GODARCA / Before Nigit 作:Seilin
できらぁ!
04:アーサー・オーガスト・キング
私にとって、それは紛れもなく王だった。
『探したぞ!お前がシェリダンだな!次の『塔』はお前と聞いたぞ!レイクランドの技術士と名高いお前に、俺はずっと会いたかったんだ!』
当時アルカナを発現したばかりの、同年代の青年であった彼に声をかけられたのは、初めてアルカナ本部に上がった時だったか。医院での研修中だったのか白衣を着た王太子に、廊下の向こうから声をかけられた。
『観ていたぞ、見て来たぞ、お前の『作品』を!素晴らしい町だな、レイクランドは。ゆっくりと、少しずつ、だが確実に進んでいる。お前が変えたんだろう?バラバラのパッチワークを、ロンドン色の油彩に』
過去の模倣しか出来ない自分の継ぎ接ぎを、まさか一つの町として見る人間がいるとは、思いもしなかった。少しだけ考えてみようと思った初代とは違う繋がりを、遠くから見極める存在が真正面からぶつかってくるなぞ、考えもしなかった。
『俺も茶器を作るが、ただ先達の模倣をするだけでなく、これからの新しい手法も取り入れて作っていこうと思うんだ。お前のような作り手がアルカナとしてウチの国にいてくれて俺は嬉しい!』
「キング家の」茶器として現在流通している最高品質の陶磁器。それを作っているのがまだ年若い彼だと知った時、私は醜くも嫉妬した。キング家ではなく「アーサーの」と冠される日が差し迫っていたそれは、
『これから注文をいくつかさせて貰うことになると思う。物を作る先達としても、クライアントとしても、そして国を守る仲間としても力になってくれると助かる!』
それを作るような
『
無意識に膝を突き、何を言うべきかもわからない私が、何を口に出したのかも既に記録にしか残っていないが、隣で私を案内していた自称護衛が驚いた気配を出していた事と、
アーサー・オーガスト・キング。文化に挑戦する先導者であり、歴史に名を刻むであろう職人。彼に先達として扱われるのはどうにも慣れなかったが……まぁ、求められる間はやれることはやるさ。
あれからもう10年ほどか。そろそろ茶器の棚が必要だと言ってくる頃合いだろう。寸法を思い返し、木版の角を削り落とす。一つの差は大きいようで小さい。最近の茶器はどんな大きさだっただろうか。女性陣に合わせ、少し小さく軽いものが多かったか。注文を聞いて作るなんて、暫くした記憶は無いが……偶には、予想外の注文も聞きたいものだな。
模擬戦まで1週間はある。場合によっては注文の当日に渡せるだろうか。最近は料理への挑戦も多く、正直楽しみな部分も多い。
挑戦し続ける者は、どんな時代にも必要だ。挑戦し続けなければ、時代を推し進めることなどできやしない。私は偶然拾われた臣下の一人として、挑戦出来ない有象無象の一人として、それを実感している。