侵攻軍と防衛軍が共闘して無人機を対処していた頃、別の場所では、
「せいっ、やぁ!やっぱ大剣は勝手が違うな」
「こっちは軽すぎるぜ。もっとこう、重しというかずっしり感がほしいな」
二機のガンダムによる連携で無人機を圧倒していた。いつもとは違う装備だから多少手こずってはいるが、お互い何年も使い慣れたように振り回していた。これも、彼らが否定されたもの:フィーラーであるのかもしれない。仮にそうじゃないとしても、バンクーバーで起きたあの共鳴は説明がつかない。そんなオカルトじみた話はあり得ないからだ。
「やはり、俺らはどこかで交じり合う運命だった。そうは思わないかね、カルシア?」
「アウルさん、僕は運命なんてものは信じませんよ。むしろ偶然の重ね合わせがこの結果を招いたと思うんです」
「ハッ、やはり俺らは似てるようで違う者同士。故に引き付けあったようだな!」
「…つまり僕らは磁石であると。いいですね、その例えは!」
お互いにそう語りながら次から次へとあふれる無人機をなぎ倒していく。全く被弾していない訳では無いが、ガンダムの装甲の強度の高さと高出力のビーム兵器のおかげでこれといったダメージは受けていない。
「しかし、いくらなんでも数が多すぎませんか?こんなものを用意するほどの物量はすでに潰されているはずでは?」
回転斬りの如く敵をなぎ倒したカルシアがそう投げる。
「それは俺もわからない。本来であれば追加要員が入ってくるはずだったが…」
滅多切りで応戦し返すアウルも、少々息切れをしてるようだ。
「どうだ。“アレ”を起動して一掃することはできないかね?」
「できる。幸い大学で情報工学を学んでいたからな。しかし…」
断言する手前で少し口ごもる。一つは自分自身の実力に対する不安。今一つはこの戦局でどうやって“アレ”を解除するか、だ。
どうするか悩んでいたら、
「頭を下げろ!やられたいか!」
ふいにそう怒鳴られ頭を下げると、いくつかの弾道が頭上を通り抜けボットマードリッシュに直撃した。
「あれは?」
後ろを確認すると、どうやら救援にきた部隊だ。急造か土壇場か、ゾロンジとマックスの混成部隊となっている。
「アウル少将、話は聞いています。ここは我々におまかせを!」
「カルシア、今は脱走を問わない。この基地を守るために、最善を尽くせ!」
「助かる。よしここは任せた。我らは一旦下がるぞ」
思いもよらぬ援軍と激励に胸がいっぱいになるが、それをすぐに閉めて後退、敵に見つからない場所に隠れた。
10分ぐらいたったか、解析がだいぶ進んだ。
「よし、起動する分には問題はない。あとは機体の設定を変えれば」
「なあ、カルシア。改めて問おう」
作業の大詰めのところでアウルから質問が投げかけられた。
「なぜ、君は統一国家に仕えるのか?君は、本来はここにいてはいけない人間だ。その、アレだ。こんな血も涙もない戦場には、君には不釣り合いすぎる」
「そうですね…、ここに来るまでは一種の使命感がありました。レジデンザにあなた達が攻め込んできて、逃げてきた場所にガンダムがあった。成り行きとはいえど、僕はそれを託された。その期待に応えるのと、誰かを守りたいというワガママでできたましたね」
作業を続けながらそう話すカルシア。しかしその瞳にはどこか虚ろなるものを感じざるを得なかった。
「だけどここに連れて来られて、尋問を受けて思ったんです。これが彼らの思惑か、と。あなたと比べたらマシなのかもしれませんが、それでも酷いものでした。最前線で誰かを守りたい、この戦争を終わらせたい。そう思っていた僕の心を壊しにかかってきたのです。この場所を、この世界を信用していいのか、わからなくなりそうですよ…」
ここまで言って思い出したかのように口を閉じる。今は共通の敵が出てきたから共に戦ってるだけで、本来であれば敵同士だ。そんな人間にここまで話していいのか、葛藤が生まれてしまったからだ。
しかし彼は違った。正確に言えば、最後まで聞く気でいるようだ。
「続けてくれ」
「…はい」
葛藤は残るが、アウルの瞳には興味といった類の感情はない。すこし思いすぎただけなのかもしれない。
「だけど、僕はそれでも戦う。ガンダムを託し、見守ってくれる人たちに、この恩を返したい。そのために戦いたい。理想に過ぎないかもだけど」
「いや、そう思えるのはいいことだ」
そう言われて思わず顔を見る。少し悲しそうな、寂しそうな顔だった。
「俺は逆に大義なんてものはなかった。上の命令こそ正義、正解。そう信じて疑わなかった。だけどね、そういう人ほど、責任感が薄いんだよね。君は覚えているかな?この戦争のきっかけとなった“ウエスタン・トラジェディア”を」
覚えていないわけがなかった。ウエスタン・トラジェディア。それは統一国家のやらかしがきっかけで起きた虐殺事件だ。詳細は語られてないが、少なくともそう聞いている。
「あれは俺らがやったんだ。統一国家の装備を使ってね。今も魘されるんだ、なぜ犠牲にならなければならなかったんだと。しかもその責任を上官に押し付けてしまった。罪な人間だよ」
真実に触れたその感触は口に表すにも憚られるほど重く、そして苦かった。
「…。もし、一つだけ、歴史を変えることができるなら、あなたはそれを変えたいのですか?」
「いや、変えたくはないね。あの出来事で、俺にもできてしまったさ。犠牲の上に立つのが大儀と称するなら、俺は…」
再起動したレッドスターの目はすでに敵をしっかり捉えていた。
「巨悪な大義を討つ刃となり、彼らに贖罪するまで!」
[system breaker,start up!]
アイカメラが赤色に染まる。だが、今までのような怖さはない。むしろ信念の上に立つ修羅のような存在感さえ放っていた。
戦い方は相変わらず敵に対し容赦はないが、一つだけ違うことがある。今までだったら倒しても追撃してくる、所謂死体撃ちが目立ったが今回はそうでもない。敵を倒せば別の敵へ。それを倒せばまた別の敵へ。次から次へと現れる敵を切り倒していくそのさまは鬼神、あるいは毘沙門天のようだった。
「どうやら成功だな。こっちも負けてられない!」
[system braver,are you ready?]
「僕も行こう。帰る場所を守るために!」
今度はネヴォを起動する。完全な自立稼働から少しだけ介入できるようにしたことで自由度は上がった。こっちも一撃で仕留めるスタイルは変わらないが。
それはともかく、2機のガンダムが連携して敵を蹴散らしていったことで、ギアナ基地にやってきた侵攻軍は大方撃退に成功した。統一国家と最後まで敵対した兵士や無人機はまだ残っているが時間の問題だ。
そして、
「カルシア・ノード。君は非常事態でやむなしとは言えど、脱走は許されざる行為だ。本来なら君は終身刑に処したいが、戦争中故に君の罪を消そう」
「しかし、僕は敵に情報を投げてしまったのも同z」
「大したことじゃあないからそれも水に流す。その代わり、だ。イソゴロウ少将、こちらへ」
審問官(人手がいないからギアナ基地の総司令官が受け持った)に罪を消すと言われ驚きのあまり首を締めかけるカルシア。しかしそれを制するかのようにイソゴロウ少将が呼ばれた。
「君は彼とアウル・マハトとともに戦争を、この不条理を叩きのめせ。たとえそれが悪と言われようが、君の信念を私は信じよう」
更に驚きのことを言われ立ちすくむしかないカルシア。イソゴロウも事前に言われたので驚きこそしなかったが、それでもどこか不服そうだった。
「ではこれで審問会を終わる。両者よ、死で償いはするな。生きて戦え!」
「「はっ!」」
その凄みと圧に終始圧倒され、最後は裏返りつつも敬礼した。
反攻戦線が今ここに成立した。
ホロライブとAPEXコラボに腰を抜かした者、RX140だ。
ホロライブはいいよ、別に。かっこいいし。
だがAPEX、テメーはアウトだ。頑張って再現してくれたのは嬉しけど。
さて、来月から文字数が増えます。
頑張って締め切りに間に合うように頑張るから、応援よろしくおねがいします!