良いよな?

 

「〝スプリガン〟の〝A.M(アーマード・マッスル)スーツ〟は如何だろう?」

 会議参加メンバー全員がヤプールニキの提案に考え込む。

 精神感応金属オリハルコンを使用し、通常の30倍以上の筋力を発揮させるんだったか?

「この世界のオリハルコンって精神感応出来たっけ? それにオリハルコンなんて使ったらコストが跳ね上がるよ?」

 キノちゃん? 無理に原作を再現しなくても……

「スキルを組み込めば再現は出来るが、予算的に現地民に与えるレベルの装備では無くなるな。これは無しだね」

 開発者が原作再現に拘っていた。

 

「イデニキには他のアイディア無いの?」

 キノちゃんが確認している。

「ふむ、〝覚悟のススメ〟の〝強化外骨格 零〟は好きだがアレはな」

 イデニキも流石に自重したか。怨霊(とその意思)が宿る強化スーツなんてメシアンに知られたら……

「今後は名前を出すのも禁止ね。既に似たようなのをメシアンが作ってるかもだけど、北神奈川支部が火種になるのは嫌だから」

 

 それからも色々と意見は出た。ブルースワット*3のアーマー等のニチアサヒーロー物が多かった気がするが、私はそれほど詳しくないから……

 まあ、どれもこれも名前が出ては否定されての連続で良く覚えていない。

 方向修正が必要だな。

「先ずは我々が新規デモニカに求める条件を整理しよう」

 私はホワイトボードに条件を書き出した。

 

 1.近接戦闘に使える事。

 2.近接戦闘に持ち込む為のスピードがある事。

 3.十分な耐久性を保持する事。

 

 妥協できない性能はコレだけだ。

 

「魔法は無くても良い。北神奈川支部の戦闘員は連携する事が前提だからな」

 回復も遠距離攻撃も他の部隊に任せれば良い。

 求められている役割は最前線で盾となる事だけだ。

「これ等を踏まえてだ……我々に必要なデモニカとは何だ?」

 

「武器スキルが十全に使用できる、スピードと装甲を兼ね備えた機体か……」

 イデニキが呟いた。

 銃を使うパワードスーツは多いが、剣やメイスを使用する機体は少ない気がするな。

 まあ、銃を選択肢から外す必要は無い。

 

「ふむ、ならば〝All You Need Is Kill〟の〝機動ジャケット〟は如何かな?」

 ヤプールニキの提案にキノちゃんが考え込む。

「漫画派と映画派、アニメ派で俺らがケンカにならない?」

 どうも映像化した媒体に依ってデザインが違うらしい……キノちゃんは映画派だとか。

「なるかもしれん……」

 ヤプールニキの呟きに私も同意する。俺らってバカな事で殴り合う生き物だからな……

「とは言え、求める性能は満たしている」

 重要なのは使えるかどうかだと私は思うのだ。

「そうだね、じゃあ漫画版と映画版、ドッチを選ぶかだけど?」

 キノちゃんは映画版推しだったな。サラッとアニメ版を排除してるし……

「製作者特権だ、選択権は私に有ると思うが?」

「汚いぞ、ヤプールニキ! ならボクだってスポンサー特権を使う!」

 ほら、早くもクダラナイ争いが始まった。

「イデニキ、中立としての意見は?」

 ほっといたら脱線しまくるからな。

「ふむ? メンテを考えると漫画板だな」

 映画版はアクチュエーターやサブアームが付いていてメカメカしいが、その分メンテの手間が増える様だ。

「多数決だ、漫画版を推す者は?」

 挙手したのはヤプールニキとイデニキか……

「では映画版を推すのは?」

 キノちゃん一人が元気に手を上げる。

「アレ? トゥルーデネキとフォトネキは?」

「私は棄権する」

「同じくです」

 フォトネキは話について来れて無かったし、私は司会者の様な立場だからな。

「では漫画板で決まりって事で良いね?」

 ヤプールニキの圧が強い。

 

「チクショーメェ!」

 スマナイが部下の苦労を考えると趣味に走らせる訳にもいかないんだ。

「マッド二人は何時も趣味に生きてるのにー!」

 諦めて欲しい。これも部下の為だ。

 

 新型デモニカ〝機動ジャケット〟は耐性ガン積みの近接型に成りそうだ。

 とりあえず西住流の剣士には行き渡る様にするべきだろう。

 

「私って、この会議に必要でした?」

 フォトネキが嘆くが発言の機会が無かったから、シカタナイネ。

 

「じゃあ何時もの中堅にデモニカコアを注文するね? そろそろレベル30のコアを安定して作れないかな~?」

 気を取り直したキノちゃんが発言する。

 大分腕を上げたと聞くし、期待は出来るんじゃ無いかな?

「ヤプールニキもイデニキも随分楽しそうだね?」

 恨めしそうなキノちゃんの声。

「「他人の予算で開発するデモニカは旨い!」」

「チクショーメ~!!」*4

 

 キノちゃんって圧倒的な強者のハズなのに、気軽に弄られるよな……これも人徳って事にしておくか。

*1:
アビャゲイル氏のスレに登場する、シキガミパーツを使用した魔術的サイボーグ

*2:
探求ネキの手助け無しでは完成していない

*3:
メタルヒーローシリーズの第13作目

*4:
本日二回目




シキボーグについては、こんな不安があるんですよって事で
キノの杞憂、的外れな可能性もあるんですが、メシアンが側にいるのに、油断はダメでしょ?
奴らとは休戦中じゃない、直接ぶつかる機会が無いだけの冷戦中だ! キノ的にはこんな認識かなぁ? と考える次第
作者もキノもポンコツなんで勘違いがあるかも知れないですがw

シキボーグを使わないなら代替手段が必要? なら用意するかぁ
銃特化型故に専門分野では遠慮しなくて良いやろ! 書きあがる前はそう思ってたのに……
やりすぎたかも知れません
ついでに近接戦闘用のデモニカも作っとけば良いよね? キノのお財布事情は知らんw
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