GODARCA / Before Nigit 作:Seilin
煌びやかな世界は苦手だ。素顔が見えなくなってしまうから。
負けた後を考えない奴とは仲良くなれない。そうやって消えた奴らを知っているから。
無償のパンを配るような善人に、
だから。
ぼくがあのひみたよぞらのほしに、いみなどあたえないでくれ。
HO10: ラグエル=アドナン=アル·ファイド 1
ヘラーの友人が他地方の植物を集めた庭園を持っているということで話を聞いている中、扉の調子が悪いということで閲覧料代わりに修理しにきた。
扉の不調は単純で、
極東に咲く草本から、新大陸の香辛料を創り出す樹木。大量生産には至っていないようだが、貴族としての誇りと僅かな贅を感じる。……このような貴族ばかりなら、自分も楽しく生きれるのだろうがな。
そんなことを思いながら歩いていると、あまり見ない植物に出会った。鋭く尖った天に伸びる葉と、中央に細く開く青色の花弁。これは
「カキツバタ、だったか?」
思わず口をついて声を出してしまった事を後悔したのもつかの間、その花を見ていた青年がこちらを向いて声をかけてきた。
「そうだよお、これはカキツバタ。大陸の東に広がる湿地の花。……ってシェリダンかあ」
そこにいたのは銀髪の青年。原初のアルカナ「運命の輪」を司る者。……ラグエル、か。
「すまない、つい口に出てしまってな。……私はこれで戻るから、君はゆっくりしていると良い。邪魔をしたな」
そう話して庭園の入口へと踵を返す私の左手を、彼が掴む。
「あぁ、待ってよ。俺シェリダンの話を前から聞いてみたかったんだあ。カロンやルーファスから話はよく聞いてたんだけど、中々話す機会がなくてさ」
「それは……」
思わず口を突きそうになった言葉を押し留め、彼へと向き直る。その言葉は、私の矜持の問題だ。きっと彼には関係無い。
「確かに、話す機会は無かったかもしれないな。しかし、私から君に話せる楽しい話なぞ無いぞ?……いや待て、なぜカードを取り出した」
「んーだってさ、相手の事を知るにはゲームが一番わかりやすいからね。ポーカーのルールは知ってる?」
「っ……すまないが、あまり好まないものでね。カード以外の事は無いか?」
「大丈夫だよ、ルールは教えるからさ」
「ルールを知った上でやらない、と言っているんだ。フロップ*1もドロー*2もスタッド*3も知っているし定石や確率も頭に入っている……ってどうして目を輝かせる!やらないと言っているだろうが!」
ラグエルが私の手首を掴む強さが少し強くなる。そのまま連れられて庭園の端の鉄製のテーブルに着く。ああ。もう。
「賭けられるものなど持っていないぞ」
「それならお話を聞かせてよ、俺が勝つ度に驚けそうな知識を教えてもらうってのはどう?」
「なら、私が勝ったら帰らせてもらうが」
「いいよお。そう簡単に勝たれたら俺も驚けるし」
カードをくる手に違和感は無い。ルールは……スタッドのようだ。
「それじゃあ、いくよお」
カードをめくる。目を見て、声を確認し、相手の手を踏まえて下りる。
ああ、やはり私は
ラグエルの事は、どうにも苦手だな
迷いマイマイしてたら2回くらい文章消し飛ばしてました。